アザス!
文才の無い私が推しの子二次を書く理由はひとつだけです
「『今からガチ恋始めます』全収録終了です、お疲れ様でした~!」
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それは恋愛リアリティショウとしては異例の展開であった。
1週目、人類は初めて全国放送で星野アイを目撃した。
一般人はもちろん、芸能関係者から、各国政治指導者、各種宗教関係者、巨大企業の経営者達、悪の秘密結社の幹部やそこの怪人達、各種闇のフィクサーその他大勢、誰も彼もが一瞬で心を奪われた。
日本の医学界にも激震が走っていた。
星野アイの姿を見ただけで不治の病が治った。末期ガンが瞬時に完治した。そんな報告が医療関係者の間を駆け回った。
星野アイが映る画面に子供達だけで無く、犬や猫さえ釘付けになった。
世界各国でUFOの目撃情報が激増した。
星野アイ出現以来、彼女の姿を目撃する人の数が拡大するのに反比例して、犯罪発生率は大幅に減少していった。
正に完璧で究極のアイドル、金輪際現れない一番星の生まれ変り、天下無敵の星野アイ、ここに在りである。
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同日、人類は間をおかずセカンドインパクトを目撃した。
黒川あかねのプクーッである。
それまで星野アイと話していた地味で目立たない少女が、星野アイとの会話の最中プクーッをすることにより、突然星野アイと同質の可愛いを放射したのである。
それは一気に星野アイが二人に増えたかのような錯覚を人々に与えた。
超新星の誕生を人類は目撃した。
そして黒川あかねは人類の希望になった。
黒川あかねのような普通の人間ですら、プクーッにより星野アイに通じる可愛いに届くことが可能なのである。
世界可愛いフォーラムは黒川あかねのプクーッを人類が到達可能な、最高可愛い到達点として、100KAという絶対可愛い基準値を創設した。
黒川あかねを救う為に今ガチ出演を決めた星野アイであったが、それは星野アイにとっても奇跡の幸運であった。
もしこの日この時、黒川あかねのプクーッが無ければ、星野アイは容易く神格化され、まともな人間として生活することは不可能だった。
計らずして黒川あかねのプクーッが星野アイを救ったのである。
ここからは一般人、一般芸能関係者視点。
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2週目、いきなり女性出演者、鷲見ゆきの番組降板。
鷲見ゆきの心配をする星野アイの可愛さに視聴者は悶え狂うも、更なる衝撃が視聴者を襲う。
なんと星野アイが人類最高可愛い少女黒川あかねにキス、交際宣言をしたのだ。
視聴者の9割以上は歓喜の涙に震えたが一部強烈な嫉妬やアンチを生んだのは事実である。
第3週
鷲見ゆき根性の復活。
鷲見ゆきファンの後押しはもちろん、一部では星野アイによる強力な後押しがあったとの噂は絶えない。
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『ねぇゆきちゃん、現場にでっかいラブラドールがいて可愛いよ』
「………そう…」
『今度イベントで動物園に行くんだけど、うさぎ触れるよ、あと番組出演者だけ特別にコアラ抱っこできるんだって、コアラだよコアラ、番組復活しない?みんな待ってるよ、ラブラドールもうさぎもコアラも、可愛いよ?フカフカだよ、フカフカ』
「…私はそんな、子供っぽい理由で自分の意志を変えるような安い女じゃないわ、でも分かった、アイさんの熱意に負けたわ、まだ契約は残してあるから、ここはアイさんの顔を立てて、来週から復活するわ」
鷲見ゆき、星野アイに説得されるのにかかった時間は30秒足らずであった。誰より可愛いを求める鷲見ゆきが、ラブラドールやうさぎ、コアラのトリプル可愛いに勝てるはずも無かった。
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番組復活直後、鷲見ゆきは黒い鐔の広い帽子を被り、黒いサングラスを掛け、黒いドレスを着て白いマスクを付けて黙々とラブラドールを撫でていた。
鷲見ゆきに気を使ったスタッフがコーギーやゴールデンレトリバーを連れて来るにつれて、彼女はマスク外し、サングラスを外していった。
そして動物園に行く日、彼女は白い帽子に白いワンピースを着て現れた。
「今日はコアラ抱けるね!」
