「で、あるからして…。」
町田(海の方は着実に減ってきてんか…。でも陸上型深海棲艦の件にはあんまり触れてへん…。)
龍驤はお尻が痛くなってきた。
胸が大きいだけでなく、安産型の大きいお尻の持ち主でもあるのだ。
吹雪と北上は真剣に聞いているものの、電は可愛い鼻ちょうちんを作りコクリコクリと寝てしまっている。
利根は白目を向きヨダレを垂らしている。退屈な話に2人とも耐えられなかったのであろう。
「では、陸上自衛隊特殊部隊・黯戯磨袟(くろぎまやさ)隊長に変わります。」
吹雪(アイツ…………。あの格好…。)
北上(あれがコマンドの隊長さんか…。)
軍帽を被り、黒いガスマスクを付け、薄汚れた緑色のマントを着ている大男。身長は2m以上はあるだろう。
左目には深々と傷が目立つ。
その出で立ちから見て、普通の人間では無い。
改造人間だろう。
黯戯「現在、深海棲艦は海だけではなく陸上にも進行している。陸海空、それぞれで仕事量が増えてきている。しかもそれに合わせ人と艦娘の殉職率も必然的に上がる。」
黯戯「だが安心して欲しい。陸上も確実に減ってきている。これが陸上深海棲艦の幹部リストだ。」
目の前の大きなスクリーンに映し出される幹部リスト。
しかしそれは町田たちの目は誤魔化せないものである。
型落ちの深海棲艦で、現存の幹部では無いからだ。
町田(元、幹部やんけ。こいつらホンマに……。)
龍驤(コイツらウチのもんが倒した型落ちも自分らが倒した事にしとる…。あのあきつ丸じゃ止められへんかったんか…。口止めか脅されたんか…。)
電(スピー…スピー…)
利根「」
吹雪(電寝てて良かったぜ…。叫び倒してるだろうからな…。手柄を自慢してぇのか、安心させたいから嘘ついてんのか…。)
黯戯「というわけで、陸海ともに深海棲艦は壊滅寸前だ。あともう一息、もう一息なのだ。だからこれからも平和のために強力願いたい。全ての人と艦娘のために。」
マイクを置き一礼をする。
拍手がその場を包み、黯戯はその場から退出。
しかしその寸前、確実に町田の目をみた。
冷たい優しさを微塵も感じさせない無機質な目。
町田は静かに睨み返す。
その後は街や経済の復興状況、海外の情勢などをダラダラと説明し懐疑は終わった。
正直、得れるものがあまり無かった。
だが本来の目的は最上の師匠の詳細を尋ねること。
町田「う〜ん……。」
電「んはっ。」パチンッ
電は町田におんぶされており、鼻ちょうちんが割れて目を覚ました。
電「寝てしまっていたのです…。何言うてたのです?」
町田「あんまり得れるもんは無かったぞ。強いて言うならば海の深海棲艦は着実に減ってきてるらしいわ。」
北上「それもホントかわかんないけどね。」
利根は北上におんぶされている。
龍驤はお尻を押え少し苦しそうだ。
その後、最上の師匠について色々尋ねるも余りにも情報が少ないせいで何も掴めなかった。
それもそうだ。引退後に日本各地を旅しながら瑞雲流を広める提督だけじゃわかるわけが無い。
そもそも瑞雲流すら聞いたことが無いのだから。
吹雪「それもそうか…。」
「なぁ君たち!」
町田「ん?」
「私服で来てるのに何も言われないなんて面白いな!この後鎮守府の親睦会的なものをやるんだが来ないか?」
提督と艦娘たちが町田たちを誘う。
4~5つ程の鎮守府の集まりであろうか。
しかし町田は丁重に断った。
早くお土産を買って帰らないと暴れる者が待っていると。
その主催者の野尻(のじり)と神崎(かんざき)という人物は町田の話を興味津々で聞いてきた。
しかしこちらとしてはあまり嬉しいものでは無い。
何を言っても知らなかったとか、そんな鎮守府があるのか、と言った具合で信じてくれている節があまり感じられない。
町田が手を振りその場を後にしようとしたその時であった。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!
