全てはスレミオのために…   作:アブファート

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前話「ペース落ちます(2か月)」

ごめんなさいでした


起床しました

「家族、ですか?」

「そ、これがお父さん、こっちがお母さん、あとは妹たち」

 

ソフィさんが地球寮に(許可を得る前から勝手に)荷物を運びこみ、あまり多いとは言えない私物の荷解きを開始

そうして次々に出てくるボロボロのぬいぐるみたち

それを指さし、ソフィさんが紹介してくれる

 

「ホントはもっと連れてきたかったんだけど、ノレアが邪魔だって…」

 

ウキウキとした表情で、自分の“家族”を紹介するソフィさんは、まだおままごとが好きな、純粋な子供に見えました

 

「私ね、学校なんて興味なかったんだけど、お姉ちゃんたちがいるから来たんだよ?」

「あ、あの、どうして私のことを…」

 

姉と呼ぶのか

そう問いかけようとしたところで

 

「あ、もしかして会社のPV見てくれたんですか?」

 

一緒に荷解きを手伝っていたリリッケさんの質問

え、会社のPVって確か、私とスレアさんで一緒に撮った…

 

「あー……、うんまぁそんなとこ」

「~~~~~~っ」

 

あのPVが切っ掛けで、自分に会いに来た

そう思うと、何だか全身に気恥ずかしさが回って…

 

「だから色々教えてよっ!!」

 

純粋で綺麗な碧眼が、真っすぐに自分を見つめ

 

「スレッタお姉ちゃん!!」

 

お姉ちゃん…

お姉ちゃん…

何と甘美な響き…

 

「わかりました!お姉ちゃん、ソフィさんに頑張って教えます!色々!!」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「どういうこと?貴方達を推薦した企業、グループに登録されているけど、実在しない会社だよね!?」

 

夜の資材倉庫

昼間はまだ回収業者や、メカニック科の生徒が掘り出し物を求めて足を運ぶ可能性があるが、遅い時間となると、来訪者はまずいない

そこに、ニカ・ナナウラはいた

 

「えぇ、あなたと同じ、プリンスが用意したダミー会社です」

「…目的は何?」

「連絡係に教える必要が?」

「私も地球寮の皆も、これ以上危険なことに巻き込まれたくない…、だから……」

 

ここにいる理由は1つ

自分と地球寮のメンバー、その安全を保障させるためだ

 

「まるで被害者みたいな言い方ですね」

「え…?」

「お礼を言っておきます、あなたのおかげでデリング・レンブランを襲撃できました」

 

続く言葉を遮られ、こちらに歩み寄ってきたと同時

 

「聞いてますよ?地球と宇宙の懸け橋になる…、素敵な夢ですね」

 

言葉と共に、ナイフが己に向けられていた

 

「―――――――ッ」

 

夜の暗がりの中で鈍く光る、白銀の刃

それを前にして、恐怖で呼吸ができない

 

「お互いの目的のため、協力しましょう、そうすれば」

 

伝えることは伝えたとばかりに、ノレアはナイフをしまいながら

 

「皆にバレずに済むかもしれませんよ」

「………」

 

何も言えず棒立ちになっていた己の横を、通り過ぎていった

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

足早に歩く

つい先ほど届いた部下からの連絡によれば、彼女が目覚めたそうだ

本来はドミニコスの預かりになるはずだった彼女の身柄は、内に秘める情報の性質上、あらゆる不思議な力が働き、一時的に株式会社ガンダムに留められている

といっても、そこの社長の身柄はドミニコス預かりであり、社員も全員がアスティカシア学園にいる

そうなると、目覚めた彼女を誰が面倒みるのかという問題が起こり

こうして、株式会社ガンダムに吸収合併されたシン・セー開発公社、その元代表取締役である自分

プロスペラ・マーキュリーが、彼女のところへと向かっているという訳だ

彼女が目覚めるよりも前に、デリングの娘が自由になったときの対応も考えていたが、杞憂だった

目的の部屋に到着し、ノックをする

 

「…お邪魔しますね?」

 

返事はなかったが、気にせず脇の端末を操作し、扉を開けて入室

中には

 

「あら、起きてたんですね」

 

医療用ベッドの上で体を起こし、こちらを茫然と見つめる、スレアティア・バルミオがいた

 

「……」

「…?もしかして私のこと、覚えてないかしら?」

 

ジッと見つめたまま、何も言葉を発さず固まってしまった彼女

久しぶりの意識の覚醒に困惑しているのかと、近くに歩み寄ろうとしたとき

 

「…くんれんの、じかん…ですか?」

「っ!」

 

今度は、自分が茫然と彼女を見つめる番であった

くんれん、訓練…?

“訓練の時間ですか?”

