ほんとに透き通ってますか???   作:レトルトところてん

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多分この主人公誰来ても負けないんだよなぁ……。

ちなみに主人公のヘイローはガワだけです。中身は絞りカス……。見事黒服は騙されていたわけですね。
でもインチキパワーで中身もパワーアップ出来るから余計にわからなくなってくるわけです。
黒服は矛盾に頭を抱え……まだ抱えてないか。

はい、続きです。


俺には勝てんぜ、お前らは。

 

 

 時刻は午後、3時半と言ったところ。空に浮かぶ太陽は傾き、校舎に吹く風が少し涼しくなってきた。

 

 今は今日やるべき授業が全て終わり、帰りの準備をしているところである。

 

 

 ちなみにホシノはもう帰った。

 

 

 なんだあいつぅ! エリート帰宅部かよォ! とは少し思ったが、何か予定があるのだろう。バイトとかかな?

 

 

 さて、俺も帰るかなぁ……っと、そうだ! 俺もバイト探さねぇとやべぇじゃん!

 

 

 俺の資金は徐々にすり減ってきており、今月いっぱい生き残れるか否か。

 

 

 さっさとバイトしなきゃやべぇ! 悠長にしてる場合じゃなかったァ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 

「いらっしゃいませ〜!」「キャンペーンやってま〜す!」「本日限定メニューいかがですか〜」「ミレニアム初! おもしろグッズ販売中です!」

 

 

 喧しい。

 

 

 

 凄まじいほど多くの人間が、各々の目的のために声高に叫んだり、ティッシュを配ったり、宣伝したり、または足早に繁華街を通り過ぎている。

 

 

 俺は今、学園都市キヴォトス、ミレニアム自治区の繁華街に来ていた。

 

 

 というのも日用品を購入し、働き場所を探すために来たのだ。

 

 

 なぜミレニアム……正式に言えばミレニアムサイエンススクール自治区に来たのかは、ユメ先輩が主催した昼食の場のことに遡る。

 

 

 まぁ簡単に言えば、買い物はどこら辺が良いのかと呟いたところ、ユメ先輩とホシノが口を揃えて「「ミレニアム」」と教えてくれたのだ。

 

 

 故にアビドス中央線を使ってここまで来たわけだが……如何せん近未来過ぎてよくわからないことも多々あった。

 

 街中で宙に浮くホログラムだの、配達ドローンだの、障壁式装甲だの……そして、戦闘用品がさも当然のように存在している。

 

 

 初めはびっくりした。

 

 

 というかアビドス砂漠周りに銃を持った人はホシノ以外居なかったが、ミレニアム自治区ではまるでファッションのように派手な銃を持ち歩いてる女がそこかしこだ。

 

 思わず動揺し、精神の安定を図ろうと身近のコンビニに入ったはいいが、そこでも流行の銃アクセ雑誌や弾薬が売られていたのだ。

 

 

 ここら辺で俺は前世の感覚を改めて捨て去ることを決意し、さっさと必要なものを買って帰るため繁華街に来たわけである。

 

 

 というか見る人間全員女なんだけどどういうこと……?

 

 しかもちょくちょくロボットや二足歩行の服着た動物見かけるし……ブルアカァ! ちょっと意味不明だぞォ!

 

 一体どういう世界観なんだマジで!

 

 

 ここで立ち止まっている訳にもいかない。目的を果たさねば。

 

 

 とりあえず近くの何でもショップ!とやらに入る。

 

 

「いらっしゃいませー! お客様はお目が高いですね!こちらミレニアムの科学の叡智が詰まった様々な品がございまして!」

 

「あ、あはは……そうなんですか?」

 

「はい! 戦車も貫ける弾丸でも3回くらいなら防げるメガネや、爆発すると同時に中に入ったトマトジュースが弾け飛ぶ手榴弾、2連射出来るロケットランチャーなど、色々ありますので、ぜひご購入いただければ幸いです!」

 

 

 もうついていけないわ、わたし……! こいつら人の命をなんだと思ってやがる。死ぬだろ普通に。俺が引っ張るだけで痛いんだから爆弾なんぞ喰らったらヘイローぶっ壊れて精神飛んで廃人コースまっしぐらだよ……!

 

 

 もしや生徒たちは銃弾食らっても平気なのか? ……うーん、一応俺も生徒だけど転んだら()()()()()()し、ヘイローは引っ張ったらなんか痛いしな……。まさか俺だけオワタ式……? んなわけないよな! ガハハ!

