SAO〜その武器無し、ENJOY勢〜   作:ポンノ

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「事件が起きてるってのに何してんのコイツら」と、誰もが思うことでしょう
大丈夫
俺もわかんないから

そんな今回はちょいと短めでございます
その分色濃いネタがありますので……


19話 溢れ出す記憶……透き通るような青い春

 

「女の好み(タイプ)だぁ?」

 

 俺の唐突に行われた質問に対し、ゼットは超絶戸惑った反応をし、更に言葉を紡ぐ。

 

「何でそんな事ここで聞くんだよ……つーか、お前誰だよ。名乗れ名乗れ」

「……まァしゃァ無い。俺はもやし、炎上式もやしや」

「とんでもねぇ名前だな……」

「まァまァええやないかァ。ホレホレェ、はよ答えろや」

 

 回答を急かすと、ゼットは頭に片手を当て、深く考える。

 そんな考えることでもないやろ。

 もっと自分の欲望に正直になれや。

 

 ちなみに俺はふたなりとメスガキやァ!

 独占欲とかあればあるだけええもんなァ!!

 そんでわからせられるのが最高やもんなァ!!!

 

「強いて言うなら……」

 

 考えがまとまったのか、当てていた片手を顎に当てて、戸惑いつつも言う。

 

「独占欲強めな女の子……とか?最終的にわからせられるのもありっちゃありだよな」

「……ッ!!!」

 

 瞬間、俺の脳内に溢れ出した

 ――()()()()()記憶。

 

―――――――――

――――――

―――

 

「……俺、アルゴちゃんに告ってみるわァ」

 

 桜の花が舞い散る春。

 現在中学2年の俺は覚悟の決まった宣言を、親友ゼットに伝える。

 多分やけど、応援や称賛の声が届くんやろなァ?

 

「……わりぃこと言わねぇからやめとけよ、もやし。俺お前のこと慰めんの果てしなく嫌だぞ?めんどっくせーし」

「なんでフラれる前提なん?人の心とか無いんか?」

 

 酷い人間やでェホンマ……。

 まァええわ。

 俺は使命を全うすべく、ゆっくりと外に向かって歩む。

 

「つーか、勝算あんのか?OK貰えるとは思えんぞー」

「はんッ……かのアン・サリヴァンはヘレン・ケラーにこう説いたんや……「やる前に負けることを考える馬鹿がいるか」ってなァ」

「それ言ったの猪木だろ」

「そしてヘレン・ケラーはそれに対し「時は来た。 それだけだ」と応えたんやな」

「それは橋本だろうが」

 

 ちょいとした雑談を親友とし、アルゴちゃんの元に向かう。

 こちとら準備と覚悟は万端なんや。

 さァあとは俺が勝つだけやァ!

 

―――――――――――――――

 

「シテ……コロシテ……」

「ニハハハ!!!やっぱり負けてんじゃねぇかよ!!!」

 

 桜の木の下にて、思いを込めたラブレターを渡した俺。

 せやけど結果は惨敗。

 何でも、「オイラ、もう好きな人がいるからサ」だってさ。

 

「好きな人が俺ってパターンは……」

「あるわけねーじゃんアゼルバイジャン」

 

 酷ェ野郎だ……。

 体育座りでしょげる俺。

 そんな俺の頭をぺしっと叩き、笑顔で言う。

 

「さ、ラーメン食いに行くぞ。一杯くらいなら奢ってやんよ!」

 

 その言葉に俺の気もちょいと楽になったもんで、親友の笑顔に負けぬ程の笑顔で応え、行きつけのラーメン屋へと、足並みを揃えて向かったのだ。

 

―――

――――――

―――――――――

 

 俺の脳内で広がった0.2秒の領域展開が収束し、時間軸が今に戻った。

 気づけば、俺の目からは涙が溢れ出ていたんや。

 

「地元じゃァ負け知らず……か」

「おん?」

「どうやら俺達は“親友”のようやなァ」

「ニハハハ!……おもしれーヤツ!」

 

――――――――――――

 

 突如として現れ、俺の好み(タイプ)を聞いたヤツは、天を仰いだかと思えば、これもまた突如として涙を流し始めた。

 そして放った一言。

 

