手首から流れる血をロープ状にしつつ崩落した建物を登る長門。
長門「……………何だか熱いな……………。」
もう少しで上に着く。
あの金剛が居るとはいえ、やはり心配である。
深海棲艦は寄せ集めの集団ではなく、あの戦艦新棲姫の部下であり連携の取れた動きをしていた。
長門「なっっっ!!!なんだこれは!!!!!」
上に着くとそこにはまるで何かとてつもない熱量で溶けたかのような跡があちらこちらに確認できた。
そしてしゃがみこみ俯いている金剛。
長門「…………金剛………。」
よく見ると自衛隊の屍が至る所に倒れている。
そして深海棲艦も同様である。
皮膚が少し焼けるのも気にせず金剛の肩に手を置く長門。
ジュウ…と音が鳴り肉が焦げる匂いが香る。
金剛「…………センキュー……長門……。でも火傷シマス………………。離れてください………。」
金剛「傷つけるのは…………嫌デス…………。」
長門「何言ってるんだ…、家族じゃないか…………。気にするな……………………、すまん、やっぱ熱いわ。」
金剛「フフフッ…………。」
すぐに霧島の所に行ってやりたいが、2人は外で激戦を繰り広げている龍驤たちの応援に向かった。
霧島なら大丈夫であろう。
それよりもここから見ていると自衛隊やあきつ丸たちが押され気味である。
幹部と戦い疲れているが、そんな事言っていられない。
体に鞭を入れる。
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霧島「リング……………試合形式ね。」
バッッ!!!っとリングの中央まで飛び上がる霧島。
自衛隊たちは周りの深海棲艦に警戒しつつ、霧島のセコンドに回る。
スゥーッと息を吸い込み、大声をあげる。
目の前に居る幹部に向かって。
霧島「私は檻巌鎮守府の頭脳派!!!金剛型戦艦四番艦!!!霧島!!!!!!」
「ほぅ……………名乗りあげてくれるのか…。有難い…。」
南方棲鬼「私はNo.9!!!南方棲鬼ッッッ!!!待っていたぞ戦艦霧島ァァァッ!!!!!!」
バァァァァァァァッッッッッンンンンン!!!!!!
周りに歓声が湧き上がる。
その勢いで会場が大きく揺れ響く。
霧島身長182cmに対し、南方棲鬼身長199cm。
ビキニ姿にボクサーパンツ、全身を満遍なく鍛えているのか筋肉が盛り上がっている。
特に腕が顕著である。
腹筋は綺麗に割れ、並大抵の攻撃は通らないだろう。
目が合っただけで相手の強さがわかる霧島は、少し冷や汗を流す。
しかし決して目はそらさない。
南方棲鬼は自信満々な笑みを浮かべている。
南方棲鬼「どうする?」
霧島「…………えっ…?」
南方棲鬼「試合だ。ボクシング、キックボクシング、総合格闘技、UFC、PRIDE、なんでもいいぞ。」
霧島「選ばしてくれるのね…。淑女そのものね貴方…。じゃあ、私が1番得意なボクシングでお願いできるかしら?」
キュッッ!!!と構える霧島。
南方棲鬼は高笑いし、それを承諾した。
南方棲鬼「良いなぁ!!!実を言うと私もボクシングが1番得意なんだ!!!真正面からの殴り合い!!!それに関してはボクシングが1番美しい!!!!!!!」
南方棲鬼「ルールは人間のボクシングの通りだ。反則はペナルティが付く。ラウンドは…………………3分3round。」
霧島「オリンピック形式ね!!!上等ッッッ!!!」
南方棲鬼「決まりだな…。」
オオオオオオォォォォォッッッッッッッッ!!!!!
[newpage]
ギュギュギュッッ………!!!!!!
ガコッ…
グローブをしっかりとはめ、マウスピースを付ける。
自衛隊は飲み物やタオルなどを用意し、霧島を激昂する。
隊員「霧島隊長………、本気ですか?私はまだアイツらが信用出来ません…。弱ったところを一気に攻め込んでくる可能性もあります。」
霧島「大丈夫ですよ。アイツらは他の深海棲艦とは何かが違う気を感じるんです。特にあの南方棲鬼…。アイツはとにかく強い戦士との戦いを渇望してる。それに応えるのもいいんじゃないかしら。」
スクッ…と立ち上がりスポーツブラにボクサーパンツを身につけコーナーを後にする。
そして勝ってくる、とだけ言い残した背中は頼もしい。
隊員「…………………………お気をつけて!!!!!セコンドは任せてください!!!!!!!」
リ級「南方棲鬼様、お気をつけて。ファイト。」
南方棲鬼「任せろ…………、さて戦艦霧島………。どこまで楽しませてくれるのかな…。」
ツ級「右コーナーッッッッ!!!!!檻巌鎮守府!!!干支艦のーーーー!!!!戦艦ンンンンンンン霧イイイイィィィ島ァァァァッッッッ!!!!!!」
ウオオオオオオオオオオォォォォォッッッッ!!!!!
