SAO〜その武器無し、ENJOY勢〜   作:ポンノ

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おまたせしました皆さん
ようやく曇り空が晴れます
そりゃもう、ピッカピカに光りますぜ


12話 史上最高のプレゼントを俺に

 

 第35層 迷いの森

 

 あれから……あの日から何日が経ったのだろうか。

 ただ虚無な日々が続いていた気がする。

 何も感じず、何も思えず。

 これが失恋?

 

 ……いや、そんなのよりも酷い感情だな。

 

「……今ので何体目だったっけかな〜」

 

 ただ、この場にいるモンスターを倒すこと。

 それしか今の俺には出来なかった。

 

「ニハハハ!……あ〜つまんね」

 

 辺り一面が真っ赤に染まっている。

 とても美しいものだが、好きにはなれないな。

 

「……こんな姿は、エースちゃんにゃ見せられないな〜」

「なら、何故そんな姿を曝すんだ」

 

 突如聞こえてきた低音ボイスに、変身解除はせずに振り返る。

 

「んお〜?誰かと思ったが君は……コードMじゃないか!」

「その呼び名はやめてくれ。M認定される」

「え……!Mじゃないの!?」

「しばくぞ」

 

 こーゆー会話だけ出来るのが救いよな。

 やっぱ作り上げた性格ってのはありがたい。

 

「んでんで?ご要件は何さ?なんの理由もなしにここにゃこねぇーでしょ、君」

「……レベル上げだが?」

「……そーゆー人間だったね、君」

 

 忘れていた。

 この『А to Ζ』期待の新人は俗に言うガチ勢。

 レベリングこそが生きる使命みたいな奴なんだ。

 ホントに期待の新人。

 多分俺を抜いて一番強い。

 

「まぁいいや。んじゃ、俺の邪魔はすんなよ〜」

「善処するさ」

 

 そんな訳で、あの日以来ずっと使ってる狩り場から離れて、再びモンスターを狩って狩って狩りまくる。

 こうやってレベル上げて、最強になって、俺はもう何も失わないバケモンになるんやで……。

 

 さて、そんな感じでモンスター狩りをしまくってたわけなんだが……。

 

「……うーむ」

 

 その……だね……。

 

「……なんつーかさ」

 

 何てゆーかさ……。

 

「何で段ボールが動いてんの?」

 

 俺の後ろで、段ボールが蠢いている。

 何を言ってるかわかんねぇーだろ?

 俺もわかんねぇ。

 

「いや、え?段ボールだよ?みかんとかいっぱい入ってる段ボールだよ?」

 

 動いちゃいけないものが動いてる事以上に恐ろしいものはない。

 

 とは言え、段ボールなんだ。

 中身は伝説の猟兵かな?

 

「……中身見たらCQCされるやんけ!」

 

 体術であの蛇に勝てるわけがないだろ!!

 あの人何回核兵器止めてると思ってんだ!!

 

 ……仕方ないか。

 

「……カ□リーメイトありますよ?」

 

 あの猟兵、カ□リーメイト好きだったはず。

 美味すぎるとか言ってたでしょ。

 しかし、現れたのは伝説の猟兵では無かった。

 

「ほんとか!」

「お前かい」

 

 現れたのはレベリング中毒者、メテオラでした。

 そういやお前もカ□リーメイト好きだったなこの野郎。

 落ち着いたムーブする人間に見えて時たま俺よりぶっ飛びやがってよ。

 

「ったく、すぐバレる真似しやがってよ……んで、目的は?」

「……仕方無い」

 

 高度な心理戦?の末、遂に観念したメテオラがここに来た要件を話す。

 

「結論から言えば、お前の無理なレベリングを止めに来た」

「ふーん……誰からの依頼で?」

 

 先程までの作り上げたテンションとは売って変わり、声のトーンが低くなる俺。

 大方、こういう依頼をするのはアルゴとかだろうな……

 

「『А to Ζ』全員からだ」

「わーお、主語がでっかいね〜」

 

 

 

「本当のことではあるからな。……それで、お前は……ゼットはどうするつもりだ?」

「ハハッ……やめるわけねぇじゃん」

 

 俺のことを思ってくれてるってのはとてもありがたい。

 感謝すべき事だ。

 が、俺にゃその優しさは眩しすぎる。

 

「優しさ過ぎんだよ君たちは。俺にゃそうされる権利なんてねぇのにさ〜」

「……そんなことは」

「あるから言ってんだ」

 

 また声が低くなる。

 それもそうだろうさ。

 こんな犯罪者に、優しさは不要なんだ。

 

「……仕方無いか。メテオラ、受け取れ」

 

 メテオラに向けて、アイテムスロットに用意しておいた手紙を投げ渡す。

 

「これは?」

「そこに俺の思いが乗ってる。後でメンバーと確認しとけよ。んじゃ」

 

 そう言い、足早にその場から去る。

 背後で何か言っていたメテオラの声を無視しながら。

 

―――――――――――――――

 

「……無視か」

 

 引き止める声も虚しく、ゼットは何処かへ向かっていってしまった。

 

「……虚しいな。この感情は、ザ・ボス以来か」

 

