残念!ギャグです!
刮目せよ!
もう曇り空は当分広げないぞ!!
なんせギャグ作だから!!!
「……シズさんやい。貴女、過去に何があったのさ」
最初に口を開いたのは俺だった。
その持っていた疑問を確信に変えるべく。
「……やっぱり気づいちゃった?」
困惑の表情だったシズさんではあったが、俺に核心を突く質問をされ、そこからくる不安を誤魔化すように笑顔を浮かべる。
そんな笑顔は観たくないものだ。
本心からの笑顔にこそ、本当の価値があるってのにな。
「ま、キリトへの対応見たらなんとなくね」
こう見えても、案外察しは良いんだぜ?
「……男性不信ってやつ?」
「……うん」
ビンゴ。
やっぱり男性不信だったか。
…………あれ?
“男性”不信?
じゃあ俺は…………?
「……聞いてくれる?」
「……ま、聞けるとこまでは」
ちょいとした疑問が頭を支配していたが、取り敢えずシズさんの話を……過去を聞くことにした。
「……このゲームを始めてからすぐの話なんだけどね、私、ずっとソロで攻略してたんだけど、成り行きでパーティーに招待されてね?そこで数ヶ月いっしょに進めてたんだ。…………そこで」
「ストップ」
「え……?」
だいぶ序盤ではあったが、そっからの展開が予測できてしまった俺は、話を遮る。
……っていうか、表情を暗くされてまで、無理してまで聞きたいわけじゃないんだよ俺は。
話したほうが楽になるとは言うが、そういうのは内容によるものだろう?
「この後の展開、なんとな〜くわかっちまった。多分、言うのも辛いでしょ」
「……そこまでわかっちゃったか。流石だね、ゼットくんは」
「ま、無駄に勘だけは鋭いんでね。……んで?それが原因でそうなったってことかな?」
「……うん。そこからもいっぱいナンパされちゃって……もう怖くなっちゃってね……。……ごめんね、ゼットくんのお友達だから悪い人じゃないのはわかってるんだけど……」
「……シズさんは優しいねぇ」
間違いなく辛いのは自分の方だったのに、それでもキリトの方に気をかけて心配してくれてるシズさん。
あまりにも善人すぎる。
天使みたいな人だ。
そんな人の表情が暗くなるのは、あまりにも嫌すぎる。
……よし!
「シズさんやい。ちょいと俺に付いてきてくれないかい?」
「いいけど……何処に行くつもりなの?」
「いいからいいから」
重くなった空気をぶち壊すべく、半ば強引にシズさんの手を引いてとある場所へと向かう俺。
俺が向かった場所。
それは迷いの森の中にある謎の湖。
そこは湖があるおかげで夜空がよく見えるのだ。
「わぁ……!綺麗な場所だね!」
「でしょ?俺もよく来たんだよね〜ここ」
夜空を眺め、その黒い瞳を輝かせながら言うシズさん。
可愛いね。
まぁそれはそれとして。
ここは俺が迷走してたあの頃によ〜く通ってた所。
そう、まだ『バッタオーグ』だったあの時に……ね?
レベリングに飽きた時はよくここでボケー……っと時間を費やしてたんだよね〜。
いや〜懐かしい。
「ホント、この夜空見てると薄汚れた心が洗われるよね〜。いや〜何度ここには助けられたか……ニハハハ!」
「……その口ぶり、ゼットくんも何かあったの?」
「んまぁ半年くらいも前にね。俺もちょいとした人間不信になってたのよ」
「そうだったんだ……あれ?でも今はそんな感じしないけど……」
「それが、何とかなったんだよね〜俺。ま、それこそ『А to Ζ』の奴らが居たからかな?」
信じれなくなったら、また信じれるようにするまで。
だいぶ無理矢理な理論ではあると思うが、俺はそれでなんとかなってる。
なんとかしてる。
「だからさ、シズさんのその男性不信もさ?すぐに治すってわけにゃならねぇとは思うけどさ、コツコツと改善してこうぜ?」
「……でも」
「……んじゃ、不穏になってるシズさんに1つ、ここで衝撃……いや、笑撃の真実をお伝えしよう」
シズさんの話を聞く前に感じてたあの疑問を、ここで解消してやろう。
シズさんの黒い瞳を見つめ、ビシッとした声で、真実を伝える。
「俺は男だ」
「…………え?」
その言葉に、シズさんは見事に固まる。
いやまぁ……予想はしてたよ?
