キヴォトスでサバイバル生活   作:ころんあっと

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念の為独自解釈、独自展開、独自設定のタグを追加しました。


なんか私強いっぽい

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

走る。

 

自身の疲れなど知ったことではない。

 

ただがむしゃらに地面の砂を蹴り、砂埃が舞う中を駆け抜ける。

 

杞憂? 考えすぎ? それなら良い。

 

単に寝坊しただけなら、ちょっと長めに油を売っているのなら、それでいい。

 

でも……普段なら、私が学校に着く数時間前には、教室で銀行や学園の書類と睨めっこをしている筈の先輩が、昼過ぎになっても確認できない現状に……どうしようもなく胸騒ぎがする。

 

「……っ、ここにも居ない……」

 

かつてパトロールに行った場所、近所の公園、数ヶ月前はまだ砂に埋もれていなかった近所の商店街。先輩が行くような場所は全てまわった。

 

心に暗雲が立ち込める。そんなわけない、そんなわけないと、必死に頭に思い浮かぶ最悪の事態を否定する。

 

 

 

 

それでも。

 

 

 

 

嫌な予感を消し去ることはできず。

 

 

 

 

 

私はこの広大な砂漠を駆け抜ける。

 

 

 

 

 

「どこに行ったんですか……

 

 

 

 

 

……ユメ先輩」

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

(どうしよう……マジでどうするべきだこれ……?)

 

「おーい? 聞いてんのかぁ? さっさと従った方がいいんじゃねえの?」

 

路地の壁を背にしている私を取り囲む、3人の女子生徒。ザ・不良の格好をした彼女たちは全員右手に銃を持っており、その内リーダーらしき人物がSMGの銃口を私の眉間にピッタリと押し付けていた。

 

(いや銃て! 聞いてないってこんな出会い! 弓とか剣作ってはしゃいでた私がばかみたいだろ!?)

 

私のサバイバル生活と文明レベルがあまりにも違いすぎる。銃が初期装備なんて聞いてない。勝てるのか?これ……

 

この街に入ったとき、既にその街並みには驚かされた。あの暗い森とは全く違い、近未来的な建物が立ち並ぶ、まさに文明を象徴するような建造物の数々。それに直面した私は、さながら前世で見たタイムスリップをする映画の主役のようであった。

 

それでまあ、内心少し感動しながら街を歩いていた……と、いうよりはまあ…はい。正直浮かれてました。

 

ぽけーと上を眺めながらぷらぷらと建物の近くをほっつき回っていたら、あっという間に路地に引きずり込まれてこのザマである。自業自得だな。うん。

 

言い訳はさておき...

 

おい! 無視してんじゃねぇよ!

ブッ飛ばされてえのかぁ!?

 

やばいめっちゃキレてる。どうしようこれ。一応インベントリに盾と剣はあるし、やるしかないか、これは……!?

 

そのとき________

 

 

ドッカーーーーーーーーン!!!!!!!!

 

 

すぐ近くで爆発音がした。余りに突然の出来事に、不良達の肩が跳ね、思わず音のした方向を見て固まる。隙が生まれた。

 

(ええい! やられる前にやるしかない!)

 

そう思った私は左手に盾を、右手に鉄の剣を持って、目の前の不良目がけて思いっきり横なぎに剣を振った。

 

 

……が、私はひとつ勘違いをしていた。

 

冷静に考えてみると、1立方メートルの塊を平気で持ち上げたり破壊したりする人間の攻撃力が、平凡な訳が無いのである。自身の身体能力を甘く見積り過ぎていた。

 

無防備な右脇腹に、真っ直ぐ剣がめり込む。そのまま不良は、ボキッという嫌な音と共に路地の奥の方へ吹っ飛ばされた。

 

ぐおっ!?!?

 

「「リーダー!?!?!?」」

 

フリーズから戻った2人は、突如視界から消えた自分達の仲間に驚きを隠せない。すぐに銃を構えるが、私はそれより速く一方へ距離をつめ、剣の持ち手で顎を殴った。

 

かはっ……

 

肺から空気が漏れ白目を剥き、地面に崩れ落ちる。3対1の圧倒的有利から一転、目の前で仲間をちぎってはなげ、ちぎってはなげされてあっという間に最後の1人となった不良はパニックに陥り、手に持っていたSMGを乱射しだした。

 

う……うわぁああああああああ!!!!!!

 

 

痛っつ!?!? 痛い痛い痛い!!!

