吹雪「出自…?」
全員が疑問を抱く。
不思議そうな顔をしつつ雪風が口を開く。
雪風「なんで今それを?」
鹿島「本来もっと早く言うべきだったんだがな。状況が状況だしな。タイミングを逃した。」
香取「いつまたアイツらが来るかもわからねぇ。最後の戦いが起きる事を考えりゃ…話すタイミングが今しかねぇ。」
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レ級「何企んでんだ。そんな事話してお前らに何のメリットがある。」
軽巡棲鬼を睨みつけ、少し身構える。
サジタリウムの鎖で縛られているとはいえ何時何をしだすか分からない。
油断は大敵である。
軽巡棲鬼「アンタが知りたがってた事でしょ?アジトの書斎を漁っても出てこなかった情報…、それも最大機密。」
飛行場姫(何考えてんだ軽巡棲鬼…!)
ピチピチと跳ねる飛行場姫。
とはいえ本来の姿は小さいイ級である。
テレパシーで話しているのであきつ丸たちには聞こえない。
深海棲艦同士でしか聞き取れない波長での会話だ。
当然レ級にも聞こえているので軽巡棲鬼同様にイ級も睨む。
コマンド・アーミーズたちは録音テープを回しつつ、それらを見守っていた。
レ級「確かに知りたかった。なぜお前らが、艦娘が生まれたのか。レ級は私以外居ないのか、そもそも…なんで殺しあっているのか…。」
軽巡棲鬼「聞きたいんでしょ?話してあげる。」
腕を組みつつ訝しんだ目で相手を見下ろすレ級。
何もかもが怪しい相手。
しかしどこか余裕そうな表情を浮かべる軽巡棲鬼。
あきつ丸「出自なぞどうでもいいのであります。お前らの動向、作戦、部隊の規模、それらをさっさと吐け。」
レ級「お前は黙ってろあきつ丸。」
あきつ丸「あ?」
レ級「怪しいな…。お前らにメリットがない上、そもそも本当のこと言うかもわからない。信じられるか。」
軽巡棲鬼「嘘発見器を作動させられてるから嘘は付けないわよ…。ほんっと…悪趣味よね艦娘と人間どもは…。」
軽巡棲鬼「周りに散らばってる肉片は全部私と飛行場姫の一部だし、情報を聞き出そうとしてたのが途中拷問を楽しんでるようにしか思えなかったわ…。」
レ級「……………………………。」
軽巡棲鬼「で、聞くの?聞かないの?」
少し悩むレ級であったが、しぶしぶ了承し話を聞くことに。
軽巡棲鬼「フフフ…欲求には勝てないわよね。1度しか言わないからよ~く聞きなさいな。」
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かつて古代より空から赤い球、青い玉が落ちてきた。
青い玉からは悪気、赤い球からは良気。
それらは宇宙の果からの贈り物であった。
レ級「赤が艦娘、青がお前らか。」
軽巡棲鬼「お前らって言うけど、アンタもこちら側でしょ。」
レ級「今は、な。」
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鹿島「そもそも私らがいつから深海棲艦と戦ってるか知ってるか?」
睦月「確か戦後間もなくだから…50年代にゃしい?」
香取「あぁそうだ。でもそっから戦禍の火蓋が切られたわけじゃねぇ。」
電「…?じゃあいつからなのです?」
鹿島「戦いが始まったのはもっと昔…紀元前からだ。」
一同「!???!!!??!」
全員が動揺する。
それもそうだ。自分たちはあの大戦の写鏡、軍艦の力を兼ね備えている存在だからである。
しかし不思議に思うことはあった。
軍艦の力を兼ね備えているとはいえ、身長や体重、力などを考えれば軍艦よりも遥かに小さい。
そして大本営に魂として降りてくるというのもおかしな話である。
にも関わらず敵と戦い始めたのは紀元前だと鹿島は堂々と言ったのだ。
鹿島「その前に人間の話をするか。人間は猿から進化した…と言われてるがそれは敵が流した真っ赤な嘘。人間は全員神が生み出した存在。そして最初に誕生したのが日本人。」
香取「そして私たちが最初に生まれたのが紀元前…。深海棲艦も最初からあの形じゃなかった…。私らもな。」
暁「ちょ、ちょっと待ってよ!!!じゃあダーウィンの進化論はどうなの!?」
鹿島「あれは半分本当で半分が嘘だ。」
鹿島「そして私らは前世の記憶こそないが、そんな紀元前に軍艦なんざ無ぇ。昔の姿はそもそも女じゃなかった。」
夕月「……………ってことは男?」
鹿島「そう、そんで提督に属する存在も大多数が女だった。今の反対だな。そしてその昔の私たちの名前はー」
