第53話「龍のパン屋!!!アンビション」
カチャ…カチャ…
楽しいはずの朝食。
しかしこの空間は悲しいほど静まり返っていた。
北上「ご馳走様。」
そう言い残し皿をシンクに置き水を流す。
加古も同様である。
早速朝から鍛えるつもりなのだ。
電「……………水。」
睦月「……………はい。」
飲み物を手渡しする。
全員が全員顔が沈んでいた。
町田「そう言えば一昨日近所にパン屋さん出来たみたいやの!!!俺小遣い持っとるからちょっち行こうや!!」
龍驤「そうそう!!!ウチも奢っちゃるで!!!」
顔はこちらを向けてくれるも返答が無い。
町田「…………………。」
静寂が流れる。
しかし以外にもそれを打ち破ったのは以外な人物であった。
加古「………………そこってチョココロネあんのかな…。」
町田「ん!!!どうやろか…。興味あるか?」
加古「古鷹がさ、好きだったんだ。みんなも行こうよ。」
北上「………………うん。行こっか。私もなんかお供えしたいし。………ね?」
優しい笑顔で2人は全員に顔を向ける。
次第にみんな顔が綻び首を縦に振った。
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少し歩いた先にあるこじんまりとしたパン屋。
名前は「雲のパン屋」。
しかし中は暗く、開店してるのかどうかもわからない。
天龍「どうなんだこりゃ?開いてんのか?」
しばらくして踵を返そうとするとカランカランと鐘が響き中から店主が出てきた。
龍驤「………ん?あんたは………雲龍か。」
雲龍「あら…鎮守府の方かしら…?もしかしてパン買いに来てくれたの?」
加古「うんうん。あっちに鎮守府があってさ。近くにパン屋が出来たからちょっと楽しみで。」
睦月「睦月もお小遣いあるからなんか食べたいにゃしい!鎮守府の皆にも買ってあげたいにゃ!」
電「赤城には買わなくてもいいんじゃねぇか?ま〜たブクブク太るだけなのです。」
龍驤「まぁそう言わんと…。キレ散らかすで。」
雲龍「ありがとう。でも……………ちょっと問題があってね…。」
町田一行「?」
こんなところで立ち話もなんだと店の中に入れてくれた雲龍。中には30代前半であろう男性がおり、雲龍の彼氏だという。
元木「どうもはじめまして!元木春夫と言います。」
町田「どうも!町田慎太郎言います!檻巌鎮守府の提督やらせてもらってます!」
握手を交わす2人。
町田「ん?」
すると店の奥から何人かの子供たちが顔をのぞかせる。
年端もいかない子供たち。男の子や女の子が合わせて10人。
金剛「ワーオ!!!可愛いデース!!!オイデオイデー!」
早速先程の問題とやらを聞いてみた。
内容はこうだ。
戦争で親を亡くした子供たちや、家族が亡くなって苦しんでいる人たちを思いここを建てた。
ここではそんな孤児たちを育てながらパン屋を経営者する予定だ。
とても安価で美味しいパン屋を目指していたのだが…………。
本来ここのパン屋に流通してくる小麦粉が届けられなくなったと言うのだ。
こっちから連絡をしても全く通じない。
こちらに小麦粉を届けてからお金を渡す契約をしているので、お金を騙し取られたという訳ではない。
しかし急に他の小麦粉の流通先を見つけるのは難しい。
今ここの店には多少の小麦粉があるので、少しだけなら店頭に作って並べられるとのことだ。
町田「なるほど!ほな俺らに任せてぇな!」
天龍「俺らが行って原因突き止めて来るぜ!」
雲龍「えっ?でも鎮守府の仕事があるんじゃ…。遠征とか…。」
龍驤「いやいや、そこいらの鎮守府と一緒にされたら困るわ〜。一風どころか二風も三風も変わった鎮守府なんやで。」
雲龍の肩に手を置き鎮守府の説明をする龍驤。
元木夫婦は汗を垂らしびっくりしたような顔で話を聞いていた。
龍驤「って事なんや。せやからウチらが行って調べてくるわ。」
雲龍「あなたホントに龍驤?なんか胸大きくない?」
龍驤「あんた話聞いてたか?!脈絡1個もないやないか!」
ワッハッハー!!!
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一旦鎮守府に戻り内容を話す町田。
流通が止まった原因を突き止めるメンバーは、吹雪・睦月・川内・神通・天龍・龍驤が行くことに。
他のメンバーは留守番、もしくはパン製造の手伝いである。
赤城「パン作りならばこの希代のこの私…………!!!!!!」
加賀「なんかつまみ食いしそうなんですが…。」
最上「赤城はあの甘ったるいいい匂いに耐えれる訳ないから僕とお留守番ね。」
雪風「赤城さんの分まで作ってきます!」
キィェェェェェェ!!!!!!!!!
町田「うるさいうるさい!お土産でパン買ってくるからちょっと待っときぃな!!!ほなみんな頼むで!」
吹雪「了解っす。んじゃ、行ってきます。」ビシッ
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天龍は800ccのバイクに跨り、龍驤は式神で空を飛ぶ。
神通「悪ぃな天龍。乗せて貰ってよ。」グビグビ
天龍「てめぇこんな時にも酒飲むのか…。程々にしとけよ。」
神通「良いじゃねぇかよ。あっち着いたら仕事すっからよ。」ゴクゴク
天龍「……………頼むぞ…。」
睦月「すごいすごーい!空飛んでるにゃしぃ!!!」
龍驤「むふふ、はしゃぐ気持ちもわかるけど落っこちんようにすんやで。」
川内「すごいねぇ軽空母って。4人乗ってもだいじょーぶ!ってね。」
吹雪「イナバ物置っすかw」
天龍「ん、見えてきたぜ。あの街だろ。」
天龍の言う通り、目の前には大都会が見えてきた。
今は昼の10時で季節の事もあり風も段々と肌を寒さが掠るようになってきた。
天龍一行はスピードを少し上げ、原因を突き止めるべく走るのであった。
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ワイワイ
ガヤガヤ
ワーワー!!!ギャーギャー!!!