 

盾を構えるのが間に合わず、何発か被弾する。初めて生で聞いた銃声は、トタンに雨が降っているような軽い音だが、威力は全然軽くない。貫通はしていないが、私の皮膚を傷つけて血が流れる。

流石に今射線に入るのは得策ではない。盾の陰に身を隠し、相手の隙をうかがう。

 

クソっ、クソッ!

 

 

そのとき、音が止まった。打って変わって静まり返った路地裏には、カチャッ、カチャッという音だけが響く。

 

たっぷり1マガジンを撃ち切った彼女の銃からは、引き金を引いても何も出ない。私の狙い通り、弾切れを起こしたのだ。

 

クソッ!!!

 

慌てて逃げようとする彼女の背中に、私はすかさず釣り竿を引っ掛け引き寄せる。そしてその勢いのまま、後ろに投げ飛ばし地面に叩きつけた。

 

ぐえっ!

 

 

うめき声をあげて、不良は動かなくなる。それを確認してようやく、私は肩の力を抜きその場に座り込んだ。勝てたのだ。銃持ち3人に。その事実に対して、安堵が押し寄せて……

 

 

 

 

 

(……いや私めっちゃ強くない!? 一体どうなってんの!?)

 

何も安堵できない。何なのだ、さっきまでの私の動きは。まるで戦闘の達人のようであった。もちろん身体能力の高さにもびっくりしたが、それよりもあんな冷静に立ち回れたことが驚きである。私、ただのマイクラができるだけの一般人な筈なんだけど?なんだか、敵の動きがよく見えたというか……何だったのだろう。

 

まあでも取り敢えず勝利である。まだ銃弾が当たったところから血が滲んでいることを思い出したので体力を回復させ、倒れている不良3人組に近づく。見た目は酷いものの、一応呼吸はしているし……まあ、正当防衛の範疇でしょう、たぶん。近づいてしゃがみこみ、銃と弾薬を没収しインベントリにしまう。これで私も銃を手に入れた。文明レベルアップである。

 

 

さてと……

 

 

これからどうするべきであろうか。

 

そのとき、複数の爆発音と銃声が聞こえた。そう言えば私が彼女達を倒せたのも、謎の爆発音で私から注意が逸れたためであった。

 

路地から顔をだし、様子を伺う。

 

すると_____________

 

 

 

「そこの貴方! 危ないですよ!」

 

不意に声をかけられた。目をやると、路上駐車の陰から誰かが手招きしている。なんとなく信頼して良いような気がして、素早く移動する。

 

「怪我はありませんか?」

 

 

声の正体は、1人の女子生徒であった。前髪を目が見えなくなるぐらい伸ばしている、所謂ぱっつんの髪型で、全体的に黒っぽい服を着ている。

 

「えっ? ……ああ、うん。特に問題は無いけど…」

 

 

私がそう言うと、その子はとっても眩しい絵柄を見せて。

 

「良かった……! 安心しました!」

 

 

なんだこの子は。すっごい優しい。森での1人サバイバルで人肌に飢えまくった体に、これでもかと染み渡る。

 

「? どうかなさいましたか?」

 

「あぁ……いや、なんでもないです」

 

心配させてしまった。申し訳無い。取り敢えず、私はさっきから気になっていたことを口にする。

 

「あの〜……」

 

「はいっ、なんでしょうか?」

 

「今って何が起こってるんです? そもそも、貴方は一体…」

 

するとその子は一瞬キョトンとした後、ハッとした表情をして私に向き直る。

 

「申し遅れました…! 私はゲヘナ学園の風紀委員です。現在、この辺りで不良達の抗争が起こっており、その鎮圧のために私達風紀委員が出動しています」

 

なるほど、今もなお聞こえる銃声と爆発音は、不良同士が抗争をしているからなのか。ゲヘナ学園というのはよく分からないが……風紀委員は警察の様なものだろう。イメージ的に。

 

「区域の住民には避難指示を出しましたが、まだ一般の方がいらっしゃるとは…こちらのミスです。申し訳ございません」

 

そう言って、私に頭を下げる。

 

「いやいやいやっ、そんな気にしなくて良いですって! 私が悪いんですから!」

 

勝手に街に侵入した私が間違いなく悪いのだ。謝られる筋合いはない。

 

「そういうわけにも……いえ、お気遣いありがとうございます。……あっ、少し待ってくださいね」

 

彼女がポケットに入れていたトランシーバーの様な装置に通信が入る。何言か話した後、私に改めて向き直った。

 

「他の風紀委員に連絡がつきました。私が先導するので、この区域から離れましょう」

 

ついてきてください、そう言って先に進むので、私は後を追う。

 