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軽巡棲鬼「刀剣男士。」
レ級「刀剣…………男子?」
軽巡棲鬼「そう、そして私たちの昔の姿は時間遡行軍。」
レ級「…………………………早速嘘つきやがったな。」
軽巡棲鬼「?」
レ級「なんだその名前。時間遡行軍?名前からして未来から過去に送られるって意味じゃないの?バカにすんなよ…。」
眉間に皺ができる。
コメカミに血管が浮き上がる。
真剣に聞いていたのに茶化された気分だ。
軽巡棲鬼「ハッ…、最後まで聞きなさいな。」
軽巡棲鬼「そもそも私たちの戦争は始まってもないし終わってもない。」
レ級「は?」
軽巡棲鬼「現在なんてものも、過去も未来も人間が考え出した概念。でもその理論で話すなら、今の世界は過去の世界…。」
レ級「何言ってやがんだ…。」
軽巡棲鬼「世界って言うのは無数にあるのよ。それに完結してる世界もある。私たちが勝った世界。憎き艦娘が勝った世界…。和解した世界。引き分けた世界。」
軽巡棲鬼「この世界はこれからどうなるかって話しよね。どの世界線になるか…。」
軽巡棲鬼「そしてどちらかが勝ってその買った方の色に染め上げる………。完璧な世界…つまりパーフェクト・ワールドを作り上げる。その任務を担っているのが私たち。」
レ級「意味わかんねぇ話ばっかしてんじゃあねえ!!!!!!!それが何なんだ!!!そもそもさっき言ってた時間遡行軍って何なんだよ!!!」
軽巡棲鬼「過去の世界での話しね。でも完全に負けてしまったわ…。その時は。」
軽巡棲鬼「艦娘…、深海棲艦…。それらは元々1つの存在だった。」
軽巡棲鬼「ひとつの大きな渦の球…。神仏とあの方々の争いで生まれたのよ私たちは。」
レ級「あの方々…?深海酋長か。」
軽巡棲鬼「それは私たちの部隊の長。もっと上の存在よ。」
レ級「あんだよ。」
軽巡棲鬼「邪神。」
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大淀「邪神…?」
はるか昔から行われている邪神と神仏の戦争。
戦力は拮抗しており、決着は未だに着いていない。
そして邪神は神々のちからの源を狙うことにし始めた。
それが人間。
人間とはいえ地球だけではない。
全ての生命体が存在する惑星の住人を引っ括めての人間という意味である。
邪神はその源である人間を殺せば神々の力は弱まり、全ての世界を支配できると判断。
そして玉座にあった球に手を出したのだ。
邪神が触れたことにより球はそれぞれの世界、所謂全てのパラレルワールドに散らばった。
しかし球に触れたのは邪神だけではない。
神々もそれに同時に触れ、同様に散らばったのだ。
港湾棲姫「それが最初に言った赤い球が艦娘、青い球が深海棲艦。」
明石「じゃあつまり私たちは…」
港湾棲姫「人工生命体ならぬ、神工生命体。」
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軽巡棲鬼「でも性質が違った。邪神が触れた球は力は強く、邪なエネルギーに満ち溢れていた。でも神々が触れた球は神々の力が借りれるような性質、その上気持ちの悪い絆という性質も持ち合わせていた。」
軽巡棲鬼「その代わり一人一人の力は深海棲艦の方が上。数量もこっちのほうが有利。最初から邪神の力を持ち合わせているからね。」
軽巡棲鬼「深海棲艦は人間を利用し邪神に力を送りつつ艦娘を制圧。でも最初から邪神のエネルギーを兼ね備えてる私たちは邪神から力は借りれない。でも艦娘は一人一人の力は大して強くない代わりに神々のエネルギーを借る事ができる…。」
軽巡棲鬼「それに人間が居ることでそのエネルギーが大幅に上がる…。その上人間も鍛えれば艦娘同様神の力を借りることが出来る…。言わば互い互いに繋がっていた。」
レ級「修験道とか陰陽師か。」
軽巡棲鬼「そう、私たちの前世…時間遡行軍が敗れたあとは妖怪として姿を変えて戦ったけど…お前らの前世、刀剣男士に負けた。」
レ級「ってことはつまり…………今起きてるこの戦争は…、言ってしまえば第3次宇宙対戦…。」
軽巡棲鬼「それも違う。太古から戦ってるんだから…第10次くらいはいってるわよ。」
レ級「なんで軍艦や刀の姿なんだ?」
軽巡棲鬼「付喪神よ。人間は物を尊び一緒に日常を過ごす。特に相手を殺すような物の存在がわかりやすい。刀もあれば包丁や鍬、銃や戦車、そして軍艦…。赤い球はそれの付喪神的存在。」
レ級「じゃあ仮にこの戦いに艦娘が勝っても…………。」
軽巡棲鬼「また何度でも襲うわよ。科学が進んでどんな姿かたちになるかはわからないけどね。」
