初雪の左回し蹴りがあきつ丸の顔面を狙う。
しかし、後数mmというスレスレの差であきつ丸はイナバウアーみたく、体を曲げて回避。
初雪は蹴りの勢いのまま一瞬、背中をあきつ丸に向けてしまった。
その時間わずか0.1秒。
しかし、その時間は殺し合いの中ではあまりにも………
不用すぎた。
初雪(クソッッッ!!!躱された!!!でも右足で刀は踏んでんだ!!!)
初雪(でも次の瞬間にゃあ起き上がってくんだろ!!
この勢いで裏拳を………!!!)
ビュンッッッ!!!
っと風を切る音を発しながら裏拳を放つもあきつ丸が居ない。
初雪「はえっ!!!?」
予想が外れてしまった。
すると
ドガッッッッッ!!!!!
と骨が砕ける音が響く。
初雪「ンガッッ………………。」
あきつ丸「馬鹿が。」
初雪の後ろにはあきつ丸が。
頭頂部を鞘で思いっきり殴られたのだ。
頭をかち割られ鮮血が流れ出す。
初雪はあきつ丸と対峙しするも、フラフラと体を揺らし白目を向きその場で倒れてしまった。
町田「初雪いいぃぃぃッッッ!!!!!」
利根「鞘で殴りよった!!!!!」
雪風「あの鞘…!!よく見たら真っ黒じゃなくて波模様があります…!!!」
山崎「波模様…?もしかして…サジタリウム……!?!!」
最上「知ってるんですか研究員さん!?」
山崎「サジタリウム…。艦娘の方々が魂として大本営に降りてくるのは先生から聞かれてますよね?」
山崎「その時に魂と一緒に降りてくる物質です…。現時点ではその物質のみ、深海棲艦に通用すると言われています…。」
山崎「それをどうにか加工しようとする研究機関があるとは聞いていました…。まさかあの硬さを誇るサジタリウムを使って鞘を作っていたとは…。」
町田「何しようとしてんねんアイツ!!!!」
あきつ丸が倒れている初雪を足蹴にし、刀を構える。
勝負は着いたというのにこれ以上何をしようと言うのか。
あきつ丸「さ〜て…、食事の時間でありますよ〜。」
あきつ丸「グッバイ♪」
ザンッッッッッッッッ!!!!!!!!
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あきつ丸「…………………。」
刀を振り下ろしたあきつ丸であったが、そこに初雪は居ない。
吹雪と町田が抱き抱えその場から少し離れた位置に回避したのだ。
ちなみにあきつ丸は右斜めから天龍に刀を喉に当てられており、真後ろには神通が居合切りの構えを取っていた。
もちろん2人はそれぞれ熊野丸と神州丸に後ろを取られているのではあるが。
あきつ丸「う〜ん?何故横槍を刺すのでありますかぁ?決着を付けなければ。」
吹雪「もう着いてんだろ。」
あきつ丸「首をはねて勝負が着く。常識でありますが?」
天龍「深海棲艦ならぬ艦娘にもか?」
あきつ丸「当たり前であります。」
町田「…………吹雪。初雪を井森そんとこに運ぶんや……。」
吹雪「……。」コクッ
町田「仲悪いと言えど、同じ自衛隊所属やろうが。それ以上動いてみろ…。」
町田「殺すぞ。」
青白く目が光る。
それを見てあきつ丸は面白いものを見たように笑う。
あきつ丸「イヒヒャハハハハッッッ!!!お前っっ、あのクソカス共の血が流れてやがるでありますッッッ!!!ハッハッハッハッ!!!!!」
あきつ丸「お前だったら今ここで殺してもお咎目は無さそうでありますなぁ!!!!!」
天龍に喉元を捉えられているにも関わらず腹を抱えて笑うあきつ丸。
あきつ丸「はぁ〜…おもしろ…。涙出てきたであります。でもまぁいいや。お前のことはしっかりと上に報告しとくでありますよ。」
あきつ丸「熊野丸、神州丸、腕を下ろすであります。」
そう言うとスッ…と腕を下ろす2人。
それに合わせ天龍と神通も刀を下ろす。
しかしまだなにかする可能性があるので決して鞘には収めない天龍。
あきつ丸「帰るであります。お前ら行くぞ。」
熊野丸「井森教授の研究資料はどうするんだ。」
あきつ丸「それはまた今度でいい。それよりも…もっと面白いものが手に入ったであります。ククカカッ。」
