艦これevolution   作:銀ノ森 睾

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第84話「闇の手中!!!」

ガヤガヤ……ガヤガヤ……

 

シュボッ

 

………………フゥーッ…

 

外に出て一服を吸う。

この男、金剛と龍田、そして地元の人達に助けられたジャーナリスト・福田年春。

先程の官房長官の話を聞き終え、辺りを見渡す。

 

福田「…………………おかしい…。なんで国会議事堂周りは綺麗なんだ…?」

 

日本全土大震災。

まだ被害が少なめな場所は北海道や九州、四国や島々などで本州は大打撃を受けたはずである。

しかし、この政府直管の議事堂や周りは多少クラックが入ってある程度で比較するまでもない。

官房長官の話、総理大臣の考え、そしてこの被害の少なさ。

福田の中で、ある結論に至った。

 

福田「間違いねぇ………政府は深海側とつるんでやがる…。」

 

そう確信すると、手帳を取り出す。

中にはジャーナリストとして記録した様々な情報、そして彼女である青葉と交換した情報が記載してある。

 

福田「どうにかしてデータか資料を抜き取らねぇと…。ワクチンもどうせろくでもないシロモンだ…。」

 

福田(順次全国の国民に打っていく…。拒否権は無しときた…。)

 

福田「仲間が欲しいところだが…あんまり信用出来ねぇしな…。どうすっか………………。」

 

また議事堂を見上げる。

昼間はまだ人が疎らであり、夜に決行する事にした。

あまりしたくはないが、手荒な行動も視野にいれていた。

パカッと携帯を開く、青葉から何件かメールが届いている。

中を開き、内容を読む。

 

福田(歪な塔……?北海道、四国、九州、佐渡島…それぞれに1つずつ急に現れた…。どれもこれも本州じゃねぇ…。やっぱりここは守られてんのか…。震災で死んだら都合が悪い………………やはり…。)

 

福田「縁原総理大臣か…。」

 

[縁原平香 「ふちはらべいこう」]。現日本の総理大臣であり、深海棲艦が現れた78年の1年後、前総理が急死し交代した形でなりあがった。

最初こそ税金を使い上手くやっていったのであるが、今はこの有様である。

その総理大臣が1番怪しいのだ。

この政策も縁原総理が考えたものである。

内情を詳しく知っているものは居ないのか、こちら側に着いてくれる者はいないのかと頭を働かせるが何も浮かばない。

現存の各自衛隊軍部もあちら側であろう。

 

福田「………寒いな…………。煙草…………チッ……さっきので終わりか…。」

 

どこか休める場所は無いかと、とぼとぼと歩き出した。

 

[newpage]

 

夜━━━━━━━━━

 

昼間に食事を取るためにコンビニ寄ると、そこで朝の名倉官房長官の話を聞いていた記者が数人居たので話しかけた。

その記者たちも身近に艦娘や鎮守府があるらしく、この政策はどうもおかしいと話していた。

それも当然である。

本来鎮守府や国民を守るための政策を放り出し、苦しんでいる人を見て見ぬふり。

野良艦なんてものは特に該当するであろう。

政府に頼らず地元民で協力して生きていくしかないこの現状。

そこに漬け込んで暴徒や怪しい宗教も跋扈している。

乗り込む話などこそしなかったが、大体の記者は福田と同じ考えであった。

連絡先を交換し、その場を後にする。

近くのホテルに泊まり、携帯を充電しつつ青葉と連絡を取っていた。

やはりこのホテルも綺麗であった。

 

福田「青葉…、会いてえな…………。」

 

2人は公園で出会った。

福田が趣味のカメラで遊具や鳥などを撮っている時に青葉とぶつかり、そこから意気投合しベンチに座り会話をした。

鎮守府に務めていること、前の鎮守府に捨てられたこと、小遣いを必死に貯めてカメラを買ったこと…。

話し出したらキリが無いが、とても楽しいひと時であった。

福田は職業柄あまり人を信用することが出来ない質であった。

艦娘も穿った目で見ていた。

唐突に現れた深海棲艦?それに合わせるように出現した艦娘?御伽噺である。馬鹿らしい。

どうせ政府が作った兵器か何かだろう。

軍部は密かにアンドロイドなどを作っており、代理戦争でもしているのだと。

しかし違った。

青葉の可愛らしい声、生粋な笑顔、香り、全てが人…いやそれ以上の存在に思えた。

そして福田は子供の時以来、久しぶりに離れたくない人に会ったと心の底から思い連絡先を書いたメモを渡し、その後に何回かデートを重ね付き合うことになったのだ。

鎮守府の提督である日畑藤もたいへん喜んでいた。

 

