けどな?
それよりも自分が起こした可能性の高い問題のほうが恐ろしいもんなんだ
つまりどういう事かって?
簡単に言おう
新キャラ、出ます
第57層 マーテン
『血盟騎士団』副団長、『閃光』のアスナ。
このアインクラッドでその名を知らない者はいないと言えるほどの有名人である。
そんなアスナさんがここ、第57層に居て、そこのレストランで食事を摂ろうとしている。
それに加え、アスナさんの隣には、あの『黒の剣士』キリトが居るのだ。
そのお陰で店内の視線は、2人に集まっている。
ボッチのキリト君には果てしない苦痛ではあろうが、飯を奢られているので我慢してもらいたい。
その傍らにて、奢りの対象から省かれてしまったキリト以外の『А to Ζ』メンバー。
そんな彼らも第57層に来て、飯を食べている。
唯一食べてない俺の奢りで。
「ほんとクソ。俺の財布滅ぼすつもりかよ」
「諦メロン。つーか、オメーが嘘ついてあたしを起こしたんだろ?これはその罰だ」
「罪の内容に対して罰が重すぎんだよ。つーか食う量ヤバすぎだろ」
「はぁ?これくらいふつーだろ」
店に到着し、席についてはや5分。
既に俺達のテーブルはナオちゃんの頼んだ料理で埋められている。
さよなら俺の財布。
「……そういえば、ゼットくんは何も食べなくて良いの?」
「ん?あぁ、なんか俺腹減らねぇのよ。ホラ、俺オーグメントだからさ」
「そうなんだ……なんか、残念だね」
「ほんとにねぇ〜……」
ほんっと、便利ではあるがつまらない身体だ。
睡眠はこの際どうでもいいから味覚だけは残しといてくれよ。
料理食べたいじゃん。
俺だって味わいたいよ。
「クソがよぉ……」
誰にも聞こえないような小さな声で呟き、机上に乗せられた料理を見つめる。
そういや、こういう料理で使われてる調味料って何なんだろ?
醤油とかあんのかな……?
「はぁぁぁぁぁ……俺も味のある料理が喰いたいよ……」
「あはは……大丈夫。きっといつか食べるよ」
「そうかなぁ……」
そんな日が来たら良いなぁ……と、ため息を付きながら考えた。
その時だった。
「きゃぁぁぁぁぁあ!!!」
店外から女性の叫び声が響く。
それを聞き、2つのテーブルで別れていた俺達はすぐさま立ち上がり、店の外へと向かおうとした。
……のだが。
「ゼット!わりぃが残り食べてくれ!」
「ゼットくんは待機してて!」
『ゼットは残ってて!』
「お前は残って飯でも食ってろ!」
「何故……?」
立ち上がった俺を勢いよく座らせたナオちゃんから始まり、アスナさん以外のメンバーがここに残ることを命令する。
何故なのか。
そんな事を考えてる間に、アイツ等はレストランから飛び出ていった。
1人取り残された俺は、諦めてもう一度席につき、料理を口に運んだ。
そしてただ一言、俺の口からこぼれ落ちた。
「……味がしない」
――――――――――――
『急いでキリト!』
「わかってるっての!」
これまで働きすぎなゼットを休ませるべく、レストランに置いていってから外に飛び出した私達は、その悲鳴が聞こえた広場に向かった。
そこで見たものは、まさしく“信じられない光景”だったのだ。
教会の二階の窓から、フルプレート・アーマーを着込み、頭には大型のヘルメットを被った男性のプレイヤーがロープに吊るされていた。
しかし、信じられないのはそこではない。
信じられない……恐れるべき点は、彼の胸に深々と刺さった
さらにありえないのが、この《圏内》でダメージが入っているのだ。
「何してる!早く抜け!」
キリトがそう声をかけるも、力が足りないのか、はたまた恐れてるのか、短槍が抜ける気配はない。
……こういう時に私が動けなくてどうするんだ。
後悔のない人生を迎えるんじゃないのか!?
