艦これevolution   作:銀ノ森 睾

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赤城編
第48話「赤城の過去」


初雪「よいしょっよいしょっ!!!!」

 

朝から忙しなく掃除や洗濯をしている初雪。

あれ以来覚悟が決まったのか、落ち込んでいた時が嘘のように思える。

 

天龍「初雪ー、頑張るのは良いけど力入れすぎんなよー。」

 

タバコをふかしながらコーヒーを啜る天龍。

 

初雪「早いとこ終わらしてっ!!!この後特訓に付き合って欲しいんすよ天龍先輩。」

 

天龍「ん?良いぜ。」

 

初雪「神通先輩も是非。」

 

神通「私…?いやぁ私ゃ酒飲まねぇと…。」

 

川内「もう無いよ。」

 

ウゲェェェ!!!と叫ぶ神通。

酒がきれた時はいっつも叫ぶのだ。

呆れつつも初雪の特訓に付き合ってあげたら買ってきてやると川内が伝えると俄然やる気になり先に校庭に一人走った。

 

赤城「お酒になるといっつもあぁですねぇ…。ゲェップ。」ブボアッッ!

 

大淀「臭ぁぁぁぁッッッッッッッ!!!!!」

 

電「女辞めてるのです…。あぁはなりたくねぇな…。」

 

睦月「電がそれ言える?」

 

ワーワー!!!ギャーギャー!!!

 

加賀「下品ですよ赤城さん。ゲップの後に屁をこかないでくだ……………あれ…?」

 

冷蔵庫とおやつ置きのカゴを漁る加賀。

どうやらなにか探しているようだ。

 

町田「何探してんや加賀ちゃん?」

 

加賀「あれ…。この間の出前で稼いだお金で買ったシュークリームが無いんです…。みんなに1つ買っておいたのですが…。」

 

赤城「ん?美味しかったですよあれ。」

 

加賀「そう。ならいいん………だ…けど………。」

 

漁るのを辞めゆっくりと赤城の方を見る。

 

加賀「…………まさか全部食べたんですか?」

 

赤城「?はい。」

 

急に赤城の胸ぐらを掴みブンブンと揺する。

赤城は自分にシュークリームを24個買ってくれたと勘違いしていたようだ。そんな訳ねぇだろ。

 

加賀「普通わかりますよね!!!?なんで一人で全部食べるんですか!??!!!バカなんですかホントに!!!!」ブンブン

 

赤城「いやぁ太っ腹だなぁと思って!!!!!違ったんですか!!!!」

 

町田「まぁまぁ落ち着きぃな加賀ちゃん!!!」

 

町田たちに肩に手を置かれ次第に落ち着く加賀。

そのシュークリームは限定品のいい値段がするものだったらしい。

 

北上「食べたかったな〜……。」

 

電「食べたかったのです。」

 

龍田「楽しみにしてたんだけどなぁ…。」

 

赤城「…………なんですか…!!!私が悪いって言うんですか!!!!」

 

みんな「うん。」

 

赤城「食べるんなら普通名前とか書くでしょ!!!まぁ〜た私が悪者ですか!!!!!もういいですよ!!こんな鎮守府出てってやる!!!!」キーーー!!!

 

バァン!!!と玄関を開け赤城がどこかに走っていってしまった。

開く瞬間最上がドアに激突し白目を向き倒れる。

 

加賀「赤城さん!!!!」

 

町田「どこ行くんな赤城ちゃん!!!うわっ!大丈夫かもがみん!!!!」

 

利根「ま〜た家出かアイツ!!!」

 

夕立「ぽい〜…………。」

 

吹雪「……………はぁ…。」

 

頭を抱える皆であった。

 

町田「いつもの事やし、まぁ後で皆で迎えに行こうや…。」

 

[newpage]

 

トボトボと歩く赤城。

どこかあてがある訳でもなく、感情のままに鎮守府から出てきてしまった。

 

赤城「……はぁ………またやってしまった…。」

 

歩きながら過去のことを思い出す。

 

赤城はすぐに嫌なことがあったら鎮守府から飛び出す癖があった。

昔からこんな性格だった訳では無い。

ちゃんとした理由と心の傷があったのだ。

 