 かつての記憶を思い返し、ほんの少し前に起こったあの惨劇と、光景が重なる。

 

「……誰かが、残ったアイツを守らないとな」

 

 それは、一人の男としての覚悟。

 仲間を大切に思う、一人の男としての『覚悟』。

 

「一応、確認だけでもしてやるか」

 

 ゼットから乱雑に投げ渡された手紙を手に取り、中身を開き、読む。

 そこに書かれていたのは、アイツの決意だった。

 

『拝啓 А to Ζの馬鹿野郎共』

『まず初めにすまなかった。俺の慢心のせいでエースちゃんは死んだ。どうか俺を恨んでくれ』

『その責任として、俺はここから脱ける。今までありがとな』

『p.s.元より群れるのは苦手だったからな。いい機会ってわけでここは1つ』

 

「……まぁ、アイツらしい内容だな」

 

 俺はその手紙を丸め、地面に投げ捨てる。

 

「だが、こんなのはアイツ達も望んじゃいない。……そう言うのは自分の口で伝えてもらうぞ」

 

 ゼットの行った道は進まず、また別の道を通り、俺もこの場所から離れた。

 キリトにとある連絡だけをしてから。

 

―――――――――――――――

 

 2023年12月24日

 第49層 ミュージェン

 

 今日は待ちに待ったクリスマス・イブ!

 ホントだったら俺の隣にゃエースちゃんが居るんだが、残念ながら今年は隣りに居ません。

 この世にも居ません。

 最悪のクリスマス・イブが、今の俺に襲来しています。

 残念!

 

「……クーリスマスが今年もやってくるー悲しかった、出来事を、消し去るように」

 

 ケンタのクリスマスソングを口ずさみながら、石造りの街を闊歩する。

 何故かオレンジプレイヤーであるはずだが、この主街区を歩けている。

 フシギダネ。

 ……まぁ原因はわかってるけど。

 

「……ホントに消しされたら、どんだけ楽になるんだか。……まぁ、何があっても忘れねぇけどな」

 

 己の罪を背負ってこその『シン・仮面ライダー』だからな。

 適当にぶらつくだけぶらついた俺は、近くにあったベンチにその腰を下ろす。

 

 ……さて。

 

「いちいち俺の後ろに出現すんのやめにしないかーい?……なぁ、アルゴ」

「……ゼー坊」

 

 毎度のことながら、俺の後ろに突然出現するアルゴ。

 心臓に悪いったらありゃしないぜ。

 

「……んで、手に入ったのか?情報はさぁ」

「金を取れるようなもんは無いナ」

「情ねぇなぁ……とりま情報屋の名が廃るよ〜?」

「βテストには無かった初めてのイベントダ。情報の取りようがねぇヨ」

 

 互いに冗談を交えながら話す中、アルゴは俺の求めていた情報を伝える。

 死者が蘇るアイテムを落とすモンスターの情報をだ。

 こんなの無料で貰えるとは……素晴らしいもんだな。

 

「……って感じなんだガ」

「それだけ聞けりゃ十分だ。サンキュ、アルゴ」

「マジでソロで挑むの」

「……まぁ〜な〜」

 

 ソロのほうが、俺的にはやりやすいからな。

 

 ……そう思うしかないんだよな。

 

―――――――――――――――

 

第35層 迷いの森

 

 真っ白で静かな世界に、サイクロン号のエンジン音が荒れる。

 既に変形したサイクロン号を経由し、俺の身体の《プラーナ》は暴れる。

 仮面が、本能が暴れろと俺に叫んでいる。

 

 

 

 また、ただのバッタオーグに成り下がってしまった。

 もうあの時みたく、この暴力を制御することがまるで出来ない。

 残念だ。

 今更ながら、もう『シン・仮面ライダー』の名を語ることが出来ない。

 本当に残念だ。

 

「……確かあそこのモミの木だったか」

 

 そんな怪物が辿り着いたのは、辺り一面が白で染まった、青白く輝く、一本のデカイモミの木。

 

 たどり着いてすぐ、荘厳な鐘の音が鳴る。

 何かの到来を示すように。

 

 その音止みて、今の俺には不愉快過ぎる鈴の音が鳴る。

 何かの接近を示すように。

 

 その音鳴り続け、空に青き光2本が輝く。

 何かの出現を示すように。

 

 その光空から消えずして、1つの影舞い降りる。

 何かの到来を示すように。

 

 当来世示しは赤い服を着た悪魔。

 《背教者ニコラス》である。

 ブリキの人形のように軋む音を鳴らす《ニコラス》。

 

 その音すら、不愉快だ。

 

「黙れ」

 

 新緑の仮面、その瞳を赤く怪しく輝かせ、己の肉体の《プラーナ》を荒れ狂わす。

 斧を高く空に振りかざす《ニコラス》に合わせ、高く空に跳び立つ。

 今、聖夜の、最期の激戦が始まった。

 

――――――――――――

 

「はぁ……はぁ……」

 

 全ては俺の慢心だった。

 アイツに、ゼットに全てを背負わせてしまった。

 俺が背負うはずだった使命も、役目も、運命も。

 全てをアイツに任せてしまった。

 

