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「ララライって硬派なイメージだったけれど、よくも2.5受けたわよね?」
「明確に次元下がってますもんね、3次元から2.5次元に、本人達がそれで良いなら良いですけど」
今日は『東京ブレイド』関係者初顔合わせの日、こっから先は『推しの子』アニメ一期では放送されて無いエリア、もう原作知識には頼れない、100%私のままの私で生きていくしか無い。つまりリアルな私で勝負するしかない。
私はリアル!
リアルな愛!
「アイ、2.5次元っていうのはアニメや漫画を舞台化したことを言うのであって、決して次元(レベル)の低い舞台ってわけでは無いのよ?」
真顔で私を見て話す有馬先輩。
そういう意味だったの?全然知らなかった!危ない危ない、うっかり完璧で究極のアイドル、星の愛がバカだと思われるとこだった。ギリギリセーフ、間一髪で助かった。
「そっ、そうだよね!あかねやかなみたいな、超天才クラスの役者をキャストしてる時点で、東ブレがレベル低いわけないもんね!」
必死に自分の無知をフォローする私を取り合わず有馬先輩は言った。
「アイ、あなた綺麗になったわね、それにますます可愛くなったわ」
その言葉が本心からのものであることが、かなの表情や、声の調子で分かってしまう。
私が可愛くなった原因は、日々の四股踏み、鉄砲、すり足、また割りを始めとする稽古の結果に違いない!
そう、確信した私は、自信を持って言った。
「あっ、ありがとうございます!やっぱり毎日の地道な稽古の効果ですよね?私かなのアドバイスに従って、毎日5㎞走るようにしてます、やっぱり体力ですよね?可愛いは体力!」
かなは少しだけ、嬉しそうに、そして、悔しそうに語る。
「それと愛ね、愛は常に人を美しく、可愛くするのよ、例外なくね」
「アイ?……あっ、愛ですか?そうですね、愛は地球を救いますもんね!なんなら宇宙は愛で出来てるって主張する科学者もけっこういます!愛が全てですよ!今こそ誓います!愛を胸に、強く強く生きます!」
すっと、私の手を取り、先輩は言う。
「『星野アイと黒川あかねのビジネスデートセカンド、大人への階段プロジェクト』、アイとあかねの愛の行為、全て見させて貰ったわ」
「えっ?どうやって?」
「隠しカメラよ、100を超える隠しカメラと、収音マイクが、あなたとあかねの愛の行為を、約18時間に渡って全て記録していたのよ。あれは凄かった、正に愛の極致、みんな見てるだけで10回以上は逝ってたわ、私も含めてね」
すっと、意識が遠退いた、あんなに、弱くて、あかねに一方的に、ひたすら逝かされ続ける自分をみんなに見られたなんて、恥ずかしすぎる。
「それ、見たのかな達だけだよね?他の人は見てないよね?」
私の手を放し、同時に私を抱き締めて有馬先輩
は続ける。
「大丈夫、あれは黒川あかねと、B小町のメンバー以外には、絶対に門外不出よ。『星野アイ可愛い問題』に関する、協定で締結されてるもの、そこは安心して」
私は安心して全身から力が抜けた。
「……可愛いかったわよ、アイ……」
かなに耳元で、低めの声で囁かれて、フッ、と意識が持って逝かれそうになる。どう対処していいか分からない。
「……あ…ありがとう……かなやみんなに喜んでもらえたなら……私も……嬉しい……かな?……」
恥ずかしさで死にそうになりながら、私はなんとか星野アイを演じた……これで合ってる?
「もっとも私も含めて、みんなちょっとは複雑な気持ちもあるわよ、私も、他のみんなも、アイを自分だけのものにしたいという気持ちは、きっとこの先永遠に変わらない、これは仕方がない」
「仕方ないんだ?」
「そうよ、女だもの。みんな黒川あかねの有能さは認めている。彼女の苦汁の決断や妥協案には感謝してる。黒川あかね以外では星野アイに並び立ち、星野アイを支えられる人間が居ないことも、充分に認めているわ。つまり、あなたとあかねが一番の姉妹(恋人)だということをね……でも、それでも黒川あかねに嫉妬してる、それでも黒川あかねの座を虎視眈々と狙っている。あの場所であかねの代わりにアイと愛し合うのが、自分だったらどれ程幸せなのか?と考えていない子は一人も居ない、この気持ちはどうしようも無いの。私も含めてね、アイ、あなたは今自分で思ってるほど、安全な場所にいるわけでは無いの。この事実は心のすみにでも止めておいて、あなたに叶わぬ恋をしている、友達としてのアドバイスよ」
その瞳は真摯で真剣なもので、今彼女が話した内容を軽く聞き流して良いものではないと、私に告げていた。
私を放して歩き出す彼女の横顔は既に役者、有馬かなに戻っている。
その雰囲気の変化は、まるでさっきまでの彼女が幻想であったかのように思わせる。
でも、さっきのかなの言葉をなかったことにしてはいけない。
「あっ、ありがとうかな、覚悟はしておく…」
でも正直これは想定外、有馬先輩……かなはともかく、他のみんなは、そんなそぶりを全然見せないから気づいてなかった……本当に?
本当は気づいていたから、みんなと一緒にいるのが辛かったんじゃないの?
あのメンバー達と一緒にいる時の重苦しくて、ギスギスした空気を、私は女子のアイドルグループ特有のものだと思い込んでいたけど……本当にそうだったの?
休みの日にメンバーの誰かから誘われて、買い物や映画とかに行くことが時々あったけど……今思うと、私と二人で居る時のメンバーは、まるで普段とは別人みたいに柔らかくて可愛い印象だった。
有馬先輩、かなだけじゃない、他のみんなも私と一緒にいる時はみんな例外なく優しくて良い子だった。
不知火さんに普段からそんな感じなら、もっとファンが増えるのにって言ったら、『アイが私だけのものになったらそうするわよ』って言われて、『それはダメだよ、だって私はみんなのアイドルだもん、恋愛禁止なの!』って言ったら『それなら仕方ないわね、私もアイが引退するまで諦めるわ』って言われて、不知火さんは、相変わらず面白い人だって思ってたけど、あれマジの奴?
そういえばあの後、不知火さんが柄にもなく、ホッペをプクーッて膨らませてて、可愛いと思ったのを今でも鮮明に覚えてる。
今思うとB小町のメンバーとよく2ショットの写真を撮ったり、私単体の写真を撮られたり、メンバーとお揃いの服や下着やアクセサリーや小物を買ったり……
私はどれも女の子あるあるで済ませて、深く考えてなかったけど……
そういうのって、常に私と他のメンバーでやってるだけで、他のメンバー同士でやってる事例を私は知らない。
あまり深く考えてなかったけど……かなの言葉が本当なら、私が今まで不思議に思ってたB小町の謎のあれこれに説明がついてしまう。
何で私がB小町のメンバーと、デートやキスやエッチなことをしないといけないのか?全然意味が分からなかったけど、意味が分かってしまう。
『星野アイ可愛い問題』って、みんなが私を可愛いって思ってたって意味だった?
そしてあかねは私が気づいていなかった、私の問題を、私が気づく前に、あらかた解決してたってこと?だよね?
やだ!これから大好きなあかねに会えるからドキドキしてたのに、もっとあかねのことが大好きで、もっとあかねにドキドキして来た!
自分が愛だと気づくその瞬間までは