全てはスレミオのために…   作:アブファート

8 / 22
曇らせはいい文明






注目を浴びた

「えぇ、認めます」

 

ベネリットグループが所有する、会議室の一室

 

「ファラクトは…、ガンダムです」

「そして、ユニコーンに関しても、我が社は一枚噛んでいますわ」

 

ペイル・テクノロジーズ、共同CEO

ニューゲン

カル

ネボラ

ゴルネリ

 

「結局、どれもガンダムだということか、卑しいな、協定の裏でのうのうと」

 

ジェターク・ヘビー・マシーナリー、CEO

ヴィム・ジェターク

 

「今、この場でそのことを論ずる気はない…、この場を設けたのは他でもない、ペイル社にも、我々の計画に協力してもらいたい」

 

グラスレー・ディフェンス・システムズ、CEO

サリウス・ゼネリ

御三家の代表を務める面々が、一堂に会していた

 

「これは、またとない好機なのだ」

 

それぞれの思惑は在れど、少なくともこの場では、目的とするところは同じであった

 

「奴の、デリングの手を読むための…」

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

うへぇ…

あへぇ…

ぐふぅ…

……ハッ!?

いかん、また魂が抜けかけていた

いやーーーーー、参ったね

先日、俺のお見舞いに来てくれたミオリネに、俺の身体のことバレちったよ

知らせるつもりはこれっぽっちもなかったんだが…

どうにかしてはぐらかそうとしたんだけど、病院のカルテやら、右足の痣、腕の汚い傷とかを証拠として抑えられたら、もうどうしようもなくて…

何とか謝り倒して「近いうちに必ず話す」って条件で、ほんの少し猶予を頂いたんだけど…

その話するときのことを考えたら、もう今から気まずいよ~~~~!!

だってそうじゃん、正直今世の俺っていうか、この身体か?

明らかにまともな育ちしてないって

考えてもみてよ、歪ながらも両親からの愛を一身に受けて育った反抗期真っただ中の少女に

 

「実は私、非人道的な実験されまくるモルモットだったんだよねw」

 

って言える????

話す相手間違えてるって

大人しく病院か警察行けって話じゃん

でもなんかミオリネ凄い剣幕だったし…

何とか逃げおおせるってのは無理だろうなぁ…

はぁ、もう、どうしよ…

スレッタが来たいって言ってたから、インキュベーションとかいう社交場的な所については来たけど

正直、いずれ来るミオリネへの弁明を何とかするのに頭が一杯でそれどころじゃない…

ここは確かエアリアルがガンダムバレして、ミオリネが会社起こすところだったよな

そこのスレミオ見て脳を回復させなきゃやってられないよ

あーあ、ホント憂鬱…

…ん?スレッタ?

それにエラン

あぁ、この感じ、本物か

やっぱり4号は…

え?ついてきて欲しい?

まあ暇だしいいよ

スレミオ見るまでまともに頭回らないから、碌な会話できないけど、それでいいなら

んえ?ここに立ってればいいの?

なんか足場上昇してるけど…?

……ハッ!?

 

 

 

 

 

 

「これでハッキリしました、シン・セー開発公社のモビルスーツ、エアリアルは…、ガンダムです!」

 

ここに俺立ってたらダメじゃん!?

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

「ニカ!スレアティアとスレッタを見なかった?」

「はぐれちゃったの?」

 

先日、スレアティアは退院した

自分の足で歩き、以前と何も変わらないほどに元気そうな姿で

右足や左目の後遺症は、他人に気付かれないように誤魔化しが効く程度のものだったらしい

 

「全く、どこいったのよあいつら…」

 

スレアティアには、あの病室で話して以来、ここ数日はあまりいい雰囲気で接しているとは言えない

スレッタも、エランの件で気落ちしてるようだし

この場に来たのも、スレッタが言い出して、スレアティアがそれに乗っかったからだ

 

『ペイル・テクノロジーズCEOの皆様に、ご登壇頂きます』

 

近いうちに必ず説明するとは約束させた

それでも、この胸の内を占める感情はなんだ

こんな、他人に自分をここまで揺すられることなんて…

 

「…え?」

 

気付けば、今会場の視線を最も集めている場所に

 

「スレッタ?スレアティア!?」

 

探し人が、並んで立っていた

 

 

 

 

 

 

「ご説明します、弊社のモビルスーツ、ファラクトが、GUNDフォーマットを使用していたと」

 

まずい

 

「更に先日ファラクトと決闘し、現在は弊社所有となったモビルスーツ、ユニコーンも、同じくガンダムであったことが、決闘委員会、および弊社監査部門からの報告で発覚しました」

 

これは

 

「あの現象は、GUNDフォーマットの相互干渉によって発現するもの」

 

非常にまずい!

