全てはスレミオのために…   作:アブファート

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思った以上に文字数が嵩む…
簡潔で分かりやすい文ってどう書くんだ…





見つかった

「あぁもう!どこにいるの!?」

 

スレッタと離れてしばらく

時折聞こえる爆発の音、そして大きな揺れ

 

「無事でいなさいよ…」

 

隔壁を始めとして、プラント内のインフラは殆ど死んでいる

これでは人探しはおろか、己の避難すら危うい

故に、隔壁を操作できるであろうブロックのコントロールルームを目指した

何とか辿り着いたそこには、既に避難を終えたのだろうか、誰もいない

 

「Cブロックがプラントから切り離されてる?どう考えても意図的なもの…、敵の目的って…?」

 

コントロールルームから、各所の監視カメラを見ていくが、探し人が一向に見つからない

既にBブロックにはいない?

とっくに避難を終えているのか、それとも…

 

「何!?」

 

突然、離れた端末が赤い画面になり、大きな音で警告音を鳴らす

この場面でこのアラートがいい知らせとは思えないが…

 

「え…?」

 

画面を確認すると、Bブロック・66番ハンガー

モビルスーツ格納庫の一角、機体を固定するためのマウントに、深刻な物理的損傷が発生しているとの警告だった

 

「66番ハンガーって、まさか…!?」

 

あそこには、あの機体があったはずだ

それが動き始めたということは

 

「そこにいるの?スレアティア…?」

 

急いで端末を操作し、有線のプラント内回線で、ハンガーとのコンタクトを試みる

 

「まさか、またやるつもりじゃないでしょうね!?」

 

やらせるものか

 

こんなところで、彼女を消費させてなるものか

 

「あ、あー、聞こえるわね!?スレアティア!?」

 

ようやくプラント内放送を繋げた

これで間違いなく声は届いているはずだが

 

「今すぐ降りなさい!!誘導するから、とにかくあなたは避難を、って!?」

 

再び画面が赤く染まり、今回は先程とは比べ物にならない量の警告ログが表示される

 

「エアロックエラー?まさか、壁を武装で撃ち抜いたってこと!?」

 

急いで監視カメラを見ていた端末に戻り、66番ハンガーを写す

 

「外に、出るつもり…?」

 

そこには、内と外を遮っていたはずの壁に、断面が煌々と輝く、丸く抉り取ったような穴を開けているモビルスーツがいた

 

「お願い、やめて…」

 

ゆっくりと、その機体は穴へと近づいていく

 

「これは、あなたの役目ではないはずよ!」

 

背中のブースターに火が灯り、推力ノズルが動く

 

「行かないで…スレアティア!!」

 

猛烈なバックブラストを写したその瞬間、監視カメラの接続が途切れた

 

「………」

 

NO SIGNAL、とだけ表示されたモニターの前に、茫然と佇む

 

「助けないと」

 

空っぽになった頭の中に最初に浮かんだのは、たった1つの使命だった

 

「絶対、助けてあげる」

 

この戦闘は、敵が何らかの目的で分断しているCブロックを中心に起きているのだろう

故に、あの子が向かうのも、そっちである可能性が高い

 

「戻ったら、一晩中説教してやるんだから…!」

 

目的地がハッキリしてしまえば、あとは向かうだけだ

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

息が苦しい

 

「はぁっはっはっはっはぁっはっはっはっはっはぁ!」

 

頭が痛い

 

「いっ…う…ぁぁ!?」

 

気持ちが悪い、吐き気がする、体中痒い、意識が朦朧とする

 

「どう、して…!」

 

これが、ガンダム?

違う

エアリアルとは全然違う!

こんなの、ガンダムじゃない!?