ツ級「左コーナーッッッッ!!!!!!我らがリーダーッッッッ!!!!!!南方オオオオオォォォ棲鬼イイイイィィィッッッッ!!!!!!!」
ウオオオオオオオオオォォォォォッッッッッッッッッッ!!!!!!!!
両者が中央に揃い、拳を合わせる。
互い互いに目を離さずに睨み合う。
強い、手加減などとてもではないが出来ない。
油断すれば死ぬだろう。
地下格闘技で鍛え慣れているはずの状況、霧島は生唾を飲み込む。
人や野良艦どころではない。
南方棲鬼「楽しませてくれよ。」
霧島「こちらこそ。」
両者離れ、端に寄る。
カッッッッーーーーーーンンンン!!!!!!!
ゴングが鳴り響いた。
バッッッッ!!!!!!!
一気に駆け寄る南方棲鬼。
霧島(ノーガードッッッッ!!!!!!???)
グッと力を入れ、頭をガードする霧島。
鋭いジャブが連続で襲いかかる。
ドゴオオオォォッッ!!!!
霧島(グッッッ!!!!!重たッッッ!!!)
ただのジャブ。されどジャブ。
ボクシングにおいてジャブを大事にしないボクサーなど居ないだろう。
それにだんだんスピードが上がってきている。
ガクンッッッ!!!!!
少し姿勢が低くなる霧島。
すかさず右フックが頭部に飛び交う。
霧島はわかっていたのかバックステップで後ろに下がる。
しかしフックは躱されたものの、南方棲鬼は一瞬で詰め寄る。
ビュンッッッッ!!!!!!!!
右ストレート。
霧島はそれに合わせガードを解きカウンターを狙う。
しかし…
ヒュンッッッ!!!!!
霧島「!!!!!!!!」
右ストレートを一気に引っ込め、その瞬発力を利用し横腹にボディブローがめり込む。
霧島「ゴブッッッッ!!!!!!!!」
意識が飛びそうになるも持ち前の根性でなんとか保つ。
次の攻撃が来る。
南方棲鬼(ほぉ……………倒れんか……。)
霧島はサイドステップを繰り返し、時おりジャブを何発も放つ。
この時点で常人には見えないスピードである。
しかし南方棲鬼は全て避ける。
不敵な笑みも、相手を見下すような顔をしていない。
真剣な顔で全て躱す。
霧島(ならばっっっ!!!!!)
キュキュッッッ!!!!!
南方棲鬼の右サイドで急に止まる霧島。
今度はこちらから左フックを顎めがけ放つ。
スッ……………………
僅かコンマミリ。
軽く後ろに傾きそれを躱す。
しかし、霧島の拳は流れずに顎の位置で止まった。
南方棲鬼「!!!」
グンッッッ!!!と足を踏み込み右ストレートを顔面にぶつける霧島。
パァァァァァッッッッンンンンンン!!!!!!
隊員「……………………なっっっっ!!!!!!」
霧島の拳は少し顔に当たった程度であり、逆に霧島の顎がアッパーカットがクリーンヒットしていた。
これぐらいならば読めていた、とでもいうのであろうか。
南方棲鬼「惜しかったな。」
ヒュンッッッ!!!!!!
ズガガガガガガガガゴガコココゴゴッッッ!!!!!!!
連撃を受ける霧島。
ガードが間に合わない。
霧島「グッッブッッッッバッッ!!!!!!!!」
隊員「霧島隊長おおおおぉぉッッッッ!!!!!!」
隊員「ダメだ!!!!あれじゃ死ぬッッッッ!!!!」
隊員「やめろ!!!!!まだタオル投げんじゃぁねぇ!!!!!!!」
自分の腰に拳を構える南方棲鬼。
ボディブローで決める気なのだろう。
そして霧島の鳩尾に当たる寸前……………
カーーーーーーーーーンッッッッ!!!!!!!
