目の前には3人の揚陸艦。
リーダーと思わしきあきつ丸は目を細め気味の悪いニヤァとした笑みを浮かべる。
その後ろの2人は無表情である。
あきつ丸「どうもこんにちはでありま〜す!!!我々は争いに来たのではなくお話に来たのでありま〜す!!!」
天龍「話し合いだぁ…?」
あきつ丸「その通り。まずひとーつ「ざっけんじゃねぇぇぇっっっ!!!!」」
初雪「何が話し合いだボケがァァッッッ!!!じゃあなんで子日がんな姿になってんだぁぁぁッッッッ!!!!!!」
あきつ丸「血気盛んな艦娘でありますな〜…。吹雪型は大人しいはずでありますが…。」
あきつ丸「こいつぁ話し合いに来たって伝えても殴りかかって来やがったのであります。お前らからは邪気しか感じない〜とか抜かして。だ・か・ら。」
あきつ丸「分解(ばら)したのであります。」ニヤァ
初雪「せや………。」
あきつ丸「?」
初雪「その薄汚ぇ手話せっつってんだよタラズがッッッッッッ!!!!!」ダッ!!!!
吹雪「待て初雪ッッッ!!!!」
怒りのままに地面を蹴りまっすぐあきつ丸に向かう初雪。
子日と最初に手合わせしたのは初雪である。
だから子日の強さは知っている。
にも関わらず子日は目の前の揚陸艦に負けたのだ。
それが初雪にはどうしても理解出来ない上に到底許せなかった。
何か汚い手段を取ったはず。その考えが拭えなかった。
あきつ丸「おぉ〜怖!!!そんなに返して欲しけりゃ…………ど〜うぞ!!!」
初雪「!!!」
あきつ丸が子日をぶん投げる。
それを上手いことキャッチする初雪。
しかし投げた威力からか後ずさりの痕が深い。
強い眼光で睨む初雪。
あきつ丸は相変わらずヘラヘラしていた。
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神州丸「お前の悪い癖だぞ。遊んでる場合じゃないだろう。」
熊野丸「時間が無駄だ。さっさとするぞ。」
あきつ丸「はぁぁぁ〜………、お前らは相変わらず真面目ちゃんであります…。」
利根「なんじゃあいつら…。揚陸艦てあんな性格悪いのか!?」
吹雪「いや、アイツらはただの揚陸艦じゃないっす。コマンド・アーミーズっす。」
町田「なんなさっきからそのコマンド・アーミーズって!!!」
天龍「聞いたことあんぞ…。揚陸艦の中でもよりすぐりの揚陸艦が選ばれて…。」
神通「その上で改造するんだってな。マジでやってたのかよ…。けったくそ悪ぃ……。」
町田「改造…?ここのラボみたいにか?」
吹雪「いや、内容こそ分かんないっすけど違法改造…。魔改造っす。」
電「艦娘だけじゃなしに人間も改造してるって噂なのです。人造人間ってとこなのです。」
川内「もちろんみんながみんなあんな揚陸艦じゃないよ。普通のあきつ丸は真面目で優しい子ばっかりだよ。」
町田「って事は改造されてあんな風になってもうたんか…。ある意味被害者なんか…。」
睦月「違うと思う……。あいつ多分最初からあんな性格だと思うにゃしい…。」
あきつ丸「勝手に考察ご苦労さまであります。時間もある事だし、本題に入るであります。」
あきつ丸「1つ目、井森博士の最新研究のブツを大人しく渡して欲しい事。2つ目は……。」
町田の方を向くあきつ丸。
邪魔な存在を見る目そのものであった。
あきつ丸「本来海が管轄のお前らが陸で出しゃばらないので欲しいのでありますよ。腐れ鎮守府は大人しく鎮守府の端の霞でも食って細々としてろ。」
町田「あぁ?何言うとんねん。お前らが動かんから俺らが動いとんのやろが。」
