町田一行は燕尾からハイエースを借りて現地へと向かっていた。
車に乗る前に町田はどこかに電話をかけていたが誰もそこまでは気にしなかった。
燕尾曰く、車は廃車になっても構わないとの事であった。
町田「にしても吹雪ちゃん運転上手いの〜。免許持ってるんか?」
吹雪「いや、持ってないっす。その辺に転がってた車使って勝手に練習してました。」
電「まぁ、誰も使ってないんじゃ別にどーだって良いのです。ていうかなんで司令官は運転しねぇのですか。」
頭の後ろに腕を組みながら面倒くさそうに言う電。
町田「俺ボート系の免許持ってるんやけど車の免許持ってないんよ。車怖いわ。」
電「頭おかしいのです。」
霧島「私は持ってるわよ〜。」
得意げに免許証を見せる霧島。大きい字でAT限定と書いてあった。
天龍「オートマじゃねぇか。」
霧島「坂道発進が出来なかったのよw」
車の中は爆笑に包まれる。
筑摩「あの……怖くないんですか…?頼んだ私が言うのもなんですが。」
吹雪「これだけは言いますけどね、筑摩さん。軍属で仕事してたら感覚壊れるんすよ。」
龍田「とくに殺しを生業としちゃったらね〜。」
笑顔で答える皆に少し恐怖を覚える筑摩だが味方なのだから頼もしい。
現地につけば自分も役に立たなければならない。汗を拭い改めて決意をする。
睦月「オイゴラアッ!!!指示機くらいつけろボケ殺すぞおぉっっ!!!!」
窓を開け叫び倒す睦月。
町田「やめぇや睦っちゃん。チンピラや思われるやろ。」
天龍「だいぶ性格変わったな…。」
暫くして一行は工場地帯から少し離れたところに車を停めた。
比叡「人っ子1人居ませんね…。」
筑摩「あの襲撃以来みんな遠くに逃げるか殺されましたからね…。」
雪風「どの工場を見てもなんの変哲もないです。どこもかしこも寂れてるだけです。」
口を開けながら双眼鏡を覗き込み工場地帯を眺める雪風。
電は雪風の開いた口にピーナッツを時折ほりこみ遊んでいた。ポリポリと食べる姿がおもしろいのだ。
町田「この鍵の名前…。確かあの工場の名前と一緒やな。」
1つの工場を指さす町田。
恐らくそこに人と艦娘が捕まっているのであろう。
町田「夕方の16時……。逢魔ヶ刻か…。龍驤ちゃん、艦載機飛ばしてもいけるかの?」
龍驤「OKや。夜はともかく昼は得意やで。」
バシュッ!と、音と同時に式神は飛び艦載機へと変身。工場の視察に向かった。
町田「そういえば聞いてなかったけども、艦載機に乗ってる妖精ちゃん。死んだりせぇへんのか?大丈夫なんやろか。」
龍驤「妖精は意思のあるエネルギーの塊やからな。言うてしまえば自然のエネルギーそのものみたいなもんやで。地球が無くならん限り永遠に死なん。」
町田「すげぇな……。」
大淀「すか……?聞こえてますか皆さん?」
皆の無線が大淀と繋がる。
金剛「Oh!!!淀デース!!聞こえてマース!」
大淀「良かった!!今艦載機の妖精さんにも繋がっています。現地には着きましたね?」
町田「あぁ、着いた。今から現地に行く前に辺りを調べて見らァ。」
大淀「お気をつけください。今のところ近くに生体反応はありませんが何があるか分かりません。」
榛名「良し………。気を引き締めて行きましょう!」
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天龍「人は無し………。瓦礫に崩壊してる建物…。そんなんばっかだな。」
睦月「あ……ぬいぐるみ…。」
落ちている可愛らしい兎のぬいぐるみはボロボロであった。
ただ捨てられたのか、もしくは…。
電に見んじゃねぇと促されすぐさま他を探る。
吹雪「どこも血だらけですね。何があったんか手に取ってわかりやがる。」
町田「大淀ちゃん。今んところ生存者ゼロや。」
大淀「わかりました。艦載機の妖精さんからはなにも入っておりません。どうするおつもりで?暗くならないうちに叩きますか?」