南方棲鬼「1R目終了………………か。」
[newpage]
霧島「ハァッ…………………ハッ………………!!!!!!!!」
全身打撲、左目の下当たりはカットされ血がドクドクと流れている。
あの丈夫な艦娘、それに戦艦なのだ。
にも関わらず顔が腫れ上がっている。
マウスピースもクラックが入っているので新しい物に交換。
急いで手当をする隊員たち。
隊員「カットがひでぇ……………。試合なんか続行できねぇだろ……。」
隊員「艦娘だからすぐに治るはずだ。それより、相手の攻撃スピードが半端じゃない…。」
隊員「…………………なんとか話し合いに持ち込めないだろうか…………。」
ガシッッッ!!!!!!
隊員「!!!」
霧島「だっ……………大丈夫…………ですよ……………、それに…………私の……プラ………イドも……あるので…………!!!」ハァ…ハァ…
隊員「………………………。」
隊員(クソ野郎が…………!!!霧島隊長が体張ってここまでしてくれてんのに…………!!!!!信じずにヘタレなこと考えやがって俺……………!!!!!!)
霧島に頭から水をかけ、そして違うボトルで水を飲ませる隊員。
霧島の目はまだ死んでいない。
自分たちが信じずにどうするのだ。
霧島の肩を叩き激昂する。
隊員「霧島隊長。あいつ、南方棲鬼はガードが少し下がる癖が確認できます。ワザとかもしれませんが、それが次に繋げられるかもしれません。」
霧島「………………………。」コクリッ
わかってる。そう微笑む霧島。
そろそろインターバルが終わる。
スクッと立ち上がる霧島をガッツポーズで見送る隊員たち。
霧島もグローブをパシンッ!と合わせ南方棲鬼に向かう。
南方棲鬼「アイツ…私の連撃を耐えやがった。流石は戦艦だな。」
真剣な顔をしているが、本気で殴りかかったのだろう。
息も少し荒く汗が流れている。
セコンドの深海棲艦が汗をタオルで拭き、水を飲ませる。
そしてその背中を見送った。
[newpage]
カッッッッーーーーン!!!
2Rが始まった。
霧島は先程の攻撃を受けたからかガチガチにガードを固めている。
南方棲鬼はこのラウンドで決めるつもりであろう。
本当ならば先程のラウンドでKOするつもりであった。
しかし相手は干支艦。それに戦艦である。
生半可な敵ではない。
南方棲鬼は霧島に猛スピードで急接近。
懐に飛び込み顎を狙う。
パァァァァァッッッッッッンンンンン!!!!!!
深海棲艦「!!!!!!」
自衛隊「!!!!!」
南方棲鬼「ガッッ…………………!!!!!!」
霧島の左フックがコメカミに命中。
少し目眩がするもなんとか保ち、姿勢を正そうとするも…
ヒュンッッッ!!!!!!
スッッッッ…………
ドッゴオオオォォォ!!!!!!!!!!
南方棲鬼(は……………速い………!!!!!!)
霧島のジャブの嵐。
時おりストレートやフックが飛ぶ。
南方棲鬼は受けてばかりでは話にならないので少しバックステップで下がり、霧島のサイドから攻め込む。
しかしすぐに対応させる。
靴音がキュキュッと鳴り響く。
南方棲鬼(何故急に……………!!!!!)
ヒュンッ!!!!!
右横腹に拳が飛んでくる。
左肘でガードしようとするもその少し上を殴られる。
南方棲鬼「グッッッッ!!!!」
南方棲鬼(重いな……………!!!ガード上から潰す気………)
パァァァァァァッッッッンンンン!!!!!!!!!!
左ストレートが顔面にめり込んだ。
南方棲鬼「ブッッッッ…………………」
霧島「ガード、下がってるわよ。」
深海棲艦「南方棲鬼様!!!!!!」
隊員「す…凄い………!!!にしても何故急に霧島隊長はあんな動きを………!!!?」
隊員「慣れたんだ。」
隊員「えっ………?慣れた…?」
隊員「戦艦霧島だぞ。金剛型自体強いが、その秘訣…というか理由の一つに相手の動きをすぐに見切れるんだ。だから霧島隊長はわざと1ラウンド目で南方棲鬼の攻撃を受けてたんだ。」
隊員「すげぇ……………。」
ブォン………ブォン…………………
南方棲鬼「お……………お前………………!!!」
霧島が前方ガードしつつ8の字に体を動かしている。
あの伝説のボクサー、ジャック・デンプシーが編み出したスタイル………!!!!!!
隊員「デンプシー・ロール!!!!!!!!!!」
ドバァァァァァァァッッッッンンンンン!!!!!!