 

 

「手持ち少ないので、また後日来ますね」

 

 

 とりあえず生活用品は望めないことがわかったので、さっさと違うとこに行こう。

 

 

 店員さんに断って店を出る。

 

 

「はい! またのご来店をお待ちしております!」

 

 

 元気な店員さんで何よりだ。

 

 

 

 

 

 店を出れば暮れかかった日が黄昏色に染まり、空はそれ一色になっていた。春空に層を成す雲が黄金色に輝いている。

 

 

 学校帰りから一直線に駅まで来てここまで来たからな。それなりに時間も経っている。

 

 

 

「はぁ……さっさと帰りたいんだがなぁ……」

 

 

 

 とりあえず繁華街に来たのは間違いだったか……?

 

 

 こんなとこでバイトできる気もしないし……、かと言ってミレニアム以外だと治安悪いらしいしなー……なんだっけ。C&Cって言ってたか? が治安を維持してるらしい。

 

 ちなみにアビドス自治区はもはや無法地帯だそうだ。私一人じゃもういっぱいいっぱいで〜……っ! とはユメ先輩の言葉である。

 

 キヴォトスじゃ高校がその地区の自治権を持っており、治安維持などを行うらしい。

 

 ぶっ飛んだ世界観だぜぇ! ほぼ県みてぇなもんじゃねぇか!

 

 

 スマホさえあればショッピングモールくらい一発で見つけられるんだが……。

 

 

 人の流れに乗って街道を歩いてみる。

 

 

 周りの人間は女子だけなので必然的に高めの身長の肉体である俺は見下ろす形になるが……みんな色んなヘイローの形をしているんだな。

 

 ちょっと面白い。

 

 

 なんかテンション上がってきたぞ……? 前世俺はド田舎もド田舎でいいところの高校だったからなぁ……! ここは都会と言っても過言じゃない!

 

 ネカフェだってあるんじゃないか? 遅い時間に出歩くのも久々だ。……田舎じゃ夜は暗いだけだからな。

 

 

 人混みに流され続け、疲れたので途中で脇道に入り休憩する。

 

 

 繁華街の路地裏で休憩たぁ、俺も都会チックになったもんよ……。

 

 

 路地裏の壁面には謎のポスターやら治験の誘い、それを塗りつぶすように存在するスプレーの後など、どうにもこの辺りは治安が悪いらしい。

 

 

 ミレニアムにも闇がある……か。何も問題がなければC&Cなんて団体は作られねぇし、そう考えると自然かね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暫し空を眺めたり、列を成して歩いていく人を眺めたりしていると、何やら声が聞こえてきた。

 

 

 声は4つ。

 

 

 ……何やら物騒な気配がする……気がする。わかんないけどとりあえず耳の強化をしておこう。

 

 

 なんだなんだぁ? 聞かせてみなさい。ふぉっふぉっふぉ!

 

 

 路地裏の奥へと耳を澄ます。

 

 

 

 

「あのさぁ、わかる? お高く止まったミレニアムの高慢ちきにはわかんないかなぁ、ここはあたしらの縄張りなわけ」

 

「……? ここはミレニアム自治区だよ? あっ! もしかしてあなたたちはミレニアム生徒会の人かな!」

 

「ばっ、ちげぇよ! 話の通じねぇやつだな」

 

「えー? うーん……やっぱりわかんないかも、ごめんね?」

 

「うっせぇなぁ! いいから金出せばいんだよ乳でか女」

 

 

 

 

 

 眼の強化、暗闇の中でも路地裏の奥を見通せるよう視神経の強化をする。

 

 俺の金と蒼の瞳は、クリーム色のロングの女がサングラスを付け、いかにもオラオラしてる3人組に絡まれているのを捉えた。

 

 

 

 ……なんかすっごい物々しい会話が路地裏の奥から聞こえてきやがる……。

 

 どうする? どうすればいい。俺は今、どうしたらいいんだ。

 

 助けに行った方がいいのか……俺に助けられるのか?

