先程のバッドトルピード号から放たれた一撃(木曽曰く覇道砲)により巨大二級とその周りの深海棲艦は跡形もなく吹き飛んだ。
チンピラや海賊たちがそろぞろと船からロープを下げたり船のハッチを開き降りていった。
その後に町田一行も続く。
町田「木曽さんよぉ。勝手にアイツら進んでるけどええんか?」
吹雪「地図とか持ってんすか?アイツら。」
木曽「いや、正式な地図を持ってるのは俺らだけだ。大雑把に書いた地図ならアイツらも持ってるだろうが…。」
電「ふ〜ん…。じゃあほとんど地図なんか宛にせずにズカズカ進んでるだけか。地図があるって事は何回か来たことあるってこったよな?」
木曽「あぁ。何度か来た上でのこの話だ。深海どもに殺された仲間のためにも必ず財宝は俺たちのものにする。」
電「仲間?さんざん嫌ってる人間か?」
木曽「死んでいった艦娘のことだ。前はもっと艦娘が船に乗ってた。人間のことなんざどうでもいい。」
睦月「ホントにゃしい?」
睦月や電が目を細め木曽の顔を覗き込む。
クールな顔をしたままではあるが、どこかしら思いを匂わせる。
木曽「お前ら艦娘だから聴き逃してやってるがそろそろいい加減にしろよ。さっきからわざと挑発するような言い方で俺に話しかけてるだろ。」
金剛「怖いデース。」
目を瞑りながら全然怖がっていない様子の金剛。
木曽「これ以上は言わん。さっさと歩け。」
電「ケッ、いけすかねぇ野郎だ。」
睦月「なんか無理くりキャラ作ってるみたいにゃしい。」
一行は禍深島の洞窟手前まで足を運び、歩みを止めた。
そこは1番大きな洞窟の入口であり、およそ縦200メートル、横500メートルあたりはあるだろう。
町田「ごっつい洞窟やのぉ〜…。ていうかこんな島あったっけ?聞いた事無いんやが。」
ジジジ…ジジ…
少しかすれた通話音から大淀の声が聞こえる。
大淀「こちら大淀、こちら大淀。現在入江のバッドトルピード号から通信。どうぞ。」
町田「どうもどうも。」
天龍「いや聞こえてる、どうぞとか言うところだろそこは…。」
大淀「良かったです。先程の提督のお話ですが、この島は確かに今まで存在していませんでした。」
町田「………急に現れたりでもしたんか?」
大淀「えぇ、その通り。しかも最初は色んな鎮守府や基地が調査をしたのですが…。」
町田「消息不明と。」
それに最近では深海棲艦の目撃情報があるので敵アジトのひとつが有力な説なのであるが、いかんせん今はほとんど手付かずの状態であるとの事。
それもそのはず、海ばかりか3割の地上が深海棲艦に占領されている状況なのだ。
この島にばかり構っていられる余裕などどこにも無い。
そんな話を聞き思わず唾を飲み込む雪風たち。
利根「どうするのじゃ?中に入らんのか?木曽よ。」
最上「他の人達はとっくに入ってっちゃったよ?」
木曽「いや…、入るには入るが…。ここだけが入口では無くてな。両サイドにも小さいが入口がある。」
指を指す方向を向けるとえらく離れた場所にあることが分かる。
吹雪「じゃあなんでここに案内したんすか。」
加賀「その言い方だと宝の場所の入口はここじゃないように聞こえるけれど。」
木曽「俺が調べたのではあるが……。サイドからが本当の入口だ。でもな、ここから入らないとある仕掛けが解除されないんだ。」
龍田「仕掛け?」
木曽「まぁ、簡単に言えば人がゴミのように死んで行けるような残酷なトラップだな。」
町田「で、この1番でっかい入口に誰か行って欲しいっちゅうことか。」
木曽「そうだ。誰か決めてくれ。こっちからは浜風を行かせる。」
浜風「了解。」
電「お、お前居たのかよ。なんも喋らねぇし存在感無いからしっぽ巻いて逃げたのかと思ったのです。」
浜風「存在感が無いのはそのまな板だろ。」
目を細めながら冷たい顔で言い放つ浜風。
暴れ狂う電を必死に宥める町田たち。
町田「う〜ん………誰に行かせるか…。」
雪風「雪風が行きます!!!!」
元気よく挙手したのは雪風。
電は眉を寄せながら怪訝な顔をし雪風を見つめる。
町田「!!!行ってくれるか!」
木曽「よし、決まったな。じゃあそれで頼むぞ。」
北上「え?2人だけでいいの?私も行くよ。」
木曽「姉さんは俺と来てくれ。確かにまだ欲しいな…。誰か後2人ほど…。」
榛名「では榛名と。」
比叡「私が行きましょう!」
木曽「……決まりだな。」
一行が4人にエールを送る。
ホントかどうかはわからないが、トラップを切る仕掛けがあるというなれば重要任務。
