一部のインチキパワーは本当にインチキですが、果たして主人公くんは気付くことはあるんでしょうか……。
「ここが職員室! と言っても校舎を移転しても肝心の生徒が居ないのか、ちゃんと使われたことはないみたい」
「なんか悲しいっすね! 今後はバシバシ改造していきましょう! 物寂しいんで入る度クラッカー鳴るようにするとかどうです?」
「……カナタくん、君は天才だよ〜っ! アビドスを明るくしていこう!」
「はぁ……。もし使うようになったとして、入る度にクラッカーとか落ち着かないでしょ。もう少し考えてから発言してください」
「見えてきたねー! ここが家庭科室! 私もたまに使うんだ〜! これからみんなでパーティーでもしちゃう?」
「天才ですか? ユメ先輩」
「馬鹿なことを言ってないで早く次に行きましょう」
「むぅーっ! ホシノちゃんは冷たいんだから〜!」
「日光が眩しいね〜! こっちこっち! この建物が泳ぎの練習の時の控え室らしいよ! 私は使ったことはないかな〜……」
「ユメ先輩の……スクール水着だって……?」
「誰もそんなこと言ってないし気持ち悪いのでその真剣な表情を辞めてください」
「すいません……!」
「こっちがプールだね! 長いこと使ってないから、水浸しならぬ砂浸しだよ〜! ここも何か使えるかアイデアはある?」
「……そう言われると難しいな……なんですかね……? ホシノ、なんかない?」
「私に振らないでください……。そうですね……水はまだ出るんですか?」
「……どうなんだろ?」
「試しに水道捻ってみます?」
「いいね〜! それじゃあやっちゃうよぉ〜! えいっ!」
「あの人即決即断かよ……ってちょっ!? 捻りすぎて水こっちまで来てるんですけどユメ先輩!?」
「……私の服が……!」
「あ、あはは〜……その……ごめんね? 替えの制服は校舎に常備してあるから!」
「……別にいいです」
「うひゃ〜! 屋上はやっぱ風が少し強いね〜! 特に屋上には何もないかな〜」
「……ホシノ、俺は今猛烈に感動している」
「……一応聞いてあげますがどうしてですか」
「なんか屋上ってテンション上がるよな!」
「はぁ……次に行きましょう」
「ここもなんかしてあげたいな〜……何がいいかな?」
「プランター……とかどうでしょう! 日光がよく当たりますし、砂嵐が酷い時はブルーシート被せるみたいな!」
「聞いてないし……」
「それで、ここが体育館! と言っても、あんまり使うことはないんだけどね〜……去年は夏頃から私しか居なかったし……」
「うーん……使わないのも癪だし、何かに利用したいですね……」
「ひとつの施設に何かしらしないと気が済まないんですかあなたは」
「勿体ないなーって思いません?」
「……それは、そうですが」
「ホシノちゃんも何かないかな!」
「……そう、ですね……銃火器……格闘……実戦訓練場でしょうか」
「発想が物騒すぎる……!」
「最後はここ……かな! 生徒会室! 私がいつも使ってる部屋だよ! 少しは整理してるけど……あんまりまじまじと見ないでね……?」
「おぉ……! 山積みの紙! 色々付箋が貼られたホワイトボード! 生活感溢れる飲み物を零した跡! ユメ先輩はここで頑張ってきたんですね〜!」
「そ、そうなんだぞ〜! これからホシノちゃんやカナタくんも使うことになるかもしれないから、この教室の位置は覚えておいてね!」
「わかりました」
「俺が迷った時は頼むぞホシノ」
「……先程から急に馴れ馴れしいですね……」
「頼むぞホシノ!」
「このくらい自分で覚えられるでしょう……?」
「さてと、紹介すべきところは大体回ったかな〜……? うん! 回ったってことで! 歩き回ってホシノちゃんもカナタくんも疲れたでしょ〜? お茶でも出すね!」
ユメ先輩率いる御一行は色々な施設を巡り歩き、最終的に元の教室まで戻ってきた。
先導したユメ先輩も結構歩いてるはずだが全く疲れを見せず生徒会室にお茶を取りに行ったようである。
「……なんだかな〜」
「……なんですか」
「やっぱさ、回って確信したけど、アビドス良いところじゃん?」
いや実際マジで良いところだと思うわ。1週間くらいだったら1人でアビドスに住んでもいいくらい雰囲気が良い。
「それは、私もそう思います」
「入学辞退したやつ勿体ねぇことしてんなって思ってさ〜……」
「……それでも、
ホシノもムスッとしてるけど、俺に気遣ってそういうことを言ってくれるあたり何だかんだ良い奴なんだが……自己評価が低いところがあるな。
「ひとつ、言っておくけど。俺が残ったからってだけじゃない。
「……そうですか?」
「そうですぅ!」
「そうですか……」
考え込むような顔をしている。なーんでそんなに考え込むことがあるかね。
思春期の頭の回る若造は謎に自己評価を下げたがる傾向があるからのぅ。
まぁだからと言ってこいつがどうにかなるとは思えないけどネ!