嬉しそうに話すアイに対して、鷲見ゆきは困惑の表情を浮かべ、少し冷めた口調で答える。
「私はコアラを抱っこできるだけで喜ぶほど子供では無いわ。だけど、せっかくの人の好意を無にするほど、ひねくれてもいない、せっかくなのでコアラを抱かせていただくわ、もちろんうさぎもね」
そう言うと、どこか諦めたように笑う鷲見ゆき。
「わーっ、やっぱりゆきちゃんは大人って感じ、私なんて楽しみで朝からワクワクしてるよ!」
そんなアイに対して鷲見ゆきはやれやれ仕方がない子だというように、少し苦笑を浮かべながら話す。
「ふふ、アイは子供ね、あっ、最初は虫から回って次に鳥、それからシマウマやヌー、インパラ等の中型草食動物、サイ、カバ、キリンと攻めて孔雀広場で孔雀を眺めながら休憩、蜥蜴、ヘビ、ワニでお口直しして、類人猿や猿系を愛でてから、ちょっと地味な犬系を楽しんでからの熊系、ユキヒョウ、ヒョウ、チーター、トラ、ライオンのような動物園の花形スター達を拝んで、最期にアフリカ象をじっくり15分間以上眺めてから、最期の最期にうさぎとコアラを抱っこ、というプランを考えたんだけど、それで良いかしら?もちろん別行動でも私は構わないけど、私はあなた達の自由意志を尊重するわ」
やれやれとはしゃぎ回るアイをなだめるように、ポツポツと自分のプランを語る鷲見ゆき。常に大人の余裕を忘れない。
「いえ!鷲見ゆきさんのプランに大賛成です!」
鷲見ゆきのクールなプランに大喜びで答えるアイ。
「むしろ全員別々に回ったら今ガチのスタッフに申し訳ない気が……」ボソボソ
「今からガチで動物園を楽しみます」ボソボソ
熊野ノブユキと森本ケンゴのひそひそ話は誰も聞いていなかった。
「ゆきちゃんレッサーパンダやラッコ、アザラシもしっかり見るよ!」
テンションマックスの星野アイは喜びを隠そうともしない。
そんなアイに鷲見ゆきも微笑ましさを隠さずに答える。
「ふふ、はしゃいじゃって!アイは子供ね、もちろん全種類もれなく見るわよ、そして最後にうさぎと?何かな?」
「コアラ!」
「正解!良くできました」ナデナデ
速答するアイの頭を優しく撫でる鷲見ゆきは大人の余裕を崩さない。
「わ~~い!」ニコニコ
そんな女子三人組を少し距離を置いて眺める男子二人組。熊野ノブユキと森本ケンゴである。
「まぁ女子三人組が楽しそうで何よりだな」
「……………」プクーツ
「あかねちゃん以外はね」
「あれはあれで可愛いから良い、プクーッいただきます」パシャパシャ
「撮るのは良いけど盗るなよ、あの子はあの子のお手付きだ」
顎でアイを指す森本ケンゴ。
「盗らないよ、ラッコと一緒で見て楽しむだけ、はい写メ」
百合の間に挟まってはならないは、男達の暗黙の了解だ。
「三月、ところでノブユキさ、マリンちゃんのことどう思う?」
「可愛いけどあの子男の娘だろ?繊細そうな子だし、そういうの嫌がりそうじゃない?」
「でもさ、万が一嫌がら無かったら?ここだけの話、ガチのオフレコ前提で答えて欲しい、マジで付き合うルートある?」
「……ありかなしで言ったら……ある」
「…完全に変態だなノブユキ、俺もあるけど」
『イエイ!』
ハイタッチするノブユキとケンゴ。
男の娘が受け入れてくれるなら付き合っても良い、というのは男達の暗黙の了解だ。
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その収録回では不思議な意気投合をするアイと鷲見ゆき、熊野ノブユキと森本ケンゴ、何故か怯えた顔で二人の男子組から距離を取るマリン、アイの腕に自分の腕を絡ませながらもプク顔をする黒川あかねが、それぞれ視聴者を楽しませた。
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「あ~~あ、つまんないつまんない、なんなのこれ!動物を見て楽しむ人間を見て楽しむ私達?メタフィクションなの?
何でアイはプク顔をしたあかねの頬を定期的に指で押してるの?アイはあかねのメンタルケア要員?空気抜き係?つまんないつまんないつまんな~~~い!」
「アイなりにゆきちゃんや、黒川さんを気遣ってるんでしょう?アイは優しいのよ、あかねにキスして交際宣言したのはちょっと驚いたけど」
「ちょっとどころじゃないわ!滅茶苦茶驚いたわよ!」
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もちろん反応は視聴者によって様々であった。
だって可愛いは止められない