讃歌をおくるのであった。
笑顔で妹を見る雪風であるが、相も変わらず冷たい顔をしている浜風であった。
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謎の空間。
とても綺麗で埃などひとつもないのにどこか吐き気を催す気持ち悪さが漂う。
正気の人間であればものの数分で気が触れる。
近未来的な黒い物質で出来たオブジェクトや壁、床などは無機質で冷たい空間を作り出す死のシェフのようだ。
「あいつら…どうやらあの島に入った見たい、だな…。」
「あいつらって……誰よ防空棲姫?元カレ?」
顎の下に手の甲を重ねおちょくる深海棲艦。
「つまらんぞ飛行場姫。」
飛行場姫「つれないなぁ〜。で、誰よ?」
防空棲姫「例の鎮守府の奴らだ。禍深島に入ったらしい。」
飛行場姫「え?あそこってまだなんか活動してたっけ?捨てアジトじゃなかった?」
戦艦水鬼「最初はその予定だった。だが最後に攻めてきた鎮守府…、唐草だったか。あいつらが装備していた艤装が理由で今はほんの少しだが稼働はしている。」
戦艦水鬼「その艤装も全てこっちのアジトに運び終えたわけじゃないしな。しかしながら、そろそろあの島を放棄する予定ではあるな。」
戦艦水鬼「それに…あの蛆虫海賊団も一緒らしいな。」
飛行場姫「木曽とか言うやつが船長のだよね?しつこいし殺せるチャンスじゃん!やったね〜!!で、その艤装って何よ?」
重巡棲姫「まだ解析出来てない。かなり複雑な作りらしい。」
飛行場姫「何に使うかもわかんないの?ただのブラフだったらどうすんのさ?時間の無駄だよ?」
重巡棲姫「それはない。はっきり言える。その艤装からは特殊なエネルギーが出ている。」
飛行場姫「ドクターでもわかんないの?」
重巡棲姫「かなり難儀しているな。それに少しでも深海棲艦のエネルギーに触れるとすぐに壊れやがる。」
防空棲姫「壊れる?そんな程度で壊れるんなら別に調べなくともいいだろ。」
重巡棲姫「数人のドクターが躍起になっていてな。どうにも解析したいらしいな。」
飛行場姫「ちなみにどんな形してんの?機銃?それとも探知機?」
重巡棲姫「あまり詳しくは言うなとの事だが……。お前らにだったら良いだろう。」
重巡棲姫「【指輪】だ。」
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飛行場姫「………指輪?あのケッコンの?んなもんとっくの昔に解析済みじゃん。何ソレバッカみたい。」
防空棲姫「バカはお前だミーハー。そんな指輪じゃないから調べているんだろうが。」
飛行場姫「なんかさ〜、最近口調キツくない防空棲姫?NO.5になれたから調子乗ってる?なめてんの?」
防空棲姫「そんなつもりは無いが………お前もNO.8止まりで満足しているようじゃいつか立場を奪われるだろうな。」
飛行場姫「…………。」
少しだけ飛行場姫の体からドス黒いオーラが発せられる。一触即発の空気であろうか。
しかし、そんなことは無くすぐにオーラは引っ込んだ。
飛行場姫「ま、いいや。番号なんざ興味ないし。で、その指輪は普通の指輪じゃないって事ね〜。」
ボスンッ、と頭の後ろで手を組んでソファーにもたれ掛かる。
重巡棲姫「仲間割れは辞めろよ。禁忌とまではいかんが戦力が落ちる事は許されん。」
戦艦水鬼「前まではよく殺しあってたがな。ところで今は誰があの島に居るんだ?」
飛行場姫「あ、それに気になる。」
重巡棲姫「運河棲姫だ。」
飛行場姫「な〜んだ、型落ち(No.落ち)のあの子かぁ。んじゃ、またメンバー入りしたいから必死に頑張ってんだ。」
腹をかかえギャハハと笑う飛行場姫。
はっきり言って品がなく、その運河棲姫の事を仲間ともすら思ってないのだろう。
戦艦水鬼「………なるほど。今回の件で再メンバー入り出来るならば躍起にはなるな。報告を待つとするか。」
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町田一行はそれぞれ班に別れ島を探索する事に。
大淀と筑摩はバッドトルピード号で無線班を務めることに。
龍驤、加賀、赤城は洞窟の入口付近で警戒態勢。
ど真ん中のデカイ入口は大勢の海賊と雪風、浜風、榛名、比叡。
右サイドは木曽、潮、北上、加古、天龍、龍田、睦月、金剛、霧島。
左サイドはそれ以外メンバーが務めることに。
それぞれ無線を持ち、必ず生きて例の艤装を回収し、この島を出る約束を契った。