目いっぱいの祝福を、皆様に
ありがとうございます
そして誤字脱字報告してくださる皆様
本当にありがとうございます
中にはドン引きするような書き違いもあり、とても助かっています
「ん…」
緩やかな頭痛
瞼の向こうに感じる穏やかな光に誘われ、目を覚ます
「ここ…」
まず写るのは、知らない天井
ぼんやりと周りを見渡せば、医療用の計器と白いカーテンが見える
「病院?」
「スレッタ?開けるわね?」
状況から、漠然と現在地を割り出そうとしていたら、カーテンの向こうから声を掛けられた
「よかった、目が覚めたのね」
「お母さん?」
目を開いた様子を見るや、お母さんは私に抱き着いてきた
昔と変わらない
お母さんの、馴染みのある温かさが、私を包む
「お母さん、私…どうして…」
「えぇ、混乱しているでしょう?何か思い出せることはある?」
未だにぼんやりとした、焦点の定まらない思考を巡らせ、直前のことを思い出そうとする
最初に出てきたのは、スレアさんの後ろ姿で
そして、体全体で感じる衝撃が…
「!?!?!?」
「落ち着いて、スレッタ、ゆっくり呼吸しなさい、まずは落ち着くの」
霞掛かった頭の中が、まるで爆発したみたいに弾け、一気にクリアになる
あらゆる可能性が過り、身体はとにかく動き出そうとして
それを、お母さんが押しとどめていた
「おかっ、お母さん!、ミオリネさんが!皆が!あと、あと!スレアさん!た、助けないと!私、エアリアルに!?」
「わかっているわスレッタ、全部終わったの、今は焦らなくていいのよ、だから落ち着きなさい」
「そんな!だ、だって!」
「スレッタ」
混乱して暴れ始めたとき、大きな声ではないけど、強く私の名前を呼ばれる
「落ち着きなさい」
「あ………」
それには、何か目に見えない力があって
驚くほど簡単に、私の心は平静を取り戻し始めた
「……ごめん、なさい」
「謝ることはないわ、大変なことだったもの」
「お母さん…それで…」
「お友達のことね?」
「うん…」
お母さんは、まずあの事件が、テロリストによるベネリット・グループへの襲撃だったこと
事件から2日経っていること
私は重度の憔悴で眠っていたことを前置きして
皆は
ミオリネさんは
スレアさんは
どうなったのか
その話に入り
「ミオリネさんと、一緒に来ていた会社の方々は無事よ、負傷もしていないわ」
ホッと安心したのも束の間
「それで、スレアティアさん、彼女に関しては…、残念な、そう…、とても辛い話になるわ」
「それ……って…」
スレアさんのことになると、お母さんは暗い声で話初めて
「発見当初、彼女は全身に深い裂傷・挫創・刺創、複数個所を骨折、脈も弱く不規則、自発呼吸は半ば停止状態。とても…重症だったそうよ」
「…………」
言葉を失う
それでは、まるで…
「スレア…さんは…」
「一命は取り留めたわ」
その言葉に、安堵した
安堵してしまったのだ
「ただ…、意識は今も回復していない、その上、後遺症もあるわ」
「こう、い…しょう…?」
スレアさんが生きていると聞いて、ホッとしたところに、お母さんは続ける
「よく聞いて、スレッタ」
それは、私があの時止まったことの代償であり
「スレアティア・バルミオは…」
無知な自分が受けるはずだった
しかし、結果として私があの人に背負わせた、罰だった
・
・
・
・
・
『これより、決闘を執り行う』
エアリアルのコクピット
子供のころから、ずっとここにいた
『決闘方法は連戦方式、ホルダーとの対戦に挑戦者が勝った場合、その者が次の挑戦者と決闘を行い、最後に勝ち残ったパイロットを、ホルダーとする』
エアリアルは、ガンダム
私の家族は、ガンダム
『これは、決闘委員会が承認した正式な決闘である』
そして、ユニコーンも、ガンダム
『立会人は、ペイル寮寮長、エラン・ケレスが務める!』
スレアさんが乗っていた、モビルスーツ
私があのとき乗った、モビルスーツ
「っ…!」
あのときの感覚が、身体を駆け巡る
まるで、内側から頭を直接撫でつけられるような…
『お~い、スレッタ?』
「!?、はい!?」
『MSコンテナ開けるぞー?』
「は、はい!?お願いします!!」
いつの間にか戦術試験区域に出ていたようだ
いけない、切り替えなきゃ
もう決闘が始まる
エアリアルのOSは起動済み、あとはいつも通り…
「…いつも、通り」
