本当はね。ホシノを惚れさせたいと思ってたんだ。
でもなんか気付いたらユメ先輩口説いてたんだこの主人公。なんなんだろうね。
動け! 動けってんだよポンコツが!
はい。続きです。
「落ち着きましたか。ユメ先輩」
「うん……ごめんね? 私、生徒会長なのに泣いちゃって……ホシノちゃんもカナタくんも、どっちもすっごく優しくて……それで、それでぇっ……!」
「あーはいはいわかってますよ〜。一度深呼吸しましょうか」
ユメ先輩の背中に手を置きながら優しい声で声を掛けているホシノ。なんかちょっと適当じゃね? ホシノくん???
……やはり百合の花はやはり非常に尊いものがあるな。
ユメ先輩が号泣したあと、どうにか泣き止ませるために色々声を掛けてみたが、更に泣くという事態になったため今はホシノに任せていただいている。
男子高校生の俺がまさかユメ先輩の身体に触るわけにもいかないしな。普通にきもいし。
「さて、ユメ先輩。他にも話すことがあったんじゃないですか?」
「あっ……! うん、そうだねっ! よし。威厳溢れるユメ先輩の復活だよ! 早速話すね! えっと、まず伝えておきたいのが……今、アビドスの全校生徒は私とホシノちゃんとカナタくんの3人だけなんだ〜……!」
なんですと? 過疎ってるってレベルじゃねぇ。なんでそんなことになってしまったのか……。
さっき、7人の生徒が辞退したって言ってたよな。
そういうこと?
「3人だけなんですね!」
「うんっ!
……違和感はあるが……俺の家にあった制服はアビドスのものだったらしいしな。この肉体は元からアビドスに行こうとしてたはずだ。
置いておこう。
「7人の入学辞退者の理由は何か言われたりしませんでしたか?」
「……もちろん色々言われたよ〜! 砂漠に呑み込まれる高校はちょっと……とか! アビドスじゃ青春出来ない……とか!
不穏なワードがまたもや聞こえてきたぞ?
借金? 借金のある落ち目の高校? 高校って借金なんてするものなの? というか出来るの???
意外も意外の良いとこだが……だからホシノは俺がすぐ居なくなると言ったのか。なるほどな。
「その借金っていうのは、一体幾らくらい何ですか?」
俺が質問を投げかけるとユメ先輩はピシリと止まり、答えづらそうに口を濁した。
「えっ、えーっと……ね……? その……きゅ、9億ゴニョゴニョ万……円……くらいかな〜……」
声がとんでもなく小さくなってしまった……。何も聞こえんぞォ!
「もっと大きな声でお願いします!! 大丈夫です! 俺もホシノも居なくなったりしませんから!」
なんでそこに私も入れるんだよ……とでも言いたげな視線を横から感じるが……
「……ええ、たとえこの
クソガキめぇ……! とんでもねぇカウンター入れられたぜ……! あまり弄るでない! 普通に恥ずかしいから!
「そう……だよね! ごめん、9億8904万円がうちの借金の総額だよ!」
きゅ、9億8904万円……?
9億8904万円!?
ほぼ10億円じゃねーか! 何したらそんな借金出来るのォ!? タワマン5個でも買ったんかアビドスゥ!
「下調べしていたよりも凄いですね……」
「ああ、凄いな……」
「うぅ、お恥ずかしい……! こ、これでも一応減らせないか頑張ったんだよ? でも私だけだと利子の返済も儘ならなくて〜……!」
何やらとんでもないが、今までのアビドス生徒たちは問題なく卒業出来てたわけだろ? なら大丈夫だろ!
「大丈夫です! 今まではユメ先輩一人だけだったんですよね? これからは三人っすよ! 単純計算で3倍早く借金返済出来ますって!」
というかそれって高校の借金なわけだろ? 生徒が払う必要あるのか?
日本が借金しても日本国民が借金してるってわけじゃないように、アビドス高等学校が借金してもアビドスの生徒が借金してるってわけじゃないような……?
