ピッタン、ピッタン、ピッタン、ピッタン
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あかねとの初ビジネスデートから2週間後、私は自分のいたらなさを反省しながらも、来るべき『東京ブレイド』の顔合わせに向けて、日々の基本稽古に励んでいた。
事実上、日本の演劇界の2トップである黒川あかねと有馬かな、この二人との共演が楽しみ過ぎて、夜しか眠れない日々を過ごしている。
あの後もあかねとは毎日電話やメールやラインでやり取りして、東京ブレイドのことや、ビジネスカップルとしての反省点、軌道修正や今後の大まかな方針について話し合っている。
あの初ビジネスデートの後で、あかねは私には何の落ち度もないこと、現在B小町のメンバーと折り合いをつけてる最中であること、現在あかねと私を核に据えた、B小町を含めた運命共同体を構想中であること、少なくとも1年間は、私とあかねのビジネスカップルが持続可能であること、その後も、基本的には私とあかねが一番の姉妹(恋人)で、その交換条件として、ある程度私が有馬先輩や他のB小町のメンバーと、キスやその他、状況に応じてエッチなことを受け入れる必要があること、また、私があかね以外のメンバーとデートをする際には、必ずあかねの許可を得て、事後には、そのデートやデートにおけるエッチの内容を全てあかねに報告する義務があること、それらの義務を怠った場合、あかねが私をコロすこともあり得ることも教えてくれた。
私は、予想を遥かに上回る、あかねの仕事の早さや愛の重さや優しさや有能さに、驚き感謝しながらも、慎んであかねの提案を受け入れる旨を伝えた。
やっぱりあかねは果てしなく優しい、そして私の百倍くらい頭が良い。
ギリギリのラインを見極めて、正確に攻めている。
私とあかねのビジネスカップルとしての関係性を確立させたうえで、B小町のメンバー達の私を可愛がりたいという欲求を満たすのとバーターに、彼女達に一定の制約を自然な形で受け入れさせて、結果的にB小町を敵ではなく、味方に付けて、B小町の結束も強化している!
こんなの絶対私では思い付かない、有馬先輩やB小町の他のメンバーでも無理だ。
あかねと有馬先輩他B小町のメンバーとの『星野アイ可愛い問題』に関する協定は、かなり上手くいっているのが肌で実感できる。
B小町のメンバー達から、前のようなギスギスした空気や殺気だった雰囲気がなりを潜めているからだ。
それどころか、最近ではB小町のメンバー同士ですら、和やかに会話をしている光景を目にすることさえ珍しくない。
これはかつてのB小町では想像すらできなかったことだ。
もちろん全てが良くなったわけではない。今でもメンバー同士の小さな女の戦いはある。
それはこういう女子アイドルグループの宿命みたいなもので、完全になくなることはないだろう。
基本的に女の子同士はみんな敵なのだ、これはもう仕方がない。
でもここ1週間ほどはかつての息苦しさが驚くほど軽減した、実はアイドルにとって、同じグループのメンバーと一緒に過ごす時間は、仕事をするうえで一番のストレス案件だったりするんだけど、これはアイドル以外のグループ活動をする芸能人でも同じだろう。
私も時々メンバーの一人に誘われて、休日買い物や映画に行ったりすることがあったけど、後でそのことが他のメンバーに知られた時の雰囲気は最悪だった。
アイドルやってる人で、一番幸せな時間は部屋に一人でいる時、という人は珍しくないだろう。実は私もそうだった。
例外的に有馬先輩の部屋に遊びに行くことはたまにあったけど、そのうち不知火さんが有馬先輩の部屋にいつくようになって、私は自然に遠ざかった。
中学の時は良く有馬先輩の部屋に泊まって一緒にベッドで寝てたけど、高校生になると、何となく恥ずかしさを感じるようになって遠ざかった。
本当の理由は他にあるけど、これは私だけの秘密。いつかあかねにだけは話してもいいかな?