だって、エアリアルはもっと…

 

「ユニコーン…」

 

モビルスーツのスピードなら、目的のハンガーまではすぐだ

そのはずなのに、今はこの短い距離が、どこまでも長く感じた

 

「あなた、は…、スレア…さんの、家族…なんじゃ…」

 

霞む視界で、必死に己の家族がいるはずの場所を探す

 

「あ…った!」

 

78番ハンガー、その表示を微かに目視したとき

 

『あれ?あれあれあれあれあれ~~~~?』

 

目の前に、モビルスーツが現れる

 

『それ、ユニコーンでしょ?ということは…、きゃっーー!?本当に来てくれたんだね!?』

 

朦朧とする意識では、何を言われているのか、よくわからなかったが

 

「どいて、ください…!」

 

己の邪魔をする何かだとは、直ぐに理解できた

 

『…?そんな声だっけ?まぁいいや、丁度退屈してたの、遊び相手になってくれる?ていうか、なって!!』

 

銃口が向けられ、ロックオンアラートが鳴ると同時

 

「っ!!」

 

フットペダルを、圧し潰す勢いで踏み抜いた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「父さん!?」

 

ディランザで出撃していった父が、敵のモビルスーツと交戦状態にある

ジェターク社製モビルスーツを使うテロリストに、父は怒り狂っていた

始めこそ、技術実証段階にあるダリルバルデを除けば、ジェタークの最新鋭機であるディランザの高い性能と、搭乗者の高い技量で、一方的な戦闘をしていたが

 

「あのモビルスーツ…!」

 

突然接近してきた、初めて見るモビルスーツ

これが曲者で、徐々にではあるがディランザを押し始めていた

 

「……俺が出る」

「グエル様!?」

 

この船には、もう一機モビルスーツがある

そして、それに乗れるのは俺しかいない

 

「いけません!?CEOからはブリッジに待機という指示が…」

「であれば、この状況を誰が打開できる!?」

 

制止の声を一喝して黙らせ、緊急事態で事前に来ていたパイロットスーツから、ダリルバルデを遠隔起動する

 

「俺にだって、意地があんだよ…!」

 

メカニックに指示を飛ばし、メンテナンス設備を外させ

渋る管制に叫び、リフトに誘導させる

 

『出撃シークエンスオールグリーン、発進どうぞ。…ご武運を』

「あぁ、ありがとう…、グエル・ジェターク、ダリルバルデ、出る!」

 

開放された出撃ゲートの先

死が飛び交う宇宙へ、その身を踊らせた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

まっずいまっずいまっずーい!

総裁マジでまずい

爆発で飛んできた馬鹿でかい破片が背中にぶっ刺さってて、出血が凄い

急いで止血処置はしたが、損傷個所的に焼け石に水だ

ショック症状故か、意識もないようだし

今すぐにでも医療知識のある人間に診せないと、手遅れになる

といってもここどこ!?!?

急ごしらえの担架に総裁を括り付けて、記憶を辿りながら避難エリアを目指すが、所々封鎖されていて思うように動けない

その辺の誘導をしてくれそうな護衛が2人いたけど…、その…、飛んできた瓦礫と壁の…

この話はやめておこう…

とにかく使えそうなものを集めてから移動を始めたけど、その中には彼らが持っていたハンドガンもある

原作通りなら、もうこのブロック内にはテロリスト達が侵入してきてるはずだ

ここで俺どころか総裁まで殺されるのは物語的にもまずい

何よりミオリネが悲しむ

今は、とにかく俺がこのダブスタクソ親父を生かさねばならないんだが…

あっちにウロウロ

こっちにウロウロとしていたら…

 

「ここは…」

 

開けた空間だ

壁と柵に挟まれた通路

柵の向こうは何もなくて

それこそ、モビルスーツだって入ってこれちゃうくらい広い

なんか、見覚えがあるような…?

 

「見つけたぞ…、デリング・レンブラン」

「!?」

 

通路の先の影から

 

「地球に帰れなくても、お前とはここで刺し違える!!」

 

テロリストが、銃口を向けていた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「何よ、これ」

 

通路が崩落している

大きな爆発の余波を受けたのだろう

そこら中には瓦礫が舞い

壁の至る所には赤が散りばめられていた

その中心である、大きな瓦礫と、大きな罅が刻まれた壁の間には…

 

「っ…!」

 

咄嗟に口元を抑えるが

 

「――――――ッ」

 

耐えられず、胃の内容物を吐き出す

息が上がり、視界も涙でぼやける

状況は芳しくないし、明らかに今の自分は冷静ではない

それでも

 

「確かめ、ないと」

 

観察する

赤の中心、そこから伸びていた“パーツ”の数から、人数は2人

何とか“右手を2本”探し出し、スーツを脱がせると

 

「男の手、よね…」

 

