第69話「旅立ちの時!!!また会うために」
町田「深海……………酋長………?」
眉間に皺を寄せつつ冷や汗を流す。
聞いたことがない。
深海棲艦のドンなのだ。深海棲艦と思ってて当然である。
時雨「そう…。深海酋長は深海提督でもなければ深海棲艦でもない…。それとあと1つしか情報がないんだ。そうだね?港湾。」
港湾棲姫「うん…………。合ってる…。」
長門「……ん?大丈夫かほっぽちゃん?」
酷く怯えるほっぽちゃん。
目を大きく開き、汗が流れ全身ぷるぷると震えている。
長門は慣れているのか優しく、そして強く抱き締め頭を撫でる。
ほっぽちゃんは長門の豊満な胸に顔を埋めた。
電「………………えらい怯えてんな…。そんなヤベェやつなのです?」
時雨「港湾曰く、そいつを殺さない限り深海棲艦は延々と現れるらしい。言わば、生産元だね。」
町田「わかった!!!ほなそいつの場所教えてくれや!!!今すぐにでも殺したらぁ!!!!」
時雨は手のひらを町田たちの前に出し制止。
どうやらまだ説明は終わっていないらしい。
時雨「待って欲しい。気持ちはわかるよ。でもね、まずは拾熄鎮守府たちと合流しないと。それに………」
時雨「今のままじゃ絶対に敵わない。行ってもすぐに殺される。」
吹雪たちは脳裏にあのflagshipたちとアスタロッサが浮かぶ。
一方的では無いが、flagshipに押されていたのは事実。
それにアスタロッサからなる深海提督の事もある。
神通「じゃあどうしろっつうんだよ!!!!!私らまだ改にしかなれねぇんだぞ!!!!!」
雪風「あっ!!井森さん!井森さんです!!!もう雪風たちは十分レベルがあるので絶対になれます!!!行きましょう!!!!」
最上「そっか!!!その手があるね!!!」
大淀「いや!その手もあるけど明石!!!明石が居るじゃないですか!!!!」
皆が明石の方を向き、少しだけその場が盛り上がる。
明石が自信満々に胸を張る。
夕立「無理っぽい。」
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町田「な…………なんでや…夕立ちゃん…。」
夕立「慎太郎さんの深海提督の波動が皆に伝播してるっぽい。もうみんな普通の艦娘じゃないっぽい。だから普通のやり方じゃパワーアップ出来ない……………。」
燕尾たちや艦娘たちが一斉に黙り込む。
時雨「それにそれだけじゃない………。その拾熄鎮守府元い………日畑藤提督と艦娘たちと連絡が付かないんだ………。」
町田「なんやと!!!!!携帯とか………こう…連絡網なんもないんか!?その鎮守府自体はどうなっとんねん!!!」
時雨「もぬけの殻……だね…。」
加賀「ま…………まさか殺されたんじゃ………。」
時雨「わからない…。ただ陰と陽の鎮守府。1人として欠けてしまったらもう終わりなんだ。変わりは付かないんだよ………。」
不安になるもふと周りを見渡す町田。
艦娘たちは不安そうな顔をしている。
ただそれ以上に村人たちが生きた心地の顔をしていない。
燕尾は村長という事もあり、しっかりと気を張っているがそれも空元気であろう。
電「じゃぁどうしろってんだッッッッッッッッッ!!!!鎮守府の奴らは行方不明!!!!電たちは改装出来ねぇ!!!!八方塞がりじゃねぇか!!!!」
時雨「あぁ……。終わりだ…。でもそれはこのままだったらの話だ。」
黒部「それでおんしらたちには鍛えてもらう。今から言うところにそれぞれ別れて行って欲しいんじゃ。」
町田「…………?」
黒部「吹雪!電!睦月!初雪!雪風!おんしらは茨城県にある高御位山(たかみくらやま)!!!」
吹雪「私らが茨城に…。」
初雪「見事に駆逐艦勢だな姉ちゃん。」
黒部「北上!天龍!龍田!川内!神通!おんしらは東京の高尾山薬王院!!!」
北上「お寺…?」
天龍「なんでもいい、とにかく強くならねぇと!!!」
黒部「加古!最上!利根!おんしらは福井県の高雄神社!!!」
利根「む?!筑摩がおらんぞ?!」
黒部「龍驤!加賀!赤城!金剛!比叡!榛名!霧島!長門!おんしらは静岡県の天城神社に行くんじゃ!!!!」