 

 

 

 

 あいつら3人組は明らかに銃を持っている。対してこちらは無手。

 

 唯一の味方らしき存在は平気そうな顔をしてケロッとしている。

 

 

 

 

 この状況を何とかできる術を持っているのか。

 

 

 

 

 ……だったら、何もしなくてもいいんじゃないか。

 

 ミレニアムの生徒らしいし、障壁式装甲だのなんだのを持ってる可能性もある。

 

 俺が、わざわざ手を出さなくたって……。

 

 

 

 

「っ! そっか! わかっちゃった! これがカツアゲってやつなんだね! ということは……悪い人たち?」

 

「……めんどくせぇなこいつ。3対1なんだ。こいつが何したって余裕だよ、やっちまおうぜ」

 

「ああ」

 

「……丁度いいかも。この人たちを連れて行ったらあの面白そうな部活(組織)にも入れるかな」

 

「悪いな。恨むんならミレニアムに入った選択をした自分だぜ」

 

 

 

 

 ……。

 

 

 俺が、何もせずロングの女が死んじまったらどうする?

 

 

 

 心臓の鼓動が速まる。変な汗が背筋から這い出て、じっとりと冷たくなる。自分の首から血が流れる音が聞こえる。目が離せない。

 

 

 3人組が持っている銃に手を伸ばそうとしているのがゆっくりに見える。

 

 

 気付けば俺は体感時間の強化をしていたようだ。

 

 

 

 

 嫌だなぁ……ああ、嫌だ。苦手なんだよ、そういうの。

 

 俺の前でそういうことしないでくれよ。

 

 知らないところでやってくれよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「10秒数える。その間に金出せや。有り金全部だ。出さなかったら……あたしら3人に撃たれる覚悟はしておくんだな」

 

 

 

 遅くなった世界で、ゆっくりと無機質で金属質な、黒い銃に手を伸ばす3人。

 

 不敵な笑みをこぼすロング女。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何もしなくても、この世界に生きる生徒らしくあのロングはこの窮地も乗り越えるのかもしれない。

 

 生徒たちはもしかしたら、銃弾を喰らっても平気なのかもしれない。

 

 俺が手を出すことによって事態が悪化し、俺まで死んでしまうかもしれない。

 

 

 

 

 この場を見捨てて、やり過ごす考えが次々に頭に浮かんでくる。

 

 幾らでも、そんなこと(自己保身)は考えられる。

 

 

 

 

 ……ここはさぁ、学園×青春なんだろ。きっと、これから来る主人公が生徒の全てを救っていくんだろ。

 

 

 でも、主人公が来る前に、死んでしまう生徒はどうしたらいいんだ?

 

 

 いつか来る主人公に救いの手を差し伸べられず、ただそのまま死んでいく、そんな生徒は、どうしたらいい?

 

 

 

 頭が熱くなっていく。血が巡り、心臓が強く鼓動する。

 

 

 

 あぁ、だめだ。ダメな方向にテンションが上がっていく。

 

 

 ほっとけ。ほっとけよ。俺に関係ないだろ。アビドスの2人ならともかく、ここはミレニアムだ。マジで関係ない、ただの他人なんだ。

 

 

 

 ロングを救う誰かは、きっとやってこない。

 

 

 主人公は来なくて、薄汚い路地裏で、終わり。

 

 

 

 

 

 

 プツプツ。鳥肌が俺の肌を覆う。

 

 

 

 

 

 

 

 腹ぁ、立ってきたな……。

 

 

 

 

 いつもそうだ。いつだってそうだった。前世からも変わらず、お前ら(理不尽)は人の痛みを考えることなく、ただ自分勝手に生きていく。

 

 

 なんなんだてめぇらは。

 

 

 何の権利があって、ただ日々を過ごしている人を狙うんだ。気分悪い。

 

 

 

 

 

 力はある。3人全員、銃を撃つ前にぶちのめして、ロングを救えるワイルドカード(ヘイローの強化)が、俺にはある。

 

 

 

 

 

 

 懸念すべきは一つだけ。黒服が、こちらを察知する可能性がある。

 

 

 

 

 ……救ってやるよ。助けてやるよ。間に合わない誰かさん(主人公)じゃなくて、俺がどうにかすりゃいいんだろ。

 

 

 

 

 

 こんなん見過ごしたら、俺の未来に汚点を残す。

 

 人様からカツアゲしようとするようなやつに、俺の人生を汚される。

 

 

 

 自分より弱いやつからしか搾取出来ないこいつらに?