福田「青葉…………青葉ぁ…………青葉!…青葉!!!!!」

 

かぶり布団を丸め腰を動かしている福田。

 

福田「青葉ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッ!!!!!!!!」

 

「………………………。」

 

福田「………………。」

 

「ごめんね楽しんでるのに。」

 

福田「…………………いえ、こちらこそ………って…………誰だお前ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

 

ドンガラガッシャーン!!!!!!!!!

 

ベッドから転がり落ち、近くに置いていた果物ナイフを手に取る。

 

福田「お前………その姿………!!!!深海棲艦か!!!!!」

 

レ級「落ち着いて!確かに深海棲艦には間違いないけど…味方だから!!!」

 

福田「信用出来るか!!!どっから入ってきやがった!!!」

 

レ級「正面からよ!髪の毛でロック外して…………」

 

福田「俺の事殺す気か!!!政府のまわしもんだな………!!!!!」

 

レ級「違うわよ!お願いだから話…」

 

ホテルマン「どうされました!???!」

 

ガチャッ

 

[newpage]

 

 

………………………………………

 

福田「いやぁ……すみません…。寝ぼけてベッドから転げ落ちたらしくて………………情けない…。」

 

ホテルマン「そうでしたか……。強盗か何かと思いまして…………心配しました。頭などは打ってないですか?」

 

福田「いやぁ!大丈夫です!大丈夫ですよ!」

 

ホテルマン「そうですか…。でしたら良いのですが…。一応フロント近くに軽い診療所がありますので、何か違和感があれば直ぐにお呼びください。」

 

福田「ありがとうございます!どうも!」

 

ホテルマンは一礼し、ドアを閉めた。

そして閉じたドアの後ろからペラッペラになってしまったレ級がヒラヒラと床に落ちた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

福田「じゃあお前のこと信用していいんだな…?レ級だっけか?」

 

レ級「えぇ!どんと頼ってよね!」

 

胸をドンッ!と叩くレ級。

確かに雰囲気からして敵ではなさそうだ。

それに嘘か本当か、壊れた原発の放射能を吸収し被害を食い止めたと豪語する。

わざわざそんなことを敵がするとは思えない。

そんな放射能を吸収したやつの近くにいたら被爆するのではも聞いたが、レ級曰く体内に原子炉がありそこに吸収したので近くにいるだけならばなんの問題は無いらしい。

福田は話を続ける。

 

福田「で…あんた…何しに来たんだ?」

 

レ級「協力して欲しいの。総理大臣抹殺に。」

 

福田「……………ハッ……穏やかじゃねぇな………。人殺しに加担しろってか…?」

 

レ級「あいつは人じゃないわ。半深海人間よ。」

 

福田「半…深海人間…?」

 

レ級「話せば長くなるけど…。」

 

レ級は話を続けた。

深海棲艦側の企みや親玉である深海酋長のこと。

そして総理大臣が繋がっていること。

 

福田(俺の感は間違ってなかったのか…。)

 

レ級「これでも…信用してくれない…かしら…?」

 

福田「…………いや、一応信用する体で進めさせてくれ。この事彼女…青葉にも伝えていいか…?」

 

レ級「拾熄鎮守府の青葉さんね!」

 

福田「知ってんのか!なら話は早い……。これ見てくれ。」

 

メールを開き画面を見せる。

現れた塔の写真だ。

 

レ級「……………………。」

 

福田「これを見てどう思う…。何か知ってるか…?」

 

レ級「…………ちゅぱちゅぱ♡青葉たんは可愛い天使だね☆会いたいよ〜。会ってハグして手繋いでデートしたいよ〜。今度はラブラブフレンチだね!だいちゅきマイラブリーハニー☆愛ちてる♡」

 

福田「…………………?」

 

携帯を見直す。

写真とは違い、青葉とのラブラブメールを見せてしまっていた。

 

福田「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!今の忘れてくれ!!!!!!!」

 

顔を赤らめ手を振り回す福田。

レ級は頬を染め目を瞑り両手をほっぺたに当てクネクネしている。

 

