戯典 ウマ娘転生 ~悪魔に魂を売ったらウマ娘になった件~ 作:Cz75
新宿
朝練をしていたら、ぐらりと空気が揺れた。
その揺れは日本で時折あるような地震の揺れではない。
地面が揺れているのではなく、世界自体が揺れているような揺れだ。
「せ、先輩?!」
一緒に走っていた後輩も異様な空気を感じ取ったのか
「うろたえんなよ! 安全な処……」
「公園、代々木公園!! ここからだと一番近いです」
俺と後輩は頷き、走り出した。
新宿 代々木公園
ぜぇぜぇとランナーらしくない走りで必死に公園にたどり着いた。
途中で変な雷が落ちて落ちた先は限りない黒い何かに変わっていく。
「大丈夫…か?」
「なんとか、生きてます。てか、なんなんですか!」
「俺にもわかんねぇよ!」
ぜぇぜぇと息も絶え絶えになって俺たちはその場にへたり込んだ。
「まさか、世界の終わりってやつか? 冗談もほどほどにしてほしいぜ」
「案外、そうかもしれないですよ」
後輩はそういって天を差した。
そこには光り輝く新しい太陽が作り出されていた。
「な、なんだよ…あれ」
「さぁ…? 先輩はどうします。ここも多分ダメです」
まったくもって同感だ。
「お前は?」
「俺はここにいます。てか立てないです」
「そうか」
気合を入れてゆっくり立ち上がる。
周りを見回すと東京がめくり上がり球体になり始めてる。
「俺は一番底に向かう、元気でな」
多分最後になるだろう言葉を後輩に送り俺は走り出した。
さっき見まわした時に人らしき影が見えた建物に向かって走り出した。
今度はランナーとして恥ずかしくない全力の走りで…
戯典 ウマ娘転生
~悪魔に魂を売ったらウマ娘になった件~
???
「残念だった。君はわずかに届かなったよ」
結局のところ俺は間に合わなかったのだろう。
最後に覚えているのは何かに護られている敷地、全身を光で焼かれる痛みだけだ。
意識が飛んだ後、真っ黒な場所で浮いているような状態で美形の金髪紳士と相対していた。
「そりゃ、残念だ。どなた? あと教えてくれればでいいが、あれは何が起きたんだ」
「私はルイ・サイファー、気まぐれな権力者だと思ってくれればいい。詳しく聞きたいかね?」
「わかる範囲で」
「世界は滅びたよ。宗教連合の内乱が起きて東京受胎という儀式行われたのが原因だよ」
宗教家の皆様はもう少し人を救う事を考えて欲しいなと思う。
「救えねぇ…」
「全くもって、度し難いね」
「同意するね。内乱は仕方ないが世界を滅ぼすのは勘弁してほしい」
「内乱は仕方ないのかい?」
「そりゃ、宗教を言い訳にして人間は何年も戦争してたんだ。内ゲバは競争の結果だ」
「そう言われると君の言っていることは的を得ている。
ところで質問のお代の変わりに聞かせて欲しい」
「何を?」
「簡単な事だよ。なぜ諦めなかった? どうにもならない終わりだ。
後輩と滅びを見物してもよかったじゃないか」
「生きることは競争であり、戦いだ。諦めたらそこで終わりだ。
完封されるまであがくのが人間だろ。あいつも立てて走れるのならきっと最後まで走った」
「それが神の裁定であったとしても?」
「無論、最後まであがくのが生き物の宿命だ」
「実にいい答えだ。その様に答える人間を私は求めていた」
「人間? まるで自分が人間じゃないような言い方だな」
「その通りだよ。名乗ったが私は一言も『自分が人間』だと紹介していないだろう?」
確かにその通りだ。
「アンタは悪魔の類か、なら契約は公平な奴を頼む」
「つまらないな。もう少し言葉遊びをしたかったのに」
「残念ながら、アスリート引退したら実家の神社継ぐ予定だったから、
それなりに耐性はあるし学習済みだ」
「では契約の話をしようか、私が頼みたいのは君に平和な世界でアスリートをやって欲しい。
君が勝つ事でその平和な世界は護られるし、私は利益を得る」
「代償は? あんたは悪魔だ。依頼だとしても何だかんだで代償を要求するはずだ」
「その通りだ。理解が早い必要経費として、君の魂の半分を渡したまえ。
あちらの世界で足りない魂の分は私が用立てよう」
「なんか別の魂と混ぜるつもりか?」