男性不信だって言う割には俺が腕触っても恐れることなかったし、バイク乗ってる時ふつーに腰に腕回してくれてたし。
……それにしても柔らかかったな。
……って、そんな事考えんな俺。
今すぐにでもこの湖に飛び込んでやろうかこの野郎。
と、脳内で一人漫才してる内にシズさんは動き出す。
脳内の声聞こえてないよね……?
「ごめんねゼットくん!てっきり女の子かと……」
動き出したシズさんは、その頭を深々と下げ、今まで誤解していたことを謝ってくれる。
いや謝るのは俺の方で……。
まぁ聞かれてなかったらそれで何よりなんだが。
「いーのいーの、慣れてる事だから。……んで?どうよ」
「どうって……何が?」
「男だって判明したけど、俺のことが怖いかい?」
その俺の問いに、シズさんは多少の戸惑いを浮かべるものの、すぐに考えた後に、結論を出す。*1
「……ううん。怖くない。だって、ゼットくんはゼットくんだもん」
「……ニハハハ!そりゃよかった!」
考え抜いた結論を笑顔で答えてくれたシズさんに、思わずいつもの笑い方で応える。
これだよ、これ。
俺が見たかった笑顔は。
「……さてと、シリカちゃんがあの黒いのに襲われる前に戻りますかね」
「うん!……って襲う!?あの人が!?」
「そだよ。……あ、言ってなかったか」
「聞いてないよそんな事!あの人一体何なの!?」
「え?ロリコン」
「誰がロリコンだゴラァ!!!」
俺の衝撃的な発言に、元気なツッコミを返してくれるシズさん。
そこに乱入してきた黒ボッチ。
その後ろに並んできたシリカちゃんとサイクロン号。
……まぁここでキリトと暴言大会開いてわちゃわちゃするのもありではあるのだが、そんな事をする余裕がなくなるほどに絶望的なものがサイクロン号の上に置いていったものだ。
真っ黒なオーラを放つ
『やぁゼット♪なかなか楽しそうな雰囲気じゃん?』
「……はい」
『シズさんのあの問題は解決できた?』
「……一歩前進です」
『うんうん、それなら良し!……まぁそれはそれとしてね?ゼット、そこに立っててね?』
「……はい」
オーラを放ちつつも、とても楽しそうに話すエースちゃんの指示に従い、サイクロン号の前に立つ俺。
これから起こることは、間違いなく俺にとって碌でもないことだ。
え?それがわかってて何故抗わないのか……だって?
……お前ら、わからないのか?
この殺意が。
嫉妬の感情半分、明確な殺意半分だぞ多分。
……さて、脳内座談会はここらへんで切り上げて。
いつの間にかサイクロン号がライダーモードになって、エンジンが吹き上がっている。
あとはもう、おわかりだよね?
『徒花と散れェ!!!』
「ぐえぇ!?」
全速力で駆け出したサイクロン号は、無慈悲にも俺に衝突。
見事に俺の身体は宙を舞い、湖に落っこちた。
―――――――――――――――
一悶着あったものの、迷いの森から抜け出した俺達は主街区の《ミーシェ》へと辿り着いた。
……のだが。
「いぇっくしゅん!!!」
どっかの誰かさんに湖に落とされたもんで、ビッショビショになってしまった俺。
風邪を引いてしまうぜコレは。
「ゼットくん……大丈夫?風邪ひかない?」
そんな俺を心配してくれるシズさん。
割とガチに癒しすぎる。
『そんな心配しないでいいよシズさん。だってコイツ究極の馬鹿だもん』
「水没させてやろうか……」
「あはは……」
横槍を入れるが如く暴言を吐いてきたエースちゃんに、小声で毒を吐く俺。
仲が良いからこそ出来るやり取りなんだよな、コレ。
……って、ありゃ?