およそ、一介の学生が大人に向けて発するには違和感のある言葉だ

ということは、つまり

 

「…質問をいいかしら?あなたは…誰?名前は?」

 

頭の中に浮かぶ、これから彼女が発する答え

もしもそれが事実だとすれば、世界は、一体どれだけ彼女を…

 

「名前……?あ、ナンバーの、こと…なら…」

 

ゆっくりと紡がれた、その答えは

 

「SM-102、です」

 

己以外の人間にとって、最低の結末を示していた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

オープンキャンパス、当日

 

「あっはははははは♪」

「そそそそソフィさんってのわあぁぁぁ!?!?」

 

スレッタ・マーキュリーは

 

「おいしっそ~!」

「だだだ駄目です!?人の食べ物を!?それに手で直接!?」

 

ソフィ・プロネに

 

「……つまんない、眠くなってきた、ねぇスレッタお姉ちゃん?」

「そ、ソフィさん、シッ!シーーッ!」

 

これ以上なく振り回されていた

 

(何かを教えるどころか、ついていくだけで精一杯です…)

 

しかしここ数日、あらゆる出店や出し物をともに回る中で、ソフィ・プロネ…

彼女のことが少しわかってきました

まず、純粋

年齢は自分に近いはずですが、何だか年の離れた妹を相手している気分になってきます

面白いもの、興味のあるものにはとことん関心を抱き、あらゆる方向からアプローチをかける

そして、飽き性

興味を抱き、それに触り、飽きるまでが非常に速くて

そろそろ飽きるかな、と思った頃には既に別のものに関心を示していることなんて幾度もありました

お姉ちゃん、という呼び方も相まって、益々幼い妹の面倒を見ているような気分になって…

 

「やぁ、スレッタ・マーキュリー、今日こそ僕とデートしてもらうよ?」

「えっと…今日は…」

 

こんな風に、エランさんに話かけられている最中でも

 

「スレッタお姉ちゃん!今度はあっち!あれやりたい!」

 

お構いなしとばかりに、自分の手を引いてきて

そんな彼女を見ていると

 

「あ、ちょ、ちょっとソフィさん、あんまり走らないで下さい、危ないですよ?」

 

何だか、温かい気持ちになってくるような気がするんです

 

 

 

 

 

 

ソフィさんと一緒に回り、目まぐるしく過ぎていくオープンキャンパスの時間

オープンキャンパスですから、当然地球寮としての出し物もあります

それが…

 

「出店、ですか…?」

「せっかくのイベントだしなー、会社の宣伝して、小銭稼いでよ、その方が気も紛れんだろ?」

「まぁ……そうですね」

 

株式会社ガンダムとして、開発実績である義足のお披露目をしようというものです

今あるのは両足があるモデルで、上に人が乗って操作するタイプ

両足の連動という意味では、こっちの方が技術的には簡単です

問題は片足だけなど、生身と機械の連動が必要な場合ですが、それは…

 

「スレアさん…」

 

どうしても、考えてしまいます

学園に戻って、沢山決闘をして

初めて後輩ができて、その人が妹のように懐いてくれて

オープンキャンパスを回って、振り回されて

色んなことがあって、楽しいことも、沢山ありました

それでも

 

「会いたい、です」

 

忙しい日常に身を任せ、考えないようにしていました

それでも、ここにあるあらゆるものが、あの人に繋がっていて

どうしようもなく、私は…

 

「アーシアンのくせにぃ、楽しそうにしてんじゃん?」

「ホルダー様は明日のランブル・リングも余裕って訳?」

 

突然、前にグエルさんと一緒にいた人達に声を掛けられて

 

「あんだぁ?テメェら?」

 

煽るような発言をされ、咄嗟にチュチュ先輩が応対、反射的にその背中に隠れてしまいますが

 

「…ランブル・リング?」

 

聞きなれない単語を言われたました

えっと、それって…?

 

「最終日に行われる、バトルロイヤル方式の模擬戦だよ、ホルダーは毎年参加する習わしなんだ、言わなかったっけ?」

 

聞いてないですぅ!?

 

「ニカに去年の動画見せてもらえよ…、今どこにいるんだ?」

「わ、私、ニカさん探してきます!」

 

何だか自分は明日、学園を挙げて行われる模擬戦に参加しなければならないそうで

今は、それに集中できることが、私にとっては救いであるようにも思えました

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

アスティカシア学園内、モビルスーツハンガーの一角

 

「プリンスに調べろって言われたの?」

「ウルやソーンとは出自の違うガンダム、障害になるようなら、今のうちに壊す」

 

ノレアはファラクトのコクピット内にいた

 

「そっちは?お目当てのスレッタ・マーキュリーは気に入った?」

「う~~~ん…、優しいから好きではあるけどぉ…、なーんかときめきを感じないんだよね~」

 

ソフィにしては珍しく歯切れ悪く返答をしている間、ファラクトの操作端末を弄っていたノレアの手元から、警告音が鳴る

 

「…GUNDフォーマットにプロテクトがかかってる、駄目か」

 

GUNDにアクセスできないようなら、脅威判定もこの場では不可能

いっそのこと調査を断念してこの場で破壊してしまうか、と思考したそのとき

 

「ファラクトから離れて!!」

「「?」」

 

