痛い………………苦しい………。
なんで………なんで私こんな目に…………そうだ……私…姉を…………みんなを殺そうとしたんだ………………
こうなって………当然なんだ………………
ガラガラッ…………
誰………?
ふ…ぶき………?
そうか…………酷いことされたんだもんね………
私を殺すのも…………当然か………
岩を持ち上げ、下敷きになっていた叢雲を見つめる吹雪。
見下ろす目は何を語るのか。
誰しもが分かりきっていることである。
叢雲「っっ!!!!!」
ドガァァァァン!!!!…………
岩を放り投げ、叢雲を助け抱きしめる。
大怪我をしているので考慮しなければならないが、強く抱き締めている。
その後、両肩を掴み吹雪は話し出した。
吹雪「大丈夫か叢雲?ごめんなぁ、痛い思いさせちまってよ。」
叢雲「吹雪…………あんた………なんで…。」
吹雪「大事な妹だぞ。それに、みんな強力しねぇと深海棲艦ども倒せねぇだろ。」
………………………。
吹雪「今までよく頑張ってきたな。偉いぞ叢雲。」
頭を撫でる吹雪。
叢雲は感極まり、次第に大きな粒の涙を流しワンワンと鳴き始めた。
叢雲「ごめん……ごめんねぇ吹雪………!!!わだじ………わだじぃ……………!!!!!」
吹雪「大丈夫、大丈夫。アイツらに良いように使われてただけなんだからよ。もう大丈夫だから。よしよし…。」
吹雪「んでもって……………おらっ!!!」
ビュンッ!と風を切りながら岡からこちらを伺っていたハ級を真っ二つに。
手首だけ振る版の艦イタチである。
吹雪「深海棲艦どものカメラかなんかだろ。ずっと私らの事見てやがったんだ。」
叢雲「そうだったの…………………ん?」
ビエエエエエェェェェェン!!!!!
暁「いだいよぉぉぉぉぉ!!!!!ごべんねぇぇぇ電ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
電「おぉよしよし。泣き虫なお姉ちゃんなのですよー。もう大丈夫なのです。」
抱きしめつつ背中をポンポンと優しく叩く。
暁はレディの欠片も感じられないほど鼻を垂らし泣きじゃくっている。
他の姉妹もそうであった。
大切な姉妹を傷つけてしまった。
そして殺そうとしてしまった。
悔いや情けなさが全身を、心を襲う。
しかし吹雪たちはそれを大きく、そして強く優しく包み込む。
本当に憎むべきは深海棲艦である、と。
初雪「それにお前らのおかげで改二になれたよ。あんがとな。」ニシシ
睦月「夕月ちゃん助けられて良かったにゃしぃ。」グスン
雪風「姉妹仲良くが1番です!」ウルウル
遠くのところでは215体の死骸が転がる中、鹿島と香取が傷だらけでタバコを吸っていた。
鹿島「あいつら…上手くいったみたいだな…。ゲホゲホッッッッ!!!チッ!!!!」
香取「私らの弟子だぞ…当然…ていうか………ハァ…。たかが200数体でこれか…………。全盛期の10%かそれ以下になってんじゃねぇか私ら…………。」
鹿島「マジでそろそろ寿命やべぇかもな………。でも一先ずは、安心だな。」
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叢雲「………あっ!!そうだ!!!ウチのバカ司令は!?」
吹雪「日畑藤提督だっけか?見てねぇな…。一緒じゃなかったのか?」
夏潮「記憶がほとんど無いんや…。せやから今何してんのかもわからん…。」
電「とりあえず、今は休むのです。お互いボロボロなのです。鹿島神宮に戻ろう………。」
スタ………スタ………
忍び寄る数体の影。
それを見て吹雪たちは大きく目を開く。
吹雪「て…………テメェら………!!!!!!」
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幹部「……………。」
深海酋長「……………。」
深海日棲姫「……………。」
…………………………………。
深海酋長「おい。」
深海日棲姫「えっ、あっ、はい。」
深海酋長「誰が反吐が出そうな絆物語を見せろと言った…………。」
眉間や色々な箇所に血管を浮かべる酋長。
あきらかにキレている。
それもそうだ。見たくもない気持ちの悪い絆をワザワザ見せつけられたのだから。
しかしそれに対し深海日棲姫は慌てることなく更に自信満々な顔をする。
深海日棲姫「やはり艦娘は所詮艦娘という事ですねぇ…。全くクソの役にも立たない。しかし酋長どの。お忘れですかな?艦娘と鎮守府にはあるものがセットでしょう?」
深海酋長「勿体ぶらずさっさと言え。」
深海日棲姫「これはわざとでございます。わざと私目の株を落とさせ、がっかりさせた所から株を上げる。所詮艦娘は露払い。メインは………………」
