駆け足で村の中心部に急ぐ初雪。
途中何度も転けてしまったが関係ない。
なんとしてでも早くこの事を伝えなければ。
初雪「ハァ…ハァ…。」
村人「どうしたんだい初雪ちゃん…?」
子供たち「どったのおねえちゃーん?」
土浦「どうしたんだい息切れして…。」
向こう側を指さす初雪。
初雪「みんな早く逃げてッッッッッッッ!!!!深海棲艦が来てるッッッッッッッ!!!!!!」
村人たちの表情が一気に強ばり、急いで周りのものに伝えて準備をする。
初雪は海山夫婦の事が気になり、森林に急いで向かう。
そこで雪聖と仕事仲間が帰り支度をしており、必死の形相でことを伝える初雪にみな驚きながらも避難を始める。
初雪「クソッッッッッッッ!!!!ここ電波通らねぇ……!!!!どうしたら……!!!」
土浦(雪子ちゃんは避難誘導もしてくれて…)
初雪(雪子ちゃん……!!!なっさけねぇ話だけど…力貸してくれ……!!!!)
初雪「みんな急いでッッッッッッッ!!!早く山降りてッッッッッッッ!!!!」
雪聖「雪子!!!!お前も早く逃げるんだッッッッッッッ!!!!」
初雪「私は最後までみんなを誘導するから!!!!」
雪聖「何言ってんだ!!!!お前も逃げるんだ!!!!」
初雪「他にも逃げ遅れた人がいるかもしんねぇ!!!!確かめねぇと!!!!!」
初雪の力強い目を見てその想いが伝わったのか、雪聖はしぶしぶ返事をし他の村人を誘導しながら山をおりる。
初雪「………………、逃げ遅れた人はもう居ねぇか…………。」
初雪「………………………。もうギャラリーは居ねぇぞ…。」
後ろを振り向く初雪。
そこには10体の深海棲艦。
全員eliteである。
改に超化し構えを取る。
初雪「さぁて…、ドンパチやるか…………!!!!!」
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ラジオ「ジジジ…………山手………深海棲艦…。」
龍驤「!!!聞いたか司令官!!!!!」
町田「聞いとる!!!!!あそこから1番近い鎮守府はここや!!!!!それにもしかしたらそこに初雪がおるかもしれん!!!!」
町田「出前行ってるもんには後で伝えてくれ!!!!吹雪!電!睦月!利根!天龍!行くぞッッッッッッッ!!!!」
吹雪たち「おうッッッッッッッ!!!!!!!」
龍驤「ウチの式神にゃ全員載せられん…!!!!ごめんやけどハイエースで頼むで!!!!!後のことはウチに任せてぇや!!!!!」
睦月「でもハイエースって壊れてたんじゃ………!!」
吉田「それやったらワシがとっくに整備済みよォ!!!行ってきてくれやぁ!!!!」
吉田さん………イクノックに捕まっていた捕虜である。
整備士をやっていたとの事で鎮守府に来てくれたが如何せんここには艤装が無い。
なのでエアコンや車といった物を修理しつつ今は燕尾の近くで住んでいる。
今まで出てこなかったのは決して忘れていたからでは無い。
出番が無かっただけである。
町田「さすがや吉田さん!!!!!行くぞッッッッッッッ!!!!!」
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ドガァァァァッッッッッッッ!!!!!!
民家に激突しながら吹っ飛ぶ初雪。
周りの家や物は粉々で、一面火の海である。
初雪「クッソ……………2体殺ったのはいいが…流石に厳しいか………。」
ボロボロになりつつゆっくりと起き上がる初雪。
深海棲艦はお構い無しにじわじわとにじり寄る。
ヲ級「たった一人でこの数を相手に出来るわけないだろう。馬鹿か?」
初雪「うるせぇよボケども…。お前らこそたった一人の艦娘に対してこの人数で来やがって…。恥ずかしくねぇのか…。」
ワ級「全く。」
初雪「チッ……。」
体を起こし、戦う意思を見せる初雪であるがまた遠くの方から何かがこちらに向かってきてるのが見えた。
それを見て目を大きく見開く。
初雪「なっ………………あぁ……。」
更に6体の深海棲艦が現れたのだ。
しかもその中にはツ級も居る。
眉を寄せ脂汗が全身を伝う。
ガクガクと震え、過去のトラウマが鮮明に蘇る。
あの衝突しグチャグチャにされた右腕が。
全員で14体。物の見事にelite揃い。
腰が抜けそうになるも必死に逃げに徹する初雪。
後ろの方で嘲笑う声が響く。
初雪「ハッ…ハッ…ハッ!!!!!に……逃げねぇと……!!」
民家の影に隠れつつ、深海棲艦の動向を探る。
初雪「き…来てねぇか………。」
メラメラと燃える音だけがその場を支配していた。
息を整えどうにか鎮守府にこの事を伝えようと試みるも、複雑な思いが初雪にはあった。
初雪「そもそも……来てくれんのかな…。帰らずに……勝手にピンチになって………その上で助けてくれなんざ……虫が良すぎるか……。」
初雪「ほんっと………情けねぇな…。」
ブゥン…………
初雪「………ん…?」
何かと思い顔を覗かせる。
すると目の前に艦載機があった。
ボガァァァッッッッッッッン!!!!!
と爆発。
吹き飛び転がる初雪。
その先には深海棲艦が待ち受けており、サッカーボールの如く連続で蹴り飛ばされていく。
初雪「ガッッッ!!!」
初雪「ゴボッッッッッ!!!」
右足を持ち上げられ宙ぶらりんになる初雪。
ヲ級「村人はどこだ?」
初雪「あの人らは…………みんなは………。」
ヲ級「……………。」
ぺッ
ヲ級の左目に唾を吐きかけ、ボコボコの顔で得意げに笑う。
初雪「だ………誰が……言うか…バーカ……。」
ヲ級「……………。」
片腕で杖刀を引き抜き初雪目掛け振りかぶった。
初雪(ごめん…………みんな…。)
ズバァァッッッッ!!!!!
