第63話「山に潜む邪悪な組織!!!」
カツカツカツ……
どこにあるのか、どす黒い吐き気を催す空間。
それは人ならざるものたちの根城であろう。
「よぉ〜!ル級ちゃん♡」
馴れ馴れしく肩を抱く深海棲艦。
相手のル級はどこにでもいるうちの1体ではない。
あの工場で電を殺し損ね、軽巡棲姫たちとともに逃げたル級だ。
ル級「馴れ馴れしく触ってんじゃねぇぞクソタ級……!!!」
顔に血管を浮かばせ明らかにイラついているル級。
相手は同じ戦艦のタ級である。
その出て立ちから見て、普通のタ級では無いであろう。
タ級「そんな事言って良いのかな〜?私はもう少しでメンバー入りだぞぉ?」
気味の悪い笑みをニッコリと浮かべ、流暢に語り出す。
タ級「私はなぁ、お前みたいなバカと違ってフラグシップになれるんだ。それにこのまま行けば確実に名前を貰える…。数字は噂じゃ7らしいぞぉ?」
タ級「お前の方が先に成りたがってたのにごめんなぁ〜?ま、私がなれた暁にゃ部下にしてやってもいいぞぉ!!」
ゲラゲラゲラ
ル級「それを言いに来ただけかクソ野郎…。」
タ級「それだけじゃない。今からタ級としての最後のお仕事だ。」
ル級「なんのだよ。」
タ級「お前にゃ教えな〜い!そこで見てろや。工場潰されて泣きながら片腕で帰ってきた情けない深海棲艦ちゃんはよ〜!!!」ヘッヘッヘッヘッヘ
そう言うとタ級はその場を後にした。
その最後の仕事をするのであろう。
ル級は書斎に入っていった。
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龍田「持ってきたわよ〜おばあちゃ〜ん!」
ドサッ!と荷物を置く。
中には駄菓子がたくさん入っている。
離れた所では金剛が納品していた。
龍田が天龍に行くところがあると言っていたのは駄菓子屋であった。
少子化どころか、年齢問わずにたくさんの人が生きれない世の中。
その中でも楽しんで欲しいと、生きる喜びになればと思いおばあちゃん(柿田豊音・かきたとよね)は駄菓子屋を開いたと言うのだ。
豊音「おぉおぉ、ありがとうね〜!ワシも前まではバリバリ動けてたんじゃがのぅ。若くないからのぅ…。」
金剛「何言ってるデース!!!今でもお若くてべっぴんさんデース!!!」
豊音「あっひっひっ!!!あんたらには負けるよ!」
最近になって腰が痛くなりあまり動けなくなったが、去年はバリバリ動けていたのだ。
そればかりか御歳96というのが驚きである。
龍田と金剛はどこで知り合ったのか、お店の手伝いをする事にした。
正直、貰えるお金も大した額ではなく精々子供のお小遣いレベルである。
しかし、困っている人を助けるのが艦娘。
少し肌寒い風が靡く季節にも関わらず、2人はいい汗をかいている。
「わぁ〜!!!!おばあちゃ〜ん!!!お菓子ちょうだ〜い!!!!」
豊音「おっ!いらっしゃい、いらっしゃい!!!」
「あっ!おっぱいデカイお姉ちゃんたちだ!!!」
金剛「おっぱい大きいヨー!!!」
アッハッハッハッハッ!!!!!!!