深海日棲姫「提督同士の殺し合いでございます。」
人差し指を立て、そう語る。
深海酋長「提督だと?拾熄鎮守府の提督も取りえているのか。ならば今どこにいる。」
深海日棲姫「今頃奴は檻巌鎮守府の提督、町田慎太郎の元に行っているでしょう。因みに艦娘どもは手負い。私の一番の部下である駆逐棲姫に掃除に向かわせました。」
…………………………。
沈黙が少し続く。
それもそうだ。艦娘同士をぶつける作戦が失敗したのだから提督同士をぶつけた所で結果は同じでは無いのかと。
しかし深海日棲姫は得意げに話を進める。
深海日棲姫「奴は普通の提督ではありませぬ。流れているのですよ。こちらの血が。」
深海酋長「……………深海提督か。」
深海日棲姫「えぇ、その通り。ですから艦娘よりも帰って扱いやすいのです。それに私のマインドコントロールだけでなく、ドクターが作った洗脳薬も飲ませております。期待は裏切りませぬ。」
深海酋長「……………次は無いぞ。」
深海日棲姫「心得ております。」フフフッ……
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町田「ってことは!!!解決したんでっか!!吹雪らは大丈夫なんすよね!!!!」
麻田「あぁ、大丈夫じゃ。神仏のおかげじゃのぉ…。」
日向「瑞雲のおかげでもあるだろうな。素晴らしい。」
伊勢「瑞雲関係なくね…?でも良かった…。これで一安心ね。それに他の深海棲艦も倒したんでしょ?提督?」
麻田「あぁ、無論。他のメンバーも無事に……ん!!?!!これは…………!!!」
穏やかな表情が一変。
冷や汗を流し、麻田が動揺した顔でこちらに向き合える。
町田「ど、どないしたんでっか!!?」
麻田「これは困った…………。」
伊勢「どうしたのさ!!!」
顎に指を当て何か悩んでいる麻田。
伊勢と日向の方に歩き2人の間に入る。
どうしたのか真剣に町田が眺めていると………
モニュモニュモニュ
麻田「2人とも大きな胸で肩が凝っておるのではいか!?!!」
伊勢と日向の胸を揉みたかっただけらしい。
町田はずっこけ、伊勢と日向はイライラしながら裏拳を麻田の顔面に放つ。
障子をぶっ壊しながら麻田はどこかに転がっていった。
伊勢「変態クソ爺…。」
日向「瑞雲。」
町田「ただのエロジジイかよぉ!?!何事かと思ってしんぱ…………………ぁん?」
油断していた。
伊勢と日向、町田から見て2人は2~3m程の場所に立っていた。
町田はあぐらをかき、先程のやり取りを見ていた。
ここは天空龍こと高龗神が祀られている神聖な場所。
深海棲艦からは守られていると思うのは当然である。
しかし、そのせいで全く対処出来なかった。
今町田たちが居るのは本殿の中。
町田が声を出し振り返ったのは理由があった。
左肩を掴まれたのだ。
すぐ後ろに現れた暗黒の次元の裂け目。
そこから半身だけ体を出す影に。
町田「ひ……………大輝?」
すぐに伊勢と日向は殴りかかった。
しかし間に合わず、町田は次元の裂け目に連れていかれてしまった。
そして伊勢、日向の蹴りとパンチは当たることなく裂け目は消滅。
伊勢「ま…………まずい………!!!」
日向「クソッ!!!完全に油断していた!!!!」
焦る2人。
町田は一体どこに連れていかれたのか……………。
[newpage]
ドサッッッッッ!!!!!!
町田「ぶえっっっっ!!!!!」
投げ出される町田。
お尻を抑えつつここはどこなのか見渡す。
町田「なんなここ…………リング…?」
ワーワー!!!!!
ギャーギャー!!!!!
コロセーーーーー!!!!!
バラバラニシローーーーー!!!!!
周りにはこの世のものとは思えない顔の人間と深海棲艦の集まり。
ヤジと唾を飛ばし、町田にバッドサインを送っている。
今倒れている場所はプロレスやボクシングのリングを彷彿とさせる。
違いを上げるとするなれば、一辺が6~6.4m程のサイズに対しこちらは14~15m程のロープに囲まれている。
天井は真っ暗である。
ふとなにかに気づき後ろを振り返る。
そこにはイケメンの男がダルそうにポールにもたれかかっていた。
町田「お前………大輝やんな…。大輝やろ!!?!」
日畑藤「……………………………。」
町田「久しぶりやな………!!!ごめんな連絡取られへんくて……!俺や!町田慎太郎や!!!幼なじみの!なんでこんなとこにおるんや………?まさか………艦娘の子らみたいに操られてんか………?」
日畑藤「………………。」
町田「俺や!!!目覚ますんや大輝!!!」
手を差し伸べる町田。
少し間が空いた後、スタスタと日畑藤は町田に向かい歩き始める。
町田「あぁ………!ひろ…」
ドゴォォォォッッッッッッッ!!!!!!!