龍驤「えらい多いな〜………。空母と戦艦か…。」
赤城「天城…………。」
黒部「筑摩!大淀!明石!おんしらは儂ら犬咬隊が直々に鍛える。」
町田「…………………え…俺…は?」
黒部「お主は奈良県の丹生川上神社じゃ。そこに行けばわかるじゃろて。」ヒッヒッヒッヒッ
次に時雨が説明する。
深海教は人間と艦娘を供物にする事によって深海酋長にエネルギーと念を渡すための組織。
深海棲艦と深海提督、そして人類を裏切った人間どもで構成されている。
そして深海酋長の復活まで時間が無いとの事。
吹雪「時間は………?」
時雨「多くて半年。 」
半年…。
たった半年で奴らを越えろと。
しかし町田と吹雪たちには断る理由も、臆する理由も無い。
とにかく時間が無い。
3日後までにここをそれぞれ行先に別れ、出発しなければならない。
その間燕尾たちからなるこの地域は黒部と犬咬隊が復興しつつ命に変えてでも守ると宣言。
村人は力になれず申し訳なさそうな顔をしていたものの、それに対し町田たちは強なって帰ってくると笑顔で伝えた。
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吹雪「…………んじゃ、行ってきます。」
それぞれがカバンやリュックに荷物を詰め込み、少し明石の手によって豪華になった鎮守府の外に集まっていた。
少しの間家族であるみんなと会えなくなる。
最後に学生のスポーツ魂のように円陣を組み、絶対に強くなって帰ってくる事。死なないこと。
それを互い互い胸に刻み込み、それぞれの場所にいくためその場を後にした。
それを筑摩、大淀、明石が手を振り見送る。
大淀は少し泣いていた。
心配もあるだろう。それ以上に寂しいのかもしれない。
しかし自分たちも遊んでいい訳では無い。
犬咬隊に直接鍛えてもらいつつ、消息不明の拾熄鎮守府を探さなければならない。
黒部「健闘を祈るぞ………お前ら………。」
燕尾「絶対に………帰って来るんじゃぞ…。」
その場には村人たちも居た。
みんながいつ帰ってきても大丈夫なように、復興しかり元気な姿を見せるために腹を括る。
しばらくして全員の姿は見えなくなっていった…。
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駅のホーム
睦月「うぇぇ〜…………寂しいよ〜〜……。」
電「うるせぇのです!泣くなこんなんで!」
雪風「何も一生会えなくなるわけじゃないんです。」
優しく背中をさする雪風。
睦月は泣きながら比叡が作ってくれたおにぎりを食べていた。
電「また会うために行くんだろうが。ちょっとぐれぇ辛抱すんのです。」ガシュッ!!
タバコに火をつける電。
吹雪「深海教が破壊活動ばっかりしてっけど…公共機関は生きてんだな……。」
初雪「にしても滋賀県から茨城県か………。電車で移動したあとに飛行機か…。途方もないね…。」ハァァァァ〜……
吹雪「どれもこれも強くなるためだ。今のままじゃ絶対に勝てねぇ。」
初雪「…………………そだね…。」キッッ
緩んでいた目元をシャキッとする初雪。
5人は電車に乗り、目的地へと向かう。
吹雪「来たぜみんな。」
電車に揺られながら吹雪は時雨が言っていた事を思い出していた。
(深海提督には艦娘の攻撃は一切通用しない。それは艦娘の気、つまりチャクラに関係するものなんだ。)
(しかし、これを打破する方法が1つ。それが深海化だよ。)
(僕たちはみんな深海化できる。だから安心してここを…村の人たちを任せて欲しい…。)
(無事にみんな帰ってきて…。約束だよ。)
吹雪「……………………。」
ピトッ
吹雪「冷たっ。」
電「な〜に考え事してんのです。電車に乗って旅するなんざこのご時世贅沢なのです。楽しむのですよ。ほれっ。」
電は駅前で買ったコーラを吹雪の頬に当てたのだ。
それを見て吹雪は微笑みながら受け取る。
睦月は相も変わらず泣いているものの、窓から映る景色を眺めながらおにぎりを頬張る。
雪風と初雪はガイドブックを読みながらなにか話していた。楽しそうである。