コントロールレバーを握ろうとして、手が震える
「LP041、スレッタ・マーキュリー、エアリアル、出ます!」
それに気づかないフリをしながら、少し無理矢理に握ったレバーは
「……大丈夫だよね、エアリアル」
やけに、ざらついているような気がした
・
・
・
・
・
「オープンキャンパス、ですか?」
溜まっていたホルダーへの決闘申込、その全てを消化し切った折
「明日から3日間、学園に入学希望者が来るんだ、体験実習に模擬講義、在学生主催のイベントもあるから、ちょっとしたお祭りみたいなものだな」
「へぇ~」
通りで学内にとても活気があると思いました
「ったく、何も知らねぇで呑気によ」
それを見たチュチュ先輩が悪態を付いて
「仕方ないよ、本当に知らないんだから」
「プラント・クエタのこと、どのメディアも事故として扱ってる」
あの事件のことは、口外しないようキツく言われました
もしも他に伝わるようなことがあれば、即退学処分だとも
「いずれにせよ、ここは学園だ、学生は学生らしく、学校生活を謳歌しろってことだろ」
「………」
皆さん、不安になっています
あれは、間違いなく戦争で、多くの人が亡くなって、傷付いて
スレアさんも、それで…
「…私、温室のお世話行ってきます」
今はとにかく、何かしていたい
自分の無力さから、少しでも目を逸らすために
◇◇◇◇◇
スレッタが、走り去っていく
「行ってしまったな」
「…どう見ても、無理してんだろ、あの感じ」
あの件から、誰が見ても、スレッタは元気がなかった
それも、地球寮のみんな全員に言えることだけど…
「僕たちが言えるようなことじゃないけどねぇ…」
「あいつ、ミオリネとスレアティア助けるために、プラントの外出たんだよな…、ビビんだろ普通」
みんな、事件の際はパニックで
安全な場所もわからず、会社の船で右往左往していた
そして、港を破壊して回っていたテロリストのモビルスーツ、その銃口が、こっちに向けられたと分かったとき
あのとき、私は…
「会社も営業止められてるし、いつ帰って来るのかねぇ、ウチの社長とテスターは」
「………」
◇◇◇◇◇
「犯行に及んだのは“フォルドの夜明け”、反スペーシアン組織です」
今ここに、ベネリット・グループがある
そう言って差し支えないほどに、グループ所属各社の代表が、一堂に会していた
「ジェターク社のモビルスーツが、襲撃に使われたという報告は事実かしら」
ペイル社共同CEOの1人が声を挙げる
「裏付けも取れました、機体名デスルター、間違いありません」
「自社製品がテロに利用されるなんて…」
「顧客管理がなってないわねぇ」
「どう責任を取るおつもりで?」
わかっていたことだろうに、態々質問して、こうしてねちっこく諮問するのは、このCEO達のお家芸だ
さて、どう返す?
「……過去の販売データ、スペアパーツから製造コード、現存するフレームから諸々を全て洗っているところだ」
「今は責任について尋ねているんですよ?」
「だからだ、その責任の所在を明確にする必要がある、そして今のところ、今回のテロに使用された機体…、多少の改造は施されていたが、腕の接合パーツから見てロットナンバーは絞れる、これは比較的初期の型だった」
「ほぅ、それで?」
「先行生産か、それに近いもの、多くはエンジニアサンプルとして子会社や生産企業に回されるはずだが、その線からの流出はほぼ無いだろうな、あと考えられるとしたら…」
「考えられるとしたら?」
「リバース・エンジニアリングを目的に、他のモビルスーツ開発企業が独自に入手したもの、それもジェターク社の製品を手に入れやすい立場、つまり、グループ内の企業である可能性が高い」
「まぁ!?言うに事欠いて、我々を疑うと!?」
「可能性の1つを示唆しただけだ、洗い出しが終われば、下手人を教えてやるさ」
…やるな
直接遭遇した人間だからこそ、ドミニコスからの情報提供を待たずして調査に動けた
そしていち早く使用された機体を絞り込み、テロリストに流した犯人の目星も付けている
流石、俺が見込んだ男なだけはある
「今、憶測でモノを語る場ではない。…シャディク、続きを」
ジェタークとペイル、それぞれのCEOが言い合っているところを諫め、続きを促される
「デスルターのほかに、未登録のパーメット識別コードを2機確認しています」