カタカタと体が震え、目の焦点も上手く合わないが、恐らくそうだ

 

「お父さんの、護衛?」

 

ずっと考えていたが、敵の目的は、恐らくデリング・レンブラン

もしくは、ベネリット・グループの重役

敵は、このブロックに父がいることを知り、プラントから寸断した

その襲撃の結果が、今の目の前に広がる光景だ、しかし…

損傷が激しいが、“残骸”を見るに、それがデリングか、彼女のものである可能性はない

つまり

 

「生きてる…」

 

辺りを確認すると、真っ赤に染まった布や、千切られた包帯の切れ端などを見つけた

 

「怪我してる、ここで処置をしたのね」

 

こびりついた血の量から、傷は相当に深いはずだ

あの老齢な父が、それだけの傷を負いつつ、自身に処置ができるか…?

 

「可能性は低い、少なくとももう1人いるはず」

 

負傷したのが父か、それ以外の人物かはわからない

彼女である可能性もある

とにかく追いかけねばと、壁に付着した赤の残滓を辿ろうとすると

 

「!」

 

鈍く光る、人を殺すための道具が目に入った

 

「…念のためよ」

 

使い方は知っている

これでも要人の娘、最低限の護身術、武器の扱いは心得ている

そしてこの状況で、この力を敢えて持たないという選択肢はなかった

故に手に取り

 

「………」

 

スライドを引いて、薬室に弾があることを確認した

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「んー?」

 

違和感を抱いた

 

「んー…」

 

試しに軽く銃撃をしてみると

 

「…そんなもんなの?」

 

闇雲にスラスターを噴かして、滅茶苦茶な機動

直撃コースに入れられれば、盾を構えて無理矢理な防御

 

「ほんとに魔女~?」

 

腑に落ちない

こんなのが、あの動画で見たスレアティア・バルミオの動きなのか?

これではまるで、ユニコーンに初めて乗って、その性能に振り回されているみたいな…

 

『どう、して…、邪魔するんですか!』

「この声……?」

 

レーザー通信で、搭乗者の声を聴き、ピンときた

 

「まさか…、スレッタ・マーキュリー?」

 

まさか

彼女の機体はエアリアルのはずだ

何故、目の前のユニコーンに乗っている?

それに、先ほどの声音は

 

「随分苦しそうだね?」

『どいて、くだ、さい!』

 

もしかして…

いやまさか…

 

「GUNDフォーマット自体…」

 

頭に過った答えを、声に出そうとしたとき

 

『ソフィ!もう少しで戦域が重なる!連携して!』

「ノレア?いつの間に…」

 

モビルスーツ2機に追い回されながら、ノレアがこっちに近づいてきていた

 

「何してんの~、魔女ともあろう女がさぁ」

『油断するな!こいつら、そこそこやる!』

「…ふ~~ん?」

 

ノレアが“そこそこやる”と評価する相手か

少し興味が湧いてきた

 

「ってことだから、さ?」

 

目の前のユニコーンに銃口を向け

 

「邪魔なんだよね、ごめんだけど、さっさとここで死んでよ」

 

ボロボロの盾ごと落としてやろうと、引き金に指をかけたそのとき

 

「!!、へぇ…?思ったより早いじゃん」

 

上方から降り注ぐビームをバックブーストで咄嗟に躱し、視線を戻すと

 

「よっぽどその魔女のことが好きなのかな?なーんて…」

 

4つのビットを従えた、深紅の機体が、ユニコーンとの間に立ち塞がっていた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「スレアティア!!無事か!?」

 

手が、声が、心臓が、震える

初めての実戦

命と命による、命の奪い合いに、身体が震えていた

ダリルバルデで戦闘に参加し、父の加勢を始めると、戦況は好転したが…

ディランザを追い詰めていた敵のモビルスーツは、こちら2人掛かりでも落としきれず、のらりくらりと攻撃を躱し、逃げ惑っている

少しずつ戦域を移動させていることには気づいていたが

まさかその先に、見知ったモビルスーツがいるとは思っていなかった

 

「おい!返事をしろ!」

 

己を負かした機体で、ガンダムで、想い人の愛機で、それもテロリストと交戦中となれば、強引に割って入る以外なかった

 

