キリトハピバ!
今回君の出番ないよ
今回で通り魔事件を解決してやんよ!
さてさて。
アルゴからの情報を手に入れ、大方の犯人を推理できた俺とコートを手に入れて満足げなナオちゃんは、俺達のギルドホームへと戻った。
まぁナオちゃんに力で勝てるわけがないんだよね。
ボディに一発入れられてからの右ストレートよ。
見事にボコされたわ。
人間怖い。
「……あ、副リーダー。おかえり」
「ただいまですよー……さみぃったらありゃしねぇぜ」
『お疲れ様ー……って、マフラー買えなかったの?』
「何処回っても売ってなかったんだよねぇ……ってか、他の奴らは?」
今回の買い物の戦果だけ述べて、ギルドホームを見渡す。
そこには、出迎えてくれたエックスと仮面のエースちゃん。
そんでもって、テーブル上になにかの設計図を広げ、制作を企てようとしているもやしがいた。
多分碌でもないものだろう。
「あと少しやァ……あと少しで英国最大の叡智が作れるんやァ!!!」
うん、見なかったことにしよう。
「……まぁいいや。それはそうとエックス、キリトから話は聞いたか?」
「もちろん。犯人候補は3人まで絞れたよ。あとは確信を持つための情報が必要かな」
「そのためにアルゴのとこに行ってきたんだよ。ホレ、お目当ての情報だぜ」
「流石は副リーダー。こういうとこはちゃんとしてる」
……なんか地味に毒吐かれた気がするが。
まぁいいか。
「それじゃ……久しぶりに推理しますか」
ボサボサな髪をワシャワシャとして、エックスは手に入れた情報と先程までしていたであろう推理を照らし合わせるべく、近くの椅子に座り込み、深く考える。
その間に、俺は仮面を手にし、今朝ぶりにエースちゃんと話す。
『マフラー買えなかったのドンマイだね〜』
「物欲センサーってほんとにあるんだな〜……って。昔っから運だけはないんだよな」
『可哀想になるくらいにね』
「うわ久しぶりに泣きてぇ……エースちゃん胸貸して?久しぶりに泣く」
『体さえあれば喜んでやってたけどね』
「……冗談じゃい。そこは笑って流す所だぞ」
それに、それを求めるのはこのゲームをクリアして、現実世界でエースちゃんと出会えたらだ。
今は違うのだよ。
そんな事を考えながら、特に効果のない黒いコートを羽織る。
これがないとなんか安定しない。
『……そう言えば、その後ろの人は誰?』
「そういや言ってなかったか。コイツはナオちゃん。クラッシャーNAOだ」
「ちーっす。ゼットの彼女でーす」
「はい?」
その発言に、ギルド内の空気が凍り付く。
なんてことしてくれんだ。
『……へぇ?だからゼットのコート着てるんだね〜……ふーん』
「ちょ、ちょいと待ってくれエースちゃn」
『ゼット、正座』
「いや、だから」
『正座』
「……はい。ゼット正座します」
仮面から放たれるとてもとても真っ黒なオーラに恐れ慄き、指示に従い正座する俺。
なんかこの娘、仮面に入ってからキャラ変わったよな。
『……で?弁明があるなら聞くよ?』
「……ナオちゃんが言ってるのは事実無根の嘘なんです」
『ふーん?それじゃ、彼女じゃないわけ?』
「はい。私ゼット、生まれてこの方彼女がいたことはありませぬ」
『……なるほどなるほど』
正座を維持しつつも、ナオちゃんが解き放ったトンデモ爆弾発言によりうまれた誤解を解こうと奮闘する俺。
「おいおい酷いじゃないかよゼット!あたしたち、汗ばむくらいに激しい運動をしたってのに!」
『……へぇ』
「運動じゃなくて戦闘だろうが!それも一方的な!誤解を生むような発言やめてくんねぇかなぁ!」
『ふんっ……どうだか』
この娘なんか俺に恨みでもあるのかよ。
誤解を深めるべくしてか、さらにあられもないことを言うナオちゃん。