吹雪「…………そうだな…。どんな状況でも楽しまねぇとな…。」
電「そうそう。つまんねぇ陰気臭ぇ顔すんじゃねぇのです。司令官なんて一人で行かされたのですよ。」
目を瞑りながらチョコを食べる電。
檻巌鎮守府は貧乏でそれぞれバイトなどをしつつ、依頼をこなしてやっと生活ができるレベルの小さな鎮守府。
とても苦しくて贅沢などできないが、ひとつ恵まれているのをあげるならばそれは鎮守府全員がとても仲がいい事であろう。
電「高そうなカメラ持ってるヤツらが度々居るのです。鉄オタってやつか…。贅沢な奴らなのです。」フフフ
吹雪「良いよな…そういうの。にしてもよ…面白いよな…。」
電「ん?何がなのです?てかなんだその手…………。」
話しながら手を差し出す吹雪。
チョコを寄越せということであろう。
チロルチョコを手のひらの上に起きつつ電と吹雪は談笑を続ける。
吹雪「私ら前の鎮守府じゃはみ出しものだったろ?それでお互い提督病院送りにして…追放されて今の鎮守府に着いて……。んで仲間がどんどん増えてって…。お前も嫌じゃねぇだろ?」
電「まぁ…………小っ恥ずかしいけど…居心地は良いのです。…………………正直、大好きなのです。みんな…。こんなどうしもうねぇごんたくれ、大切にしてくれんの我が家だけなのです…。」
吹雪「だな…………。すげぇ巡り合わせだよ…。還元するから檻巌鎮守府か………。面白ぇな。」
電「フフフッ…まるで神話なのです…。おとぎ話なのですよ。」
吹雪たちは談笑しつつ、長旅で電車に揺られるのであった。
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吹雪「着いた……寒いな…大丈夫かお前ら?」
雪風「着込んできて正解です…。」
初雪「ここが茨城県か……。えっと…確かこのルートを行って……………。」
ガイドブックと地図を見ながら目的地へと目指す吹雪一行。
目指すは鹿島神宮である。
すると向こうから男たちが必死の形相でこちらに走ってきた。
どれもこれもイケメン揃いである。
何をそんなに慌てているのか。
睦月「わわっ、どうしたにゃしい?」
雪風「みなさんカッコイイです!」
「ごめんよ!!!どいてっ!!!!!!」
「君たち何処に行くんだ!!!?この先は危ないよ!!!!!行っちゃダメだ!!!」
電「まさか深海棲艦か!!!!」
「えっ!?!違うよ!!!もっと恐ろしいもんだよ!!!!!!俺たちは忠告したからね!!!じゃあ行くよ!!!!!!!」
イケメンたちは脱兎のごとく走り去ってしまった。
吹雪「なんだぁ………?」
電「この先にとんでもねぇバケモンでも居んのです?」
気を取り直し鹿島神宮を目指す。
睦月「着いたー!!!!!空気が美味しいにゃしい!!!」
初雪「綺麗……………。写真…………撮りたいけど神様に失礼か。周りの自然撮ろう。」
雪風「着いたは良いものの、どうするですかね?」
吹雪「着いたらわかるって言ってたけどよ…どこ行きゃいいんだ…。神主さんに聞いてみるか。」
電「ちょうど掃除してんのです。おーい!」
吹雪たちは神主と思われる人に話をする。
最初は笑顔で話してくれたが、事を話すにつれて真剣な表情を浮かべる。
神主「なるほど…………あなた方が遥々来られた……。話は聞いております。案内致しましょう。」
吹雪たちは言われるがままに案内された道を辿る。
そこは黒部が言っていた山の麓付近であった。
神主「ここからは私共では行けません…。どうかお気をつけて…。」
吹雪「サンキューっすよ神主さん。じゃ!行くか!!!」
山を登る吹雪たち。
慣れない山登りで足が疲れるもやはり艦娘。
汗を流しつつ山頂を目指す。
次第に空が近づき、雲が美味しそうな綿あめに見えるぐらいまで登った時であった。
吹雪「あん?誰か居んぞ………。」
そこには2人の女性と思わしき人物が。
大量の酒とタバコ。
周りにはエロ本が山のように積み上げられている。
「おっ、やっと来たか。」
「遅かったじゃん。いや…早いのか?」
吹雪「あんたらが元檻巌鎮守府の…………。」
吹雪「練習巡洋艦香取、鹿島先輩…。」