球深光   作:照山

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第2球目 投げる楽しさ

野球大国日本。高校野球、アマチュア野球、プロ野球の長い歴史の中で数々のドラマがあった。高校野球においてはプロを目指す者、地元の期待を背負った者、青春の1ページとする者、様々な覚悟を持った球児たちが頂を目指す。

 

そして埼玉県の新越谷高校は男子1、女子4人の計5人。そのうち1人がマネージャーである。

 

芳乃「3人とも練習着(ユニフォーム)良いね!」

 

息吹「ヨミと光希のは中学の時の?」

 

光希「そだね」

 

改めて見ると詠深も珠姫も成長したな実感する。成長期ということあってか一段と大きく感じられる。どこがとは言えないが。

 

グラウンドに入ると2人の女子生徒がいた。1人はツインテールでもう1人はショートヘアの髪型であった。それにしてもこの学校共学になったとはいえ男子俺しかいないのか・・・

 

光希「こんにちは!先輩の方ですか?」

 

???「こんにちは、私たちは1年よ。あなたがこの学校1人目の男の子ね?よろしく!」

 

光希「よろしく」

 

詠深とは長い付き合いで女子との会話には慣れてはいるが初対面だと少し緊張するな。

 

詠深「2人も1年か!先輩かと思ったけどどこ中?」

 

???「私たちは北相模よ」

 

芳乃「確かこの学校強かったはず!・・・2人とも!ポジションと名前教えて!」

 

強豪校と聞くとどうしても芳乃は早口になるのでしょうかね。まぁそこが可愛いんだけど・・・

 

菫「藤田菫よ。守備位置(ポジション)は二塁手(セカンド)」

 

稜「川崎稜だ。守備位置(ポジション)は遊撃手(ショート)」

 

おぉ〜二遊間かぁ。頼もしい限りだ。守備のきっと上品なのだろう。それと芳乃はまた下半身のチェックか・・・触りた・・いかんいかん。風紀を守らねば。

 

珠姫「選手は5人。大丈夫かな?」

 

光希「まぁ先輩も2人いるとこかなんからしいからまだ慌てるような時間じゃないんじゃない?」

 

珠姫「そうだよね!」

 

これで部員は7名になった。あと2人で試合ができるが勝てるかどうかは未知数だ。

 

稜「光希〜!ノック打ってくれ〜!」

 

もう下の名前で呼ばれてしまっている。

 

光希「俺もやろうかな!菫もどうだ?」

 

菫「良いわよ。一緒にやりましょ」

 

その後、光希は菫と稜と共にノックを受けることになった。芳乃のノックはとても強烈であったが何とか補給することができた。しかし稜の捕球の体勢は怪我のリスクがあるため改善を求めたい。逆に菫の捕球・送球はとても上品で気持ちいいものであった。

 

ん?あの人たちは・・・

 

グラウンドの外から見ていた2人の女子生徒がいた。もしかしたら先輩方かもしれない。その先輩方かもしれない2人はグラウンドに入ってきた。

 

光希「先輩が来たっぽいよ」

 

詠深「あ、ほんとだ」

 

理沙「こんにちは。2年生の藤原理沙です。こっちが・・」

 

怜「岡田怜です」

 

おぉ〜!先輩方も近くで見ると何と美しい。怜先輩はクール系な方なのかな。

 

詠深「お待ちしてました!早速一緒に練習を」

 

すると詠深の手を怜先輩が払った。なんて事をするんだと思った。

 

怜「私たちは別。あなたたちのお遊びに付き合ってる暇ないから」

 

え〜?来て早々その言い方は無いでしょうよ。それにしてもこの状況でも芳乃は怜先輩のデータを分析してるんなんてすごい鋼のメンタルですな。

 

光希「まぁまぁそんな言い方なしじゃ無いですか?」

 

理沙「ごめんね?ここの野球部って以前は強かったんだけど中々成果が出なくてそれがある時限度を超えてしまって対外試合禁止や活動停止などになってみんな辞めていったんだ・・・だからあなたたちが入ってくれたからあとは好きにしていいよ?」

 

そうか・・・そんなことがあったのか・・・詠深はこのことどう思っているのだろうか。

 

詠深「先輩!私の球打ってみます?」

 

え?いきなり!?という表情をしながら詠深の方を見た。

 

詠深「部の存続とかのお礼を込めてです!良いよね?タマちゃん、光希」

 

光希「まぁ詠深がそれで良いなら俺は良いと思うぞ?」

 

珠姫はキャッチャーマットを装着し、いつまでボールが来れる体勢を取った。俺は審判をすることにした。にしても・・・詠深の高校最初の対戦相手が強打者か・・・楽しみだな

 

怜「ヒットを打ったら私の勝ち。それ以外はそっちの勝ちでいいよ」

 

怜先輩はバットを構え、詠深が投球フォームに入り、珠姫がボールを受け止める構えを見せ、俺はストライク・ボールを判定する準備をする。

 

そして一球目を詠深は投げた。詠深の投球は外角への鋭い直球(ストレート)であった。

 

光希「ストライク!」

 

怜先輩この球では動じないか・・・でも詠深の魔球はすごいんだぞ!

