いや〜なかなか長くなってしまった……
……コードRの使い方、これでよかったんかな?
「あ!そーだ!俺あっちに忘れ物あったんだった〜。ちょいと取ってくるぜ〜」
前触れもなく踵を返すゼット。
その際、ゼットは俺の肩を叩き、小声で語りかける。
「わかるかキリト?」
「あぁ……囲まれてるな」
「前はお前に託す。後ろは俺に任せろ」
「……任せとけ」
そう言い、ゼットは後ろに……敵の多い方へと向かっていった。
……俺が言うのも何だが、一人で背負い過ぎなんだよアイツは。
……仕方ない。
「メテオラ。アイツに付いてってやってくれないか?」
「何だキリト。ハーレムでも作り上げるつもりか?」
「チゲぇよ雑食!……ゼットが向かった方には、多分10人以上は敵がいる。助けてやってくれ」
「何だそういう事か……任せておけ」
ちょっとした小ボケを挟みながらも、メテオラはゼットの後を追っていった。
……段ボールとともに。
「おい黒ボッチ。何故あの雑食蛇をゼット様の元へ向かわせたんだ。何故我じゃない」
「そりゃ、メテオラの方が信頼できるから……って!誰が黒ボッチだこの野郎!」
「先程ゼット様からそう教えられただけだが?」
アノ変態仮面、何も知らない純情な娘にあらぬ誤解情報を出しやがった。
後でしばく。
顔面陥没させてやる。
「ふむ……それなら、私のことは何と?」
「卑劣様」
「……まぁいいだろう」
「じゃ、じゃあ私は!」
「敵」
「あの人まだ恨んでるの!?」
続々とカトラに何と呼ばれたのか聞きに行く女性陣。
……それにしても、まだチーズケーキのこと妬んでたんだな、アイツ。
意外と嫉妬深いのか?
「……あ、シズさんはシズさんだ。唯一の正常な人とも言っていたぞ」
「「「それはそう」」」
「あはは……」
そんな感じで談笑しながら進んでると、《思い出の丘》の出口である石橋へと辿り着いた。
……さてと。
「そこで待ち伏せてる奴、出てこいよ」
俺は俺の方で、託された仕事をやっておくか。
――――――――――――
「俺様は《
所持していたメイスを空にかざし、己の名を叫ぶ。
「キング……それにラフコフだと……」
「フッフッフ……そうだ恐れろ!俺様を恐怖しろ!」
「知らない名前だ……」
「知らないだけかっ!!!」
俺の意味ありげな反応に、嬉々として反応したキング。
だが、俺から発せられた言葉は予想していなかったものらしく、盛大にツッコミを入れる。
「そういう反応は何か知ってて恐れる時の反応だろ!何で知らないんだ!」
「何でって言われても……知らんもんは知らんし……つーかオメー小さいし、その身長で恐れろは無理だろ」
「身長は関係ないだろ!!!コンプレックス何だぞソレ!!!」
そう言いプンスカ怒るキング。
これがラフィン・コフィンとやらの幹部の姿なのか……。
「お前ほんとに何なんだよ!!俺様はラフコフの幹部なんだぞ!?一世一代のピンチって言っても過言じゃないんだぞ今!!」
その言葉とともに、木陰から14名のプレイヤーが現れる。
これで本格的に1対15になってしまったな。
まぁ人数的に見たら不利っちゃ不利だな。
……どうするべきか。
「エースちゃん、今残ってるプラーナはどんくらい?」
『生命活動が続けれるくらいだね……戦える分の余裕は無さそう』
「ふむ……厄介だな」
残念なことに、変身してないと一般的な味覚障害と不眠を患ったプレイヤーだって言うのに……。
こんなんならソードスキル上げとくべきだったかもしれん。
……仕方ない。
「一世一代だろうが関係ない。……貴様らの相手はこの俺だ!」
そこら辺に落ちていた太めの木の枝を手にして、片手剣を持つように、
「お前……正気か?」
「勝機?そんなの戦う前から見えてるぜ」
「同音異義……ってそうじゃなくて!!人数差がわからないのか!?」
後の木陰から出てきたオレンジプレイヤーが戸惑う中、キングが心配そうな声で俺に尋ねる。
さてはコイツ根は優しいな?
「わかった上だぜ。……さぁ、御託はいいから始めようぜ?」
「いやいやいや!こんな戦力差じゃ戦うに戦えないよ!流石にアンフェアだって!」
先程より強く枝を握る俺に、本気で心配してくるキング。
お前さ……ラフコフには向いてないよ。
絶対さっきまでの「俺様」キャラは作りものだろ。
よし、コイツを今日から「キリト2号」と呼ぼう。
すると、俺の後方から何かが勢いよく接近する足音が聞こえる。
「何だ?…………あれ?」
振り返ってみると、そこには誰も居なかった。
一体何がと戸惑うよりも先に、振り返る前の方向、つまりキングのいた方向から悲鳴に似た叫び声が聞こえる。
改めて振り返ると、そこには白髪の少女が、マシンがつけるような大剣を腕に装着した少女が、オレンジプレイヤーを蹂躙していた。
とんでもねぇパワーだ。
……って、見惚れてる場合じゃねぇ。
「助太刀するぜお嬢さん!」
「……うん。半分お願い」
木の枝片手に、敵陣に突っ込む俺。
正気の沙汰ではない。
だが、それでいいッ!