レ級「ラブラブね〜。羨ましいわ〜♡人と艦娘の恋!いいなぁ〜♡」クネクネ

 

死ぬほど恥ずかしい思いをしたが、レ級の動きと反応はやはり深海棲艦のそれではない。

本当に人類の味方なのだろう。

福田は恥ずかしりながら話を元に戻す。

 

レ級「それは深海死柱。あの世とこの世を繋ぐ言わばワープゲート。今はまだ稼働してないみたいだけど。」

 

福田「さっき言ってたお盆に今まで倒してきた深海棲艦が出てくるってやつか!!!!!どうにかできねぇのか!!!」

 

レ級「無理ね。深海酋長が死なない限りバリヤーは怖せないわ。」

 

福田「そうかよ…………!クソッ!!!どうにも出来ねぇのか!!!!」

 

レ級「いいえ、それでこっからが本題よ。今の総理大臣…縁原は特別な深海人間なの。」

 

福田「どういう事だ?」

 

レ級「あいつはね…深海酋長の魂の片割れなの。」

 

[newpage]

福田「片割れ………?ってことは縁原を殺せば…。」

 

レ級「そう。深海酋長の完全復活の目論みは壊れるわ。そしてバリヤーも不安定になる。」

 

福田「なるほどな………。そういや、ワクチンってのは…?」

 

レ級「これの事ね。」スッ…

 

右手にはワクチンの注射が握られていた。

どうやら中身は深海棲艦の血が濃縮されているらしく、こんなものを打たせれば免疫の無い人間はたちまちバケモノになってしまうらしい。

 

レ級「ロット番号によってどの深海棲艦の血が入ってるかは分からないわ…。因みにこの中には飛行場姫の血が入ってるわね。」

 

レ級「青葉さんには絶対に打たないように周りの人達に伝えて欲しいの。震災で心が脆くなっている人に漬け込んで人間を内側から壊そうとしてるのよ。」

 

福田「わかった。因みに総理は今どこに?官邸か?公邸か?」

 

レ級「どっちにも居なかったわ。くらましてるのよ。」

 

レ級「福田さん。貴方は酋長を倒せる鎮守府の片方、その艦娘と関係を持っている…。人質には持ってこいなの。だから貴方を狙う深海棲艦から私が守るわ…。その代わり、協力して欲しいの。」

 

福田「深海棲艦だから表立って行動出来ねぇしな…。わかった!!!頼むぜ!!!」

 

グッ!!!と固い握手を交わす。

総理を見つけ出す間、国民に対してワクチンを打たないように伝えなければならない。

これはもう艦娘と自衛隊、深海棲艦の戦いではない。

地球上、全ての生命の戦争なのだ。

 

[newpage]

時が経ち、2月………

 

復興支援をしつつ、どうにか市民と生き延びている吹雪たち。

ひと月だけではほとんど手付かずで、周りは瓦礫と泥だらけ。

提督たちもどこにいったのか未だ行方知らず。

寒さも強くなり、心に余裕が無くなってくる。

自衛隊…いや元自衛隊の部隊が食料や毛布などを運ぶ。

それを手伝う初雪や夏潮。

吹雪は今ハウスで休憩中であり、窓からみんなの働きを眺めていた。

吹雪たちはほぼ24時間稼働、そして30分くらい休むといった人間ではとてもできない動きをしている。

 

吹雪「…………………………。」

 

ガチャ…

 

吹雪「…ん?おぅ、おかえり雪風…どした?」

 

雪風は頭を抑え、眉が八の字になっている。

 

雪風「叩かれました…。」

 

吹雪「………………。」

 

無言で傍に寄る吹雪。

雪風曰く、学校の体育館で食料を運んでいる時に大柄な男に殴られたらしいのだ。

艦娘なので一般人に殴られたところで痛くも痒くもない。

しかし、雪風は目をうるうると濡らしている。

 

鹿島「泣くなそんなんで…。痛くねぇだろが。」

 

雪風「痛かった………痛かったんです………。あの人…泣いてました…。」

 

その男は毎日被災者の連絡所に足を運んでいたらしい。

息子夫婦と連絡が取れないのだ。

妻は生きてはいるものの、救急外来で病院に運ばれた。

潰れた家の下敷きになり、意識不明の状態である。

余裕の無くなった人の暴力。

それを受けた雪風は涙を流している。

ガシッ!と肩に手を置く吹雪。

あえて言葉はかけない。

すると外でおがり声が聞こえる。

 