あきつ丸「まさかの自衛隊に裏切り者が提督として潜伏…。内側からのクーデターを企てようとしているっ……と。」
目をつぶりながら得意そうにヤレヤレと呟くあきつ丸。
その場では本当に帰ろうとしたのであろう。
後ろを振り返ろうとしたその瞬間。
あきつ丸の顔面は大きく膝がめり込み40mほど吹っ飛んだ。
神通「うぅわっ…………ぶねぇ〜…。巻き込まれるとこだったぜ…。」
天龍「お前……夕立…。」
夕立「…………。」
そう。夕立の膝蹴りが直撃したのだ。
なんとか穏便に済みそうな空気が一変。
後ろから歯と鼻が折れ血まみれのあきつ丸がフラフラとこちらに向かってきた。
あきつ丸「…………ぁぁ〜〜…。んの……駄犬がぁぁ……ぁぁぁぁア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッッッッッッッ!!!!!!」
あきつ丸は目が深紅の如く真っ赤に染まっており、顔中に血管が浮かび上がっていた。
あきつ丸「テメェ……最近見ねぇと思ったらあぁぁぁぁッッッ!!!!このクソ鎮守府で飼われてたのかぁぁぁッッッ!!!!」
熊野丸と神州丸に押さえつけられるあきつ丸。
相当頭に血が上っているのであろう。
町田「知り合いなんか夕立ちゃん?」
夕立「ぽい。」
熊野丸「貴様何してた。イクノックに調査に行ったっきりなんの音沙汰も無かっただろ。」
神州丸「まさかお前、コマンド・アーミーズを辞めたつもりか?」
夕立「…………。」
町田「なんやと!!!夕立ちゃんが!?」
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夕立「勘違いしないで欲しいっぽい。元よりお前らを仲間とは1ミリも思ってないっぽい。」
熊野丸「ほぅ…、じゃあお前は実の魂子(たまご)の姉妹の事も裏切るんだな。」
夕立「いや、犬咬隊(いぬがみたい)も時期にお前らとは手を切るっぽい。」
熊野丸「陸を裏切って海に入るというのか。好きにしろと言いたいところだが………、上官はどう仰られるかわからんぞ。最悪…、極刑にもなりうる。」
ウガァァァァっと叫び暴れるあきつ丸を抑えつつ会話を続ける。
夕立「姉妹もみんな最初からお前らのことなんて、仲間とは微塵も思ってないっぽい。」
夕立「そろそろ時期が来るっぽい。それに…。」
夕立「お前らは気持ち悪いっぽい。比べてこの鎮守府は…慎太郎さんは…とても素敵っぽい。みんな大好きな家族っぽい。」
夕立「お前らもこのままじゃ全員アイツらに殺されるっぽい。」
神州丸「…………わかった。お前の処分は後に伝える。犬咬隊も全員連帯責任だ。」
2人は帰ろうとしているつもりなのであろうが、あきつ丸が先程から暴れて仕方ない。
次第に力が強くなり2人を振り解き刀を手に夕立目掛け走る。
あきつ丸「死ねクソ犬ガァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッーーーー!!!!!」
夕立「!」
ヴィーーーーーン ヴィーーーーーン
刀を振り下ろす瞬間あきつ丸の手が止まる。
あきつ丸の胸ポケットに入ってあった無線機が鳴っている。
それを手に取り話を聞く。
あきつ丸「……………………………了解。」
刀を鞘に収めその場を後にするあきつ丸。
あきつ丸「覚えとけ…。お前ら鎮守府の存続はこっちにある事を…。」
捨てセリフを吐き、3人は帰っていった。
町田一行は次から次へと立ちはだかる壁に辟易するのであった。
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ラボ━━━━━━━━━━
井森「という物なんだ。しかし…ひとつ問題があってね……足りないんだよ…。恐らく…。」
町田「何個か持っていかれた…ちゅうことですね。」
吹雪「大丈夫っす。取り返してみせます。」
井森「あぁ…早い話助かるよ。にしても……散々な目にあったね…。ひとまずお疲れ様だ…。」
町田「いえ、ウチの初雪が世話んなりました。子日ちゃんも無事で良かったっす。」
