ある程度星野アイ   作:パフリン

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現し世は夢 夢こそ真
ゴジホウコクアリガトウ


みんなのアイドル

 「ああ、なんて美しい!なんて愛らしい!よし殺そう!出来ればセックスして子供を産ませて、彼女が幸せの絶頂に浸ってる時に、必ず直接僕の手で殺そう!よ~~~し!やったるぜ~~~!!!」

 

 星野アイの映像を眺めながらカミキヒカルは歓喜に震えていた。

 

☆☆☆

 

 芸能界は狭い世界である。いくら斉藤壱護が星野アイの存在を隠したくても隠せるものでは無い。

 仕事上最低限の人達には星野アイの存在を知らせないわけにはいかないし、ある程度は星野アイを含めたメンバーを連れて関係各所を回らないわけにはいかない。

 

 3年後のメジャーデビューを見据えて、今のうちにご挨拶回りをするのは、礼儀が重視される芸能界では大事なことだ。

 斉藤壱護は業界人として最低限の筋を通したに過ぎず、何もおかしなことはしていない。

 

 普段は地味で大人しい性格の星野アイは、余計なことも目だった行動もせず、少しうつむき加減なのは多少減点だが、礼儀正しく話すべき時はハキハキと話し、アイドルの卵として文句の無い対応をしていた。

 

 自分の出番が終わるとすぐに素に戻るのは、まぁ業界では珍しいタイプだけど特に欠点とも思えなかった。

 

 まだ星野アイのアイドルとしての実力を知らない業界関係者から見れば、星野アイはちょと可愛いだけの地味で大人しいアイドルの卵に見えるだけだろうと斉藤壱護は思っていた。

 

 それだけが斉藤壱護のミスだった。

 

 実際に星野アイを見た業界関係者は、皆概ね斉藤壱護が想定した通りの感想を抱いた。

 

 とても可愛らしいけど、地味で大人しそうな子だな、こんな子にアイドルが務まるのかな?

 

 

 ここまでは斉藤壱護の想定した通り。その先の各業界関係者の思いは各人様々であった。

 

☆☆☆

 

 あの子にはこんな曲が合うんじゃないかな?ある作曲家は星野アイのイメージを胸に曲を書き上げた。

 

 「どう?こんな繊細で何処かキュートなイメージの曲、あの子に合わない?」

 

 「悪くないんじゃない?ただもうちょっと元気のいいメジャーな曲も欲しいかな?」

 

 「メジャーコードのアップテンポな曲、ありますね」

 

 知りあいの作詞家に聴かせると悪くない反応だった。

 

 「あと意表をついて、バリバリのロックンロールとか歌わせるのもありかと思ったり」

 

 「……それは……全然思いつかなかったなぁ」

 

 「ちょっと彼女のイメージでいくつか歌詞を書いてみたんだけど見てくれる?」

 

 「ほいほい」

 

☆☆☆ 

 

星野アイにはきっとこんな服が似合う

 

星野アイにはこんなステージ衣装を着せてみたい

 

星野アイにはこんな役をやらせてみたい

 

星野アイをツインテールにしたい

 

星野アイにこんな歌を歌わせたい

 

星野アイの魅力を完全に引き出す映画を作りたい

 

星野アイをドラマに出したい

 

星野アイをCMに出したい

 

星野アイに舞台演技を仕込みたい

 

星野アイの笑顔がみたい

 

星野アイの涙がみたい

 

幸せな星野アイがみたい

 

怯えた星野アイがみたい

 

星野アイの今の姿を写真にして永遠に残したい

 

あれは魔性の女、見る者を誰も彼も虜にしてゆく危険な存在

 

あの子がメジャーデビューする時、芸能界は変わるだろうね、変わらざるえないだろう

 

天使

 

地上に降りた女神

 

うちで飼ってる犬に似てる

 

☆☆☆

 

 人は本当に大切なものに対しては無口になる。言葉を失ってしまう。考える力を失う。美しさは思考の領域を超えている。

 

 思考では美の領域に届かない。だから真に美しいものを見た時、人は沈黙する。

 

 星野アイは本人も知らないうちに既に芸能界を変えていた。

 

 業界関係者は静かに畏怖していた。

 

 業界関係者は静かに歓喜していた。

 

 業界関係者は静かに怖れていた。

 

 業界関係者は静かに恋をしていた。

 

 業界関係者が星野アイについておおっぴらに語りあうことなどは、余りなかった。

 何故かそれはいけないことのような気がした。

 

 星野アイは芸能界に於いてある種のタブーであり、そして至宝となっていた。

 

 アイドル界の頂点を目指して日々修行を重ねる星野アイは

 

 本人のあずかり知らないあいだに、既に芸能界において星になっていた。

 

 

 ☆☆☆

 

当然、実力派ばかりの役者が集う、日本演劇会のひとつの頂き、劇団ララライに星野アイの情報が届かないわけもなく………

 

★最高だな星野アイ、彼女は違う、今まで数多くの才能を見てきた僕が断言する

 

 エクリプス ファースト ノー ウェアー

 

 彼女に並び立つものなど誰もいない、何処にもいない、これまでもいなかった、これからもいない

 

 星野アイノーリターン

 

 星野アイノーリターン

 

 星野アイノーリターン

 

 君だけでいい

 

 君の他には誰も要らない

 

 君の他には誰も愛さない、愛せない

 

 君の他には誰にも恋をしない、できない

 

 君は存在の奇跡、地上に降りた女神、星の愛、愛の囚人 

 

 

 ああ好きで好きで好きで堪らない。ああいとおしくていとおしくてたまらない!

 

 好きにならずにいられない

 

 愛さずにはいられない

 

 優しくしないではいられない

 

 甘やかさずにはいられない

 

 好きだ、好きだ、大好きだ!

 

 愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる

 

 だけど君は決して僕のものにはならない、この手に星は掴めない

 

 君が全ての人達に惜しげも無く愛を振り撒く未来が僕にはハッキリと見える

 

 君は、芸能界を変えるなどというちっぽけな存在などでは断じてない!

 

 君は、愛を振りまかずにいられない そこに君の意思は関係無い そこに君の選択の余地は無い 君は愛以外になれない

 

 その笑顔で、その歌で、その舞踏で、その演技で、その素顔で、その涙で、その戸惑いで、そのほっぺたプクーッで、愛を振りまかずにいられない

 

 最初に日本に小さくポツンと灯った光は、ある一定の時間がたつと瞬く間に燎原の火のように世界に拡がってゆく 君はこの星を変えてしまう

 

 この星を憎しみと争いと苦痛と嘆きと孤独の世界から、愛と光と歓びに満ちた天国に変えてしまう

 

 君はそうと知らずに、古い書物に書かれた預言を実現させてしまう

 

 そうなったら僕にはもう何もできない

 

 だから、そうなる前に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  必ず僕の手で君を殺してあげる

 

 愛してる

 

 愛してる

 

 愛してる




これは 星に手を伸ばす少女達の物語

そして 主役はあなたよ
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