「俺達は“親友”のようやなァ」

 

 俺達、今出会ったばっかな上に名前も先程確認したばかりだと言うのに、コイツは俺を“親友”と呼んだのだ。

 

 ……って、そうじゃねぇんだ。

 

「へい親友(マイフレンド)、アンタここで黒いローブ着た怪しさマシマシなヤツ見なかった?」

「おん?それやったらついさっき俺の横通ってた……って、なんかあったんか?」

「通り魔事件が起こってんのよ。んで、そいつが犯人の可能性大って感じ」

 

 とてもとてもわかりやすい俺の説明を聞き、我が非公認の親友はちょいと頭を抱え、ぼそっと呟く。

 

「……あんとき爆発させるべきやったかァ」

 

 あまりにも内容が物騒すぎる。

 新たな親友に多少恐れながらも、辺りを見回す。

 が、黒ローブは見当たらない。

 

「……まぁ逃げられてるよな〜」

 

 そりゃ、あれからだいぶ時間経ったし、逃げられるよな。

 すると。

 

「あ、いた。ゼット!」

「犯人捕まえれたかー?」

 

 後方から、キリトとナオちゃんの接近してくる声が聞こえる。

 なにか見つけられた……ってわけでも無さそうだな。

 

「って、ソイツ誰だよ」

「俺の親友。名前はもやし」

「せやせや」

 

 俺が超簡単に紹介すると、もやしは腕を組みながら頷き、こちらに近づく。

 

「さてさてキリト君。例のバッチ以外に現場にアイテムは残ってたかい?」

「いや、あの後数分探したが、証拠になりそうなものどころか、何も残ってなかった」

「そーだぞー……ってか、そっちは犯人捕まえれたのかよ」

「残念ながら」

 

 予想通り、犯行現場にはあのバッチ以外は無かったようだ。

 こちらも犯人を捕まえれなかったから、まぁ咎めることはできんわな。

 咎めるつもりもないが。

 

「……んじゃ、今ある証拠品から犯人特定しちゃいますか」

「おォん?そんな事できんのかよ、親友(マイフレンド)

 

 俺の唐突な発言に、不思議そうに尋ねるもやし。

 だが、そこに不信感は無さそうだ。

 

「安心しろよ。なんせ、俺は『А to Ζ』の副リーダーだぜ?これくらいの事件、ちゃちゃっと解決してやんよ」

「……流石やな。それでこそゼットや」

 

 そんな訳で、俺達四人は一度ギルドホームに戻ることに。

 ……多分、この二人なら対応できるでしょ。

 

「……あ、そうだキリト。お前等三人で先戻っててくれ。んで、エックスに状況だけ伝えてくれ。多分あいつなら解決できる」

「それじゃ、お前は何すんだよ」

「ちょいと情報屋に……ね?」

「……なるほど。わかった、あとは任せとけ」

 

 こんな感じでキリトを説得し、三人には先に帰ってもらう

 

 ……はずだったんだ。

 

「何故ナオちゃんも来るんだよ」

「しょーがねぇだろー?アイツ等についてってもおもしれーことなさそーだもーん」

「自由人がよぉ……」

 

 俺と同等……もしかしたらそれ以上にヤベーやつなのかもしれん。

 ……そういえば、なんでコイツオレンジプレイヤーやってんだ?

 聞いてみっか。

 

「へいナオちゃん。なんでお前さんオレンジになってんの?」

「それがなぁ……あたしにもわからねぇんだよなぁ……」

「ほほぉう?」

 

 どうやら原因がわかってない模様。

 もしかしたら、何かしらのミスでオレンジになってるのかm

 

「ただあたしはちょっかい掛けてくるクソ野郎どもブチのめしただけなのに……」

 

 前言撤回。

 コイツ生粋の犯罪者だわ。

 

「あたし許せねぇんだよ。このゲームの運営。こちとら正義のヒーロー様として犯罪者共を殴り飛ばしてただけだったのによ」

「……正義、ねぇ」

 

 ナオちゃんのぶっきらぼうに放った言葉に、俺は引っかかる。

 どうも正義って言葉は気に入らない。

 その言葉は果てしなく嫌いだ。

 