赤城がこの世に魂として大本営に生まれ、すぐそばに居た加賀と親しくなった。

最初は大本営から待機組として、待機施設で所属鎮守府について情報を待っていた。

しかしすぐには連絡は来なかった。

仕方ない。今のこの情勢を考えれば引き取り手が少ないのは当然であった。

駆逐艦や軽巡ならまた話は違ったのかもしれないが赤城は正規空母である。

一見するとすぐにどの鎮守府も欲しがるであろうが、大体の鎮守府にはもうすでに他の赤城たちが居たので中々連絡は来ない。

それに正規空母はかなりの資材が必要となる上、教育と経験値を稼ぐにはかなりの余裕と時間を要する。

その時点で少しネガティブ気味にはなっていたが、深海棲艦を倒すため、少しでも多くの人と艦娘の役に立つため志は高かった。

少し経つとある鎮守府から連絡が来て、面接を始めることになる。

 

赤城「赤城型正規空母一番艦!赤城です!」ビシッ

 

提督「あぁ〜もうそういうのいいから。いい、いい。取り敢えず腕見してよ。」

 

赤城「えっ…………はい…。」

 

試験は分かりやすいもので発艦した艦載機で的を撃つというものであった。

しかし、そこでとある事が発覚してしまう。

 

提督「下手くそだなぁお前…………。」

 

赤城「すみません…。」

 

提督「ていうかなんで艦載機ひとつしか出さねぇんだよ。もっと出してバンバンッ!って撃ちゃあいいじゃねぇか。」

 

赤城「えっ………あの…………他の空母の方って何機も艦載機出せるんですか…?」

 

提督「…………………は?」

 

そう。赤城にはスロットがひとつ。その上艦載機はひとつしか出せなかった。

重大な欠陥艦。当然そこの鎮守府からは追いやられた。

他の鎮守府に面接に行くも全て拒絶。

噂も広まり自分から鎮守府に尋ねてくる赤城は欠陥艦だから要注意するようにと鎮守府の間で広まったのだ。

 

赤城「……………………。」

 

ピタっ

 

赤城「冷たっ!!!!」

 

振り向くとそこには最初に出会った加賀がコーヒーを持って立っていた。優しくもどこか寂しそうな笑顔である。

ベンチに腰掛ける2人。

 

加賀「私も…………、ダメみたいですね…。」

 

赤城「え?」

 

加賀「どうやらスロットが2つしか無いみたいなんです…。欠陥艦だと…。」

 

赤城「……………私もひとつしかありません…。」

 

加賀「どこも余裕なんてありませんからね…。すぐにでも戦力になる人材が欲しいんでしょう。大本営の艦娘は派遣で忙しいらしいです。」

 

赤城「…………何のために生まれてきたんでしょうね私…。」

 

加賀「まぁそう言わないで。生まれた意味は絶対にあるはずです。」

 

赤城「綺麗事ですね。」

 

加賀「………………。」

 

静寂がしばらく続く。

コーヒーを奢ってもらった礼を言いその場を立ち去ろうとする赤城だが加賀がそれを制した。

 

加賀「もし良かったらなんだけど…。一緒に暮らしませんか?」

 

赤城「え?」

 

加賀「色々調べたのだけど、私たちみたいな艦娘はいっぱい居るらしいです。中には欠陥が無くても鎮守府に所属出来ない艦娘も居るとか。」

 

加賀「どうやらそういう艦娘は普通の人間みたいに部屋を借りてアルバイトして暮らしてるらしいです。私も…そうしようかなと思ってまして…。」

 

赤城「…………艦娘としてのプライドは無いんですか。私はずっと探し続けますよ!!!それじゃ何のために生まれたのか分かりません!!!!」

 

加賀「……………。そう、なら良いのだけど…。これ…。」

 

住所と固定電話の番号が書かれた紙を赤城に渡す。

もしどこの鎮守府にも所属出来なかったらいつでも来て欲しいとの事。

それを言い残しリュックを背負い加賀はその場を後にした。

 

赤城「…………………余計なお世話ですよ…!!!」

 

[newpage]

 

