獅子の隣に並ぶまで   作:ZZ

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ピクニック・リターンズ

 

ロトムを仲間にしてから数日後、私達は仕切り直して再びのピクニックに来ていた。

 

まぁ、もう食事も終わってのんびりと空気を楽しむような状態だけど。私はいつものようにラプラスの前ヒレの間に座り、背中を預けている。ウインディも花畑の中を駆け回る気はないのか、私達の側でのんびりする姿勢のようだ。伏せの姿勢で目を細めている。

 

そして、とても珍しいことにバチュルが私の膝の上でうとうととしていた。一緒に暮らし始めてまだ数か月ではあるが、真面目さ故か、こういう形の気の許し方はあんまり見たことがないので結構嬉しい。穏やかにバチュルの背中を撫でてやると、バチュルも気持ちよさそうに目をつぶった。ふわふわとした毛並みを掌に感じながらソノオの花畑を眺める。静かで綺麗だった。旅だった頃は春先だったけれど、季節はゆっくりと移ろっていて、そろそろ肌寒さを感じる頃合いでもある。

 

上空で何やらはしゃいでいるバタフリーに手をふって、そっと唇に指を添える。頷いたバタフリーは新入りのロトム相手にはしゃいだ様子を隠しもせず、ロトムを連れて離れた方向へ飛んでいった。

 

薄々感付いてはいたが、どうもあいつ、飛べる後輩が出来たことにはしゃいでいるらしい。ロトムもロトムでなんというか、人を食ったようなところがあるが、可愛がられることに異存はないのか妙に素直だ。まだ仲間にしたばかりなので、性格や好みを探りながらゆっくり距離を詰めているところであるが、この分だと私よりポケモン達の方が打ち解けるには早いかもしれない。

 

ヒトモシとツタージャは揃って花畑の中をお散歩中で、花の中で揺らめく炎を見ると燃やしてしまわないか少し不安になる。そんなことはないとわかっているけれど。ただ、あの青紫の炎、花に紛れると見つけづらいんだよなぁ……、ヒトモシもツタージャも体長低めなので花畑にほとんど埋もれてしまっているのだ。ほのおとくさと言えばタイプ的に仲良くなれるかは不安なとこだったけど、ポケモン達の中で一番ツタージャが懐いているのはヒトモシだ。ありがたいなぁと思うと同時、皆仲がよくてよかったなぁとしみじみ思う。

 

 

まぁ、最初ロトム相手にツタージャがぷいっとやって、ロトムが慌てながらあやそうと変顔しまくって流れ弾を食らった私が笑うとかもあったけど、その辺はおいおい時間が解決するだろう。

 

こくん、と船をこいだラプラスの頭を片腕で抱えてよしよしと撫で、そのままウインディの背中に頭を誘導してやる。しょうがないなぁ、という顔でウインディは背中を貸してくれたが、そんな顔をしているわりにその後ろでしっぽはぶんぶんと揺れているものだから、機嫌のよさは隠しきれていなかった。

 

続けてバチュルの背中を撫でながら、ライブキャスターを開いて色々と突っつく。………ローザからメールが入ってるな。大馬鹿野郎、生きてるか?って失礼な。今年のイッシュリーグはプラズマ団絡みで散々だったらしいし、ローザも今年は優勝を逃したらしいとはニュースで見てたので、なんとなく連絡が取りづらくて、こちらからの連絡は控えてたんだけれど……、どこから私がツタージャの孵化を一人でやったことを聞きつけたんだろう。ツタージャのブリーダーさんからかな。

 

ぽちぽちと返信をうちこみ、顔をあげるとちょうどヒトモシとツタージャが戻ってくるところだった。掌の下で震えたバチュルがぼんやりした顔で目を覚ます。……うーん、ほんと珍しいなぁ。こんな風な顔をしてるところ自体、はじめてみたかもしれない。

 

 

「たー!たーじゃ!」

「モシモシ!」

 

 

声をあげながら二匹は戻ってきたが、途中でラプラスが寝ていることに気づいたらしく途端に声が小さくなった。よく見るとツタージャは背中に何か隠している。おや?と目を瞬かせると、ヒトモシがツタージャの後ろで気づかないふりして!!と必死でジェスチャーをし出した。ほほう?ジェスチャーに瞬きで了承を返して二匹の到着を待つ。

 

 

「たーじゃ」

 

 

私の元までたどり着いたツタージャが、あくまで小声のまま、はい!と背中から差し出してきてくれたのは、束ねた綺麗な花束だった。ぽかん、と口を開けてそれを見る。

 

 

「モシモシ」

 

 

トレーナーにこの綺麗なの持ってきたい!っていうから、的なことをヒトモシが補足してくれるが、それが頭に入らない。

 

 

「……あ、」

 

 

ぽろ、と涙がこぼれ落ちて、ヒトモシとツタージャがぎょっとした顔で目を見開いた。

 

 

 

 

どうしよう、すごく嬉しい。

 

 

 

 

「たぁ!?たー、たーじゃっ……!?」

 

 

花束ごとツタージャを抱えあげて抱き締める。ああ、くそ、嬉しい。嬉しくて涙が止まらない。泣くつもりはなかった。素直にありがとうって伝えて受け取るつもりだったのに、……勝手に涙があふれて止まらなかった。いつぶりだろう、こんな風に泣くの。心配そうに近寄ってきたヒトモシも一緒に抱えて抱き締め、二匹の間に顔を埋めて思いっきり息をすって、ゆっくりはく。

 

 

「……とっても嬉しい。ありがとう」

 

 

なんだか、全部報われたような気がした。

 

 

 

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