「こらこら、いらん事言うなっての…。すみません。」
たくさんの子供たち、その親や兄弟が駄菓子を買いに来る。
この金剛に頭を下げた男は朋乃稔(とものみのる)は気の良さそうな36歳である。
隣に居るのは重巡衣笠。小さな赤子を抱っこしている。
艦娘は子供を産めない。まず子宮にあたる臓器がエネルギー製造機の役割を果たしているので子宮が無いのだ。
この子は捨て子だったらしく、2人で育てているらしい。
そして良く一緒になって遊んでいるガキンチョたち。
リーダーの隆(たかし)、淳子(じゅんこ)、桜(さくら)、累(るい)、昇(のぼる)。
この歳では男女関係無しに友情がある。
良き関係だ。
因みに子供が来るのに長門は居ないのか?と疑問に思われるかもしれないが、長門はこの間の祭りが行われた保育園にバイトに行っている。
子供たちは国の宝である。
金剛と龍田は納品を終え、子供たちの相手をする。
勿論隆たち以外にもたくさんの大人と子供たちが遊びに来ている。
賑やかで楽しそうだ。
隆「ありがとね、ばあちゃーん!!!みんな行くぞぉー!!!!」
隆たちは駄菓子を買ってどこかに出かけて行った。
夏ではないのに半袖短パン。元気いっぱいである。
豊音「あんまり遠くに行くんじゃないよー!!!」
隆「わかってるー!さっさと来いよ昇ー!!」
昇「待ってよー!!!」
昇は他のメンバーと比べても明らかに太っており、走る度に全体が揺れていた。
その光景を見ながら龍田と金剛は笑顔になる。
金剛「どこに行くんでしょうネー。」
朋乃「あの山ですよ。あそこでよく遊んでるんです。この時期は紅葉が綺麗だから見に行くのかな。」
龍田「山で友達とお菓子かぁ〜。良いわね〜。」
朋乃「しかし……………。」
金剛「なんデス?」
朋乃「最近あの山で変な集団を見たって噂を聞くんですよ。」
豊音「あぁ。このご時世だからね。深海棲艦か、はたまた関係ないイカれた人間か…。心配だねぇ。」
龍田「大丈夫よ〜。何かあっても私たちが動くから。」
金剛とともにニッコリと笑い、他のお客さんの相手をするのであった。
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隆「相変わらず遅せぇな昇!置いてくぞー!」
昇「待ってよー!」ハァハァ…
他の子供は隆に着いて行けてるが昇だけ少し遅れていた。
しかし昇も嫌ではないのであろう。
汗だくでキツそうであるが、どこか楽しんでいる。
隆も虐めている訳ではない。親友だからこそのやり取りだろう。
そこで眼鏡をかけた細い少年の累が何かを見つける。
累「たっちゃん!待って!」
隆「ん?」
累が指さす方向には川があり、何かが流れている。
ここからでは何か判断出来ない。
そこで淳子がリュックサックから双眼鏡を取り出しそれを見つめる。
淳子「あっ!!!!!人だ!!!」
隆「なんだと!!!!」
隆たちは急いで川に駆けつけた。
そこはまだ膝に届くか届かないか程度の深さ、でこの朝方では入ってもなんの問題も無い。
小学生が5人力いっぱい人を河岸に引き上げた。
昇「い…………生きてるの…?」
看護師の母を持つ桜が脈や心臓、呼吸を確かめる。
桜「……………まだ生きてる…。」
それによく見たら深い傷があり、どの道このままでは助からないと判断。
大人たちを呼びに行こうとすると男性は息を吹き返し、隆たちに何かを訴えかける。
隆「えっ…………、なに…?」
耳を口元に寄せ男性の言葉を読み取る。
「に…………逃げ…………ろ………こ……ろ…………され………」
それだけを言い残し男性は黙る。
死んだのかと思うも桜曰く意識を失っただけだと。
隆「何が起きてんだ……。」
累「取り敢えず山を降りよう!」
昇「怖いよ!!!大人の人に知らせないと!!!」
隆「……………………。」
隆「そうした方が良いのかも知れない………でも…ここは昔から…父ちゃんと母ちゃんも遊んでた俺たちの山なんだ……。山を…人を汚すやつは許せねぇ…。」
徐に立ち上がり、この先を進むという隆。
累はこの事を大人に知らせるべく山を降りる。
昇「危ないよ!!!降りようよ!!!」
隆「うるせぇ!俺だけ行く!他のみんなは大人に教えてくれよ!!」
隆はそう言い残し山を登って行った。
