さて、拙作における主人公は永遠に星野アイでありヒロインは永遠に黒川あかねでありそこはぶれません(断言)
今回の話は5巻に出てきた彼が、余りにも筆者がイメージしてたTS前の主人公のイメージにピッタリ一致してたので小ネタとして書きました
それ以上の意味も、それ
以下の意味もありません
☆☆☆
「『つるぎ』役を務めさせていただきます、『苺プロ』所属の有馬かなです、よろしくお願いします」
「同じく『苺プロ』所属の星野愛です。『刀鬼』役を務めさせていただきます。この度は、ほぼ演劇初心者の私に、極めて重大な役を仰せつかりまして、痛く恐悦至極にして、心より恐れ入るばかりの所存であります。どうか皆様におかれましては、私、星野アイを、完全なる演劇初心者と、お見なしいただき、何とぞ、ご指導御鞭撻のほどをたまらわんことを、心より伏して、お願いいたす所存でございます」
誰もが一瞬で持っていかれた。
もう、みんな星野アイしか見ていない。分かってたことだ。それがどうした?
「皆、早いねー、まだ10分前なのに、揃ったみたいだから、紹介、はじめちゃおっか」
呑まれるな!絶対に星野アイのペースに呑まれるな!あくまで星野アイを普通の役者として扱え!この舞台の成否はボクにかかっている!
頑張れ雷田澄影!
「ボクの名前は雷田、この公演の総合責任者。…で、こっちが演出家の金ちゃんね」
「金田一俊郎です、演技で分からないことは私に訊いてください。よろしくお願いいたします」
おい!なんでちょっと敬語口調になってんだ!そこは大物ぶって『金田一俊郎だ』くらいにしとけよ、たく使えないジジイだな!
あと犬要らないとか言っといて、自分だけ、コーギー膝に乗せてモフモフしてんじゃねーよ!それ大物演じてるつもりか?微妙に絵面が可愛いんだよ!大物感全然出てないからな?あと膝の上のコーギーもさっきから星野アイしか見てないから、アンタの負けだからな?はい、劇団ララライ完敗!
「脚本家のゴアさん」
いいね、素直に可愛い生き物を見る目で星野アイを見てる、こういうので良いんだよ。
「2.5経験豊富な鴨志田朔夜くん」
「よろしくです」
そうそう、こういう軽い乗りが大事、ただ、星野アイにだけ視線おくってると、黒川に睨まれるから、そこ注意ね?他のみんなもゴールデン・レトリーバーも、シベリアンハスキーもラブラドール・レトリバーもコーギーも、みんな星野アイだけ見てるのは変だと気づこうね?
もっとフラットな視線!みんな星野アイだけ見てるの可笑しいからね!
さすがに星野アイは見られることに馴れてるのか、全然気にしてないみたいだけど、もうこの時点で、星野アイがスターで、その他一般人の構図が出来上がってるの誰も疑問に思わないの?
星野アイだから仕方ないの?逆にボクが星野アイを意識しすぎなの?
サクサクララライの、みたさん、化野(あだしの)、吉富、林原、船戸と紹介、みんな星野アイしか見てないし、それを誰も疑問に思ってないのが怖いんですけど、これが普通なのかな?だんだん普通のことに思えてきた……
「黒川あかね」
「よろしくおねがいします」
君が星野アイしか見てないのは許す、今回の舞台の成否は君にかかってるんだ、本当にお願いしますよ黒川さん、貴女だけが頼りなんです、貴女だけが星野アイとその周辺をコントロール出来る、唯一のキーパーソンなんです。お願いしますお願いしますお願いします!
よし!顔合わせ無事終了しました!次本読みいっとく?
「起きろバカモンが!」ドカッ!
「って…あぁ、サーセン、この芝居の主演の……役名なんだっけ、まぁ、いいか、姫川大輝、よろ」ノソ
「このメンバーで一丸となり、舞台『東京ブレイド』を成功に導きましょう!」
いかんいかん主演紹介するの忘れてた。しっかりしろボク!しっかりしろ姫川大輝!
☆☆☆
あれが姫川大輝?……びっくりした、アニメ一期に出て来ないから知らなかった……似てる…あまりにも似てる…似すぎてる。似てるというより、もう本人レベル。
姿形、声、ボサボサの髪に無精髭、あの服装のセンス。何から何まで私そのもの……気持ち悪いよ……ちょっと怖いよ……どうして私が居るの?