大剣を装備した少女は、その長過ぎるリーチを生かしてバッタバッタと切り裂き、ときに片腕に装備した剣と入れ替え、またまたぶった斬る。
美しすぎる戦闘である。
それにしても、剣の方はともかく、大剣の方をSS無しで使いこなせてるのさヤバい。
よくそれでそんな火力が出せるもんだ。
……かくいう俺もSS無しで戦ってんだけどね!
ニハハハ!
そんな俺は木の枝と己の力を上手く使い、相手の喉や鳩尾などの急所を的確に突き、無力化させる。
それに加え、木の枝ごときに負けるとかいう屈辱感も植え付ける。
エイチ直伝の卑劣な戦術だ。
流石卑劣様。
ほんとに卑劣。
「……さてさてさぁて?残りはお前……って、ありゃ?」
白髪の少女と共に、現れた14人のオレンジプレイヤーを討伐、ほぼ瀕死状態にした所で、残っているであろうキングに目をやる。
しかし、そこには誰も居なかった。
デジャブった。
「やれやれ、逃げられちまったか〜……ま、いっか」
ベルトを操作し、変身を解除。
仮面を外してから、助けてくれた少女の元へと向かう。
「サンキューお嬢ちゃん、助けられたぜ」
「……いいの。これくらいしか、私に出来ることはないから」
……なんか、随分と悲観的な子だな。
さては闇深だな?おん?
「……お嬢ちゃん、名前は」
「む、終わっていたか」
彼女の名を聞こうとする俺を遮るように、俺の後方から段ボールが話しかけてくる。
せめて話す時はそれ脱げ。
「遅かったじゃねぇのメテオラくん」
『先にコテンパンにしちゃったよ〜』
接近していた段ボールを外し、その姿を太陽の光のもとに曝す。
瞬時、段ボールから現れた男は俺の腕を勢いよく掴み、思いっきり吹っ飛ばす。
「ぐえっ!?」
忘れていた。
コイツCQCの達人だったんだ。
「……すまん。癖で」
「癖で人を投げ飛ばすなアホンダラ……」
スーツがなければ即死だった……。
すると
「まさか……メテオラなの?」
先程まで感情の起伏がなかった少女が、感情の読み取れる声でメテオラの名を呼ぶ。
「その声……そうか、ロニィか。……すまなかった。俺が誘わなければ、このゲームをやることも無かったというのに」
「い、いいのメテオラ!……その、会えただけで嬉しいし……」
「ん?なにか言ったか?」
「な、なんにも言ってない!」
どうやらメテオラの方も少女……ロニィちゃんを認識したらしく、このゲームを誘ってしまったことを謝罪する。
その謝罪に戸惑いながらも、ロニィちゃんは顔を赤くして小声で呟く。
しかし難聴であるメテオラにはその言葉は聞こえなかったようで、聞き返すも、断られてしまう。
……うん、春の匂いがまたしてきやがる。
何コイツ。
ラブコメ作品の主人公か何か?
この作品の主人公我ぞ??
活躍し過ぎではなくって???
「……そうだロニィ。少し話したいことがあるんだが」
「うん!私も色々と話したいし……」
「なら、少し奥で話そう。ちょうどベンチもあるからな」
そう言い、メテオラはロニィちゃんを引き連れて、奥の方へと去っていってしまった。
……そういや、この《フラワーガーデン》ってカップルのデートスポットで有名だよな?
……あの野郎、やりやがった。
『メテオラも隅に置けないねぇ〜……』
「女誑しにも程があるっての……ま、いっか。アイツ等んとこ戻るか」
ちょいとした嫌味を言いながら、仮面を片手にキリト達の元へ戻ることに。
そして、案外長かった戦いでズレたあろうマフラーを正すべく、首元に手をやる。
……って、あれ?
「マフラー無くね?」
『……え?今更?』
「……まさかとは思うけど、あん時から無かった?」
『少なくとも私が復活した時にはなかったよ?』
「嘘だろ……」
今まで靡いてなかったのは、シンプルになかったからなのかよ……。
つーか、気づいてたんなら教えてくれよ。
「……しゃーない。色々終わったら買いに行くか」
そんな事を呟きながら、気絶した14人のオレンジプレイヤーを黒鉄宮に追放してからキリト達のもとへ戻る。
どうやらキリト達のほうでも対処できたらしく、敵対していたであろう10人の《タイタンズハンド》を黒鉄宮に送り込めたらしい。
……ま、何故か知らんが声かけた瞬間キリトに顔面殴られたのは、別の話ってことにしとこうかね。
ニハハハ!