「キリトとシリカちゃん何処行った?」
「あれホント……さっきまで後ろにいたはず……」
『え?キリト達なら、ホラあそこ』
エースちゃんが示した方向には、キリトと、その後ろに隠れるシリカちゃん。
そして、槍を持った赤髪のシャンk……じゃなくてプレイヤーか居た。
どうやら絡まれてしまったようだ。
「……しゃーない。横槍入れちゃいますか!」
『よし!ビシッと言っこい!』
「ほどほどにね……」
仮面をシズさんに託し、嫌味を叩かれているシリカちゃんの元へと向かう。
「よおブラッキー!湿気た顔してどーしたんだ?トラブル発生中か?」
「いてっ!?突然入ってきては頭殴んじゃねぇよ!馬鹿になるだろうが!」
「元から何も入ってないんだから心配すんなって。入っててもくるみサイズの脳しかないんだから」
「誰の脳がステゴサウルスだテメェ!」
不満げな顔をしていたキリトの後頭部に拳をぶつけ、一方通行の暴言もぶつける俺。
字で表すとヤバイ奴だな……。
ま、今更か。
「んでんで?何でそんなおばさんと駄弁ってんだ?お前が好きなのってアスナさんじゃないのか?」
「違ぇよアホンダラ!この厚化粧絶対してる系の年増が急に話しかけてきたと思ったら嫌味はいてきたんだよ!」
「あらまぁ可哀想に……多分更年期なんだよ。そう言うお年頃ってやつだろ」
流れるように飛び交う罵声と暴言。
それも、女性に言っては行けないランキングでトップ10に入るくらいの暴言をさも当たり前かのように使いまくり、煽りまくる俺とキリト。
ちょいとそのおぼさんプレイヤーの方を見てみると、怒りから来るものであろう震えでぷるぷると震えている。
これ以上の煽りは流石に不味いだろうな……
「見てみろキリト。あのばあさん震えてるぜ」
「多分「老人性振戦」だろうな。筋肉を動かす神経のバランスが弱々しくなってる」
「こういうの見ると歳は取りたくないって思えるよな」
「反面教師ってやつか?」
「そうそれ」
まぁそんなんで止まる俺達じゃないんだけどな。
すると。
「……さっきから聞いてたら、言いたい放題言ってくれるじゃないの」
「うっわ聞こえてるのか。補聴器なしで聞こえるってことは、そんなに歳は行ってなかったか?」
「いや待てキリト。最近の補聴器は小型だったり皮膚の色と似てたりと近くじゃないと認識できないレベルのモンが生産されてんだ」
「はっ!まさか!」
「ああそうだ。つまりコイツは年寄りであり、このゲームは……」
「年寄りにも気を配っている……!」
「そういうこったぁ!」
「……っ!アンタらねぇ!」
俺達のレベルMAXの煽りに耐えかねたばあさんが静止するべく、会話に割って入る。
が、それでも止まらないのが俺達『А to Ζ』初期メンバー。
更に煽りを加速させ、ばあさんの怒りの臨界点を迎えさせる。
「ニハハハ!あ〜満足満足!……あ、そうだ。シリカちゃんには俺達『А to Ζ』のパーペキな支援があるから、あんたが心配することはな〜んもないぜ」
「そうそう。それに、怒ってばっかだとシワが増えるぞ?」
「ーーーッ!!!……っふん!まぁせいぜい頑張りなさいよ!」
はいKO!
煽りに耐える事ができなくなったばあさんは、踵を返し何処かへ行ってしまいました!
俺達の勝ち!