『キリトとアスナさんは教会内に行って探して!で、ナオちゃんは周りを!まだ犯人は近くに居るはずだから!』
「了解した!行くぞ!」
「ええ!」
「んじゃ、言ってくるぜ!」
私の指示に従い、キリト達は教会内に、ナオちゃんは辺り一帯を捜索しに行った。
『シズさん、あの紐斬れる?』
「……やってみる!」
そう言うと、シズさんは私を持ったまま壁を走り、鞘に収められた刀に手を伸ばし、その男の紐を斬ろうとする。
その瞬間だった。
「……っ!!」
その刃が至るよりも前に男は目を見開き、何かを呟いたのだと思う。
しかしその声は、鳴り響いた協会の鐘の音によって掻き消されてしまう。
それと同時に、男の身体はポリゴンとなり砕け散った。
シズさんは刀に手を当てたまま着地した。
そして、周りに聞こえないような声で、震えるような声で言った。
「もっと……もっと早く動けてれば……!」
後悔の念があらわになり、表情が陰るシズさん。
でも、悪いのは貴方じゃない。
正確な指示が出来なかった……私が悪いんだ。
〘せめて、せめて私に動かせる身体さえあれば……!〙
初めてこの《プラーナ》だけの身体を恨んでしまった。
――――――――――――
……いや、何事?
なんとか味のしない料理を無理矢理口にねじ込んで、よーやくここまで来たけど……え、ほんとに何事?
《圏内》で人死んでんだけど?
そんな事ある?
つーか曇らせの雰囲気が感じられるぞオイ。
この作品、一応ギャグ作なんだって。
やめてよ。
エースちゃんもシズさんも……俺の仲間が後悔する姿とか俺見たくないって。
……それはそれとして、俺にやれることはやらないとな。
「デュエルだとしたらウィナー表示出るよな……よし!」
体内にあるほんの僅かな《プラーナ》を、一回跳躍できる位に圧縮する。
そんで、勢いよく空に跳ぶ。
66メートル跳べる身体に感謝を……って、今は感謝じゃない。
俺は遥か上空から辺り一帯を確認する。
が、ウィナー表示は何処にも出現していない。
「……何が起きてんだよ」
そんな疑問と共に、俺は地面に着陸し、一時的な変身で使った《プラーナ》を排出する。
マジでわかんねぇ……って、おん?
「圏内キル……か」
着地し、もう一度辺り一帯を見回してみると、群衆から少し離れた位置にパツキンのプレイヤーに目が行った。
なんか傷ついてる……ヤのつく自営業の方かな?
まぁ取り敢えずその男に近付いてみることにしてみよう。
「……めんどくさそうな奴が裏に居そうだな、コレは」
「ほほ〜ん?アンタもコレ、なんか裏があると思ってる感じ?」
因みに俺は何も考えてない!
「……誰だお前は?」
「地獄からの使s……じゃなくて、『А to Ζ』副リーダーのゼットだ。よろしく〜」
「ゼット……そうか、お前が!」
お?
この反応は何かしらで俺のことを知ってるタイプの人間だな?
ふっふっふ……やはり人気者な『シン・仮面ライダー』様は辛いもんだな。
こんな事件が起こってるっていうのに、ファンと邂逅してしまうなんて……!
あぁ、サインとか考えてないのにぃ!
「あの指定暴力団『А to Ζ』の!」
……どうやらそういうわけでは無さそうだ。
つーか指定暴力団て……
……あんま間違ってねぇな。*1
「……まぁそんな冗談はそこら辺に置いといて」
「冗談かよ……ビビらせないでくれ」
「まぁまぁ……それで?お前も裏になにかあると思ってるのか?」
やべぇ……特に何も考えてねぇのに詳細聞かれちまった。
どうしよ……。
……仕方無い。
この(自称)IQ53万の脳を働かせてやろう。
「……コレは1つの仮説に過ぎないんで、適当に流してもらいたい」
かくして、俺は脳内で繰り広げたそれらしい展開を語った。
まずあの男は死んでないとか、裏でどっかのギルドが動いてるとか、また同じ手口の犯行が起こるとか……まぁ普通はありえないような話だ。
……なのだが。
「そうか……そんな可能性が……!」
この人、多分純粋すぎるんだ。
「ま、まぁあくまで可能性の一片だけどね?ふっつーはありえないよそんなの。あんま信じないほうがいいぜ?」
「いえ、ゼットさん!その可能性は十分あるはずです!」
「おぉ……凄い熱量」
おまけにさん付けになってるし……。
いやまぁ、信頼されるようになったのはありがたいんだけどさ。
「……あ、自己紹介がまだでしたね。俺はウィングマンです」
「ウィングマン……呼びやすさ重視でウィンでいいか?」
「お任せします」
そんな訳で、俺はありえないような事件が起こった傍らで、新たな友、ウィングマン……もといウィンと出会ったのだ。
「……それはそれとて、その傷は何だよ。あったのか?」
「あぁ、コレですか。ちょっと昔のことになるんですが……大体2ヶ月前とかですね。第47層で起こったことなんですけど……」
2ヶ月前っつったら、あの
それも第47層と来たもんだ。
もしかしたら2月24日のことかもしれんな。
「いつもみたいにフィールドを飛んでたんですけど」
「ほうほう……ん?飛んでた?」
「はい。自作の飛行機で」
「???」
俺の脳内に、久し振りに展開する銀河。
ああそうか。
こうやって地球ができたんだ……
……って、そうじゃない。
飛行機?