それに反応してしまったエースちゃんを再び宥めるべく、全力全開で弁明する俺。
すると。
「なんやァゼット!俺とのあの
「お前の場合はほんとにわかんねぇんだよ
「それでも俺とお前は最強の
「こちとら一人っ子じゃぁぁぁ!!!」
先程まで設計図とにらめっこしていたもやしが急に立ち上がり、血涙を流しながら存在しない記憶を語りだす。
俺はコイツが一番怖い。
「……よし、全部わかった。完璧だよ」
修羅場が広がり続ける中、スッキリした顔でエックスは言葉を零す。
どうやら犯人を特定できたようだ。
「そうか!……ってか離れろ貴様ら!」
「お断りだ!」
「嫌やァ!」
「めんどくせぇなぁ貴様らは!」
そんな感じで抱きついてきたナオちゃんともやしを振り解き、エースちゃんと共にエックスの元へと向かう。
「んで?推理は合ってたか?」
「バッチリだよ」
『流石はエックス!どっかの浮気者とは大違い!』
「誤解だっていってますやん……」
「あとは捕まえるだけ……で、どうするのゼット?」
「ニハハハ!……言うまでもねぇだろ」
不敵な笑みを浮かべ、窓越しに夜空を見上げながら言う。
「今すぐに計画を遂行するぞ」
「……そうこなくっちゃ」
―――――――――――――――
場所は変わって、第50層の酒場にて。
そこはとても落ち着いた雰囲気で、その客の殆どは常連客である。
……それはそれとして。
「店主さん!オレンジジュースちょうだい!くれなきゃボコボコにするぞ!」
「ほな俺は……まァ紅茶でええか。そろそろキメへんと情緒が保てんねんなァ」
天使のような笑顔を浮かべながら、悪魔みたいな発言をするナオちゃんに、落ち着いたトーンでとてつもなく危険なことを言うもやし。
落ち着いた雰囲気なんぞ、この二人さえいればぶっ壊されるのだ。
ヤバい奴らを連れてきてしまった。
ちなみに二人が頼んだものはメニュー表には無い。
はた迷惑な客である。
そんな中、俺はというと……
「店主さん。つくねと濃いめのハイボールくださいな」
エイチが見繕いやがった服を着用し、ナオちゃんからのせめてもの慈悲で着させてもらった《シークレット・コート》を羽織り、シンプルに楽しんでいた。
犯人を捕らえることも大切だが、そのための布石はあの二人に任せてる。
だから、今日はめいっぱいストレスを発散しようというわけだ。
……え?
未成年が行っていい場所じゃない……だって?
ニハハハ!
そんなの今更だろ。
こちとら未成年でバイク乗っとんねん。
日本国憲法がなんだってんだ。
……ちょっとこの発言はまずいか。
「……お?なんだよ!アンタも飲んでんのかぁ?」
「いえ、俺は……」
「まァまァええやないか!一緒に飲もうやァ!!!」
不吉なことを考えながらも、出されたハイボールを一気に飲み干す傍らで、ナオちゃんともやしが黒いローブを着た中肉中背のプレイヤーに絡む。
とても迷惑である。
「……あ、店主さん。ハイボールもっと濃くできますか?」
それはそれとしてさらにハイボールを頼む俺。
今日始めて飲んだんだが、思いの外美味かった。
アルコールは《プラーナ》のせいでほとんど分解されるのだが、シンプルにハイボールの味がいい。
これなら何杯でも飲める気がする。
アルコール万歳。
そうこうしてると、二人のダル絡みに耐えかねたのか、黒ローブはイライラしながら店から出ていった。
よし、作戦は大成功だな。
あとは……
「……ふぅ。店主さんご勘定。あ、おつりはいらないからね」
出されたハイボールを再び一気飲みし、過剰なまでのコルを払い、店から出て黒ローブを追う。
まぁ正確には先回りして、ちょいと路地裏に行くだけなんだけどね。
……え?
なんでそんな事をするのか……だって?
ニハハハ!