あきつ丸「困るのでありますよ。手柄が持ってかれるのは。それに民衆からの支持も減ることですし。こっちにとってメリットが何一つない。でもまぁ…。」
あきつ丸「お前らが手柄を全部こっちに回すってんなら話は別でありますけど。」
吹雪「のぼせ上がんなや白塗り。文句あるならテメェらがさっさと動きゃいい話だろうが。」
あきつ丸「はぁ〜…、聞いていた通り、カタワだらけのどうしようも無いクソ鎮守府なのであります。どうせ今まで生きてきたのも運が良かっただけの事。」
あきつ丸「なんなら圧力かけて潰すことも出来るのでありますがぁ?」
天龍「やってみろや…。」
懐から刀を抜こうとする天龍。
全員があきつ丸に対して激しい憎悪と敵意を向ける。
当然だ。何も悪いことなどしていない。
それどころかイクノックにせよ、禍深島にせよ人を助けるどころか深海棲艦を殲滅し戦果を挙げているのだ。
にも関わらずこの言われよう。
陸自も陸自で仕事をしているのであろうが、目の前の揚陸艦にそんな事を言われる筋合いなど微塵もない。
もちろん全ての陸自が悪い訳では無い。
一部のヤツらの権力と悪目立ちのせいで被害を被っているはずだ。
初雪「待ってくれや先輩がた…。」
子日を井森に預け高くジャンプしあきつ丸の前に立つ初雪。
井森は急いで子日をラボに運ぶ。
初雪「ダチやられてその上世話になってる仲間と鎮守府を侮辱………。はらわた煮えくり返ってんのは私もなんよ…。」
初雪「喧嘩売ってきたのはお前らのほうだぜ…!!」
構えを取る初雪。
あきつ丸はヘラヘラしていた顔を変え、軍刀を引き抜く。
あきつ丸「今日は2隻の艦娘を切れるのでありますか…。いい日であります。」
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神通「おい良いのかよ!?胸糞悪ぃ奴とはいえ同じ自衛隊所属の艦娘だぜ!?!深海棲艦とドンパチすんのと訳が違ぇ!!!」
最上「確かに僕もそこ心配だな…。でも。」
電「いいんじゃねぇーのです?喧嘩売ってきたのは向こうだしよ。」タバコプハァー
吹雪「初雪。ムカつくけど強ぇぞそいつ。気つけろよ。」
初雪「わっーてる。ただコイツの顔面に一発でも入れねぇと私の気が収まらねぇ……!!!」
初雪「それに……あんときゃ何も役に立てなかったから名誉挽回したいってのもなぁっっっ!!!!」
地面を蹴りあきつ丸に飛び蹴りを放つ。
あきつ丸は軍刀を引き抜き初雪と対峙する。
残りの揚陸艦は後ろに下がりつつ呆れた顔で2人を見ていた。
あきつ丸「キェエエエェッッッ!!!!!」
刀が初雪の足を狙う。
切断するつもりなのだろう。
それを瞬時に見極め伸ばしていた足を引っ込み、刀は空を切る。
初雪は両腕で刀を支えるように跳び、かかと落としを放つ。
だが簡単に避けられ目の前にはあきつ丸の膝が迫っていた。
初雪「ガッッッ!!!」
なんとか両腕で防ぐも仰け反る初雪。
負けじと間髪入れずにお得意の寸勁であきつ丸の鳩尾を狙う。
あきつ丸はそれを読んでいたのか刀を初雪の腕に振るう。
初雪「来たッッッ!!!」
あきつ丸「!」
初雪が放った寸勁は瞬時に引っ込みジャブの要領で軍刀の横を叩く。
もう片方の手も合わせ、真剣白刃取りの形に持っていき…
改に超化。
初雪「ハイイイイッッッッーーー!!!!!」
バキイイイィィィィンンンッッッ!!!!
初雪は軍刀を見事にへし折る。
続けざまに寸勁をあきつ丸の鳩尾にまともに命中させた。
初雪(決まった!!!!!)