「……んお?どしたよそんなつまんなそーな顔して」

「なんでもねぇよ〜」

 

 ……ま、ナオちゃんなら大丈夫か。

 

―――――――――――――――

 

「……んで、持ってる情報と引っかかりそうな奴はいるかい?」

 

 雑談を交えながらアルゴの元へと向かい、例の血盟騎士団の証を見せる。

 

「まぁ居るゾ。それらしい犯人候補ハ」

「さすがはアルゴおねーさんだ。仕事が早い」

「まぁナ。……とはいえ、ゼー坊のヤツ以外にあったんだナ」

「ほんとにねぇ……」

 

 アルゴから貰った情報を片手に、装備してる《シークレット・コート》を見つめる。

 多分、それが正規の使用方法なんだろうが……。

 

「……っていうカ、また女の子侍らせてんのカ?」

「酷い言い方しないでくんね?」

「そーだそーだ。誰がこんなの好きになるかよ」

「それはそれで酷くない?」

 

 アルゴの誤解でほんの少しダメージを喰らい、ナオちゃんの一撃で深いダメージを喰らう。

 そんなバッサリ言うか?

 俺でも傷つくんだぞ?

 

「……ま、助かったぜ。あんがとな」

「いいんだヨ。いつでも頼ってくれよナ!」

 

 例の如くこコルを払い、俺とナオちゃんは改めてギルドホームへと戻ったのだ。

 

「……そういやゼット」

「どしたのナオちゃん」

 

 ギルドホームへの帰路にて、ナオちゃんはちょいと不思議そうな顔をして俺の名を呼ぶ。

 

「そのコート、何か秘密でもあんのか?」

「あるぜ?ホレ」

 

 そう言い、俺はコートを外す。

 すると、俺の上に会ったカーソルが、緑からオレンジになる。

 

「じゃじゃーん。俺もオレンジだったのだよ」

「ほへー」

「……すっげぇ興味無さそうだね君」

 

 俺がいうのも何だが、だいぶ衝撃的な事実だと思うんだが?

 表情一つ変えず応えやがったナオちゃんに、ため息混じりに言葉を吐く俺。

 

「……待てよ?」

「おん?」

「そのコートがあれば、このカーソルを緑に変えれんだな?」

「おうとも。それで今まで過ごしてきたんだし…………まさか」

 

 ふと何かを思いついたであろうナオちゃんは、俺の外したコートを見つめながら、良からぬことを考え出す。

 まさかと思いナオちゃんの表情を見ると、それはそれはとてもいい笑顔だった。

 

「さぁあたしにそのコートを寄越せ!」

「嫌だぁ!」

「無駄な抵抗だ!あたしのほうが力は強いんだ!」

「それでも嫌だぁ!!!」

 

 予想通り俺のコートを奪いに来るナオちゃん。

 それに対し全力で抵抗する俺。

 はたから見れば物を取り合う姉弟である。

 

「つーかナオちゃんはこのサイズ入らねぇだろ!無理に着て破れたらどうすんだよ!」

「そんなん破れたときに考えればいい!」

「嫌な方向にプラス思考しないでくれ!というかナオちゃんはグリーンに戻るクエストでもやってきたらどうだ!」

「もう10回はクリアしてる!」

「その道のプロかよお前ぇ!!!」

 

 俺のコートを引っ張り合いつつ、夕日の空に俺の罵倒が響く。

 つーかなんでそのクエスト10回もやれるんだよ。

 どんだけ罪を重ねるんだよコイツは。

 

 ……とは言え、アルゴの情報からだいたい犯人はわかった。

 あとは俺達『А to Ζ』が解決するだけだ。

 覚悟しとけよ犯人。

 何が何でも捕まえてやるからな……。

 ……それはそれとて。

 

「早く諦めろやぁ!!!」

 

 そんな俺の悲痛な嘆きが、夕日に溶けていった。

 




小説の長さはどれくらいのほうが良いのか……

それはそれとて
最近劇場版の「ミステリと言う勿れ」を見てまいりました
それを見て思いついたんです
エックス、お前推理できるんじゃないか?……と
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