「ぃよーし気分↑↑んじゃ、あそこのカフェ行こーぜ。あそこのチーズケーキ中々美味いし」
「っ!ですよねゼットさん!」
夜風を浴びてないため、まだハイな気分で会話を続ける俺。
そんな俺の言葉……チーズケーキに反応する少女が一人。
この娘は……信用していいのだろうか。
……確かめようか。
「喰い付いたってことは……さてはシリカちゃん“行ける口”だな?」
「……その口ぶり、ゼットさんもですか」
「「…………」」
俺とシリカちゃんの間に謎の空間が生まれる。
多分だけど領域展開されてる。
僅かな時間が過ぎ、俺とシリカはほぼ同タイミングでその手を差し出して……
「「同志よ!」」
固い握手をした。
俺達は同じスイーツを愛する同志だったんだ。
「……何が起こってるの?」
『私もよくわかんないや……キリト、何かわかる?』
「俺もわからん……」
けっ……これだから(シズさんを省いて)舌バカどもは……。
「エースちゃんにキリト!お前らにゃ一生わかんねぇぜ!」
「そうです!シズお姉ちゃんはともかく、お二方に私達『甘党連合』の心がわかるはずありません!」
「甘党……」
『連合?』
……やはり駄目か。
片や辛党、片や味覚音痴と来たもんだ……。
スイーツをまともに味わえないアイツらが可愛そうで仕方ない。
「……ま、こんなとこでが駄弁ってても意味ねぇな」
「ですね……速く食べにいきましょう!」
「ああ!」
「「レア/ベイクドチーズケーキを!」」
瞬時、俺達の間に稲妻が走る。
「おいおいシリカちゃん……なんの冗談だ?」
「それはこちらのセリフですよゼットさん……貴方、今何と言いました?」
「ベイクドチーズケーキだが?」
「はぁぁぁぁ〜〜〜〜???ふっつーはレアチーズケーキですけど???」
「はぁぁぁぁ〜〜〜〜???」
「「…………」」
二度目の静寂。
先ほどとは違う、相手を敵として認識した時に生まれる静寂だ。
「……『甘党連合』は解散する!」
「ええ!貴方と組むのは御免ですよ!」
かくして、突拍子もなく生まれた連合は、ちょいとした理由で解散することになってしまったのだ。
「………結局何だったんだよ」
『さぁ……?』
「あはは……」
絶縁してしまった二人と、未だに理解が追いついていない三人、そして一つの段ボールは、何が起こったのかよくわからん状態でカフェ内に入っていった。
―――――――――――――――
「ほれ行くぞメテオラ」
「俺も飯食いたかった……」
カフェ内に入ってすぐ、仮面をまたシズさんに預け、段ボール……もといメテオラを引き連れて外に出る俺。
お前が飯を食い始めるとここのカフェの食料がなくなってしまう。
「とりまアルゴんとこ行くぞ」
「……何故だ?」
「ちょいとオレンジギルド……『タイタンズハンド』についてでね」
「……そうか。それなら付いていこう」
「助かるぜ〜」
そんな訳で、アルゴの元へと向かおうとしたのだが……
「……お、ゼー坊にメー坊!こんな夜中に何してんダ?」
「お、ベストタイミングじゃ〜ん。おはよう!アルゴ!」
「いま夜だぞ……。まぁ久しぶりだな、あーさん」
なんとアルゴの方からこちらに来てくれた。
なんという奇跡だろうか。
ありがたやありがたや……。
「……さて、本題に行こう。例のオレンジギルド……」
「『タイタンズハンド』の事だロ?ちゃんと調べてるゾ」
「さすがはアルゴおねーさんだな!ニハハハ!」
「ふっふっふっ……もっと褒めてもいいんだゾ!ゼー坊!」
「あ、結構です」
「急に冷めるナ!……ほら、これが例の物ダ」
そう言い、アルゴは『タイタンズハンド』のメンバーが載った紙を渡してくれる。
そこに書いてあったメンバーを見て、多少の衝撃を受けたが……まぁ些細な問題ではない。
そこら辺の解決はいつでも……それこそ明日にでも出来る。
「……おーけおーけ、サンキューアルゴ。んじゃ、俺は先に帰るからあとはごゆっくり〜」
「お、おいゼット……」
コルだけ払い、止めようとしたメテオラをスルーし、足早とその場から立ち去った。
こっから何が起こるか、わかるよね?
「……まったく、毎度変わらずよくわからんやつだな。それじゃ俺も……」
「あ、あの……メテオラ!」
ほんの少し、頬を赤くしながらメテオラの名を呼ぶアルゴ。
「急にどうしたんだあーさん?ニックネーム呼びじゃないし、口調も変わっているが……何かあったのか?」
「その……メテオラが暇なときとかにさ……私に顔を見せてくれないかな……?」
「?それくらいなら構わないが……。いつも情報貰ってる恩もあるから…………なんだその膨れっ面は」
「な、何でもない!」
真っ赤になった顔を隠すためか、アルゴは踵を返し、その場から去っていってしまった。
ただそこからは、春の匂いがした。
ちょいとばかし長くなっちまったな……
その分ギャグいっぱい書けたから良いんだけど!
前半書くのに手こずっちまったな……
その分後半のギャグ書くのはスイスイ行ったけど!
次回からもこんな感じで行くわよ〜