少し仰け反るあきつ丸。
初雪「正面から勝負出来ねぇんじゃ横から叩きゃいい!!!エネルギー的に横からは弱えだろ!!!」
初雪の脳裏にはツ級eliteが映っていた。
あの拳と拳の正面衝突で学んだのだ。
あきつ丸「…………はぁ〜……。」
あきつ丸「こんなナマクラじゃダメかぁ〜。おい、アレよこせ。」クイクイっ
熊野丸「あんまり遊ぶなよ。」ブオンッ
神州丸「どうしてこうも血気盛んな奴らばっかりなのか…。」
初雪「………?」
あきつ丸はへし折れた軍刀を捨て、熊野丸から風呂敷に包まれた刀を手に取る。
その風呂敷は直ぐに解かれ、軍刀は姿を現した。
初雪「な……………なんだそれ………。」
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鞘は模様がひとつも無い真っ黒な見た目であり、刃と比べて大きめであること以外とくにおかしな点は見られない。
しかし問題は刃にあった。
町田「なんなあれ…………。」
町田一行は深海棲艦のそれではない物を見て言葉を失う。
常人ならばそれを一目でもみたらえずき吐き気を催すであろう。
その刃は血管が浮かんでおり、目や鼻が点々と着いていた。
肉塊らしきものが脈打つ心臓のように拍動を刻む。
そして人間の口らしきものが涎を垂らしながらパクパクと動いていた。
それを見て戦意喪失しかり、ドン引きどころではない初雪。
あきつ丸「美しいで姿でありましょう?深海棲艦の細胞と道半ばで倒れていった陸自の細胞のハイブリッドであります。」
初雪「なんだと思ってんだ……。」
あきつ丸「あ?」
初雪「命をなんだと思ってんだッッッ!!!!!戦死した仏さんに対する侮辱だろうがッッッ!!!」
初雪「殉職したなら安らかに眠れるように労ってやるもんだろうがよ!!!!!深海棲艦だってそんな気味わりい使い方するもんじゃねぇだろッッッ!!!!」
あきつ丸「う〜ん?意味のわからないことを言うでありますなぁ。死んだ敵の細胞や兵器をこちらが使うのは普通。死んで行った仲間もこうした形で死してなお深海棲艦に報復できる。ごくごく普通であります。」
不思議そうな顔をしつつジリジリと初雪に近づくあきつ丸。
初雪はその刀が気味悪いだけではなく異様な気を放っているので迂闊に近づかないでいた。
しかし、確実に距離は縮まっていく。
あきつ丸「艦娘の活け造りでありま〜す!!!!」
大きく刀を振りかざすあきつ丸。
その時その刀の口の部分が甲高く叫び声をあげた。
初雪「!!!!!!」
なんとか躱すも自慢のストレートヘアの一部が捌かれる。
あきつ丸はそれを見て楽しんでいるのか連続で斬り掛かる。
あきつ丸「げへへへっへへへ〜ッッッッッッ!!!!!!!」
初雪(上手くいくかわからねぇがあの瞬間にかけるしかねぇ………!!!!)
やられっぱなしでは話にならない。
初雪はなんとか反撃をしかけるも全て流される。
あきつ丸「真っ向切り。」
縦一文字に切り裂くつもりであろう。
刀を大きく振りかざし、天を仰ぐ。
初雪「!!!!!!!!」
バッッッッッッッ!!!!!
当たるほんの数mmの領域。
体を捻りながら横方面に跳び、事なきを得る。
しかし次の瞬間刀は初雪の目の前に横向きで襲いかかる。
初雪「なっ…………………。」
あきつ丸「右一文字斬り。」
ズバァッッッッッッッッッ!!!!!!!
横一文字斬りが炸裂。
思いっきり振り切った勢いで刀を持った腕はあきつ丸の背中側まで伸びる。
あきつ丸「上手いこと地面にはめさせるつもりだったのでありましょうが……。それくらい読めて………。」
初雪が居ない。
厳密に言えば初雪の長い髪の毛が綺麗に捌かれていた。
初雪は先ほど上手いこと腕と足を使い、刀に乗ったのだ。
駆逐艦1人刀に乗っても耐えられる腕力。
その腕力から飛んでくる凄まじい斬撃を躱し、今反撃の一撃を。
あきつ丸「!!!」
初雪「喰らいやがれぇぇぇえぇぇッッッッッッッッッ!!!!!!!」
初雪の回し蹴りが放たれた!!!!!