 

「ガンダムに反応するのはガンダムだけ…、つまりエアリアルは、ガンダムに相違ないのです!」

 

落ち着け

 

「コトの重大さを鑑み、弊社は両機体の廃棄と」

「当該開発部門の解体を、お約束します」

 

手はある

 

「で、あればシン・セーも、同様の処罰を受けるべきだな?」

 

考えろ…!

 

「我々ベネリット・グループはガンダムを看過しない、そうですね?」

 

もうこれ以上、アイツに

 

「ご裁可を、総裁」

 

今度は、私が…

 

「両機とも廃棄させないわっ!!」

 

今ここで、前に進むのよ…!!

 

 

 

 

 

 

「エアリアルとユニコーンは、ペイル社にもジェターク社にも勝った、優秀な機体よ」

 

進みながら、頭の中でプランを必死に組み立てる

 

「なぜあなたが、ミオリネ様?」

「決まってるでしょ…」

 

それと並行して、手元の端末にプレゼン資料としてアウトプットしていく

 

「私はスレッタの花嫁で、スレアティアの親友だからよ!?」

 

大枠はできた、細かいところは喋りながら組み立てる…!

 

「接続、お願いします」

 

さぁ、正念場よ

 

「過去の決算報告から、ファラクト及びユニコーンの廃棄と、同開発部門の解体に伴うぺイル社の損金を、1,800億と見積り、その倍の…3,600億!!」

 

指が、澱みなく動く

 

「これを目標金額とした新規事業のプランを、ご提案させていただきます!」

 

やってやるわよ、あんたらの土俵で…!

 

「シン・セーとペイル社の開発部門を、M&Aにより買収して統合」

 

この買収にかかる金額が、今回で得る投資資金の主な使用用途

 

「生命の安全を前提に、管理・運用を目的とした、新会社を設立します」

 

必要なのはインパクト

 

「その新会社の社名は…」

 

なら…!

 

「ガンダム!!」

 

今のモビルスーツ産業は、躍進的な技術進歩が表れず、開発は頭打ちになってきている

だったら、当然欲しいわよね?

 

「皆さんは今、ベネリット・グループの業績を立て直す“起爆剤”を欲しているはず」

 

二の足は踏ませない

 

「協約の縛りや、生命倫理問題は、我が社が引き受けます」

 

どこまでもお膳立てしてやるわ!

 

「投資は匿名契約、グループからも独立させれば、リスクはありません!」

 

さぁ、喰いついてきなさい!!

 

「この話に価値があると思った方は、株式会社ガンダムの設立に、どうか投資を!!!」

 

……

………

 

「な、んで」

 

誰も、動かない

何も、動かない

場が…、動かない

 

「お前の提案には価値がない、皆そう言っているんだ」

 

くそ、親父…

 

「どんな大言壮語を並べようと、それを裏付ける“信用”が、お前には…ない」

 

私は…

 

「出ていけ、子供の意地に、付き合うつもりはない」

 

私が…!

 

「待ってください!!」

「ミオリネ…?」

 

スレッタとスレアティアを横目に、私は走り出す

 

「守るわよ、私が、あんた等を…!」

 

人々の合間を縫い、駆ける

 

(これは、意地じゃない…!)

 

これは

 

「何の真似だ?」

「あなたに、投資して欲しい」

 

紛れもなく

 

「あなたの言う通り、今のままじゃ私の提案に乗る人はいません」

 

私の

 

「ですから、ベネリット・グループの総裁である、あなたの信用をお借りしたいんです!」

 

願いなのだから

 

「お願いしますっ!!」

 

頭を下げる

為したいことを、為すために

 

「逃げるなよ」

 

その言葉が、その後の私にとって

 

「お前が考えている以上に、ガンダムの呪いは、重い」

「…っ!!」

 

本当の意味での“呪い”になることは

このときの私は、思いもしなかった

 

 

 

 

 

 