コツコツと速いテンポで廊下を進む足音が聞こえてくる。
「お待たせ〜! 追加でお菓子も少し用意したから、食べて帰ってね! これからもうやることもないし!」
「ありがとうございます!」
ユメ先輩から……なんだこれは。チョコ○ー…のようなものか? 謎のお菓子を何本か貰う。
「……私はけっk「はいホシノの分!」……なんですか」
さっさと帰る雰囲気を醸し出していたホシノにお茶と謎のお菓子の袋を破って差し出す。
空気読めって強要してくるやつが俺はめちゃくちゃに嫌いだが……初回くらいは、一緒に菓子でも食おうぜ!
「俺は
「どういうことなんですか……はぁ……まぁいいです。私としても無料でお菓子が食べられるならメリットがありますし……」
同調圧力上等だぜぇ! 俺は熱血で性格良い感じに思われてるかもしれないがそれは違う。どこまでも自分本位なのさ! バリバリ嘘吐きまくってるしな!
それにしても……露悪的……偽悪的……なんて表現したら良いのか。ホシノはどうやら悪いやつに見られたいらしい。
ツンツンキャラめ。ちんまい身体にツン要素が多く、それでいて根は優しいとかオタクの好感度爆稼ぎだろこいつ。
「えへへ〜! ……良かったな〜! 2人が来てくれて!」
ユメ先輩はずっと顔が蕩けて使い物になりそうもない。
余程楽しいらしい。
ユメ先輩が楽しそうだと俺も楽しいからな。これも俺のためよ。
ホシノは帰ることを諦めたのかサクサクとチョコ○ーもどきを食べてはお茶を飲んでいる。
「……このお茶、美味しいですね。ユメ先輩はお茶を淹れる訓練でもしてたんですか?」
「んふふ〜……へ? んーっと……まぁいっか! 私の実家がそこそこお金持ちでね〜? 美味しいお茶をたくさん飲んでたんだけど……アビドスに来てからは一人暮らしでお金も無いから自分で飲めるように練習したんだ〜!」
「そう言って貰えるなら練習した甲斐があったよ〜!」
ユメ先輩お嬢様だったのか……。たしかに初対面の男にスマホ奢ってやる発言を考えると金銭感覚ガバっててもおかしくないな……。
あ、そうだスマホ…………まぁいいか! 別にあってもなくても変わんねぇだろ! ユメ先輩が思い出したらそんときで良いな。
考え事をしている間にお茶と菓子を食べ終わったのか帰る準備をしているホシノ。
流石にもう引き止めるなんて真似はできねぇな。というか普通に暗くなってきたし。
「お茶とお菓子、ありがとうございました。美味しかったです。では……」
「あっ! ホシノちゃんっ! 私とモモトーク交換しよ〜! ほら! 何かと便利でしょ?」
「……それもそうですね」
そう言うとホシノは懐からスマホを取り出しユメ先輩のスマホと合わせる。
赤外線みたいな感じなのかな。いや流石に赤外線通信は古すぎるか。QRコードとかかね?
「お疲れ様でした」
そそくさと帰って行った……。
「さて、そろそろ俺もお暇しますかね〜!」
「そっかー……もう暗いもんね〜……!」
「じゃ、ありがとうございました!」
俺も帰るとしよう。
教室から出て生徒玄関まで向かう。月明かりが俺の気分を向上させる!
いやぁとんでもない成果ですよ今日は! ホシノとも仲良くなれた気するし、2度目の高校生活……バチボコに色々やってやるよ! 青春×学園なんだろ!
砂に塗れた春なんてお呼びじゃねーんだ!
青い春に変えてやるぜぇ!
靴を履いて小走りで校門を抜け家にダッシュっ!
「また明日ね〜! ふたりとも絶対だよ〜!」
生徒会室の窓から身を乗り出してユメ先輩が叫んでいた。
あの人ウキウキしすぎだろ。もはや子供みたくなってるぞ。
……俺も今は高一のガキだしな。
「はーいっ! また明日ぁぁぁ!」
これもまた、青春の1ページだろう。多分。
今日だけでめちゃくちゃ大きな声出した気がするぜ……。
そいやブルアカのプレイヤー……主人公は一体どのタイミングで現れるのかね。
そう考えるとあまり干渉しない方がいいのか?
……うーむ。でもせっかく仲良くなったのに避けるとかしたくないしなぁー。まぁ別にいいだろ!
月光。星々の視線が降るとある歩道にて。
「……本当に、うるさい人たちですね……」
「……ふふっ……」