「そうか、決闘には負けたか」
「はっ、しかし、内容としては外部へのアピール材料になり得るかと、なにしろ…」
「ジェターク・ヘビー・マシーナリーのモビルスーツ、そのブレードアンテナをへし折ったか…」
「これは素晴らしいことです、確かに決闘では敗北しましたが、モビルスーツの性能差はほぼないと示せたでしょう」
「…………」
何を言っているのだこの若造は
【モビルスーツの性能差はない】?
当たり前だろう、アレは“普通の人間”が搭乗することを最初から想定していない
GUNDなしでフルスペックを発揮しようともすれば、機体にパイロットが付いていけずまともに操縦できる代物じゃない
本来搭乗者を守るための機能リソースを、全て戦闘面でのスペックに割り当てる、そうしてようやく【互角に見える】
肝心の決闘の内容も、最後の最後でGUNDを使ったようだった
あの様子だと、スコア4
パーメットスコアの異常値が検出されておらず、疑念の眼が向けられていないのは僥倖だった
「引き続き、SM-102には折をみて決闘の機会を与えろ」
「了解しました」
SM-102には、あらゆる手段を用いて改造・強化を施している
そのほぼ全てが、公にはできないようなものだが
指示しているこちらが、何故この検体は発狂しないのかと理解できないほどに
それほどに、あらゆることをした
そんな化け物がまさか敗北するとは
ジェタークの御曹司、あれは才能の塊なのか
もしくは…
◇◇◇◇◇
あっぶねぇぇえ!!
もう少しで勝っちゃうところだったよ
GUNDも使わずに気抜いてテキトーにボコってもらおうと思ってたんだけど…
グエルが一気に距離を詰めてきたときに、一瞬頭を過っちゃったんだよ
ミオリネの、少し悲しそうなあの顔…
気付いたらスコア上げちゃって
これまでの人権ガン無視スパルタ訓練で染みついた戦闘機動を身体が勝手に実行して
ディランザのブレードアンテナを切り落とすってときになってようやく
「あれ!?これ俺勝ったらダメじゃね!?」
そっからは必死に機体を止めようとして、少しでもズレてくれともがいた
それでも間に合わずにアンテナぶった切ったときは血の気が引いたね
でもそこは我らが“1話で株を買った人間を大富豪にした男”こと、グエル・ジェターク
きっちりこっちのアンテナも落としてくれていたようで、僅差でグエルの勝利!!
危うくスレミオへの道を自ら断ってしまうところだった…、感謝するぜグエル…
そんな危機一髪なシーンもあったが、あれよあれよと月日は流れ、2年生に進級
ということは、来るか?来るんじゃないか?
今か今かと待ちわびたあの瞬間が
あ!!ミオリネが無断欠席してる!?
ってことは今日か!?こうしちゃいられねぇ!!
学園港の入港予定からあの子が乗ってそうな船を割り出して、その航路から大体の位置を予測
使っている無線周波数を調べて光学式熱源探知で場所を探れば…
…
……
………
…………いた
間違いない、ミオリネだ
…お、船からモビルスーツが出てきた
これも間違いない、エアリアルだ
お、おぉ、ついに…ついに!!
『責任!!取ってよねっ!?』
水星の魔女が始まった!!
・
・
・
・
・
今日もなんていい日なんだ…
こんな素晴らしい日々を送らせてくれるなんて…神に感謝…、スレミオ万歳…
昨日、スレッタ・マーキュリーが転校してきた
もうそれだけで海は割れ大地は裂け空は堕ち鳥は歌うような出来事なのだが
さっきグエルが決闘中にスレッタがいる授業に乱入して、大事故スレスレの舐めプかましてたから間違いない
今日は、スレッタがグエルに決闘を申し込む日だ
立ち会いたい…!
物凄く立ち会いたいので、いつでもミオリネのハウスに飛び込めるように近くに隠れておく
そして…
来た来た!スレッタだ!
あんらぁトマトをおいしそうに食べてる姿、かわいいねぇ!!
こ、これは、さっきの「せ、責任取ります」もそうだったが、何て濃密なスレミオっ…!!
直接晒されるスレミオが、こんなにも尊いものだなんて…!!
ま、まずい、保ってくれ…俺の身体ぁ…!!
スコア6にも耐えたんだ!この位どうってこと…
「また土いじりか?地球の真似事をして、何が楽しいんだか」
なんだァ?てめェ?