『……け…ないと』

「何?よく聞こえない、無事なのか!?」

『グエル!余所見をするな!』

 

父の警告に驚いて前を見ると、敵のモビルスーツ2機が合流し、銃口を向けつつ、接近してくる

 

「くっ!ここは危険だ!とにかく逃げろ!」

『………』

 

まるで幽鬼のようにゆらゆらと、こちらに背中を向けたまま、プラントに向かって行く

いつもと様子が違う

やはり、この戦場でメンタルが…

 

「父さん!」

『合わせろ!』

 

状況は変わり、2対2だ

敵も頭数を合わせて勝ちが見えたと踏んだか、積極的に距離を詰めてくる

だが…!

 

『グエル!』

「わかってる!」

 

先にディランザから堕とそうと動く敵の動きを、ビットで妨害する

父さんの後ろに喰いついていた機体が、突然予期せぬ方向からの攻撃に、態勢を大きく崩しながら回避機動を取る

 

『おらぁっ!!』

 

そこに空かさず、急反転したディランザが肉薄する

 

『対応するか!だが!』

 

普通であれば、あのまま滅茶苦茶な態勢で、こちらの接近をカメラに捉えることも叶わないまま撃墜できたようなタイミングの攻撃

それを捌いて見せた敵の技量を見て、父さんが唸る

しかし…

 

「堕ちろ!!」

 

今度こそ不可避

高機動からの緊急回避、間髪入れずに近接対応

そこから復帰するのは、ガンダムでも無理だろ!

俺と父さんの完璧な連携が決まる

ビットを制御し、上下左右、4方向から一気に刺し貫こうとした、そのとき

 

「………」

 

一瞬、頭を過る、余計な思考

 

“殺さなくてもいいんじゃないか?”

 

状況は有利

確実に撃墜できる

だが、少し

ほんの少し、ビットの軌道をずらす

メインカメラと、両腕、片足

それだけ削れば、どんなモビルスーツでも戦闘不能だ

殺さなくて済む

 

待て…、殺す?

 

俺が?

 

人を、殺す?

 

そんなこと…

 

 

俺は…

 

 

 

 

殺したい訳じゃ…

 

 

 

 

「……!!!」

『!?、グエル、上がれ!!』

 

父さんの指示に、半ば反射的に上昇を選択する

さっきまで自分の機体があった場所に光が走り

 

『片足だけだ!まだ来るぞ!』

 

堕とし損ねた…!

片足を切り落とした程度で被害を抑えている、あの状況から!?

切り替えろ、今俺は、戦場に…

 

『テメェ等、ムカつくんだよ!』

 

2機の内1機、敵のモビルスーツの片割れが、俺たちではない、全く別方向に、唐突に銃口を向けた

待て、その方向は…!

 

「やめろおぉぉーーーっ!!」

『グエル!?何を…!』

 

ユニコーンを、まだふらふらとプラントの外を飛んでいたアイツを狙って放たれた、弾とミサイル

ビットを戻すのは間に合わない

ならば取り得る選択肢は1つ

射線上に己の機体、ダリルバルデを滑り込ませるが

 

「ぐぁっ!?」

 

ミサイルの1発が、攻勢防御を抜け直撃する

 

衝撃に激しく揺られ、機体のダメージを確認しようと目を開けると

 

『死ね』

 

こちらに殺到する大量のミサイルと、ガトリングガンの銃口を向けるモビルスーツが映った

 

「あ…」

 

殺される

 

わかってしまった

自分の、ほんの刹那先、それを理解してしまった身体は、何も動かなくて

俺は…

 

『グエル!!』

 

突然現れた影が、俺の身体を縛り付けていた目前の“死”との間に入り

 

「!?、父さん!?何して!?」

 

それを齎すはずだった眩い輝きに吞まれていくのを、見ていることしかできなかった

 

 

 

 

 

 

 

 




土日は久しぶりに温泉に行ってきますわ!
スレミオ温泉回とか水着回とか、どこかに転がってませんか…?

曇らせすぎ?

  • 今すぐやめろ、人の心とかないんか?
  • やりすぎだ!加減しろバカ!
  • もうちょっとこう、手心というか…
  • ままええわ、いい塩梅や
  • ここに追加でひとつまみ…wwww
  • 頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
  • 構わん、行け
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