加賀は四畳半のトイレと風呂付きのアパートを借りることが出来た。

そしてすぐに求人誌や街のアルバイト募集の紙を見ながら面接の連絡をする。

そして割と早くスーパーの惣菜コーナーと居酒屋のバイトが決まった。

いきなり仕事を2つでかなり忙しく、大変であったが何よりも生き延びることが出来る嬉しさがあった。

艦娘はみんな美人揃いなので評価も良い。

嫌な話、美人だからいびってくる御局や嫌な先輩は居たが加賀はメンタルも強く、言うところは言う性格なので職場に居続けれた。

そんな生活を続け6ヶ月。

仕事も慣れてきた頃であった。

ピンポーンとチャイムが鳴りドアスコープを覗く。

そこには赤城が居た。

 

加賀「赤城さん…。」

 

赤城「…………………。」

 

部屋で暖かいコーヒーを赤城に飲ませる。

玄関先でも目が赤く腫れていたのだが、赤城は大粒の涙を流し始めた。

背中を擦りながらゆっくりと話を聞く加賀。

どこに行っても欠陥艦扱い。

正規空母だから下手に遠征も出来ない。

艤装の扱いが下手くそ。

雇ってくれるとこなどどこにも無かった。

それどころか罵詈雑言を浴びせられ、赤城のプライドとメンタルはもうボロボロであった。

 

赤城「情けない…………情けない………。あの時加賀さんをバカにして……その上で世話になりに来たなんて………。」

 

加賀「大丈夫ですよ。気にしてませんから…。ね?」

 

赤城「お世話になって………良いんですか…?」

 

加賀「私から言ったんだもの。いつでも来てって…。」

 

赤城「あり………がとう…………。」

 

[newpage]

 

それから赤城もアルバイトを探し、清掃・工場・スーパー・コンビニ、色々なところに行った。

しかし、どこも長続きしなかったのだ。

 

加賀「…………またダメだったんですね…。」

 

赤城「…………もういいです…。出ていきます…。」

 

加賀「またそんな事言って…。行く宛てなんて無いでしょう?またどこか赤城さんに合う職場…」

 

赤城「そんなもん何処にも無いですよ!!!!近隣のアルバイトは全部ダメでした!!!人間関係がめちゃくちゃでどこも嫌になるんですよ!!!」

 

赤城「それにこんな戦争の中でアルバイトなんて募集してるとこなんてありません!!!!!もうそもそも根本的にわたしが駄目なんですよ!!!!」

 

赤城「それに見ましたよ………!!!加賀さん、またアルバイトするんですよね…!!!求人誌開いてましたよ…!私が居なければ負担も無くなるでしょう!!」

 

赤城「また鎮守府を探します…。もう1回やり直して…」

 

加賀「普通のアルバイトも続かない人が鎮守府でやっていけないと思うけれど?」

 

すぐに怒る赤城に少しムッとしてしまったのだろう。

加賀は言ってしまった…と顔をした。

それを聞いて赤城は家を飛び出したのであった。

 

加賀「赤城さん!!!!!」

 

そんな状況が続き、加賀は3つのアルバイトを掛け持ちしながらせっせと働いた。

赤城は完全に引きこもるようになり、ゲームやアニメやらで時間を潰していた。

もちろん赤城が一番この状況が嫌だったであろう。

少し時間が経ち、赤城と一緒にテレビを見ていた時であった。

遠くの工場地帯で深海棲艦ととある鎮守府が衝突していた。

レポーターがヘリコプターで上から撮影していた時に翼のある深海棲艦が襲いかかった。

 

加賀「危ない!!!!」

 

それを艦載機で撃ち落とし爆風で回転しながらカメラをガシッ!!と掴む艦娘。

 

「檻巌鎮守府艦娘大募集じゃ!!!!どんな奴でもええから来てくれ!!!ほな!!!!!」

 

そこでテレビは途絶えた。

その後その鎮守府を調べると自分たちのような欠陥艦ばかりが集まっているようなので、加賀は決心し嫌がる赤城に声をかけ今に至るという事だ。

 

赤城「…………………いっつも迷惑ばっかりかけてるな私…。」

 

そのまま街に降り、買い物をするのであった。

 

 

 

 

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