龍田「それは夜になったら深海棲艦が強くなるってこと?そう言いたいの?」
天龍「残念ながら今の深海棲艦どもは進化してやがるからな。朝も夜も関係ねぇ。」
大淀は難儀なものですねと伝えた後、何かあれば連絡しますとだけ言い終える。
町田「ん!帰ってきたぞ!!!」
こっちに艦載機が飛んでくる。
妖精さん曰く、工場地帯に特殊電波が飛んでおり特にこのオリエンタルミツノモ工場は強い電波シールドが張っているらしい。
なので工場の中は全くわからないのだとか。
龍驤「あんがとさん。まぁ、そんなもんやと思っとったけど。」
町田「正面突破はしたくない…。裏口しかないわな…。」
雪風「しれぇ。ここ。」
指さす方を見ると汚ねぇ排気口、ダクトがあった。
それは駆逐艦なら何とか通れそうなサイズである。
町田「ダクト………。みんな、いけるか?」
電「通りたくねぇけども、やるしかないのです。」
吹雪「では行ってきます。無線機は常々ONにしてて下さい。じゃ。」
町田「一旦はすぐに戻ってくるんや。深入りはしたらあかんぞ。」
電「言ってられっか、んな事。」
吹雪たちは町田に肩車をしてもらいなんとかダクトに入ることが出来た。
筑摩「あの…私たちは…。何をすれば。」
町田「草むらのとこにでも待機するか。嫌やけども、待つしかない。」
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ダクトを進む吹雪たち。
もう時刻は17時を過ぎていた。
吹雪「クソ狭ぇな…。まだ明るいとはいえそろそろ日が落ちるぜ。」
睦月「電屁こかないでよ。」
睦月の目の前には電の尻があった。
電「今すぐこいてやろうか。」
雪風「スっー…………。」
電「お前がこくんかいww」
吹雪「マジで静かにしろってw緊張感ゼロかよw」
吹雪たちはなんとかダクトを抜け、工場内に侵入できた。
吹雪「やっぱり大手工場だった事はあるな。…………だいぶ広い……。」
睦月「薄暗い…………。明かりをつけよう。」
雪風「ぁっ。」
睦月は持ってきた懐中電灯で辺りを照らしながら探索する。
しかしどれだけ探しても人の気配すらしないのだ。
吹雪「今は………18時前…。一旦戻るか…?」
電「40分そこらで全部見れるわけねぇのです。もっと奥かもしんねぇぞ。」
睦月「でも一旦戻ってこいって話にゃしい。戻ろう。」
一応リーダーは吹雪なので戻る選択肢を選んだ。
先程来たダクトの方に顔を向けると吹雪はある違和感に気づいた。吹雪は次第に眉間に皺を寄せ汗わ垂らした。
吹雪「おい…………………。雪風………。どこ行った…………!!!!」
睦月と電もすぐに後ろを見る。
雪風の姿は何処にもなかった。
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睦月「ど、どど、どうするにゃしい!雪風ちゃん探さないと!!」
電「慌てんな!!!嵌められたかもしれねぇ!!!!一旦戻るぞ!!!」
吹雪「先に戻ったなんて事はねえよな…。取り敢えずダクトまで行こう。」
3人は周りに警戒しつつダクトまで戻る。
つもりであった………。
睦月「…………………あれ?」
電「……………………完全にやられたな。」
吹雪「ダクトが……………無い。」
睦月「真っ直ぐこっちに来たよね!?なんで無いの!!!?」
電「嵌められたんだ電らは。変形したのかなんなのか。それにこれよ。」
電は腕に着けた無線機を吹雪と睦月に見せる。
無線機の画面は乱れ、使い物にならない。
電「電波ジャック。アイツらの手の内なのです。」
吹雪「戻れねぇわ通信出来ねぇわ……。進むしかねぇのか…。」
睦月「………………!!!!!!」
それぞれの顔が強ばる。ここは敵のアジトど真ん中。この状況は蛇に睨まれた蛙よりも最悪であった。