艦これevolution   作:銀ノ森 睾

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第32話「大海原、いざ行かん」

観衆が湧き上がり、海賊たちを盛り上げる。

しかし暗い顔やしけた顔をしているもの達も存在する。

それもそうである。電子ボードに名前が載らなかった者たちだ。どうせ船に乗ることが出来ないのであれば、海賊船が来てもどうでもいい事になってしまう。

だがどうやら今回は違うようだ。

おもむろに木曽が腕を上げ、その場を静止する。

すると指で大体の人数を数え始めた。

 

木曽「うん…ざっと200人ぐらいか…。お前らぁぁぁっっっ!!!安心しろおおぉぉぉ!!今回は特別、全員連れてってやらぁぁぁぁぁっっっ!!!」

 

それを聞いた民衆は少しの静寂の後更に叫び声を上げたりし気を高揚させた。

 

民衆「マジかよ!!!俺も乗れるんだぁぁ!!」

 

チンピラ「これで財宝が手に入るぜええぇぇぇ!!」

 

海賊「よっしゃぁぁぁぁっっ!!!」

 

利根「なんじゃなんじゃ…?全員乗せる気か?」

 

筑摩「そうらしいですね…。だから本場の海賊船の後ろに何隻か船があるんですね。」

 

町田「にしても…なんでそんな事するんやろうな…。」

 

金剛「何か企んでるはずデース。」

 

その場に居た有象無象どもはここぞとばかりに押し合い船に乗り始める。

数人は普通に漁がしたいだけの者たちなので船釣り用の船に乗る。

残るは町田一行残すのみであった。

 

木曽「あんたらは後ろの船に乗らんでいいぞ。我が海賊船、バッドトルピードに特別ご招待だ。」

 

ニヤリと笑うその笑みには含みが感じられる。

しかし目的の場所までに行く手立てがそれしかない故、従うしかほかない。

 

町田「お、えらい太っ腹やな。」

 

龍驤「ほなお言葉に甘えて乗せてもらうで。」

 

順番にバッドトルピードに乗る町田一行。

それに妹たちとの顔合わせもあるであろう。

しばらくしてそれぞれの船は禍深島目指し、出港し始めた。

カジノのスタッフたちに綺麗な敬礼をする木曽たちは最語尾を渡る。

 

カジノ足柄「行っちゃったわねキャプテン…。」

 

カジノ羽黒「まぁ副キャプテンですけどね…。にしても、あんな人数…どうするんでしょうか…。」

 

那智「決まってる。」

 

カジノ妙高「エサ、ですね…。犠牲以外の何物でもない。」

 

4人は目を細め、これから起こるであろう事を考えながら全ての船を見送った。

 

[newpage]

 

雪風「私!雪風です!!わかりますか!?」

 

浜風「………………。」

 

目を輝かせながら妹の浜風に話しかける雪風。

 

浜風「…………どうやら本当の姉、らしいですね。」

 

雪風「はい!わかります!同じタマキンから別れた姉妹です!!!」

 

睦月「タマキンてwww魂だよw」

 

浜風「……………気楽なもんですね。あなたは。」

 

雪風「ふぇっ…。」

 

浜風「ロクに苦労もせずにのうのうと生きて、鎮守府に所属できた口でしょう?くだらない…。」

 

雪風「………………。」

 

電「んだとごらおめェ。」

 

浜風の胸ぐらを掴む電。

しかし浜風の表情は冷えきっており、一切動揺しない。

 

浜風「手を離しなさい。まな板女。」

 

電「あ?」

 

浜風は電の顔を見ずに胸を見ながら罵る。

電はコメカミに血管が浮かぶ。

 

電「てめぇの乳がおかしいだけなのです。この歳だったらこれが普通だろボケ。」

 

浜風「もう一度言いますよ。これで最後です。手を離せ。」

 

電「やってみろや乳腫れ病。」

一触即発である。

 

雪風「電、大丈夫です。浜風、私は最初の鎮守府に捨てられたんです。」

 

雪風「下水道に捨てられて…、ゴミを漁って生きてました…。思い出したくもないです。」

 

雪風「でも今は違います!仲間が居ます!!みんな大切な家族なのです!!!」

 