◇◇◇◇◇
「あんたはパパの言いなりだもんね?」
ミオリネさんの言葉の後、ハウスの中を滅茶苦茶にしていく男の人
回りの人は、面白がるようにそれを眺め、ミオリネさんを嘲笑うだけで、遠くの大人もまるで無関心を貫いている
「と、とと止め…止めっ…」
「兄さんを止めたければ自分で止めなよ」
誰も、ミオリネさんを助けない
「た、たたたすっ…助け…たす…」
助けを求めても、誰も動かない
誰も
自分さえも
「俺は少し優しすぎたようだ、未来の夫として、これからは厳しくしていく」
恐怖で、足が竦む
怖い、怖くて堪らない
「お前は大人しく俺のものに…」
そのときだった
「……何の用だ、スレアティア・バルミオ」
「………」
誰かが、男の人とミオリネさんの間に立っていた
その表情は、貼り付けたような無表情で、何の感情も抱いてないかのように見えるが
しかし…
(お、怒って…る?)
静かな鋼のような雰囲気の中に、確かな激情、渦巻く憤怒を感じた
「今は夫婦の話をしている、わかったらサッサとそこをどけ」
そう言って、男の人が手を伸ばそうとしたのを見て
「…っ!!!」
動けっ!!
恐怖に竦む足に、活を入れる
そして思いっきり、横恋慕さんのお尻を叩いた
・
・
・
・
・
「エアリアルは“たかが”モビルスーツじゃありません!?私とずっと一緒に育った、私の家族なんです!!」
「はぁ?家族?」
ようやくエアリアルのコクピットに入れた
ミオリネさんが私の生徒手帳を使って、勝手に乗って決闘し始めたときはどうなることかと思ったけど、何とか間に合った
今はまだ、スレアティアさんが2機を相手にエアリアルを守ってくれている
早く私も戦わなきゃ…!
「責任なら、勝って果たします、私とエアリアルは、あんなのに負けません!!」
「あんなのだと…?」
2機の内片方が、スレアティアさんを無視してこちらに向かってくる
「お母さんが言ってました、逃げたら1つ、進めば2つ、手に入るって…」
システムリブート、姿勢制御開始、セットポイント復帰中
(早く…早く…!!)
「っ、前!?」
「経験値も、プライドも…」
相手のライフルによるロックオンアラートが鳴る、各種センサー、クリア
(早く…!)
直撃コース…回避動作は間に合わない、各種ユニットチェック、クリア
(早く!)
もう発射される、なら防御…!起動シークエンス終了、システム問題なし
(早く…!!早く早く!!)
銃口から光が溢れる、ウェポンシステムオールグリーン、ビット展開開始…でも…、間に合わない…!?
『………進めば、2つ、いい言葉だね』
突如目の前に突き立ったシールドが、放たれたビームからエアリアルを守ってくれる
よくわからないけど、これなら間に合う!!
「信頼だって!!」
加速していく意識の中、スレアティアさんの無線が、聞こえた気がした
◇◇◇◇◇
お、おおぉ…
「あ、あの、でも私、お、女、ですけど…?」
あお、おーーー、おぉぉ…
「水星ってお堅いのね?」
あっ…、あーあーあー、あああぁぁ…
「こっちじゃ全然ありよ」
ア゜……………
◇◇◇◇◇
「自分で決めたルールを、後から勝手に変えるな!!」
むかつく
「このダブスタクソ親父!!」
むかつくむかつくむかつく!!
「あんたが決めたルールで戦ってやるって言ってんのよ!自分が決めたことくらい、責任もって守りなさいよ!?」
あー!もう!!むかつく!!
「大人なんでしょ!?」
・
・
・
・
・
「するよ、決闘!!」
あのむかつく男から捥ぎ取った一発逆転の決闘
「負けたら、エアリアルは廃棄処分!!スレッタも退学になる!!」
あのむかつく男のむかつく面をあかす絶好のチャンスよ
「絶対、勝って!!」
だから頼んだわよ
「スレアティア!!」
◇◇◇◇◇
…
……
………
…………ハッ!?
いかん、気を失っていた!?
あまりの尊さに耐えきれなかったのか、クソッ!!
もっと享受していたかったのに!!
スコアも4まで上げて2人のやり取りに全集中してたってのに!!
くぅぅぅ!!この貧弱・脆弱・軟弱の三拍子が揃ったカスみたいな身体ぁ!!
アタイ許せへん!許せへんアタイ!!
と、とにかく、どこだ!?今はどこまで進んだ!?
んん?ここは決闘委員会ジャマイカ
グエルとラウダ?隣にはスレッタがおる
先日決闘した面子じゃん、いやあれは参ったよ
ミオリネのハウスの件で、どーしても見過ごせなくてグエルの前に出てしまった、そこまではまだよかったんだが、そのあと何故か俺とラウダも交えて2vs2の決闘が始まるんだもん
原作が壊れる!!!と心配したが、結局スレッタとグエルが互いの代表で、スレッタがちゃんとグエルに止めを刺していた
ホルダーも、しっかりスレッタに移行されたようだし、何も問題ないな!
と思っていたんだが、この状況
まさかまた2vs2になるのか?