そんなの……
「俺のストレス発散のために……くたばれやっ!」
囮になるために決まってんじゃんアゼルバイジャン。
後方から駆け寄ってきた黒ローブは、ハンドメイスを夜空に掲げ、俺の後頭部めがけて勢いよく振り下ろす。
……が、それをわざわざ喰らうのはお断りだ。
「お断りじゃボケがぁ!」
「なにっ!?」
振り下ろされたハンドメイスを後ろ回し蹴りで吹き飛ばす。
その反動で黒ローブのフードが外れる。
「ビンゴ。やっぱアンタだったか……ナグレーンさんよ」
その男の正体はナグレーン。
血盟騎士団所属のランサーである。
「……なんで分かったんだよ、女」
「もともと容疑者に上がってたのは3人居てな。アンタとJ、そんでケツイメシの3人だ。アンタ以外の二人はオレンジだったんでな。……だが、Jは事件当日にクエストに行ってて、ケツイメシはこれを持ってたんだよ」
そう言い、あの場所に落ちていた血盟騎士団の証を見せる。
それを見て少し怯んだナグレーンを横目に、さらにエックスの推理を淡々と語る。
「んで、アンタがこの時間帯に一人で酒を飲んでるってのを鼠の情報から手に入れてな。そこを狙って、アンタにストレスを与えた……ってわけだ」
「そうかよ……」
「んで、お前さんのそのローブ。俺と同じ性能だろ」
「……そこまでバレてんのかよ。……あぁそうだよ、これのお陰で俺はバレずに人を襲えてたんだよ。なのにお前と来たら……」
「そんなんはどーでもいいんだ。聞かせろよ、アンタの犯行動機ってやつを」
「……ただのストレス発散だよ」
この状況にようやく観念したのか、ナグレーンは犯行動機を語りだす。
その内容は、それはそれは自分勝手なものであった。
「俺はさ、血盟騎士団を追い出されたんだよ。まぁ、原因は俺のサボりなんだけどな。……それはそれとして、ムシャクシャしてな」
「……だから通り魔を?」
「ああ。最初は財布盗むとかの窃盗だけだったんだ。……でもな、このローブと……《ハイド・ローブ》を手に入れちまったんだ。コレがあったからこそ、俺は犯行を続けれた。コレのおかげ、俺は自由になれたんだ」
「……そうかよ。そんなら、アンタの対処は俺がすべきじゃねぇな。ホレ」
「なんだと……?」
呆れた声を出しながら、ナグレーンの後ろに立つ存在に指を差す。
そこに仁王立ちで待ち構えるのは、まさしく暴力の権化。
その名に相応しすぎる存在。
クラッシャーNAOである。
「そんじゃ、後処理は任せたわ」
「おうよ。とことんやってやるよ。犯人扱いされた挙げ句、財布も盗まれたらしいからな……」
「……殺すなよ」
「出来たらな〜」
南無三犯人。
きっとアンタは明日の朝費を拝めないだろう。
そろそろ殺人現場になるであろう場所から離れ、ギルドホームへと帰る俺が聞いたのは、ナグレーンのと思わしき悲鳴であった。
―――――――――――――――
「よォゼット。囮役おつかれさんやでェ」
「いいってことよ。お陰様で合法的に酒も飲めたからな」
「……ほどほどにせェよ」
「ニハハハ!……まぁ、善処はするさ」
ギルドホームへと帰る途中にて、待ち構えていたかのようにもやしが現れ、俺の肩を叩く。
「……それはそうと
「断る理由があるんか?」
「……ニハハハ!それもそうだな!」
かつてコードFやコードSを認定したときのように、喉をチューニングしてから、もやしに向かい言う。
「んじゃ、改めて挨拶だ。ようこそ、コード……コード……」
……決めてなかったな。
よし、頭を働かせてやろう。
まず初めに、もやしといえば爆弾魔である。
爆弾の頭文字はBだし、起爆時に付く効果音ってのはだいたいBomb!とかだ。
んでんで、多分もやしはバカだ。
……よし、これで決まりだ。*1
「コードBだ!我等『А to Ζ』は、貴方のことを歓迎するよ。よろしくだぜ、もやし!」
「おうよォ!これからもよろしくなァ!」
俺ともやしは固い握手を交え、さらに固い友情を結ぶのであった……。
すると。
「あ、いた。お〜いゼット〜!」
「む、その声はナオちゃん……わーお」
「ド派手にやったなァ……おォ怖い怖い」
嬉々とした声を上げながらこちらに向かってきたナオちゃん。
しかし、その片手で引きずっていたのは、あのナグレーンであった。
見事なまでにボッコボコにされている。
さらに可哀想なのが、例の《ハイド・ローブ》とやらを強奪されたらしく、今はナオちゃんが着ている。
「こいつどーする?あたしにゃ手に負えんぞ」
「ボコしたの自分だから責任取って黒鉄宮入れてきて」
「あいよ!あ、そうだ」
ボコられたナグレーンを米俵のようにして担ぐと、転移門の方へと駆け出していったナオちゃん。
だがしかし、何かを思い出したかのように、こちらに戻ってくる。
そして言う。
「あたしも入るぜ『А to Ζ』に!コードはNにしといてくれ!よろしくな!」
それだけ言うと、再び踵を返し、転移門へと駆け出していった。
あの暴力女、ウチの
……まぁもとからコードNにはするつもりだったが。
「なんや、嵐みたいなやっちゃな、アイツ」
「それでも、おもしれーだろ?」
「……せやな!」
かくして、『А to Ζ』にまた二人のメンバーが増え、その狂気はさらにさらに濃くなっていくことになるのは、明々白々……そうだろう?
投稿頻度下がってきてて申し訳ねぇですわ……
それでも当分は失踪することもないんで、応援よろしくぅ!
……さて、今回のサブタイや今までの内容から見て分かる通り、現在作者は呪術にハマっております
無論推しは東堂とナナミンです
それと、最近アマプラでThe Nextまた見てきました
俺的に、スーツのデザインや戦闘シーン、変身などはシン・仮面ライダーよりもすこです