天龍「でっけぇ街だなぁおい。」
吹雪「さっすが都会っすね…。」
先程遠くから見てた以上に大きい街であり、様々な商業施設がずらっと並んでいる。
もちろん人も多く、少し油断したら迷子になってしまうであろう。
天龍たちは小麦粉生産の会社の名前を頼りに歩みを進めるも、どこもかしこもビルと商業施設だらけ。
このままでは埒が明かないので聞き込みを行うことに。
迷ったりしてはいけないので12時に時計台の下に集合する事にし、それぞれに別れた。
吹雪「すんませーん、ちょっと聞きたいことがあるんすけどー。」
おっちゃん「ん?なんだ姉ちゃん。」
吹雪「この辺にギンコムって会社あります?」
おっちゃん「ギンコム?聞いたことねぇなぁ…。馬鹿みたいにでっけぇ街だからよぉ…。悪いな。」
吹雪「いや、こちらこそっす。ども。」
睦月「すみませーん!」
川内「お尋ねしたいんですけどー。」
天龍「よぉ。ちょっと聞きてぇ事あるんだが…。」
龍驤「ちょっちお兄さんええかな?」
それぞれが何人もの人に会社の場所を聞くが誰も分からない知らないの返答ばかり。
天龍や川内、龍驤に関してはモデルや風俗に勧誘されたりで大変であった。
苦労しつつも何も成果も無く、予定通り12時になったので一旦時計台に集まることになった。
吹雪「………………天龍先輩と神通先輩遅いっすね…。」
川内「もしかしてわかったのかな?」
龍驤「それで長いこと話してんか…。」
ウォォォォォ!!!
喧嘩だぁぁぁぁ!!!!!
ダンビラ持ってるやつがダンビラ持ってるやつにボコボコにしばかれてるぞおぉぉ!!!!
ドタドタドタ!!!バタバタバタ!!!
街の人が騒ぎ出し、ボヤを見に一斉に走り出した。
吹雪「ダンビラって……………まさか……。」
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時は少し遡る。
天龍「ダメだ…。全然見つからねぇ、ホントにあんのかよ。……ん?」
ハッハッハー!!!
コンナモンヘデモネェヨー!!!
天龍「…………………。」
ガランガラン
ウェイター「いらっしゃいませー!何名様でしょうかー?」
店の入口上部に吊るされた鐘が綺麗に鳴り響く。
そこは酒場であった。
天龍は冷めた顔をしながらその店の一点を見つめる。
ウェイター「お客様ー……………?」
おっちゃん「すげぇな姉ちゃん!!!あんた艦娘か!!」
おっさん「艦娘ってのは酒めちゃくちゃ強えんだな!おら!奢りだ!もっと飲め飲め!!!」
神通「ハッハッハー!!!こんなもん屁でもねえっての!!!まだまだ飲めるぜぇぇ!!!」グビグビグビ
周りの老若男女に囲まれ浴びるほど酒を飲む艦娘。神通。
おっちゃん「いいねいいねー!!……ん?あの姉ちゃん綺麗な顔してるけどなんかこっち睨んでねぇか…?」
神通「ん??!おっ!!!天龍!!!!お前もこっち来て飲めよー!」
天龍「………………。」
神通「返事しろってー!先に酒飲んだのは謝るけどよー!」
天龍「何してんだお前。」
神通「ん?何が?」
周りの客が天龍がこちらに寄ってくるのに危険を感じたのか一斉にその場を離れる。
神通はさっきまであんなにはしゃいでたのにどうしたのかと左右に首を振り周りを見渡していた。
天龍「どういう事だおら。俺らが必死に仕事してんのにな〜んでてめぇはんなとこで酒飲んでんだァ!」
神通「な〜んだ!んな事かよぉ。これにはさ!訳があってな!聞いてくれや〜。」
天龍「いい加減に…………………しろやボケェェェッッッッッッッッ!!!!」
天龍の右ストレートが神通の右頬にヒット。
派手に吹き飛ぶ神通。
まわりのテーブルや椅子を巻き込みながら転がる。
そうしてこのボヤ騒ぎに民衆が集まってきたということなのだ。
吹雪「なっ、天龍先輩!!!」
天龍「どうしたおらぁ!!!かかって来いよごらぁぁぁッッッッッッッッ!!!!」
神通「ぐ…………………話聞けや天龍……。」
天龍「なんの話だごらボケェェェッッッッッッッッ!!!」
ドゴッッッ!!!!!
神通「グブッッッッッッッッ!!!!」
マスター「辞めてくれ!!!艦娘同士がこんなとこで洒落になんねぇ!!!!!他所でやってくれやぁぁぁ!!!」
泣きながら訴えるマスターなど耳に入らないのか天龍は眉間に血管を浮かべキレていた。
神通「さっきから……………よくもまぁボコボコに…殴ってくれてんなぁてめぇよぉぉぉッッッ!!!!」
神通も天龍の顔面を殴るもすぐに殴り返される。
神通「んぐぁぁぁぁぁッッッッッッッッ!!!」
天龍「クソボケ野郎がッッッッッッッッ!!!てめぇとはこれで終わりだ!!!!!あばよ!!!!」
ジーパンに手を突っ込み店を後にする天龍。
睦月「て、天龍さん…。」
天龍「1人にしてくれや……………!!!!!」
すると天龍は1人でどこかに行ってしまったのだった。