霧島と榛名は勝ったのは良いが2人とも満身創痍であった。
気を保つのに必死である。
実を言うと霧島の「三式弾」はまだ完成していない。それを土壇場で放ったものなので右腕も使い物にならない。
霧島「ハァ……ハァ……無理するもんじゃないわね…。」
霧島「…………なっ!!!!」
なんと天龍が起きてきたのだ。
びっこ引きながらこっちへと確実に向かってくる。全身血と毒の酸が混ざり合い悪臭を放つ天龍は白目を向きながら日本刀を手に取る。
天龍「や…………………やる………じゃ…ねぇか………。」
天龍「これだけは…………使いたく無かったけどよぉ……………!!!!」
天龍の斑模様は更に全身に広がり、紫色に染まった。そればかりか汗なのか血なのかわからないドロッとした液体が全身を流れる。
先程の毒の酸よりも遥かに驚異であろう。
龍田「天龍ちゃん!!!!それだけは辞めて!!!!!死んじゃうわ!!!!!!!」
もはや最愛の妹の声すら聞こえない。
天龍の目は青白く光り、パープルシャインの髪色も白く染まりつつある。
天龍「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇやぃぁぁぁぁぁぁぁっっっーーー!!!!」
霧島の顔に天龍の刀が振り下ろされる瞬間であった。
榛名「霧島ああぁぁぁぁぁ!!!!」
ザンッッッッッ!!!!!
霧島は両断された。
はずであった。
天龍「!!!!!!!!!」
町田「随分と暴れん坊やな。」
バイト終わりの町田が天龍の刀を受け止めたのだ。
毒は通用しない。何故ならば町田の目も天龍同様に青白く光っていたからだ。
天龍「お前っっ!!!人間なのにっ…!!!」
天龍は動揺を隠せない。
町田「刀を降ろすんや、天龍。」
天龍「なっ……俺の…毒が……。」
見る見るうちに刀を通じて毒が吸収する町田。
しかし本人には自覚は無い。
天龍は髪色も肌も元に戻り、力が抜けたのかへなへなと倒れ込んだ。
天龍「は…………ははっ……。もう…殺せよ。疲れたよ俺は…………。」
町田「君らはあくまでも指名手配犯。抹殺手配犯じゃあ無い。」
天龍「繁華街にテロ行為したのにか?何人殺したと思ってんだァァァっっー!!もう戻れねぇよ!!!!!」
「いや、死人は居ませんでしたよ。怪我人は居てもかすり傷程度です。」
町田「おぉ!吹雪!龍驤!!」
煤だらけになった吹雪と龍驤は住民の避難が済んだのか戻って来たのだ。
龍驤曰く、わざと死人が出ない箇所に攻撃を仕掛けたのだと。
天龍「…………………。」
町田「なんでこんな事したんや…。訳があるんやろう。」
天龍「殺せる訳…………なかったか……。俺らはよぉ……………………俺らは…。」
天龍は涙を流し始めた。
天龍「最初は頑張ってたよ…。世界水準超えてるって………張り切って……。あんまり戦場には出れなかったけども遠征とか鎮守府の事とか色々とやってたよ…………。」
天龍「でもあの日……………あの遠征で深海棲艦に鉢合わせになっちまった。完全に提督の判断ミスだった………。俺と龍田はガキどもを逃がしつつ戦った…。」
天龍「そん時だ……。俺の体に血を入れられたのは。」
天龍「情けなくも必死こいて逃げたよ……。鎮守府に帰るために…。アイツらに…………か…………家族に会うために…………!!!」
天龍の涙は次第に大粒になっていく。
天龍「俺と龍田は帰れた!!!最初はアイツらも心配してくれた!!!!!!最初だけだったけどなぁっっ!!!!」
天龍「あの後検査を受けたら俺らの中に深海棲艦のDNAが入ってることがわかった!!!それでもアイツらはここに居てもいいって言ったんだ!!!!でも問題はその後だ!!!!」
天龍「政府から視察が入った!!!!そんで何があったのかは知らねぇがアイツらの態度が急に変わりやがった!!!!!汚物でも見るかのような目で!!!!腫れ物でも扱うかのような態度で!!!!!」
天龍「それで政府に引き渡す話になったんだ!!!アイツらはさっさと鎮守府から出ていけって俺らを追い出した!!!!!!あん時逃がしてやった駆逐艦どもも俺らを追い出したんだ!!!!!」
