ある程度星野アイ   作:パフリン

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ビジネス カップルというパワーワード


ビジネス❤ラブ

 

 

 ☆☆☆

 

 気がつくと私はベットに寝かされていた。

 

 「あっ」

 

 あかねが自分を優しく見守っていたことに気づいた私は、反射的に布団を頭から被ってしまう、今の私は猛烈に恥ずかしい、穴があったら入りたい、布団があったら被りたい。

 

 そっとパジャマの中に手を入れてパンツの状態を確かめる、さらっとした乾いた布地の感触、安心すると同時に恥ずかしさで死にそうになる。

 

 やってしまった、やってしまった。この状況はゆきの時より遥かに悪い。これが地獄か……

 

 そして思い出す、私はあの時失禁した状態であかねに抱き締められていたことを、ふと記憶が絡み合う舌の感触を伝えるけど、今大事なことはそれじゃない!

 

 確かあの時、私が崩れ落ちてもっと悲惨な状態に成らないように支えてくれたあかねは、自分の足を私の足と足の間に滑り込ませて、私の身体を支えてくれたのだ、それが意味することはつまり……

 

 「ごめんなさい!すみません!申し訳ありませんでした!クリーニング代は私、星野アイの私費で支払わせて下さるように是非にともお願いいたします!」

 

 私は布団から飛び出すとベットの上で土下座をしていた。

 

 そんな私の肩に優しく手が置かれた。

 

 「顔をあげてアイ」

 

 あかねの言葉には優しさしか感じられない。

 

 顔をあげた、私の顔を両手でそっと包み込むとあかねは黙ってキスしてきた。

 

 つまりこれは全然私に対して怒ってないというあかねなりの意志表示、私はされるがままにあかねのキスを受け入れる。

 

 

 

 こうしてると安心感と幸せしか感じない、不思議だ、何故私はさっきあんなにあかねを怖いと思ったんだろう?

 

 あかねの演じた星野アイが本物の星野アイみたいで怖かったのだ……

 

 本物の星野アイが偽者の私を罰する為に現れたと信じ込んで恐怖したのだ……

 

 「アイは何も悪く無いよ、悪いのは全部私だから」

 

 少し長めの大人のキスから私を解放すると、あかねは私をそっと抱き寄せて言った。すごく安心する。

 

 そもそもどうしてあかねは星野アイを演じたのか?私があかねに星野アイを演じるように頼んだからだ。

 

 結論、全部私が悪い。あかねは私のお願いを叶えてくれただけだ、あかねには全く非は無い。

 

 「あかねに悪いところなんてひとつも無いよ、私がバカなだけ、あれじゃ友達にお化け演じるように頼んだ子供が、その友達の演じるお化けを、本気で怖がって泣くのと同じ、自分が不甲斐ないよ、後で四股ふみ100回だね」

 

 「えっ?そっちなの?アイは私が演じる星野アイが怖くて泣いてたの?」

 

 私を膝に乗せてあやすように、私の髪とお腹を撫でてくれてたあかねの手の動きが止まる。

 

 「うん、なんか本物の星野アイにしか見えなくて、自分の何もかもが吸い寄せられて、私が溶けて消えてしまいそうな感じがして……怖かった、ごめんね、私がお願いしたことなのに」

 

 私の言葉に、あかねは私への愛撫を再開すると嬉しそうに答える。

 

 「ううん、むしろ私は嬉しいくらいだよ、それだけ私の演技が真に迫ってたってことでしょう?役者冥利に尽きるなぁそれは、うん、アイは私の迫真の演技に恐怖した、私はそれで納得することにする」

 

 そう言ってあかねは私をベットの上に優しく降ろした。 

 

 「ありがとう」

 

 「なら、この話はこれでおしまい、そして番組上私達はカップルとして成立した以上、私達はアイに本当に好きな人ができるまでは、ビジネスカップルとして付き合う、それでいいわね?もちろん別れた後も、アイと私が一番の友達であるのは当然の前提としてだけど」

 

 なにかをふっ切るようにあかねは言う。彼女は多分私がTSヒロインであることを確信してるけど、そこに触れないということは、それは気にしないということなのだろう、ならば私もあかねの方針に従おう。

 

 「正確にはあかねに好きな人ができるまでは、だけど、多分それを言い出したら、私とあかねの間に永遠に終わらない、意地の張り合いが始まるから止めておく」

 

 「それはそうだね、ただ、表面的にはカップルである以上、時々は二人でアリバイ作りの為に、一緒に映画観に行ったり、お芝居観に行ったりとかは必要だよね?」

 

 あかねは私の左手に自分の右手を恋人繋ぎに絡ませながら言って来る、さすがは黒川あかね、既に役作りに入ってる。

 

 「それは仕事として付き合う以上当然のことだけど、それだけで済むと思っているなら、あかねはまだまだ役者として未熟者だよ」

 

 私の発言にあかねは頬っぺたをプクーッと膨らませる。可愛い。

 