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初雪「………………!!!!!!」
切り裂かれたのはヲ級の首であった。
ト級「何もんだてめぇら!!!!」
吹雪「檻巌鎮守府所属、吹雪!!!」
電「同じく電!!!」
睦月「睦月!!!」
利根「利根!!!」
天龍「天龍!!!」
町田「提督の町田慎太郎!!!」
ヲ級「お前らが噂のクソ鎮守府か!!!!」
深海棲艦をガン無視し、電が叫び出す。
電「初雪ぃぃッッッッッッッ!!!てめぇ心配かけさせてんじゃねぇのです!!!!」
睦月「初雪ちゃんのオヤツ当分抜きだからね!!!」
吹雪「帰ったら説教だぞ。」
利根「吾輩のふんどしを洗ってもらうからな。」
天龍「俺の分の掃除もやってもらうからな。」
町田「みんな心配したんやぞ。アホ。」
6人「バカ(アホ)。」
6人は初雪に修復剤を渡す。
全員それぞれの顔を見て、同じ行動を取ったのを見て、おっ、と反応を取る。
それに対し初雪はつい笑顔になってしまうのであった。
へ級「たかが6人でこの数を相手に出来るわけがねぇだろうがボケカスがぁぁッッッッッッッ!!!」
全員が一気に遅いかかってくるのに、町田たちは待ってましたと言わんばかりに一斉に走り出す。
深海棲艦は全員eliteとと言うのに連携の取れた吹雪たちの動きにつおていけず次々と倒される。
まぁ吹雪たちも改状態ではあるのだが。
町田のラリアットをまともにくらい吹き飛ばされるト級。
それを細切れにし更に衝撃斬を飛ばす天龍。
睦月の幻術に惑わされるヲ級に吹雪と電に蹴り潰されていくト級とへ級。
利根に貫かれるツ級。
初雪「…………やっぱりみんな凄いや………。」
典子「雪子!!!!!」
初雪「!!!!!!」
後ろから買い物袋をぶら下げた典子がおり、心配そうな顔をしながら初雪を眺めていた。
初雪「お母さん!!!!!!あっ!!!!!」
その典子の後ろにツ級elite。
今にも大口を開き典子を頭から食い殺そうとしていた瞬間であった。
初雪はトラウマの事など頭から飛んでいき、典子を助けることだけ考え駆け出す。
初雪「お母さん!!!!しゃがんで!!!!!」
典子が頭を抑えしゃがみこみ、初雪に気づいたツ級が野太い左腕で初雪に殴りかかる。
初雪はそれに合わせ寸勁を放つ。
初雪(前のことなんざトラウマの事なんざ関係ねぇ!!!!!!!!お母さんを………お母さんをッッッッッッッ!!!!)
初雪「守るんだぁぁぁぁぁッッッッッッッ!!!!!!!」
パァァァァァァッッッッッッッンンンンン!!!!!
空気が弾け、拳と拳がぶつかり合う。
初雪の右腕はへし折れた。
確かにへし折れたが前のような惨状ではない。
寧ろツ級の左腕が内側から弾け飛び、グチャグチャになったのだッッッッッッッ!!!!!!!!
初雪「だりゃぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッ!!!!!」
左腕の寸勁がツ級の顔面にヒット。
ツ級は頭がかち割れ、その場に倒れ込んだ。
初雪「ハァ…………ハァ…………。」
典子「ゆ………雪子…………。」
吹雪「…………やったじゃねぇか……。」
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なんとか消化活動を終え、村人たちを自衛隊と憲兵たちに保護してもらう。
町田は融通の効かない憲兵たちにイラつきながらも状況やらなんやらを報告していた。
典子「雪子…。」
雪聖「お前……。」
初雪「ごめん………。黙ってて………。私、雪子ちゃんじゃ無いんだ…。」
初雪「私…吹雪型駆逐艦三番艦……初雪なんだ…。艦娘なんだ…。」
典子「…………知ってたよ…。」
雪聖「あぁ。」
初雪「えっ………。」
典子「さっきの……カッコよかったよ…。ありがとうね。私たちこそ…ごめんね…。勝手に雪子に重ねて……。無理に引き止めて…。」
雪聖「あまりにも………雪子に似てたから…。すまない。」
初雪「…………………。私………2人にあえて良かった……。メンタルやられてて……でもそれを優しく包んでくれて……。」
初雪「だからこそ………2人や…村のみんなを………守らなきゃって………強くならなきゃって…………。」
初雪「だ…………だからっ……!!!強くなって…みんなを笑顔に………!!!世界を平和にするからっ……!!!行ってくるよ……。」
涙が零れる初雪。
それは海山夫婦や村人もそうであった。
典子「うん……。行っておいで…。それで………。」
雪聖「いつでも…帰っておいで…。ここは…雪子の………初雪の…帰る場所でもあるから…。」
初雪「うん……………うん………!!!!」
その光景を見て微笑む吹雪たち。
町田もそれを見て笑顔になる。
村人と海山夫婦が町田一行に頭を下げ、山を降りるまで見送った。
最後に町田たちが手を振り、次第に村人たちの姿がみえなくなっていった。
この日を忘れない。絶対に忘れない。
初雪は涙を拭い、心に刻み込むのであった。
この出来事で初雪は大きな成長を遂げるのであった。