それに淳子は着いていき、悩んだ挙句昇も追いかける。
桜は念の為に男性を見ておくためにその場に残った。
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累「ハァハァ………!!!!何が起きてるんだ!!!」
累「うわっっっ!!!!」
何かに躓き、派手に転ぶ。
腕や膝を擦りむき血が流れる。
何に引っかかったのか後ろを振り向くとそこには大人が3人居た。
ただ普通の人間ではない。
邪な目をしている。
「こんなとこ遊びに来ちゃダメでしょ僕。」
「そんな酷い事言うなよ〜。ワザワザメシアのために来てくれたかも知れねぇだろ?」
「それもそうか!」
累は顔面を踏まれ気を失った。
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衣笠「…………なんか遅くない?タカちゃんたち…。」
朋乃「今日はおもちゃの抽選会もあるからすぐに帰ってくるはずなんだが…。」
朋乃は子供たちを衣笠と豊音に任せ、探しに行った。
念の為に金剛と龍田も後を追いかけた。
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隆「なんだアイツら………。」
木陰に隠れ何かを観察する。
ソイツらは謎の服を着ながら滝のそばにある岩をガゴンッと押す。
そしたら滝が裂けるように左右に別れ中に入って行った。
10分程経ってから隆たちも動き、見よう見まねでスイッチを押した。
隆「山にこんな施設があるなんて…。」
淳子「か………帰ろうよタカちゃん…。」
昇「ホントに危ないよ!!!」
隆「うん…………そうだな…。………!!!!」
後ろから足音が聞こえる。
先程のヤツらと同じ服を着ている。
道はこの一本道のみ。仕方なく滝の中に入る3人。
中は何かの研究施設のようだ。
様々な見たことの無い機械や動物のホルマリン漬け。
気味が悪いと思いつつ奥に進む。
すると目の前に橋が現れる。
下は地下であり、先程のヤツらが魔法陣のようなものを床に書き儀式のようなものをしている。
淳子「ッッ!!!!!!」
吐き気を我慢し口を抑える。
下にはバラバラの人間や動物たちが祭壇の上に積まれていた。
隆もこれ以上はマズイ、自分たちもどうにかして逃げないとと思い道を振り返った。
「何してんの君たち?」
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朋乃「何してんだアイツら………!!!!」
朋乃「!!!!!桜!!!」
桜「稔兄ちゃん!!!」
朋乃「誰だその人は!?!それに隆たちは!?!!!」
桜「この人は川で流れてて…!!!それに隆君たちはこの先に行って………!!!!」
朋乃「何が起きてるかも分からないのになんで行ったんだ!!!!」
桜「私たちの…稔兄ちゃんと…パパのママたちの山を守るって…………。」
朋乃「……………。」
追いかけようにもこの場を桜に任せるのは荷が重い。
それに目の前の倒れている男性は傷が深く、このままでは死んでしまう。
桜が薬草で手当を施すも、あまり効果は期待出来ない
朋乃「……………桜は戻…」
「大丈夫だ…。」
男性が意識を取り戻し口を開く。
福田「俺はジャーナリストの…福田って言うもんだ…。俺は良いから…早く子供ら追いかけてくれ…。」
朋乃「…………分かりました……!!」
朋乃は桜に任せ、猛スピードで山に入っていった。
福田「悪ぃな嬢ちゃん…。助かる…。」
桜「うんん、人を助けるのは当然ですから。」ニコッ
福田「………ハハッ…。」
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金剛と龍田は朋乃を追いかける。
するといきなり金剛が止まり、左の方向を向いて遠くをジッと見つめている。
龍田「どうしたの金剛ちゃん?」
金剛「龍田…先に行って朋乃サンを追いかけてください…私は…。」
金剛「この先のクズをぶっ殺してキマス。」
いつもの優しい金剛の目ではない。
戦士の、軍人としての敵を滅する覚悟をした目だ。
龍田はそれに了承し、気をつけてと言い残し山を登る。
金剛はゆっくりと歩き、奥からこちらに来ている邪悪と対峙するのであった。