えぇ……まじかぁ
◇◇◇◇◇
スレアティア・バルミオ
まさか、あいつとスレッタ・マーキュリーが共闘することになるとは
上の連中から聞いてはいた、“スコア6に到達した強化人士”
先日の決闘の中では、スコアを上げなかったのか、巧妙に隠蔽しているのか、パーメット流入値は終始基準値以下だった
何より、ガンダム最大の利点である、ビット兵器を行使していなかった
あいつの企業が何を考えているのかわからないが、今後決闘中にスコアを上げる気はないのだろうか?
そして、スレッタ・マーキュリーの登場
個人的には、彼女の方が興味をそそられる
上からも、彼女とその機体を調査するよう指示が来た
あのビット制御はどう見てもGUND技術を使っている
彼女の機体、エアリアルは、間違いなくガンダムだ
だが、あれだけ流麗なビット制御、生半可なスコアでは実現し得ないものであることは確かなはず
しかし、彼女はデータストームの影響を全く受けていない
まさか、本当にGUND-ARMのデータストームを克服した?
もしもそうだとしたら、僕は、何故…
いずれにせよ、確かめる必要がある
だから、この決闘の立会人になることは、僕としては非常に意義のあるものだった
「ālea jacta est.決闘を承認する」
スレアティア・バルミオ
スレッタ・マーキュリー
君たちのガンダムを、見せてくれ
◇◇◇◇◇
「あ、あの…!」
「……うん、なに?」
は、話しかけちゃった…話しかけちゃった!
な、何を言おうとしてたんだっけ、ええと、あ、そうだ
「今度の決闘、よ、よよよ、よろしくお願いしまひゅ!?」
「うん、よろしく」
あぁ!?噛んだ!?
でもちゃんと返してくれた、優しい…!
「スレアティア、さんは、どうして…、えっと、私の、味方をしてくれるんですか?」
「…うーん」
ずっと、気になっていた
エアリアルは、ガンダムじゃないのに、皆ガンダムだって言って、私を魔女って呼んで
このままじゃ、私は退学で、エアリアルも、壊されちゃうって言われて
そんなときに、ミオリネさんが、決闘の話をしてくれて
でも、私とエアリアルの問題なのに、どうして
どうして、スレアティアさんまで、私と一緒に戦ってくれるんだろうって
あの時は、まだわかる
きっと、ミオリネさんを守るために、グエルさんの前に出て
そのまま私とスレアティアさんが仲間だと勘違いしたグエルさんが、決闘にスレアティアさんも巻き込んだ
だから、一緒に戦ってくれたんだ
なら、今回は?
スレアティアさんに、私と一緒に戦ってくれる理由なんて…
「スレッタ・マーキュリー?」
「は、はいっ」
真っすぐ目を合わせられる
「学校に行くの、すごく楽しみに、してたんでしょ?」
「え…、え?な、なんで…?」
「ん、見れば、わかる」
「そんな出てますか…?」
図星を突かれた
「きっと、もっと、これから、楽しいこと、一杯あるよ、だから、スレッタ・マーキュリーが、ここでいなくなるのは、私は嫌だ」
「え………、え…?えぇ!?そ、そんな…私に…私を!?」
初対面なのに、私のことをそんなに思って!?
「やりたいことリスト、もあるんでしょ?ミオリネ・レンブランから聞いた」
「あ、は、はい…」
なんだか急激に恥ずかしくなってきた、まともに目を合わせられない…
「なら、それも、沢山しないと、折角、楽しみにしてたんだから、さ」
「はい…、………ありがとう、ございます」
優しい…
スレアティア・バルミオさん…
すっごく優しい!!
「じゃないと、エアリアルも、きっと、悲しむよ」
「っ!!はいっ!!はい!!」
エアリアルのことまで!?
ううぅ、優しすぎる…
こんなに良くしてくれる人に出会えるなんて…
「私、頑張りますね!!絶対、ぜっっったい勝ちましょう!!」
「ん、その意気、頑張ろう」
ずっと無表情でなんだか怖い人だな…って思ってた自分が恥ずかしいです!!
こんな…、こんなに優しい人なのに!!
「あ、あのあのあののの!!!!」
「うん、少し、落ち着いて」
が、頑張れ私!!
い、いいいい、言いますよ!!
「す、すれすれ、すれれれ、スレアティアさん!!」
「うん」
ここで言うんです!!
「す、スレアさんって、あだ名で、呼んでも…、いいですか?」
「ん、やりたいこと、リスト?」
「は、はい…」
いきなり、ず、図々しかったでしょうか?
「いいよ、私も、スレッタって、呼ぶから」
「~~~~っ!!うん!!ありがとう!スレアさん!!」
やった!!やりましたっ!!
やりたいことリスト、早速1つ埋まりましたっ!!
曇らせすぎ?
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今すぐやめろ、人の心とかないんか?
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やりすぎだ!加減しろバカ!
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もうちょっとこう、手心というか…
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ままええわ、いい塩梅や
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ここに追加でひとつまみ…wwww
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頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
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構わん、行け