『お前を『А to Ζ』から追放する。これで俺とお前の繋がりは消えた』

 

 あの時のゼットの言葉が何度も頭に響く。

 呪いの奥に、恐れを感じ取れた言葉が。

 

『元より群れるのは嫌いだったろ?俺もお前も、関わり合うべき人間じゃなかったんだよ』

 

 あの時のゼットの表情が何度も脳裏に浮かぶ。

 仮面の奥に、悲しみを隠した表情が。

 

「間に合ってくれ……ゼット!」

 

 ただ、俺は駆ける。

 全てを背負った、ゼットの元に。

 

 

 

 

 

 俺はようやく辿り着いた。

 辺り一面が赤で染まった、光を失い、へし折れた巨大なモミの木の元に。

 そこで俺が見たのは、ただ1人、へし折れた木を眺める『シン・仮面ライダー』だった。

 

「……ゼット」

 

 既に関わりが無くなったその男に、俺は微かな声でその男の名を呼ぶ。

 

「……んだよ。来たのかよ、黒の剣士様」

「キリトだ。お前の友達」

「俺に友達は居ない」

「……お前のクランメンバー」

「1期生は俺とエースちゃんだけだ」

「……」

 

 本当に今までの関わりを経たれてしまった様だ。

 この二つの関わり以外に、俺がゼットと関われる仲は無い。

 俺の言葉は遮られる。

 

「……要件は何だ、黒の剣士。今の俺はすこぶる気が荒れている」

 

 戦闘は終わったはずなのに、未だ変身を解かないゼット。

 すると、アイテムスロットから何かを取り出し、それを見つめる。

 

「……まぁいい。ほら、受け取れよ黒の剣士。これは俺が持ってても意味のないものだ」

 

 そう言い、ゼットはボスのドロップアイテムである聖晶石を俺に投げ渡す。

 

「……じゃ、これでお別れだな……もう来るなよ、キリト」

 

 そう言い、サイクロン号に乗り、風のように駆けていった。

 

――――――――――――

 

「情けない旅路だった」

 

 命を懸けた勝負は、その恐ろしき暴力で幕を閉じた。

 掛かった時間は僅か1分。

 その報酬は……

 

「10秒限りの復活機能」

 

 与えられていた猶予は、僅か10秒。

 

「そんなの、既に終えている」

 

 いや、猶予なんてものは無かったのかもしれない。

 

「ほんと……愚かなものだ」

 

 希望なんて、最初から無かったんだ。

 深々と降る雪を眺め、途方に暮れる中、1つの通知が鳴る。

 

「……プレゼント?」

 

 こんな時期になんだ?

 まさかサンタさんからのクリスマスプレゼントとやらか?

 

 そう考えていた俺の思考回路は、送り主の名を見てバクる。

 

《from ACE》

 

「……っ!!」

 

 送り主は、エースちゃんからだった。

 迷うこと無くタップし、そのプレゼントを回収する。

 そこにドロップしたのは、小さな緑色の球体。

 

「……何だ」

 

 それに手を伸ばすと、神々しく緑色に輝くと共にそこから音声が……いや、聞き慣れた声が聞こえた。

 

『なーにシナシナになってんの!バカゼット!』

「あでっ!?」

 

 突如飛来してきた球体が、俺の頭にぶつかり、少し怯む。

 いや、大切なのはそこじゃない。

 この声。

 もう聞けるはずのなかったこの声は……。

 

『ほら!いつまで変身した状態でいんの!ほら、さっさと解除してその面拝ませろ!』

「は、はい!」

 

 その声の正体を確信するよりも先に、光は俺に変身解除するように命ずる。

 すぐさま《タイフーン》の右スイッチを押し、《プラーナ》を排出する俺。

 言われた通り仮面を外すと、その光球は意思を持ったかのように動き出し、俗に言う《Oシグナル》の部分に装着される。

 

「……そういやそこ無かったっけか」

『普通気づかない?……まさか、その程度の仮面ライダー愛でいきてたの?』

「んなわけあるかい!俺を誰だと思っていやがる!」

 

 外した仮面を手に取り、本心からの笑顔で、その仮面に……エースちゃんに高々と名乗る。

 

「俺は『シン・仮面ライダー』だ!己の(sin)を背負って、己の信ずる信念を貫く、真なる仮面ライダーだぜ!」

『うんうん……それでいいの。それでこそ私のゼットだよ!』

「ニハハハ!」

 

 もう一度、自分の意志で仮面を被り、クラッシャーを閉める。

 

「……おかえりなさいだ、エースちゃん!」

『……うん!ただいま!ゼット!』

 

 今までにない新たな志、本当の……いや、真なる『仮面ライダー』が、聖なる夜に、復活したのだ。

 

 その男、名は『シン・仮面ライダー』

 永遠に消えぬ(sln)を二人で背負う、最強の戦士である。

 




人間、身体から解き放たれた時がいちばん強くなれるって偉い人が言ってました

てな訳で次回からはエースちゃんもはっちゃけます
覚悟
本当のギャグ作はこっからだ
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