耳をつんざくような爆発音が響く。
神崎と野尻は耳を押え顔をしかめるが、町田は何ともなく爆発した方向を見た。
次に大本営のサイレンが鳴り響く。
音の種類で警戒レベルがわかるのだが今回は中々危険度が高い。
どうやら海と陸とで同時に深海棲艦が現れたらしい。
神崎「あ…………あいつら……!!!壊滅寸前だから大本営に特攻しかけてきたのか………!!!!」
野尻「やってやろうじゃねぇか…!!!!!」
町田「…………………こんな事言いたないんやけどもさ…。」
町田「あいつら…多分まだいっぱい居ると思うぜ…。」
神崎・野良「………なに?」
町田「わからんけども………俺ら…ええように使われとるんちゃうか…。」
会場の敷地内に居る提督たちは警戒態勢を取り、現場に急いで向かう。
確かに爆発音は海で聞こえた。
しかし重なるように市街地でも爆発したのを町田たちは聞き逃さなかった。
海からさほど離れていない街。
このままでは被害者数が恐ろしいことになる。
町田は2人に海は頼んだと言い残し、物凄いスピードで走り抜けていった。
龍驤は式神に乗り、北上は高く跳ぶ。
野尻「な………何もんだあいつら…。」
神崎「…取り敢えず今は侵攻を食い止めるぞ!!!!」
神崎と野尻は艦娘たちとともに海の方に走る。
[newpage]
タ級「海と共同侵攻か!!!胸が高鳴るぜ!!!!」
イ級ヘッド「ガァァァァァァァッッッッッッッ!!!!」
ギャーーー!!!!!ウワーーーーー!!!!
市民が逃げ惑う。
陸自が来てくれているが火事が酷く、市民を助けながら敵と戦うのはあまりにも厳しい状況である。
あきつ丸「早くこちらに避難を!!!!」
神州丸「衛生班何してるんですか!!!早くこっちに寄越してください!!!!!」
熊野丸「第一部隊は右から周れ!!!第二部隊は正面突破だ!!!!!」
熊野丸(クソッッ!!!何が数は減ってきてるだ!!!アイツらが侵攻する度に増えてるじゃねぇか!!!!!)
熊野丸「!!!!!!」
ドッバァァァァァァンンンンン!!!!
艦載機が次々に飛んでくる。
なんとか防ぎつつ指揮を取り応戦するも数が多い。
陸自「ガァァァァァァァッッッッッッッ!!!」
陸自の被害も甚大になる。
その時に熊野丸の無線に一般兵から逃げ遅れた市民の情報が流れ、報告された方向に顔を向ける。
親子が崩れた家の柱に足が挟まれ逃げられない状況である。
火元も広がりどの道すぐに助けに行かなければ焼け死んでしまう。
熊野丸が走ると目の前にト級とツ級の群れが邪魔建てをする。
熊野丸「邪魔だこのクソどもッッッッッッッ!!!!」
次の瞬間艦載機が親子に飛んでいき爆発。
爆発音とともに炎がメラメラと燃え上がる。
助けられなかった!!!と熊野丸が思うもそれは要らぬ心配であった。
あきつ丸「!!!」
スタッ!!!!
北上「もう大丈夫ですからね!!みなさん!後は頼んますよ!」
一般兵「あ…………あぁ!!!!任せてくれ!!!」
北上が自慢の足で親子を救出し、陸自の場所まで運んだのだ。
そして熊野丸の邪魔をしていたツ級たちも首がゴソリと落ちていく。
電「大丈夫なのです!?」
熊野丸「あなた方は…!!檻巌鎮守府の!!!!」
ヲ級「誰だテメェら!!!!!!」
町田「檻巌鎮守府提督…町田慎太郎!!!」
吹雪「檻巌鎮守府所属初期艦!!!吹雪!!!」
電「同じく電ぁぁ!!!」
北上「北上!!!」
利根「利根ぇっっ!!!!」
龍驤「龍驤じゃ!」
数はおよそ200体程。
陸自と協力しつつ、今から檻巌鎮守府が暴れまくる。
深海棲艦「聞いた事ねぇ鎮守府如きがしゃしゃり出てんじゃねぇぞぉぉぉぉ!!!!!お前ら殺せぇぇぇぇ!!!!」
深海棲艦「ウォォォォォォォォォッッッッッッッ!!」
町田「暴れるぞお前らぁぁぁぁッッッッッッッ!!!」
吹雪たち「おう!!!!!!!」
一気に囲まれる電。
一斉に掛かってこられるも電はニヤッと笑い竜巻を起こす。
そして次々に切り刻まれる深海棲艦。
喧嘩殺法活剣術・霧切雷。
北上「街中だから遮蔽物多くて助かるわ!!!」
北上「魚雷拳ッッッッッッッ!!!!!!」
その姿は魚雷か爆撃か。
目にも止まらぬスピードで連続突進をしかける。
その威力に為す術もないまま深海棲艦は弾け飛ぶ。
利根「正面に集まるバカがおるか?」
腕を鞭のように振るい、地面に突き刺す。
利根「土砂ぁぁぁぁぁぁ裂破ぁぁぁぁッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!」
地面が抉れ爆発。
衝撃に耐えられず吹き飛ぶ深海棲艦。
龍驤「たったそんだけの艦載機でええんかぁ?」
バッッッ!!!!!