先程のコマンド・アーミーズとの戦闘を終え、ラボで指輪の説明を聞いた町田一行。
子日は不機嫌ながらも井森の隣で饅頭を食べていた。
子日曰く、そろそろ最新のボディパーツに変える予定だったらしく壊れても悔しくないもーんだとか。
しかし、負けは負けなので腹は立っていただろう。
町田たちが居なければそのままアイツらに指輪を持っていかれる上に、下手したら井森を連れていかれる可能性もあった。
今すぐにでも新しいパーツで訓練したいのだろう、子日はうずうずしていた。
しかし、ソファーに座っている初雪は………。
雪風「初雪…。」
電が肩にポンッと手を置き雪風の言葉を遮る。
電「雪風。お前は強いのです。メンタルが強いから全然前向きになれるのです。でも皆が皆お前みたいな精神持ってねぇ。」
電「時に慰めが傷を抉る行為になるのです。」
初雪は大きく目を開いているにも関わらず、光が一切宿らず死んでいた。
禍深島の件といい、先程の件といい、自分から先陣切ったのにも関わらず敗北を喫したのだ。
初雪のメンタルはへし折られていた。
吹雪「………………。」
町田「ほなこれからは盗まれた指輪回収しつつ深海棲艦相手にしていきますわ。今日もありがとうございます。」
全員が井森に頭を下げ、井森もまたそうした。
皆が初雪を心配しながら、研究所を後にした。
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謎の空間━━━━━━━━━━━━
飛行場姫「イヒャヒャヒャッッ!!!あいつ死んだんだってね〜!!www」
気味の悪い笑みを浮かばせながらソファーに顎を乗せる。
戦艦水鬼「そうらしいな。1人くらい狩ってくれると思っていたのだが…。」
飛行場姫「無理無理!www型落ちだし、あいつ弱かったし!www」
軽巡棲姫「どうされますか?そろそろ邪魔者を消し去るために全員で動きますか?」
戦艦水鬼「ダメだ。戦力差もあるが……ここから幹部クラスが消えればあのお方のためのエネルギー源が途絶える。」
軽巡棲姫「そうですね。これは失礼致しました。」
飛行場姫「別に謝んなくていいよ〜。てかあの人復活させなくても私らだけで片付くんじゃないの〜?」
重巡棲姫「あの方が復活すれば我々の統率力が高まる他、保険にもなる。」
飛行場姫「ん〜。別に私ら死なないと思うけどなぁ〜。でもまぁ、上の方々のためにも私ら絶対に勝たなきゃダメだしね〜。」ケラケラ
飛行場姫「そ・れ・に♡私の可愛い人形あいつらの鎮守府に今から送る予定なのよね〜。」
駆逐棲姫「………………。」
離島棲鬼「あら!それは素敵なことですわ!最新作ですわよね?」
飛行場姫「そだよ〜りっちゃん!だからこれであの鎮守府は終わり!」
重巡棲姫「そんなに上手く行くか?」
防空棲姫「お前のくだらない遊びで壊滅するほどヤワな存在ではないだろう。」
その一言で真顔になる飛行場姫。
飛行場姫「くだらない………?だっる……。あのさぁ………マジで殺されたい訳?」
防空棲姫「………やるか?」
一触即発の空気。
2人の間柄は犬猿の仲なのだろうか。
今にも飛行場姫が飛びかかりそうなその時、ドアが開き新たな影がまた忍び寄る。
泊地棲姫「辞めろお前らあの方の面前で。暴れるつもりなら2人とも殺すぞ。」
防空棲姫「………………。」
目を瞑り手を軽く振る。
いかにも馬鹿らしいといった具合である。
飛行場姫「あ〜らら、No.3。わっかりましたよ〜。」
そう言い残し、ソファーを離れる飛行場姫。
どこに行くんだと問われるも無視を決め込みその場から居なくなった。
泊地棲姫「………………はぁ…。あいつも有能なのだが…。協調性がないのが問題だな。」
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飛行場姫「私の可愛い可愛いお人形さん。あいつらの抹殺。お願いね☆」
両手で目の前の影の肩に手を置く。
ふたつの影はコクンッと頷き謎の空間から飛び出した。
飛行場姫「………………クキヒヒヒッ。」