南方棲鬼の右頬にヒット。
人間や並の深海棲艦ならば首が引きちぎれている。
右サイド、左サイドで連続で殴られる南方棲鬼。
イケエエエェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!
ウオオオオォォォォォッッッッッッッッ!!!!!!!
次で決めるために腰を捻る霧島であったが、その時南方棲鬼の目をしっかりと見た。
死んでいない。
霧島「!!!!!」
ガクンッッッ!!!!!
南方棲鬼は腰を屈め、霧島に向かってパンチを繰り出す。
ドバァァァァァッッッッンンンンンンン!!!!!!!
仰け反る霧島。
霧島(コイツ…………一瞬で……見抜きやがった………!!!!!!!!!!)
そう、デンプシー・ロールの唯一の弱点。
向かってくる方向に対し、同じ勢いでカウンターの如くパンチを繰り出すと同じダメージ量を与えることが出来るのだ。
まぁ、そんなこと出来るやつそうそう居ないのであるが。
しかしここで勢いを殺しては行けない。
霧島と南方棲鬼の体からはエネルギー波が流れている。
どちらも改二、flagshipに超化したのだ。
パンチの勢いが波になり会場に響く。
自衛隊や深海棲艦たちもガードをしつつ2人を見守る。
霧島と南方棲鬼のグローブはとっくに弾け飛び、素手で殴りあっている。
ダメージ量はとてつもないだろう。
そしてデンプシー・ロールの勢いが完全に死んだところでゴングが鳴った。
[newpage]
霧島「ハァ…………ハァ………………!!!!!!!!!」
隊員「……………あれで決めれなかったのは大きかったな…。」
隊員「インファイター同士の殴り合い…それも艦娘と深海棲艦の幹部………………半端ねぇな……。」
霧島のダメージ量がとてつもないのは見てわかる。
しかし、ここで白旗降参などは有り得ない。
すぐにでも高速修復材を飲ませたいがルール違反である。
相手の南方棲鬼も使っていないのだ。
使う訳には行かない。
隊員「次で最終ラウンドです。一気に決めてきてください!!!!!!!!!」
霧島「…………フゥ……………フゥ…………ッッッッ!!!!」コクリ
血に染まる霧島を見送る隊員たち。
次で全てが決まる。
カーーーーーーーンッッッッ!!!!!!!!
南方棲鬼「これで最後だ……………、まさかここまで楽しませてくれるとは思ってなかったぞ戦艦霧島…………!!!」
霧島「私もよ…………。」
南方棲鬼「本気を出せ…、私も…全力で………!!!!!!お前を殺すッッッッ!!!!!!!!」
南方棲鬼「深解ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」
とてつもない激しいオーラが迸る。
次第にそのオーラが形作られ、南方棲鬼の腕にまとわりつく。
南方棲鬼「インファイト・ガトリンガールッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!(激攻の猛攻腕)」
グッッッッッ!!!!!!!と力を入れガードを強める霧島。
次の瞬間霧島はリングロープまで吹っ飛ばされた。
霧島「ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!」
肋が折れ、内臓にも大ダメージ。
腎臓が1つ破裂。
南方棲鬼の腕は機械のような物に覆われ、ジェット噴射口からは煙が上がっている。
ジェットパンチ。
霧島は鼻血をボトボトと流しつつも南方棲鬼の懐に入り込みボディブローをめり込ませる。
しかしボディも硬質化しているのか、逆に拳が砕け血が吹き出す。
南方棲鬼「本気を出せと言ってるだろうが戦艦霧島ァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!