「ああ、不幸な事故で死んで血を殆ど繋げることができなかった
モノ達の魂が私に力を貸してくれる」
「その魂の都合は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。その魂の主神もその魂達も許可を取っている。名前も聞きたいかい?」
「ああ」
「その名はスワーヴダンサー」
その言葉と同時にルイの後ろに雷を纏った鹿毛の馬が現れるその目は俺を見定める。
「その名はシャーガー」
その言葉と同時スワーヴダンサーと同じように嘶きをあげて額に穴の空いた馬が現れた。
「この二頭が力を貸してくれる」
「馬?」
「ああ、この二頭は君がよく知っている馬、オグリキャップに匹敵する力を持っている」
「いや確かにアスリートとしては馬の力なんぞ反則だがいいのか?」
「問題ない、その世界には君と同じようなアスリートが沢山いる」
「修羅の世界か何かか?」
1キロを1分前後で走れるなんて色々とおかしい。
「いたって平和だよ? 伝説的な名馬の力を持つアスリートが鎬を削ってるぐらいだよ」
「オグリキャップも?」
「いるだろうね、怖気づいたかい?」
「いいや、上等さ」
「では契約を結ぼう。確認したまえ」
そういって男は俺の目の前に一枚の契約書を呼び出して俺の前に見せた。
内容は読む限り間違いはない。
「ペンを貸してくれ」
ルイは胸ポケットからペンを取り出して俺に渡す。
最後に自分の名前を書くと契約書はくるりと丸まり、ルイの手に収まった。
それと同時に俺の胸から魂的な物が抜けて、ルイの手に収まり、
それと同時に二頭の馬は俺の中に入り込んできた。
ドクンと心臓が動く感触があると自分と馬の魂が強引にかき混ぜられ、
身体中がミシリと悲鳴を上げ、身体に違う物が無理やり突っ込まれ、それが自分の身体になる。
そんなことになるのだから当然のごとく身体はいう子とも聞かず汗や涎が流れっぱなしだ。
「ああ、一つ言い忘れていた。魂を混ぜるのは激痛があるし、よほど魂の相性が悪いと稀に死ぬ」
サメが笑うような素敵な笑顔で俺を眺めていた。
「てめぇ!」
「ああ、あと君の魂のは半分は馬になってもらうし、
君の知らない世界で主役になってるだろうね」
「な、なに人の魂を好き勝手弄ってくれてるんだ!」
「仕方ないだろ。必要経費の1つだよ。君の半分だけでは世界に居続けることができない。
だから馬の君が必要なんだよ」
「わけ、がわかんねぇよ…この悪魔」
「ああ、その通り私は悪魔だよ?」
さらにニヤリと笑いそう答えた。
「そうだろうなぁ! 畜生!!」
「そろそろ魂の根本を改造するところだ。自分の意思が残る事を祈っておきたまえ」
まぶたが重くなる。少しずつ自分の記憶の中に馬たちの記憶が流れ込んでくる。
「目を覚ました時には君はウマ娘になっている」
なんぞ、そのウマ娘って?
ウマで娘ってどういうことだよ?
ヒーローみたいに悪魔人間みたいに馬っぽい何かになって、
仮面をつけたライダーみたい奴になって真夜中の高速で闇レースでもすると思ってたが?!
意識が虚ろになってそのまま意識が途絶えた。
ずるりと何かから抜けるような感触と急に視界に光が入ってくる。
少しずつ目を開けるとそこは病院の手術室のような場所だった。
周りには手術衣を着た人たちがいて、そのうち一人が俺を抱き上げてていた。
これは俺が生まれ変わったという事なんだろう。
しかし、周囲の声が頭の上の方から聞こえるし、ケツの方になんか変な感触がある。
この変なモノ、自分の意思である程度動かせる。
ケツの方から出てて自分の意思で動かせるもの。
どー考えても尻尾というモノである。
ヘソのあたりにはなんか繋がってる紐もある。
これはどー考えてもヘソの緒だよなぁ。
そして、下腹部に前世ではついてるものがない。
うーむ、男ではなく、女かつまるところ娘で俺の体の中に入り込んだのは馬
なるほどなーつまりこれがウマ娘か!
あんにゃろう、人生リセットは聞いてねぇよ!
世界設定的なアレコレ
三女神と金髪紳士ルイ・サイファーさんが仲が良い理由
属性(アライメント)が混沌より、レースという神々の代理戦争で4文字に低コストで勝てる可能性がワンチャンあるから