自分達の場所からずっと下

ファラクトの足元から、ニカ・ナナウラが大声で話しかけてきた

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「その機体からだけじゃない、この学園から出て行って!!」

「通信記録でも見つけましたか?ありませんよね?あなたは誰と連絡を取っていたのか知らないんですから」

 

確かにそうだ、彼女たちをテロリストだと示す証拠は、自分の手元にはない

だが

 

「だったら、自分とダミー会社のことをばらすわ!!」

 

携帯端末を掲げ、プリンスの用意していた推薦企業がダミーであることの証拠を示す画面を見せる

自分諸共、彼女たちをこの学園から追い出す

それが、ニカ・ナナウラができる最善

 

「話になりませんね」

 

心底呆れたノレアの声音と同時

頭上へ、ソフィが落下してくる

 

「!?」

 

咄嗟に端末を掲げていた腕で顔を庇う

そこに、落下してきたエネルギーをそのまま載せたソフィの蹴りが襲い

 

「イッ!?」

 

明らかに骨折したであろう嫌な音が腕から鳴り、倒れこんでしまう

持っていた携帯端末が目の前で踏み砕かれ、ソフィがこちらの顔を覗き込んでくる

 

「駄目だよぉ?私たちの邪魔しちゃ」

「ィ…ウゥ…」

 

腕が発する激痛に耐えるのに必死で、態勢を立て直すことはおろか、返答もできないでいると

 

「どいて、ソフィ」

 

ギギギ、と

目の前のファラクトが、ハンガーのマウント部品を無理矢理に破壊しながら動こうとしていた

 

「あなた一人が頑張ったところで、地球の状況は何も変わらない」

 

搭乗用の連絡路を押しのけながら前進し、飛び散った金属部品がけたたましい音を立てて落下していく

 

「なのに大層な夢を抱いて、現実、舐めてますよね?」

「舐めてなんか…」

「舐めてますよ、だからずっと騙されたような顔をしてる」

 

痛みに耐えて、必死に返した言葉も一蹴され

ファラクトの片足が持ち上がる

 

「アーシアンの孤児が、見返りなしで学校なんかに行けないって気づいてたクセに」

 

言葉と同時、持ち上がった鉄の塊が、こちらに向かって落ちてきて

咄嗟に目をつむった、そのとき

横から何かがぶつかってきたような感覚がして

 

「じょ、状況、わかんないですけど、ニカさんに酷いことするの、やめてください!!」

「スレッタ…?」

 

間一髪、寝そべったままスレッタに抱えられるような恰好で、ニカは助かっていた

 

「あーあ、お姉ちゃんに見られちゃったぁ」

「ファラクトに乗っているのは、ノレアさんですか?何でこんなこ…」

 

スレッタの質問は、最後まで続かない

再び、ファラクトの片足が持ち上がり、こちらへ落ちてくる

 

「ッ!?」

 

スレッタが素早く自分を抱えたまま立ち上がり、ファラクトから離れる

その直後、背後に大質量が落ちた大きな音が鳴り響いた

 

「ちょっと!?お姉ちゃんは殺さないでよねぇ!?」

「連絡員が私たちのことを口外した可能性がある、だったら、二人ともここで排除する」

 

ソフィがスレッタを殺すなと声を挙げるが、ノレアはそれを却下し、私たち二人とも殺すつもりのようだ

ファラクトの頭部ビームバルカンが、こちらに向いたまま淡く発光し始める

 

「スレッタ、逃げて!?」

 

私だけじゃなくスレッタまで巻き込まれて欲しくないと、その一心で叫ぶが

当のスレッタは、一人で逃げようという素振りも見せず、真っすぐファラクトを見つめたまま、何事か話そうとして

 

「ウワワワッ!?ナニナニ!?」

 

突如として、併催していた出撃用ゲートを突き破り、もう一機のモビルスーツが乱入してくる

ソフィがたまらず声を挙げながらファラクトの方向へ退避し

その機体は、私とスレッタを守るように、ファラクトの前に立っていた

 

「ま、さか…」

 

目の前に背中を晒す、純白の機体

 

「ユニコーン…」

 

それがここにあるということは、つまり

 

「スレアさんっ!!」

 

先程まで緊迫しながらも、凛々しい表情でいたスレッタが、目に涙を浮かべながら感極まったように声を挙げる

 

『何を、しているの?』

 

数秒の沈黙を破り、純白の機体から聞こえたその声は

やけに、懐かしく感じた

 




どうしても「今書いてるコレ、面白いか?」病が治らなかったので
いっそのこと一回ガッツリ離れちゃえばいいじゃん
ってことで2か月ほど放置
病は結構抜けてると思います、多分
未だに待ってくれている方がどれだけいるかはわかりませんが、またしばらくチビチビ書いていこうと思います

曇らせすぎ?

  • 今すぐやめろ、人の心とかないんか?
  • やりすぎだ!加減しろバカ!
  • もうちょっとこう、手心というか…
  • ままええわ、いい塩梅や
  • ここに追加でひとつまみ…wwww
  • 頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
  • 構わん、行け
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