移動している間も銃声は止むことはなかったが、しばらく歩くうちに徐々に音が小さくなり、遂には聞こえなくなった。

 

「ここらあたりなら大丈夫でしょう。まったく……相変わらずゲヘナは騒がしくて困りますね……」

 

「あ、ありがとうございました! 助かりました、本当に……」

 

「いえ、これも風紀委員としての仕事なので! 気にしないでください。では、私はこれで……」

 

そう言って元の場所に帰ろうとする彼女に、そういえばと思い呼び止める。

 

「あっ、そういえば……」

 

「? はい、どうかしましたか?」

 

「あの……この辺りに、砂がある場所って知っていたりしませんか?実はまあ、諸事情で砂が必要でして……」

 

「砂、ですか…」

 

彼女は少し考えた後、口を開いた。

 

「それなら、アビドス自治区に行ってみると良いかもしれませんね」

 

「アビドス自治区…?」

 

「はい。ここから…そうですね、あっちの方角に進めば広大な砂漠が広がっていて、そこが丸々アビドス自治区なんです。そこなら多分…」

 

なるほど、砂漠があるのか。確かにそこなら砂は腐るほどあるだろう。そうと決まれば、すぐに出発しよう。

 

「ただ、アビドスには変な噂も…」

 

「教えてくれてありがとうございます!それでは!」

 

「えっあっ、ちょっと待ってくださ……!足速っ! もう見えなくなった!?」

 

何か言っていたような気がしたが、ただでさえ呼び止めてしまったのだ。あちらをこれ以上待たせる訳にもいくまい。砂を手に入れる旅に、いざ出発である。

 

一時はどうなる事かと思ったけど、なんだかんだで解決した(させた)し、優しいあの風紀委員?にも出会うことができて大満足である。銃はびっくりしたけど。

 

 

この世界には、次々と私の興味を引くものが存在する。旅のネタは尽きそうにない。

 

次に私を待つ出会いは、一体何だろう。できることなら、なるべく平和なものをお願いしたいが……

 

 

そう思いながら、私は街を駆け抜ける。

 

 

 

 

 

「たっ、只今戻りましたっ!」

 

「おぉ、戻ったか。無事に送り届けられたようでよかったな」

 

「はいっ!」

 

「そろそろ戦闘が始まる。位置についておけ。…どうした?」

 

「っ! あっ! いえ、なんでも…」

 

「嘘つけ。なんかあったろう?」

 

「いえ、まあ、その…」

 

「何だ? 言ってみろ」

 

「……私が送った例の方が、アビドス自治区に向かわれまして…」

 

「…何? アビドスだと? 今のアビドスって言えば……てか、1人でか?」

 

「そうなんですよ。だから少し心配で…」

 

「……まあ、確かにな。でも、行ってしまったものは仕方がないだろ。気にしてもしょうがない。違うか?」

 

「…………」

 

「ったく、お前はつくづくゲヘナらしくないな? 誰に対しても優しいし、そんなんじゃチンピラどもに舐められちまうぞ? ……まあ、それがお前らしさでもあるけどよ…」

 

『総員、配置につけ! 合図で発砲!』

 

「おっ、始まるか。まあ何だ、気になるなら後でアビドスに行くのも悪く無いんじゃねえの? 取り敢えず今は、目の前のことに集中しな」

 

 

「……はい。分かりました」

 

 

 

 

 

ゲヘナの街に、発砲音がこだました。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

目の前に広がる、赤い池。そこに浮かぶ、1人の人間。

 

 

 

 

 

 

 

腑から溢れ出る血が、その人のもつ淡い水色の髪の毛を赤黒く染める。

 

 

 

 

 

 

 

 

……どうやら私は、つくづく平和な出会いというものに嫌われているらしい。

 

 

 

 

 

 

 




...本っっっっ当に申し訳ありません。修正を入れました。
主人公がいる過去アビドスは原作の二年前である為、温泉開発部部長である鬼怒川カスミがゲヘナ高等部に居ない、つまりはそもそも温泉開発部が無いという結論に至りました。
よって、風紀委員のモブや主人公が温泉開発部に触れている描写を丸々修正させていただきました。また、幾つかの細かい表現も修正しました。
全て作者の調べ不足が原因です。申し訳ございません。

追記:更に訂正です。温泉開発部のグループストーリーより、温泉開発部自体は存在することが判明しました。ただし、活動内容は現在とはかなり異なっているようなので、文章は修正後のままとします。申し訳ございません。



追記:誤字脱字報告感謝!ありがとうございます!
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