会議室のモニターを切り替え、2つのモビルスーツを写す
「両機からはGUNDフォーマットの並列構造を検出、つまり…」
「ガンダム」
その単語が出た瞬間、サリウス・ゼネリが、椅子のひじ掛けを力強く叩き、注目を集めた
「アーシアンの非道な行いが、デリング総裁を重体に追いやり、盟友ヴィム・ジェタークを奪った、許しがたい行為だ」
怒りを胸に秘めているかのように、そう思わせる声音で、言葉を紡ぐ
「内密に、しかし迅速に実行犯を見つけ出し、我々の手でカタを付ける」
まるで、同胞を殺されたことに憤慨しているようだ
「これはベネリット・グループの威信をかけた戦いである」
殺したのは、自分達だというのに
「皆、一丸となろう!」
場の人間全員が、その演説に聞き入り、手を叩いていた
ただ一人
「………」
ジェターク社、現CEO代理
グエル・ジェタークを除いて
◇◇◇◇◇
「ニカさん?」
「わっぁ!?」
突然背後から声をかけられ、手に持っていたレンチを落としてしまう
「ああ、ご、ごめんなさい、驚かせちゃって」
「ううん、どうしたの?」
振り向けば、そこにいたのはスレッタだった
ハンガーまで来たってことは、エアリアルの様子を見に来たのかな
「エアリアルと、お話、しようかと」
「ふぅん、何か相談事?」
「そんなところ、です」
最近のスレッタは、本当に元気がない
原因はわかっている
ミオリネと、スレアティアのことだろう
ミオリネは参考人聴取のためだが、スレアティアは…
「そっか」
あの事件以降、治療に専念するためと言っていたが、詳しい話は聞いていない
だが、今日で既に2週間経っている
もしかしなくても、テロリストと何かしら接触し、そして戦闘に至ったのだろう
命までは落とさなかったが、長期間の治療が必要なほどに深手を負った
そして、その原因を作ったのは…
「あっ!いたいた~!」
突然、遠くから声が聞こえた
ふと声の方向を見て、こちらに駆け寄ってくる人物を目視する
「アハッ、お姉ちゃんみ~っけ!」
「うおぉ!?……え?あの、どちら様で…?」
駆け寄ってきて、勢いそのままに、スレッタに抱き着く
突然のことにスレッタは目を見開き、驚きのまま問いを投げかけ
「会いに来たよ、スレッタお姉ちゃん」
よくわからない返答に、2人して目を丸くした
・
・
・
・
・
「ノレア・デュノク、ソフィ・プロネ…、パイロット科1年、随分と半端な時期に編入してきたんだね?」
「それもウチに入寮希望?」
「…アーシアンなら、ここを当たれと言われまして」
「まぁ道理だな」
スレッタのことをお姉ちゃんと呼ぶ、ソフィ・プロネ
寡黙で目付きが鋭い、ノレア・デュノク
「マルタンどうする?」
「アーシアンなら、ウチは歓迎だよ」
本当に変わった時期に転入してきたものだと、マルタンの後ろから2人の生徒手帳と情報ログを覗いて
「……?」
推薦企業欄に、目が留まる
「………」
さりげなく皆から距離を取り、手持ちの端末で検索をかけて
「!!」
表示された結論に、驚愕する
ここにきて、気づいてしまった
この2人が、自分と同じ側の人間だということに
◇◇◇◇◇
どこかの、薄暗い部屋
「………」
医療用カプセルの中、頭からつま先まで、あらゆる箇所に包帯を巻いている少女が眠っている
その者は病衣こそ纏っているが、パッと見でも、多くの違和感を抱くだろう
右足と、左腕
膨らみがあるべきその箇所は、空気が抜けた風船のように、平坦であった
「………」
閉じられた瞼は、右側しか伺えない
左側を隠すように巻かれた包帯には、薄くだが血が滲んでいる
赤色は、全身あらゆる箇所に滲んでいて
正しく“満身創痍”の様相を呈していた
それでも、隣にある計器は、少女が生きていることを証明し続けており
「………、………」
示したバイタルが、少し震えたことも、忠実に表示した
書くペースが落ちてるぞぉ!?
マルタンンン!?今何文字イィィ!?
ペース落ちます
ごめんちゃい
曇らせすぎ?
-
今すぐやめろ、人の心とかないんか?
-
やりすぎだ!加減しろバカ!
-
もうちょっとこう、手心というか…
-
ままええわ、いい塩梅や
-
ここに追加でひとつまみ…wwww
-
頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
-
構わん、行け