 

詠深は二球目に魔球を投じ、怜先輩のバットを空振らせた。審判目線からの詠深の魔球はかなり打ちづらそうである。

 

光希「ストライクツー!」

 

怜「(今の球・・すごい変化した・・・次こそ打つ!」 

 

怜先輩は再びバットを構え、三球目が来るのを待った。詠深の三球目は

際どいコースでボールとなった。

 

光希「ボール!」

 

詠深「(振ってよ〜)」

 

詠深は振って欲しいという表情をしているが強打者に対してストライク先行、良い投球内容だ。

 

詠深「先輩!この勝負、勝ったら負けた方になんでもいうことを聞くというのはどうですか?」

 

ん?今なんでもって?違う違う、詠深が先輩に対して賭けをするなんて思いもせんかった・・・

 

怜「分かった。でもそう簡単には勝たせてあげない」

 

詠深「やった!」

 

詠深は今日イチの笑顔を見せた。詠深の笑顔はこっちまで笑顔にさせてしまう。

 

怜「まったく・・・あんなにはしゃいで何が楽しいんだか」

 

光希「中学の時、詠深と一緒だったんですがあの球を取れるキャッチャーが珠姫しかいなくてだから今今日イチいや過去一の見たことない笑顔は見せているのはそういうことなんです」

 

怜「そうか・・・」

 

詠深もあれだけ練習して努力しているのは俺は誰よりも知っている。だから詠深が楽しく投げている姿を見ているととても喜ばしい。

 

詠深「(先輩には感謝してます。先輩も本当は私たちと・・・野球したいんですよね!)」

 

怜「(詠深のあの笑顔はきっと野球の楽しさを実感している本当の笑顔。そして私にとって野球部は辛い練習、停部中に受けてきた非難の数々、私の中に抱えていた何かが消えたような気がする・・・それにみんなで勝っていけるように野球がしたい!)」

 

そして詠深の投じた四球目の魔球を怜先輩は完璧に捉え、息吹の守備範囲であったがコケた。

 

光希「詠深・・・」

 

しかし詠深の球を打てるとはすごいな・・・師匠とでも呼ぼうかな

 

怜「私ならセンターフライだった。だから君たちの勝ちだ。それとさっきはお遊びと言って申し訳ない。それで何でも聞くというのは何だ?」

 

まさか出ていけとは言わないでよね?とか思ってそうな顔ですね怜先輩いや師匠

 

詠深「一緒に野球しませんか?出来れば主将(キャプテン)して欲しいです!」

 

怜「良いよ。でも厳しく行くからね?理沙もそれで良い?」

 

理沙「もちろん」

 

良かった・・・これで一件落着だけど詠深の表情が悲しそうな感じを漂わせている。

 

詠深「光希、タマちゃん・・・私打たれちゃった。実は私の球そんなすごくないのかな・・・?」

 

光希「そんなことないよ〜!詠深の魔球は一級品だよ!な?珠姫」

 

珠姫「そうだよヨミちゃん、誰かヨミちゃんの球打ちたい人!?」

 

そのあと俺も詠深と対戦したが空振り、稜も菫も空振り、理沙先輩も内野ゴロにという結果であった。

 

光希「単純に怜先輩がすごいだけだからね?」

 

理沙「それにあなたたち入学式の時にここでキャッチボールしてたでしょ?あの子草陰からずっと見てたのよ?本当は会えるの楽しみにしてたのよ?」

 

怜「余計なこと言わないで・・・恥ずかしい(男子もいるのは緊張するし)」

 

道理でうまく芯に捉えているなとは思った。

 

怜「コホン。キャプテンとしての最初の命令は先輩より先にグラウンドに入った罰としてグラウンド10周!」

 

光希「え〜?」

 

ともあれ、これであと1人か2人入部してくれたありがたい。俺はそう願いながらグラウンドを10周した。

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