浜風「家族?政府の言いなりの犬以下の組織が?」

 

電「お前…………。」

 

吹雪「じゃあ、あんたはどうなるんだ?この船の幹部なんじゃねぇのか?」

 

吹雪「じゃあ家族みたいなもんだろうよ。違うか?」

 

浜風「………………。」

 

浜風は電の手を払い除けると船の階段を降りて行った。

 

電「………ド腐れが。」チッ

 

雪風「……………。」

 

木曽「すまない、許してやってくれ。あいつは心にデカい傷をおっててな。」

 

電「傷ついてたら他者攻撃してもいいのかよ。」

 

木曽「……………すまない。」

 

電はしょんぼりとした雪風の肩に手を置き離れた所まで場所を移した。

 

北上「ホント面白い鎮守府に所属出来たもんだわ。あんたとこんな所で会えるとはね。」

 

木曽「………姉さん…。」

 

北上「なんでなのかな。わかるわ。あんた本当の妹だって。で、なんで海賊やってんの?私みたいに契約取れなかったの?」

 

木曽「…………俺は…逃げてきたんだ…。あのクソみたいな鎮守府から…。アイツらと一緒に…。」

 

木曽が目を向けた先には三人衆が居た。

 

北上「………………そっか。大変だったんだね。」

 

木曽「最後まで聞かなくていいのか?」

 

北上「みなまで言わなくても良いよ。でも部下の躾はちゃんとしとかなきゃね。」

 

真剣な眼差しで木曽を見る北上。

先程の雪風と浜風の会話を聞いていたのだ。

 

木曽「あぁ…そうだな。」

 

天龍「ところで何であのバカども全員乗せたんだ?聞いた話によっちゃあ普段は点数高いやつだけしか乗せねぇんだろ?」

 

木曽「お前天龍か。面白いな…。今日は艦娘とよく会う日だ。」

 

木曽「エサみたいなもんだ。人間どもなんざどうでもいいからな。」

 

爽やかな顔をしながら語る木曽。

人間に対して一切の感情が無いことが伺える。

 

天龍「……………やけに人間の事嫌ってんな。」

 

木曽「俺も浜風たちも人間どもにおもちゃみてぇに扱われてよ。辱めを受けてな。」

木曽「今回の狙いは禍深島の最深部にあると言われてる財宝。そこまで行くのには色んなトラップを潜り抜かなきゃならん。」

 

木曽「それに深海棲艦どもも居るって聞くしな…。それの犠牲になってもらうつもりだ。」

 

木曽「それにお前も人間嫌いだろう?噂で聞いたぜ。龍田と一緒に暴れてるってよ。」

 

天龍「………お前と会話してたらなんか昔の俺を見てる気分になるぜ。」

 

木曽「?」

 

天龍の後ろの階段から町田が上がってきた。

片手で尻を抑えている。

 

町田「痛いわ〜…。めちゃくちゃデカいうんこやったら切れてしもた…。」

 

龍田「提督〜………下品よ〜。」困り顔

 

天龍「どこ行ったんだと思ったらクソしてたのかよ。」

 

木曽「……………ほぉ…。」

 

町田が改めて木曽に挨拶をしようとするものの手を前にだされ制する。

 

木曽「挨拶なんざいらねぇ。お前ら人間どもと馴れ合う気はない。」

 

木曽「とくに提督とはな。」ギロリ

 

力強く町田を睨みつける木曽。

その目には憎しみの炎がチラつく。

木曽はその場を後にし階段を降りていった。

 

町田「……………夕立ちゃんあんなとこおるがな。」

夕立はマストの先に器用に座っていた。

高さは18m程もあるが涼しい顔をしている。

町田が手を振ると夕立も振り返す。

 

天龍「…………難儀なもんだな。」

 

龍田「乗組員には人間も居るのにねぇ〜。」

 

[newpage]

 

雪風「……………。」

 

船の中通路のソファー。

雪風は顔を少し俯かせ寂しそうな顔をしていた。

それもそのはず、実の妹に拒絶されたのだ。

姉妹の事実はどうであれ今までの過ごし方が違うのだ。一緒にいた訳では無いからお互いの過去の事は全くわからない。

分かりきっている上で話しかけたと言え、やはり雪風はショックを受けていた。

 