右頬をぶん殴られ町田は回転しロープサイドまで吹っ飛んだ。
何をするのかと日畑藤を見ると舌をベロンッと出し、上半身をだるそうにダランと屈み、右の指は3、左の指は4の数字を出している。
町田「………………………そうかよ。」
何かを決意した町田。
そのまま軽い準備運動をし、ボクサーのようにステップを踏みジャンプ。
町田「久しぶりにするか……………。」
町田「喧嘩。」
カァァァァァァァァァッッッッッッッッッンンンン!!!!!!!!!
ロ級がゴングを鳴らす。
その瞬間町田と日畑藤はお互い目掛け走り出し、拳を交える。
クロスカウンター同士。
それぞれが顔面にヒット。
間髪なしに日畑藤の左フックが更に顔面に入り、右膝が鳩尾に入る。
と思いきや町田は両手で右膝を掴み、勢いのまま背負い投げ。難なく華麗に着地する日畑藤だが後ろからは町田の前蹴り。
右腕で払い、背中に回し蹴りを仕掛ける。
しかし当たる直前町田が仰け反りながらジャンプ。
こちらも華麗な回避である。
着地にすかさず貫手を繰り出す町田。
しかし相手に届く寸前でしゃがまれボディブローを受ける。
町田「ゴバッッッ!!!!!」
下からの上段蹴りが顎に命中。
宙を舞う町田の顔にかかと落としをしかけるも町田はまだ死んでいない。
腕をクロスさせ足を挟む。
そのままローキックで日畑藤のもう片方の足を払う。
バランスの崩れた日畑藤。
両手で体を支えようとするも左足は町田に挟まれている。
バランスが取れずそのまま倒れる。
そこに町田はエルボードロップ。
日畑藤「ゴブッッッッ!!!!」
ナニシテンダァァァァーーー!!!!!
ヒバタフジシッカリシロオオオォォォーーーー!!!!!
腕を挟み腕ひしぎ。
右腕をしっかりと持つ町田。
町田「これで………どないや大輝………!!!!!!って………えっ!!!!!」
町田はなんと少しづつ上に動いている。
日畑藤が腕力だけで持ち上げているのだ。
そのまま日畑藤の真上まで持ってこられ、逆に床に思いっきり叩きつけられた。
町田「ガバッッッッッッッ!!!!!!!」
深海日棲姫「ふん…………………今の所互角…か…。」
町田「ハァ…………ハァ……………ええ加減にせぇよ大輝…………。お前どこまで…………ぁ…?」
日畑藤が四足動物のような構えを取る。
そして体からジワジワと黒い煙が滲み出ている。
日畑藤「フヒィィィィィ〜〜〜〜〜……………!!!!」
町田「あれは確か黒ちゃんと一緒に戦った時に出た……………ってことは大輝お前!!!!!」
ビュンッッッッ!!!!!!
風を切るように突進。
まともに受けた町田。
胸骨がへし折れ、肋骨も4本、内臓も破裂こそしていないがダメージが走る。
町田「ブッッッッッッッッ!!!!!!」
隅のポールに激突。
そのまま連続で殴りかかる日畑藤。
日畑藤「キィィィィィエエエェェェェェッッッッッッッッッッッッッッッッーーーー!!!!!!!」
ズガガガガガガガガガガガッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
町田(ちょっ…………まっ……………死ぬてこれ…………。ていうか俺人生で何回似たような場面に遭遇するんやろか……。)
次第にガードが崩れ、モロにぶち当たっていく町田。
顔や体、全てを躊躇することなく連続で殴る。
町田(あかん………意識がもぅ……………しっかし良くもまぁこんなに殴ってくれんなぁ大輝…………。)
ズガガガガガガガガガガガッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!
町田(痛いなんてもんじゃないぞこれ………お前…ホンマに…………………………もぅ……………………ええ加減にし………)
トドメをさすつもりなのか、右拳に黒いモヤが浮かぶ。
それを迷うことなく町田に突き刺した。
ズスッッッッッッッ!!!!!!
日畑藤の貫手は…鍛え上げられた屈強な体の持ち主・町田の心臓に突き刺さった。
日畑藤「フッハハ♪」
キィィィィィエエエェェェェェッッッッッッッッ!!!
ヤッタゾオオオォォォォォーーーー!!!!!
テイトクガシンダァァァァァァッッッッ!!!!
シンカイキョウノショウリダァァァァァ!!!!!
深海日棲姫「すぐに首を刎ねるのだ!!!!!」
腕から血が滴り落ちる。
そのまま引き抜こうとした時…
ガシッッッッ!!!!!
日畑藤「!??!!!」
町田の右手で掴まれた!!!
町田「サンキュー大輝ぃ…………。目冷めたわ…。」
青白く両目が光り、体には漆黒のラインが浮かび上がる。