……いつかこの恨みは返してやるからな。
―――――――――――――――
その後、シリカちゃんは手に入れた《プネウマの花》を使用し、大切な友であるピナを救えたらしい。
そんな中、俺は仮面を宿屋に置いてから抜けだし、シズさんと話をしていた。
「……んで、どーだったよシズさん。俺達との旅は」
「そうだね……」
壁に寄り添い、フードを外しているシズさんに尋ねる。
俺の質問に、シズさんは苦笑いを浮かべながら、こう答える。
「正直に言えば、ちょっと疲れたかな」
「ニハハハ……申し訳ねぇや」
「でも、楽しかったよ」
返ってきて答えに、俺も苦笑しながら軽く謝罪する。
そうすると、シズさんは最大の笑みを浮かべながら、「楽しかった」と伝えてくれる。
それが聞けたなら大満足である。
「……ねぇゼットくん。私も『А to Ζ』に入れてくれる?」
「勿論」
優しい笑みを浮かべながら質問してきたシズさんに、俺は二言で肯定する。
「んじゃ、改めて挨拶だ。ようこそ、コード……コード……」
歓迎するための言葉を伝えようとした俺の口は、とある深刻な問題を前に止まる。
それは『А to Ζ』に入るうえで重要になってくるコード。
俺やエースちゃん、エックスだのはその名前から安直に取ったし、メテオラの場合は自分で「コードMでいい」とか言われたから迷わなかった。
のだか、今回は違う。
安直にSとつけるのも芸が無い。
となれば、ちょいと真面目に考えるのがいいだろう。
まず初めに、シズさんの二つ名と言えば『炎の剣士』だろ?
んでんで、シズさんが使ってるのは《炎の剣》なわけだ。
炎……英語で言えばFlameだったか?
……よし、これで決まりだ。*1
「コードF!我等『А to Ζ』は、貴方のことを歓迎するよ。よろしくだぜ、シズさん!」
「うん!これからもよろしくね、ゼットくん!」
ぱぱっと決めたコードを気に入ってくれたらしく、シズさんは俺の差し出した手を快く握り、固い握手をした。
その後、シズさんはシリカちゃんの元へと戻り、外に出てるのは俺だけ
「ゼット様!」
……ではなく、カトラちゃんも居たようだ。
「どったのカトラちゃん」
「あ、あの!宜しければ私も『А to Ζ』に入れてほしいのです!」
「……ニハハハ!いきなり改まって言うから、「もう貴方を尊敬しません」みたいなこと言われんのかと思ったぜ!」
「そんな訳ありません!ゼット様は偉大な存在……自ら手放すわけがありません!!!」
「……思ったより強いのな。俺への思い」
ちょいとした関心を持ちつつ、先程シズさんのコードを考えたように頭を働かせる。
まず初めに、カトラちゃんはとんでもねぇ中二病だ。
そんや中二病を英語でいうとkitchen two diseaseかSecond year of middle school syndrome だったかな?
Kは使いたいやつがいるから、後者を選択しよう。
んでんで、カトラちゃんは俺のことを崇拝してるわけだ。
……よし、これで決まりだ。*2
「んじゃ改めて……。ようこそ、コードS。我等『А to Ζ』は、貴方のことを歓迎するよ。よろしくだ、カトラちゃん!」
「はい!これからも、未来永劫よろしくです、ゼット様!!!」
「重いね〜」
目をキラキラと輝かせながら、カトラちゃんは付けられたコードに不満1つ言わず、深々とお辞儀をし、宿の中へと戻っていった。
かくして、『А to Ζ』に二人のメンバーが増え、更に狂気が増していくことになるのは、火を見るよりも明らか……だろう?
――――――――――――
第50層 アルゲード
「ふんふんふ〜ん♪」
所変わって第50層の主街区。
そこの路地にて、男か女か区別がつかないタイプのプレイヤーが、鼻歌鳴らしてスキップを踏んでいた。
そんな彼が片手に持っているものは……
「新しく出きたこのグレネード、誰に試したろかな〜」
この世界にはないはずのグレネード。
そしてその口から放たれる見た目に反した可愛さの欠片もない発言。
彼の名は
その名にそぐわないとんでもなくヤバイ奴にて、『А to Ζ』に爆発級の衝撃を与えやがる人物である。
だいたいこんくらいの長さにしていきたいよね〜
ま、ギャグマシマシにすると長くなるから無理なんだけど!
そんで、遂にその姿を表すテロリスト。
彼は一体……?
……さて、次回はマフラーを買いに行きましょうかね