「それって返済しないとどうなるんですか?」
「アビドスが……なくなっちゃう……! 利子だけでも返済を続けてたら返済能力が認められて強引に取り立てすることは出来ないようになってるんだけど……返済をやめちゃうとアビドスの校舎だけじゃなくて自治区も取られちゃうんだ〜……」
アビドスの校舎と自治区?とやらが取り立てられちゃうのね。そりゃ返済しないといけないわな……。
「そりゃ返済しないと不味いですね……!」
え? なんか、ブルアカさん???
今のところ何も透き通ってませんけど……? 砂塵と未来に暗雲立ち込める借金しかありませんけどォ!
これがキャッチフレーズ詐欺……っ!
「暗い話はここまでにしましょう。校舎の案内をしていただけますか? ユメ先輩」
場の転換を計るホシノ。思ったより空気読めるなこいつ。
「そうだねっ! これからあなたたちが過ごすことになるところだし、それじゃあ付いてきて〜!」
「はい」
賑やかで慌ただしいユメ先輩に冷静で頭の切れるホシノ。
俺が居なければこのふたりだけだったのか。
ユメ先輩について行きながら思案に暮れてみる。
ソシャゲプレイヤーからすればこれほど心にヒットするものはないだろうな。
借金に苦しみながらも根は優しいホシノがユメ先輩を支えて2人で頑張るストーリー。そして大きすぎる借金をどうにかするために登場するのがプレイヤーというわけだ。
ストーリーラインがしっかり出来てやがる。
となるとメタ的にプレイヤーはこの状況をどうにか出来る術を持っているはず。
借金そのものをどうにかするか、金を貸した側をどうにかするか、借金することになった要因をどうにかするか。
どれだ? まさか借金をどうにかしないというわけもないだろう。
待てよ。そもそも借金することになった要因はなんだ? さっきユメ先輩は旧校舎というワードを出していたな。
ということは前の校舎もあったということ。わざわざ校舎を移転したのか? なぜ?
俺の家よりかは砂漠に遠いアビドス高等学校。
吹き荒ぶ砂に呑まれた街と廃線となったアビドス駅。
……現実にもあるような問題、砂漠化か。
……砂漠化なんて、物理的には有り得るのか? 砂漠化なんて現象が起こるほどここが赤道に近いならいくら学園都市が大きかったとしても学園都市は全体的にクソ暑いはずだ。
確かに砂漠は暑かったが……前世現代日本人の俺が
ワンチャン学園都市が地球の表面を横断するほどでかい可能性もある……待てよ? キヴォトスはそもそも惑星に存在しているのか? いやちゃんと地平線は存在するし地球ではあるんだろう。日本円もあるしな。
明らかにおかしい
もうこの砂漠化なんぞ
んでプレイヤーはその元凶をぶっ飛ばして砂漠化は止まり、砂漠化が止まったことでゴーストタウンと化した街も復興の兆しを見せて、プレイヤーありがとう! ハッピーエンド!ってわけだ。
ファラオっぽい校章のアビドスも砂漠化と絡めて考えるとわかりやすい。エジプト関連がモチーフとなってるんだろうな。
咄嗟に思い浮かぶのはDI○とエジプト神のスタンド使いが居たくらいだが……生徒たちの頭に浮かぶ天使の輪っかは自明ではあるがキリスト教の父なる神に仕える天使が元ネタだろう。形が変だが……、ここアビドスがエジプトがモチーフだと考えると……。
学園×青春で多くの学校があるキヴォトス。
それぞれの神話に基づいた高校があり、それぞれの高校に所属する生徒はモチーフとなった神話の何らかの存在に対応してるんじゃないか?
やはりアビドスはネームドキャラの宝庫だったのか……!
読めたぜブルーアーカイブ! メタ的な視点から読み解く完璧すぎる推理だぁ……!
ダ○ソだのSEKIR○だのエル○ンだのとあるだのの考察を見漁った俺に死角はないッ!
「何してるんですか。さっさと行きますよ」
気付いたら足が止まっていたようだ。
すいません……!
ちなみに前世の主人公は高3です。
しょうもない雑学を見漁ってニマニマしてる一般?男子高校生……!