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「ひゃっ!」
開脚をしてると頬に冷たさを感じて声がでた。
「あっ!かな先輩」
「かなで良いって言ってるでしょ、いつまでも先輩付けないの、黒川あかねのことはあかねって呼ぶクセに、本気でいびるわよ」
「ありがとうかな」
私はかなからミネラルウォーターを受け取った。かなはミネラルウォーターが好きで1日2リットルは飲んでる。
「この前はあかねとの初ビジネスデートの邪魔して悪かったわね、私もあかねへの嫉妬からついカッとなって言い過ぎたわ、嫌ね、女の嫉妬は本当にやっかいよ、自分でも抑えが効かないもの」
私の隣に腰掛けて少し自嘲気味に笑うと、ミネラルウォーターを口にする先輩。
「どう、稽古は順調?」
ペットボトルを脇に置いて真面目な顔で訊いてくる先輩。今日はいつもの先輩だ。
「はい!初めての舞台ですからやる気満々です!」
「そいつは結構」
そう言うと先輩は、大きめのボストンバッグから包装された本らしきものと、中に何か入ってそうな袋を取り出して。
「はい、これはアイのビジネス初デートを邪魔したお詫びに、私とB小町のメンバー全員で選んで来たプレゼントよ、受け取りなさい」
私は本らしきものと袋を受け取った。本らしきものにも袋にも綺麗で可愛いラッピングがしてある。いかにもプレゼントといった体裁だ。
「なんですかこれ?」
思わぬプレゼントに少しワクワクしながらも、誕生日でも無いのにプレゼントを貰う覚えが無いので、思わず訊いてみる。
「それは私達B小町のメンバーからの、アイとあかねに対する愛と友情の証よ、あかねにはもう話は付けてあるから、必ずアイとあかねが二人きりの時に、出来れば、どちらかの部屋、もしくはホテルの一室で開けること」
「あっ、はい」
「それとプレゼントの中身については、あかねと私達B小町のメンバー以外には他言無用のこと、かつ使用も禁止、良いわね?約束出来る?」
「はい!もちろんです!」
先輩が私のために成らないことをやるわけが無い。私は迷わず返事をした。
「それは結構、じゃあ稽古がんばってね、特に体力をつけることをお薦めするわよアイ」
私にウインクして、そう言い残すと、有馬先輩は走り込みに行ってしまった。
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「え~と、『分かりやすい、女の子同士で気持ち良く愛し合うテクニック』?」
私とあかねは今、B小町のメンバーがセッティングしてくれたホテルの一室にいた。何か壁が鏡貼でベッドが回転式で、普段見ない椅子?みたいなのがあって、全体的に女の子らしくて、可愛い感じの部屋だ。
「かなちゃん分かりやすいシリーズ好きだよね」
あかねが本を開いて興味深そうに見ている。
私達は今日、有馬先輩が中心になってB小町のメンバーが企画した、『星野アイと黒川あかねのビジネスデートセカンド、大人への階段プロジェクト』を行っていた。
「でもこのオモチャみたいなのってなんに使うんだろ?あっ、説明書があった」
「見せて見せて」
好奇心旺盛なあかねが直ぐに食いついてくる。
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結局最初から道具に頼るのは上級者過ぎる、と恐怖を感じた私とあかねは、多少は有馬先輩の本を参考にしながらも、あくまでも自分達の身体を使って大人への階段を昇ったのだった。
二人で話し合った結果、道具はあかねに預かって貰って、ある程度私がそういうことに慣れたら、時期を見てあかねの判断で使用するという方向性で話がまとまった。
デートは大成功で、私は朝まで何度も何度も意識を飛ばされて、最期の方は、涙を流しながら、もう許して、もう許して、を連発したけど、あかねは、アイが可愛いから許さない、と言って何度も何度も私を逝かせた。
あかねがようやく私を解放してくれたのは翌日の昼近く。
体力が尽きて動けない私を優しく介抱するあかねは、いつもの優しいあかねで安心した。いや、あの時も充分優しいけど、ちゃんと私の限界を冷静に見極めて、手加減してくれているのは分かる。
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あかねとのビジネスデートは大成功だったけど、B小町メンバーによる、『星野アイと黒川あかねによるビジネスラブ、定例感想報告会』に置いて、ふらつく身体で有馬先輩やB小町のメンバーに、デートの内容を報告するのはちょっと恥ずかしかった。
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「おやすみあかね」
そう言って通話を切る。
明日はいよいよ『東京ブレイド』の初顔合わせだ。
あかねとのビジネスデートセカンドの時は、最期の方はもう無理死んじゃう、いっそ殺して、とすら思ったけど、あかねと一週間も会えないと、もうあかねが恋しくなってしまう。
また、明日からあかねに会えるのが嬉しく仕方がない。
多分体力的な問題で、あかねとのエッチな行為は、これからしばらくは、『東京ブレイド』との兼ね合いで無理だけど、まとまった時間が取れたらまたあかねとビジネスデートしたいな。
ただもう少し私は体力をつける必要がある、せめて私も、もう少しがんばらないと、あかねに申し訳ない気がする。
だから私は、もっとちゃんとあかねの愛に応えられるようになる為に、朝のランニングを2㎞から5㎞に増やそうと密かに決意したのだった。
ドクターストップあかねちゃん