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北上「じゃあ永遠に終わらないじゃんッッッッッッ!!!!!」
神通「そんな馬鹿らしい事やってられっかよ!!!」
多摩「待つにゃ。でもひとつの世界に付き、完結時期という物があるにゃ。」
天龍「完結時期…?」
多摩「そう。その完結時期までの戦果によって変わる。そしてこの世界の時期は………………」
多摩「今年の8月。つまりはお盆。」
全員が唾を飲み込む。
この世界においては今年のお盆で決着がつく。
古来より争ってきた全ての戦いがそれで終わるのだ。
泣いても笑ってもである。
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高雄「だから深海棲艦は必死なのよ。今年のお盆で全てが決まるから。それで力を温存してる。」
愛宕「死んだ深海棲艦も復活させてね。」
利根「………………………因みに何体くらい復活する予定なんじゃ…?」
すると人差し指を立て、真剣な顔をする摩耶。
摩耶「およそ100万。一気に襲いかかるはずだ。」
ぞっとする一行。
自衛隊と艦娘を合わせてもとてもでは無いが足りない。
戦力での問題もある。
数の暴力は恐ろしいものである。
それにこれはおよそ、であるからしてもっと多い可能性さえあるのだ。
加古「………人間ってなんで生まれたんだ?」
青葉「人間も神々の戦いを有利にするために?」
それは違うという。
人間は神に近づかせるために、もっと次元を上昇をさせ完璧な世界にするために作られたのだという。
先程言っていたパーフェクト・ワールドの事である。
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改造されたコマンド・アーミーズでさえ驚いていた。
レ級も驚き、汗が流れる。
レ級「大体わかった…………。でもなんでわざわざそんな事を話したんだ。なんのメリットが…………。」
軽巡棲鬼「フヒヒヒヒフハハッアッハッハ!!!!!」
急に笑い出す軽巡棲鬼。
レ級含む全員が構える。
何をするつもりなのか、ただただ開き直っているだけなのか。
軽巡棲鬼「あんたぁ気づいてないのぉ?!やっぱりバカねぇ!!!!」
レ級「何がだッッッッッ!!!」
軽巡棲鬼「アンタが作られた理由!!!アンタは唯一サジタリウムの体制がある特別深海棲艦!!!だからレ級は数体しか存在しない!!!!!!!!」
イ級「ギィィィヤァァォァァォァッッッ!!!!!」(それが近くにいるだけでサジタリウムが脆くなるってなぁッッッッ!!!!!)
バァァァァァァァァッッッッッンンンンンン!!!!!
一気にサジタリウムの鎖を破壊し、イ級共々自由になる軽巡棲鬼。
レ級はすかさずに蹴りを放つが間に合わず、キューブ状になった2人は瞬時にどこかに瞬間移動。
やってしまった…!!!油断はしていなかったが相手の方が一枚上だった!!!
あきつ丸も大きく舌打ちをし、深海棲艦を閉じ込めていた空間には悔しそうな顔をするレ級のみになった。
レ級「クッッッッッソ………………!!!!!!!」
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吹雪「……………戦いが終わったら………私たちは…どうなるんすか…?」
初雪「消えるのか………………?」
鹿島「え?別に?」
ドサァァァァァッッ!!!!!!
ズッコケる一行。
難しいシリアスな話を聞いていたのでてっきり消えると思っていた。
鹿島「艦娘の寿命は正直知らねぇ。なんせ寿命迎える前に殉職してるやつばっかだからな。でも戦争が終わったところで消えるこたァねぇぞ。」
香取「子供は産めねぇけど、肉体はずっと全盛期のまんまだから………まぁ、いい男とセックスでも楽しめや。」
叢雲「相も変わらず下品…。」
話を聞き終えた。
最後の、この世界での最後の戦い。
残るは4ヶ月。
それまでにもっと鍛えておかなければならない。
昔は刀剣男士たちと協力し神々の力を借りて共に人間も戦っていたが、現在はその神の力を借りれる者は極端に減った。
時代の流れや邪神の企みによる神仏離れ。
それはどの国についても言えることであった。
これは艦娘と深海棲艦との戦いでは無い。
この惑星全ての生命体の戦いである。
それに町田たちの行方も未だ分からず。
しかしビビることや臆することは吹雪たちには許されない。心の帯を締め、鍛えつつ復興支援をするのであった。