「女房と連絡が取れねぇ!!!!連絡所行ってもなにも載ってねぇ!!!!!!!」

 

「ワシの孫はどこじゃあ!!!!まだ家の中におるかもしれん!!!!」

 

「ミーちゃんは!!!ミーちゃんはぁぁぁぁぁ!!!!」

 

自衛隊「皆さん落ち着いてください!!!倒壊した家付近は危険なんです!!!それにまた地震が起こるかもしれません!!!」

 

「頼む!!!行かせてくれ!!!まだ中に居るんだ!!!」

 

「じゃあさっさと探してくれよ!!!何してんだよお前自衛隊はよぉ!!!!」

 

「なんで美也子が…………美也子が………!!!!」

 

自衛隊「……………………!!!!!!頼むから落ち着いてくれ!!!!!俺も家族と連絡が取れねぇんだ!!!!!生きてるのかも死んでるのかもわからねぇ!!!!でも俺らが動かなきゃダメなんだよ!!!!!!」

 

自衛隊は涙と鼻水を流しながら大声を張り上げる。

吹雪はいっぺんにコーヒーを飲み干しハウスを出る。

 

鹿島「おい、お前5分くらいしか休憩してねぇだろ。」

 

吹雪「……………私ら艦娘は家が崩れようが瓦礫にブチあたろうがなんともないんすよ…。動かねぇと…。」

 

鹿島「………………………。」

 

目を瞑る鹿島。

これは肯定と受け取っていいサインだ。

 

━━━━━━━━━━━━━━━

 

ガヤガヤ…ガヤガヤ…

 

電「ん!?何なのです!?こちとら忙しいのですよ!!!」

 

夏潮「外にあきつ丸はんがおるわ。呼ばれたから行くで。」

 

イラつきながらも作業を自衛隊の隊員に任せ、外に出る。

外にはヘリコプターとあきつ丸たちがおり、かなり武装を身にまとっている。

 

バダバタバダバタバダバタ!!!!!!!!!

 

電「なんでお前らそんな格好してんのです?!これからドンパチやりに行くのです?!!」

 

あきつ丸「電殿、鹿島殿と香取殿はどちらに?!!」

 

電「ハウスなのです!!!なんの用なのです!!!」

 

あきつ丸「あの不気味な塔、その周りに深海棲艦の動きがあり緊急要請を受けたのであります!!!」

 

電「どこだよ!!!」

 

あきつ丸「北海道の釧路であります!!!」

 

ヘリコプターの羽の音が響く中、大声を張り上げ会話する2人。

 

鹿島「うるせぇな!!!!!バダバタバダバタ!!!!何の用だごらぁ!!!!!」

 

振り向くと後ろから鹿島と香取、そして吹雪たちがこちらに向かい歩いてきている。

 

あきつ丸「鹿島どの!!!香取どの!!!北海道の釧路に深海棲艦の動きがあったのであります!!!お力をお借りしたい!!!!!!」

 

鹿島「まだ深海解放も出来ねぇのに………チッ………あいつらもう動き始めたのかよ…………。わっーた!!!」

 

目線を横に移す。

 

鹿島「吹雪!叢雲!電!暁!初雪!お前ら行ってこい!!!」

 

あきつ丸「全員では無いのでありますか!!!!」

 

鹿島「まだ改二の筋肉痛があるんだよ!!!それにこっちの復興支援もしなきゃらなねぇ!!!」

 

鹿島「お前らぁ!!!余裕も計画もなんもねぇけどよ!!!死ぬなよ!!!!!」

 

吹雪たち「………………………押忍ッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」

 

睦月「気つけてねぇぇぇぇぇぇッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」

 

雪風「死なないでくださいよおおおぉ!!!!」

 

東雲「お姉ちゃん帰ってこいよおおぉ!!!!」

 

夕月「私達も頑張るからーーー!!!!」

 

夏潮「こっちの事は任せてぇな!!!!!!」

 

吹雪たちはヘリコプターに乗り込みその場を後にした。

目指すは北海道釧路市。

胸中様々な念が渦巻くも、生きている仲間たちのことを思い無事を祈るのであった。

 

 

 

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