 

 

 ありえねぇだろ。

 

 

 

 

 虐められる方が悪いとか頭の悪いこと言ってる奴がたまに居るけどよォ、虐めるやつの方がわりぃに決まってんだろォがよォッ!

 

 

 全員ぶちのめしてやらァッ!

 

 

 

 ヘイローに力を流入させる。強化、増大、拡大。

 

 

 俺の持つ“神秘”とやらが強化されていく。

 

 

 

 来た、キタキタキタ! 満ち溢れる全能感!

 

 

 ヘイローが輝き、得体も知れぬピンクの光を放つ。

 

 世界は緩やかに動き、五感が全てを察知していく。

 

 

 

 

 

 

 足にほんの少しだけ力を入れ、足首を曲げる。

 

 

 ど お ん 

 

 

 遅くなった世界に間伸びした音が響く。

 

 

 地面にヒビが入り、傍から見れば瞬間移動に近い速度で3人組に接近する。

 

 

 

 狙いは3人。

 

 

 リーダー格っぽいやつの銃身を握り潰し、優しくヘイローにデコピンする。

 

 

 多分気絶するだろ。

 

 

 まずは1人。

 

 

 そのまま取り巻きの2人の持っている銃身も握り潰し、両手でヘイローにデコピンをかます。

 

 

 続いて2人。

 

 

 

 

 知覚する時間すら与えてやらねぇよ。ヘイローに対する衝撃という極大のストレスで気絶するんだな。

 

 

 

 

 強化、解除。

 

 

 

 

「な___________ッ!?」

 

 

 

 ばたり。

 

 

 3人組は、全く同時に倒れた。

 

 

 

 音速越えた速度で動いてたから、ロングからするとなんか影が動いたら3人が倒れてたって形に見えるはずだ。

 

 後始末何も考えてなかった……。

 

 

「ふぅ……」

 

 

「わっ! すっごーい! 今のお兄さんがやったの?」

 

 

 横から声を掛けられる。ロングだな。

 

 

 視線を向けるとそこにはクリームロングの女が……。

 

 

 ってエェ!? ばるんばるんやんけ!

 

 

 これが学生ってマジかよ……発育の暴威だろこんなん。

 

 

 

「……まぁ、一応。お姉さんもあんまり夜にこういう道通っちゃダメですよ。危ないですから。じゃ」

 

「わー! 待って待って! 私、ミレニアムの一ノ瀬アスナ! 1年生! せっかく助けてくれたんだし、何かお礼とかさせてよ! モモトーク交換しよ!」

 

 

 キヴォトスってそこら中に可愛い人がたくさん居るからなぁ。

 

 多分この人もモブキャラなんだろうな。流石に偶然ネームドキャラが襲われてるなんてことはないだろうし。助けられてよかった〜……!

 

 

 にしても……。

 

 

 い、1年生だと……? ありえん……。天に愛された肉体を持ってやがる。

 

 しかも流れるように連絡先交換を迫ってくる……!?

 

 真の陽キャ、コミュ強の人間……ユメ先輩と同じタイプだ。

 

 

「すいませんがスマホ持ってないんで……もう遅いんで俺は帰りますね」

 

 

 見た目ギャルだし、前世じゃこういう陽キャの人苦手だったんだよな……。なんか怖いよね。

 

 

 さっさと帰ろう。何も買えてないけど、アビドスでも駅周辺なら生活用品くらいあるでしょ。

 

 

 元いた方向に踵を返してそちらに向かう。

 

 

「え、うそ! でもほんと……? 今度また会おうねー! 絶対お礼するから〜! 逃げても無駄なんだからね〜!!!」

 

 

 後ろから声が響いてくる……、何あの人こわ。

 

 

 まぁ、これから会うことはもうないだろう。ミレニアム馬鹿みたいに広いし。

 

 偶然、運命に愛されてなきゃ、この俺には辿り着けんぜ。

 

 

 

 ハハッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 生まれて初めて人に暴力しちゃったな……不良放置してきちゃったし……うーん。

 

 まぁあのロング……一ノ瀬? が何とかしてくれるか。

 

 

 

 あ、スーパーあんじゃん! 寄ってこ。

 

 

 

 

 

 




5406文字だってよ。
よう書くもんだぜ。(自分)

感想欄で気付けば曇らせをする前提になっていた……!

思案段階だったんですが、こうなりゃヤケだ!

でもそこまで辿り着かないかもしれないですね(白目)


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