貴方が私なら私は誰なの?
怖い、姫川大輝怖い、あまりにも私過ぎる、私そのもの過ぎる。完全に私じゃん。
あれ?なんか私が私に近づいて来てる?何なの?もしかして私は私に気があるの?……ていう雰囲気でも無いけど……
「B小町の星野アイさんですよね?」
「あっ……はい…」
そうだった、いきなり私に会ってびっくりして忘れてた。今の私は星野アイ、完璧で究極のアイドル、この姫川大輝とかいう私モドキとは別人……のはず……多分……
「いつもテレビで見てますよ、いゃあ、本物はテレビの3倍は可愛いっすね。俺星野さんのファンでCDもMDも持ってます」
「あっ、ありがとうございます」ペコリ
星野アイを前にして、この平然とした、態度、うん、間違いなく私だ。私はこういう人間だった。
「いゃあ、歌もダンスも完璧じゃないですか、俺も役者として、いろいろ勉強になります、今回は星野さんと同じ舞台に立てて光栄っすよ、どうかよろしくおねがいします」
「あっ、こちらこそ、劇団ララライの看板役者、姫川大輝様と共演させていただくのは身に余る光栄であり恐悦至極にてございます、何分演劇は初心者なもので、何かと至らない点はあるかと思いますが、ご指導御鞭撻のほどをいただければ幸いです。どうか心より伏してよろしくお願いいたします」
差し出された握手に応じ、誠意を持って答える。相手が自分だからといって、礼をいっしてはならない。
お辞儀は勿論90度、相手は自分とは言え年上だし、ララライの看板役者、苺プロを代表する星野アイとして先方に敬意を払うのは社会人としての当然の務め。
「あはは、面白い人っすね星野さん、ちょっと俺みたい。じゃあ俺苺プロの有馬さんと読み合せするんで、なんかあったらいつでも話しかけてください、んじゃ!」
「はい、その節はよろしくお願いいたします」ペコリ
私は私に愛想笑いを送りながらかなの下へ向かった。
ふ~びっくりした、まさかこんなところで、自分に会うなんて想定外。
☆☆☆
「アイ、おひさ」
黒川あかね、私の表向きの恋人。愛というものが分からない私達は、その欠陥を埋め合わせる為に、お互いを利用しあう歪な供依存関係を築いている。そこにあるのが愛ではなく、相手を利用して、自分の孤独を埋めようとする、醜い欲望に過ぎないと、お互いに知りながら。私達は真の恋人ではない。上辺だけのビジネスカップルに過ぎない。
「おひさって言っても毎日電話やラインで話してるじゃない、アリバイ作りで時々会ってるし」
「それはそうだけど、またお仕事で会えるのが嬉しくて……」
「基本的に私達が会うのは全部お仕事だけどね」
私とあかねの関係はビジネスなんだと釘を刺しておく。
私達の間には本物の愛などないということを定期的に確認しておかないと、あかねの私に対する依存は際限なく高まり、最後は私をコロスか監禁するかの行動を取るだろう。
最悪なのは、私はあかねにそうされても、喜んで受入れることが確信出来ることだ。
だから節度は保たないといけない。
「あっ、そうだったごめん、それで、今ガチの仕事の時は助けられてばかりだったから」
いやいやけっこう俺もあかねに助けられてたけどね!
「舞台は私の本業だし、今度は私がアイの助けになるよ」
守りたい、この笑顔。
だが演劇に馴れ合いは禁物、今度は俺があかねに本当に世話になるのだから、礼を持って答えるべきだろう。
俺は腰を直角に曲げてあかねに敬意を示す。
「ありがとうございます。劇団ララライの若きエース、黒川あかね様と共演させていただくのは身に余る光栄であり恐悦至極にてございます、何分演劇は初心者なもので、何かと至らない点はあるかと思いますが、ご指導御鞭撻のほどをいただければ幸いです。どうか心より伏してよろしくお願いいたします」
「もう、アイは変なところで固いんだから」プクーッ
残したい、このプクーッ。
………どうも、今の私は姫川大輝に会ったショックで混乱してるみたいだ………
☆黒川あかねが大好き
★黒川あかねに特別な気持ちはない
☆童貞
★けっこう女好き
上二点がTS前主人公と姫川大輝の主な違いです
ただ主人公はこの先永遠に星野アイなのでTS前の主人公の容姿など全く無意味な設定ですね