 「え~!ついさっき私の演技でオシッコ漏らしたアイには言われたくないなぁ?言っておくけど、ゆきと二人でお風呂に運んだり、服脱がせてアイを洗ったり大変だったんだよ?ゆきも私も全部着替えてシャワーだし、今アイが履いてるパンツだって、私がコンビニまで行って私と揃えて買って来たんだよ?」

 

 地雷ふんじゃった。恥ずかしさと申し訳のなさで死にそうになる。

 今度ゆきには、ちょっと良いアイスでもごちそうしよう。

 

 「すいませんあかねさん!全ては私星野アイの不徳のいたす所存です、今度アイス奢りますからどうか、平にお許しください!」

 

 とりあえず俺は高速のジャンピング土下座を繰り出した。

 

 「そういうところだけどなぁアイのTSヒロインぽいところ、乗りが昭和のコントなんだもん」

 

 何故か右側のホッペだけをプクプク3回膨らませるあかね。可愛い。

 

 「…俺は、男として大切なものを無くしてしまった……さっきの続き話して良いですか?」

 

 定番のTSヒロインジョークを挟んで話を戻す。

 

 「いいよ、アイの話を続けて」プークス

 

 俺の小粋なジョークにあかねの機嫌が収まったのか、あかねのプクーッ(100KA)が収まったのを見て話を続ける。

 

 「要は私達がビジネスカップルを続けるにしても、ただデートしてインスタアップしているだけでは、役作りが甘くて、見る人が見れば偽装カップルだとばれてしまう、ということを言いたいわけなんです」

 

 俺の発言にあかねの目が大きく開かれる。

 

 「確かに役作りは深いところからやるべきだよね 」

 

 腕組みして何かを考える様子のあかね。腕組み可愛い。

 

 「そこで私星野アイからの提案なのですが、私とあかねがビジネスカップルである以上、少なくとも時々は二人で会って、ビジネスとして二人でエッチな時間を過ごすべきだと思うのです」

 

 「……ふむ……それは私とアイで性的な意味で愛し合うという時間をある程度確保する、という提案として受け取っていいのよね?」

 

 あかねは私に確認を取るように言う。

 

 「もちろん性的な関係です、私はそういう経験全然無いけど、あかねとなら上手くできそうな気がするんです」

 

 私の発言にあかねの顔が一際真剣なものになり、真摯な眼差しで私の目を見詰めて、言葉を紡ぎ出す。

 

 「……それは……絶対にかなちゃんには知られたらいけない案件だね……」

 

 あかねのその声は、一切の冗談を許さない、真剣な響きを帯びている。

 

 当然だ、もし私とあかねがそういう関係だと知ったら、最悪有馬先輩は自殺しかねない……そうでなくても精神を病んでしまう可能性が高い、それは私としてもあかねとしても絶対に避けたい事態だ。

 

 「もちろんですよ、私とあかねが、時々二人きりでエッチな時間を過ごしていると知れば、有馬先輩は最悪の場合自殺、そうでなくとも精神を病んでしまう可能性が高いです、いずれにしても、有馬先輩はあかねに私を盗られたと、嫉妬に身を焦がして苦しむことは間違いありません、ですからビジネスカップルを演じる役作りの為に必要なこととはいえ、私とあかねが共有するエッチな秘め事のことは、絶対に有馬先輩には、いえ、私とあかね以外の誰にも知られてはいけません、絶対に私とあかねの二人だけの秘密です!この秘密を守れますか? 」

 

 あかねの解答は明解だった。

 

 「もちろんアイと私の二人だけの秘密は守るよ、要はビジネスである以上、手抜きは許されないということよね?私は絶対にアイとの秘密の時間を誰にも洩らさない、命にかけて誓うわ」

 

 「あかねの理解が早くて助かります」

 

 私の言葉にあかねは少しだけ、プクッた顔で答える。可愛い。

 

 「理解も何も…私は最初からアイと私の二人で過ごす、エッチで濃密な時間は絶対に必要だと思ってたもの、それをアイから先に言われたのがちょっとショックだったけれど……ただ、これは本当の本当にトップシークレット案件だよ?もしもばれたら最悪私達も殺されるのよ?その覚悟はあるの?」

 

 「当然です」

 

 私は即答した。

 

 

 

 

☆☆☆

 

 私を見詰めるあかねの瞳は、どこまでも真摯で真剣で誠実さを讃えた、深い決意に満ちたものだった。

 

 それは、私星野アイが、この先永遠に黒川あかねの聖なる双子になるのだということを、充分に確信させる星を宿した瞳だった。

 

 あかねと一緒なら死んでも良い、むしろそうなったら最高に幸せだと、心の底から思えた。

 

 でも今はその確信と思いは、私の胸の奥にそっとしまって置くことにして──

 

 私とあかねは秘密を守る為の神聖な誓いの口づけを交わした後、みんなの待つ打上パーティー会場に向かった。

 

 さあ、これから私とあかねがビジネスカップルを演じる舞台の幕が上がる☆☆




私の百合はビジネスです!
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