龍驤「艦載機発信じゃボケェェェッッッッッッッ!!!」
式神に乗りながら卓逸された動きで艦載機を発信。
練度も質も敵の物とは比べ物にならない。
次々にぶち当たり爆発していく深海棲艦。
吹雪「艦イタチ!!!!!!!!!!」
〜艦娘解体新書 〜「技の巻」
吹雪が斬撃が得意な最上と天龍姉妹に鍛えてもらい編み出した技である。
両腕を思いっきり振ることにより真空の刃を発生。
それを飛ばしまくる技である。
名前の由来は艦とかまいたちをかけたものだ。
首や胴体が切り刻まれ倒れる深海棲艦。
町田「なんか俺だけ地味やないか!??!!」
連続で深海棲艦をボコボコに殴り飛ばす町田。
この時以上になんか必殺技が欲しいと思ったことはないとの事。
強いのは強いのだが絵面が吹雪たちと比べて凄い地味であった。
陸自「良し!!!!俺達も続けェェェェェッッッッッッッ!!!!!!!」
「ウォォォォォォォォォォォッッッッッッッ!!!!!!」
[newpage]
怪我人はどうしても出てしまうもの。
しかし、死者数は0。
大金星であろう。
あきつ丸たち率いる陸自と軽く話した後、町田たちをその場を後にした。
あきつ丸「凄い………………。」
一般兵「あれが……檻巌鎮守府…。」
熊野丸「漫画かよ…………。」
一般兵「いやまぁ、艦娘とかの時点で漫画ですけどね…。」
海からもその光景は見えていたようで、野尻と神崎も面食らっていた。
これで少なくとも一部の鎮守府と陸自には檻巌鎮守府の名前は知られたであろう。
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スタスタ…
町田「いやぁ〜しっかし、何がしたかったんやろうな深海どもは。各鎮守府が集まってる時に仕掛けるとは。」
吹雪「鎮守府に残ってる艦娘もいるでしょうし、分散して侵攻…って訳でも無さそうっすよね。」
利根「それよりも会議何話しとったんじゃ?」
電「ろくでもねぇ話らしいぜ。」ケッ
北上「あっ。」
このまま複葉機で帰ろうと思ったのだが、不時着で壊れてしまった事を忘れていた。
困り果てるも取り敢えず木に引っかかっている状況は宜しくない、地面に下ろそうという話になりその場に向かう。
するととても綺麗な黄色に輝く複葉機「ポコンチ号」がこちらを迎えてくれた。
利根「ん?誰じゃあれは。」
工具を持ち、ツナギを着たピンク色の少女。
出で立ちは綺麗でこちらに気づくと笑顔で話しかけてきた。
明石「ども!私明石って言います!さっき助けてもらったので勝手に修理させて貰いましたよ!」
吹雪「明石…………工作艦の明石先輩っすか。」
町田「うぉぉぉぉ!!!綺麗やぁぁぁ!!!ありがとう!!これで帰れるわ!!!!!」
明石「いえいえ!!!もし良かったら私のお店寄っていってくださいね!ジャンク品とか色々揃えてるんで暇つぶしには持ってこいですよ!!!」