「やりましたね!ミオリネさん!」

「えぇ…」

 

デリング・レンブランからの投資を受けた後は、まるで堰を切ったように、資金が集まっていった

これで、エアリアルとユニコーンは破棄されずに済み

スレッタと、スレアティアも…

 

「あ、お母さん!」

「ごめんねぇ、ちょっと用事で離れてて」

 

スレッタの母親、プロスぺラがこちらに歩いてくる

娘の非常事態にどこに行ってたんだか…

 

「助けて頂いてありがとうございます、ミオリネ・レンブランさん」

 

突然、握手を求められた

 

「あなたになら、安心してうちの娘たちを任せられますわ」

「ご心配なく」

 

先ほど私に対して煽ってきたのも見るに、いい性格してる母親ね

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

だから、強めに握り返してやった

 

 

 

 

 

 

「そういえば、生命倫理問題を引き受ける、と先ほど仰いましたね?」

「?、えぇ、それが株式会社ガンダム設立の意義、その1つですよ」

 

エアリアルが正式にガンダムだと告げられ、かなり取り乱していたスレッタをニカに任せ、改めてプロスペラとエアリアルについて話を聞こうと思っていたら、向こうから話題を振られた

 

「設立したばかりのところに水を差すようで恐縮ですが、その発言、もう一人のご友人に関しては承知の上で?」

「…どういうこと?」

「あら、まさかご存知ない?」

 

スレアティアを指して、生命倫理問題についての言及

まさか…

 

「現在はペイル社が保有していることになっているユニコーンですが、開発自体は既に存在しない過去の企業です、そこから派遣されていたはずのパイロットであるスレアティア・バルミオさんについて、少々取り扱いに困る情報が、私の手元に入っていましてね?」

 

やめて

それは、スレアティアが

いつか話してくれるって言った…

 

「公にはとても公表できないような内容でして…、はい、一部をあなたの端末に送信しました」

 

何で、あんたが知ってて

私は、まだ

 

「本当にガンダムについて知っていくのであれば、いずれ通る道です、お気を確かに、ご覧ください?」

 

そう言って、プロスペラは去っていく

いつの間にか私の心臓は、早鐘を打っていた

端末を取り出し、通知が来てることを確認する

 

(見たらダメ、これは、スレアティアが…)

 

いずれ話してくれること

そのはずなのに…、手が、動いてしまう

意思とは関係なく、手元の端末に視線は動き、表示されていた通知をタップする

添付されていたファイルが展開され

 

画面の中に、地獄が咲いた

 

 

「…ハ」

 

止まらない

地獄を読み進める自分の目が

 

「ハッ……ハッ…」

 

終わらない

地獄を理解しようとする自分の思考が

 

「ハァッハァッ…!」

 

永遠にも思えた、数十秒

自分が今何をしていて、どこに立っているのかも忘れ、読み進めていた

そして、最後には、文字ではなく、映像があった

いつもの無表情

見ればわかる、少し幼いが、この顔立ちは…

 

「……!?」

 

映像の中で、あいつは…

 

「………っう」

 

身体の奥からこみ上げるこれは

 

「………っ」

 

こんなことは許されないと義憤に駆られる、怒りの感情なのか

それとも…

 

「ミオリネ…?」

 

あいつが、私の顔を覗き込む

 

「っ!?!?」

「え…?」

 

咄嗟に伸ばされかけた手を払い除けながら、後退ってしまう

 

「あんた、いつから」

「…今、来たところ」

 

今見た映像と

目の前の“人間”は…

 

「ミオリネ…?どうして…」

 

この時の思考をした、私を

この時の表情をした、私を

この時の行動をした、私を

いつもの、根元に優しさと温もりを湛えた、あいつの無表情

それを大きく歪ませてしまうほどに、醜い視線を向けた、私を

 

「私を…怖がってるの?」

 

私は、きっと一生許せない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これでお盆に書いた分は終わり

明日は投稿しないと思います
ちょろちょろ書かせておくれやす

曇らせすぎ?

  • 今すぐやめろ、人の心とかないんか?
  • やりすぎだ!加減しろバカ!
  • もうちょっとこう、手心というか…
  • ままええわ、いい塩梅や
  • ここに追加でひとつまみ…wwww
  • 頂戴頂戴!そういうの頂戴もっと!!
  • 構わん、行け
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。