」
ジェットパンチが連続で飛び、霧島はぼろ雑巾のようになり床を転がる。
隊員「霧島隊長おおおおおおぉぉぉッッッッッッッッッッッッ!!!!!」
深海棲艦がカウントを数えるも南方棲鬼が腕を横にし止める。
隊員「なんだよあれ!!!!!!あんなん卑怯だろッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!」
隊員「あれが患部のみ出来る深解……………!!!!!!」
凶悪な野太い腕をガチャンガチャンと鳴らしつつ霧島に向かって歩く。
南方棲鬼「何故本気を出さん…。」
霧島「………………………………。」
霧島「あっ………………………お………おも…………思い出し……た…。」
全身の肉が抉れ、血に染まる体を無理やり起こし立ち上がる霧島。
南方棲鬼「……………………。」
霧島「恥ずかしながら…………………覚えてなくてね…………、でも大丈夫…、今思い出したから。」
折れた指で無理やり印を結ぶ霧島。
ぎこちない動きであるものの、確実に結べている。
そして最後に合掌。
霧島「-解放-」
激しい風が会場に巻き起こる。
全員が霧島に注目する。
風が落ち着き、姿が少しづつ浮かび上がる。
霧島の左腕には黒い狐のシルエットの刺青、右腕には黒い龍のシルエットの刺青が刻まれている。
霧島「龍狐の天秤・天手力。」
[newpage]
南方棲鬼「…………………ほぉ………それが神の力か………。」
奇しくも同じタイプの能力。
殴り合う事に関しては右に出るものは居ない2人。
残り時間も1分をそろそろ切る。
最後のラウンドである。
2人は至近距離まで近づく。
ノーガード。全員が2人を見守る。
生唾を飲み込む隊員。
そしてその隊員の頬から汗が滴り落ちる。
床に落ちるまでものの1秒。
ポチャンッッッ…………………
南方棲鬼「!!!!!!」
霧島「!!!!!!!」
ドガガガガガガゴガガゴココゴカゴゴゴガッッダ!!!!!!!!!!!!!
ガードなんてしている暇などない。
真正面からの殴り合い。
彷彿とさせるはドン・フライと高山の名試合。
血や歯が飛び散る。
霧島の右フックが南方棲鬼の左脇腹に。
南方棲鬼のアッパーカットが霧島の顎に。
ボディブロー、フック、ストレート、ジャブ、全てのチカラを、魂を相手にぶつける。
あまりにもタフ過ぎる。
霧島も南方棲鬼も白目を向きながら笑顔で拳を突き出している。
楽しいのだろうか。純粋な決闘。
そこには恨みつらみも無い。
まるで自然界の食うか食われるかの殺し合い。
自分の全力をぶつけられる相手に出会えて、喜んでいるように見える。
南方棲鬼が霧島の動きに合わせ急ブレーキ。
拳が飛んできたところにカウンターをぶつけるつもりだ。
しかし、霧島も急ブレーキ。
これでもかというくらいに拳を握りしめている。
そして綺麗にクロスカウンターが互いの顔面にぶつかる。
皮膚が大きく裂け、音がはっきりと聞こえた。
霧島「………………………。」
南方棲鬼「…………………………。」
フフフッ……………
霧島「……………………?」
南方棲鬼「感謝するぞ………………戦艦霧島………………、私は……………………お前に出会うために………………今ここに居るのだろう……………。」
南方棲鬼「……………………………楽しかった………。」
綺麗な可愛い笑顔を向け、南方棲鬼は地に伏せた。
霧島「………………………………こちらこそよ…………、次は………………もっといい形で………………。」
霧島「it was a good fight!!!!(いい勝負だったわ!!!)」
カンカンカンッッッッ!!!!!!!!
決着。
[newpage]
自衛隊たちはおお喜び。
急いでリングに駆け上がり霧島を介抱する。
霧島は今にも死にそうだ。というか今生きている自体不思議である。
全身の骨は折れ、肉は抉れ裂け、顔も腫れ上がりどこも痣と血まみれ。
すぐに修復剤を飲ませる。
霧島「………………………プハッッ………ありがとうございます皆さん……………。」
スタスタ………
隊員「え…どこに行くんです…?」
霧島は南方棲鬼を抱き抱え、深海棲艦の元に運ぶ。
霧島「いい試合だったわ。」
ネ級「感謝する、戦艦霧島。南方棲鬼様があそこまで喜ぶのは久々に見た。……………我々もそんな南方棲鬼様に惚れた身だからな…。」
隊員「お前たち………………これからどうするつもりなんだ…?」
へ級「決まってる。戦艦霧島、そして人間たち。」
霧島「……………………………。」
自衛隊「…………………………。」
チ級「必ず勝てよ。」
ヌ級「後は火をつけて処理をしてくれ。」
隊員「…………………それって………。」
そういうと深海棲艦たちは自分たちの首に手刀を当てる。
そして……………………
ズバァァァァァァァッッッッッ!!!!!!!!!
自ら首を切り落とし、命を絶った。
言葉にできない状況であったが、霧島は目を瞑り少ししてから敬礼。
そして自衛隊たちもそれに続き敬礼。
敵ではなく、1人の戦士、そしてそれに続く深海棲艦たち。
男比べならぬ女比べ。
勝った者は負けた者の全てを背負う義務がある。
霧島たちはそれを全て託されたのだ。
霧島vs南方棲鬼━━━━━━━━
霧島の勝利━━