天龍「何でなんだよ!!!!!俺らが何したんだよ!!!!!!必死に戦って!!!必死に資材稼いで!!!!戦おうともしねぇ人類のために体張ってたんだ!!!!!!いつ死ぬかもわかんねぇのに!!!」
天龍「その上深海棲艦の血が流れてんだ!!!!そのせいで不安定でいつ心臓が止まるかもわかんねぇ!!!」
天龍は泣き叫んでいた。
恐怖からくるものもあるだろう。しかしぶつけようの無い怒りが大半だ。
その怒号を聞きながら龍田も涙を流す。
町田「………………。」
天龍「もっと…………!!遊びたかった……!!こんな見てくれだけどお洒落もしたかった!!!ショッピングとかも!!バンドとかも!!!!!遊園地も行きたかった!!!!!!!」
天龍「もっと………生きてぇ…!!し……死にたく…ねぇ………。」
天龍は目をつぶり血が滲むほど拳を握りしめる。
天龍「こんな天龍…。どんな鎮守府探しても俺くれぇだろうな………。………………そう言えば…。」
天龍「俺らのこと…最後まで庇ってくれた駆逐艦…1人居たな…………。」
天龍「俺らよりもそいつが先に追い出されたんだ……………。後遺症で偽装持てねぇのに…1人で拳法極めて…最後まで戦おうとしてた…。」
町田「ん!!!?それもしかして睦月型か!?」
天龍「そうだよ…。ていうか睦月だ。なんで知ってんだ………。」
町田「思ったより世界は小さいんやの……。それとも運命の巡り合わせか…。」
そういうと町田は親指で自分の後ろをさした。
天龍「あっ…………………。」
そこには買い物袋をぶら下げた睦月が居た。
隣には比叡も。
睦月「天龍さん……………………?龍田さんも………。」
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町田「紆余曲折あってな…。俺のオンボロ鎮守府で雇っとるんや。」
天龍「は……………ははっ……。そうか………生きてたんだな………。」
力なく笑う天龍。
天龍「俺と龍田はこんなに堕ちたのに…………お前は必死に頑張って…………居場所探したんだな………。いや、違う…。妹巻き込んじまってるだけで堕ちたのは……俺だけだ…。」
睦月「それは違うよ…。私も前の鎮守府に戻ろうとしてたんだよ。女々しいよね…。でも今は色々あって新しい場所に居る…。」
睦月「私だけの力じゃないんだよ…。みんなが声掛けてくれたから……。」
天龍「ううぅっ………うわぁぁぁ…。情けねぇ…………。」
大粒の涙を流す天龍。
すると町田の後ろから憲兵団がやってくる。
町田「あんたらは……。」
憲兵「通報があってな。お前らが時間を稼いでくれた事には感謝する。ここを通してもらうぞ。」
町田「どないするんですか…?まさか処刑…。」
憲兵「それはわからん。上の判断による。」
力ない天龍と龍田を憲兵団が捕まえ手錠を嵌める。
そのまま車に乗せられる2人の後ろに町田は叫ぶ。
町田「戻ってくるんや!!!!絶対に!!!!2人やったら絶対に出来るて!!!!!」
それを聞いた天龍と龍田は返事もなく無言であった。
しかし町田の耳には小さい声で微かに返事が聞こえたという。
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ある刑務所━━━━━━
憲兵「あの時はお前らは1人も殺さなかったからこれだけの刑期ですんだんだ。もう戻ってくるなよ。」
天龍「ケッ!!またすぐにでも戻ってきてやらぁクソ野郎ども!!!!行く宛てなんかねぇのによ…。」
龍田「それにしても……たった3ヶ月だけだなんて………。いくら人を殺してないとはいえ、あまりにも少ない気がするわ〜。」
天龍「………………死刑にするんだったらすればいいのによ………。どうせのたれ死ぬのを待ってんだろ。」
両手をポケットに入れた天龍は龍田と共に刑務所を後にしようとした瞬間であった。
なんと目の前には町田含む檻巌鎮守府一行がそこに居た。
天龍「うおおおおぉぉぉおおおお!!!!!なんだお前ら!!!!復讐しに来たんか!!!!!」
龍田「何しに………来たの…?」
町田「お前ら2人は本日より!!!!檻巌鎮守府所属艦娘とする!!!!!!!!!」
艦娘たち「異言は無し!!!!!!!!!!」
檻巌鎮守府所属艦娘
吹雪・電・睦月・雪風
天龍・龍田
金剛・比叡・榛名・霧島
龍驤
提督
町田慎太郎