電「大丈夫なのです?」

 

細い目で右眉を上にし、いつもの如くぶっきらぼうに聞く電。

表情と話し方は粗暴ではあるがなんやかんやで雪風の事を心配しているのだ。

 

雪風「あはは………大丈夫です。」

 

力無く笑うもすぐに俯く雪風。

 

電「……………。」

 

ストンッ、と横に座り足を組む。

 

電「………電にはお姉ちゃんが居たのです。」

 

雪風「………?」

 

電「電は暁型四番艦なのです。まぁ末っ子だな。」

 

雪風「ってことはお姉ちゃんは3人って事?」

 

電「あぁ。長女の暁にゃ会ったことは無ぇ。響は前のクソ鎮守府で1、2回顔合わせした事あるくらいなのです。」カシュッ

 

タバコに火をつける電。

ここは禁煙なのだがそんな事は知ったことでは無い。

 

電「んで雷は…………。」

 

雪風「雷ちゃんは……?」

 

電「沈んだのです。電を庇って。」

 

雪風「え…………。」

 

電「そんときにこっちも壊されてかたわになっちまったのです。」

 

電「何も出来んかった………。逃げることしか…。あん時の映像が鮮明に蘇る時があるのです。なんも出来なかった情けねぇ自分の後ろ姿が。」

 

雪風「………そうなんだ…。…ごめんね、そんな話させて…。」

 

電「なんでお前が謝んのです。電が勝手に話し始めたのです。」

 

電「だからよ…、まだしっかりと妹は生きてんだ。まだやり直せるかもしんねぇだろ。電と違って取り返しは着くのです。」

 

雪風「うん…。ありがとう電。」

 

先程より元気を取り戻した笑顔を見せる雪風。

 

電「言っとくけど気なんて使ってないのです。家族なんだからよ。」シュボッ

 

タバコをポケット灰皿で消し徐に立ち上がり電は階段を上がって行った。

 

[newpage]

 

甲板

 

町田「ん!島見えてきたぞ!!!」

 

海賊「お前らァァァァーーー!!!見えてきたぞォォォォォ!!!」

 

一気に周りが盛り上がる。

ついに目当ての島、「禍深島」が見えてきたのだ。

各々で興奮昂りを露わにし、準備に取り掛かる。

町田一行も少しワクワクはしていたが目的は財宝ではなく井森に頼まれた例のブツ。

十中八九戦闘にはなるはずである。

吹雪たちもストレッチを始めていた。

やはりというか、禍深島は異様な雰囲気を醸し出している。

ハッキリ言って気持ち悪い。邪悪さを感じるのである。

常人なら普通は立ち寄らないような絶海の島。

これから一行はどんな惨劇を目の当たりにするのか………。

町田は島をじっと見つめていると何かがこっちに向かってくることに気がついた。

薄目で確認するも何かわからない。

しかし確実にかなりのスピードでこっちに飛んできている。

数秒経ったあと町田はそれに気づきとっさにそれを殴り飛ばした!!!!!

 

町田「んんぬぅあっ!!!!!今の……!!!砲弾やぞ!!!!!」

 

すると向こうから砲弾が一つだけに収まらずとてつもない数でこっちに向かって飛んできたのだ!!!

 

木曽「…………来たか。」

 

ヒューーーーー……………どどどどどどどどどど!!!!!!!!ドドドドドドドドドド!!!!!

 

海賊「来たぞォォォォォっっっ!!!!!向かい撃てえぇぇぇっっっーー!!!」

 

チンピラ「うおぉぉぉぉぉ!!!こんなの聞いてねぇぞおぉぉぉっっ!!!」

 

チンピラ「ふざけんなぁぁぁ!!!死にたくねぇえぇぇっっっ!!!」

 

町田「お前らぁぁぁぁっっ!!!!構えろぉぉぉぉっっ!!!」

 

吹雪「やっぱりそう簡単にゃ訪問出来ねぇか!!!!!」

 

島までおよそ5km。

最初の関門を突破できるのか………。

 

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