この世界に存在するの?
剣の世界なのに?
……今更か。
「それで、フィールドで知り合った女の人と一緒に飛んでたんですけど、飛行中の俺等になにか緑色に光ってるものが当たって……それで墜落して……って感じです」
「ははぁ……そりゃ最難だったな」
飛行中の飛行機に何が当たるだなんて……普通はあり得ない……って、アレ?
まさか……。
その時、俺の脳内に溢れ出してしまった
――
―――――――――
『ゲッタァァァトマホゥゥゥゥク!!!』
更に拳に力を込め、強く強く斧を握る。
それとともに、斧が緑色に輝く。
多分ゲッター線。
もしくはプラーナ。
『ブゥゥゥメランッ!!!』
―――――――――
……これじゃない?
あんとき投げた斧、一回視界から消えてんだよな……。
もしかしてそん時衝突したのか?
そんでウィンは怪我したと?
んでもってそん時の同乗者って多分……いや、間違いなくカトラちゃんだよな?
……おいやべぇぞコレ。
俺が一番暴力的な事してんじゃんか。
「……どうしたんですかゼットさん。汗ダラダラですけど」
「い、いや……なんでも無いよ、うん」
……全力で隠し通そうか。
うん、それがいい。
「ま、まぁ取り敢えずよろしくな!ウィン!」
「あ、はい!よろしくですゼットさん!」
俺はこの焦りを誤魔化すべく、ウィンと固い握手を結んだのだった。
その後、曇った表情を浮かべたシズさんと、まるで生気が抜け落ちたかのようなエースちゃん達と合流した。
原因はまぁ……お察しだけど。
「私が……もっと早く動けてたら」
「それ現場に居合わせることすら出来なかった俺の前で言います?」
多分俺が行けばジャンプで解決できたぞ?
それなのに行けなかったんだ……。
やべぇ泣きそう。
『私に身体があれば……』
「それ身体失った原因である俺の前で言います?」
その言葉は俺に効く。
余裕で3日間は泣けるぞ?
見たいか?
年齢だけで見たら高校生の男がギャン泣きする姿が。
シズさんの背中を擦りつつ、仮面を撫で続けていると、後方から聞き慣れた声が聞こえる。
「……お、ゼット。やっと来たのか。遅いぞアホ」
「お前さんたちが俺に飯の処理させてなけりゃ、こうも遅くなることは無かったんだぞ?」
『それ提案して悔やんでる私の前で言います?』
「ゼットくん……それに乗っちゃった私にも刺さるんだけど……」
「仕返しって事にしといて」
「むぅ……」
なんだそのほっぺ膨らまして拗ねる反応は。
エースちゃんと出会ってなけりゃ惚れてたぞ。
『身体取り戻したらべらぼうに殴る……』
やべぇ純粋な殺意だ。
それはそれとて、キリトからこの事件の詳細を聞く。
「な〜るほどねぇ……んで、その凶器ってのがその剣か」
「いや、短槍だ」
「……短槍?」
「……この見た目で槍は無理があるって」
短槍と呼ぶには剣過ぎる見た目をした武器を見つめ、ウィンは疑問を持ち、俺はそれをキリトから受け取り、改めて見つめる。
「……これと、あとロープだけで推理しなくちゃならんのか」
「多分、全員鑑定スキルなんて上げてないよね」
アスナさんのその発言により、全員図星を突かれたかのように弱る。
……待てよ?
ワンチャンアスナさんの知り合いなら誰か居るんじゃ……!
「一応、友達に鍛治師がいるんだけど、多分忙しそうだから無理」
はい、希望絶たれる。
もう終わりだ。
そんな感じで絶望してると、俯いてたウィンが何かを思い出したかのように俺に話しかける。
「ゼットさん、俺のツテに頼れる探偵が居るんです。依頼してみますか?」
「探偵……?」
「はい。……まぁ、ハードボイルドに憧れてる半熟卵何ですけど……探偵としての腕は一流なので!」
「……まぁそんな力説してくれるんなら、ソイツに頼ってみるかね」
そんな訳で、キリトとアスナさんは《黒鉄宮》に行きその死んだと疑われてるプレイヤー、カインズの詳細を確認しに、シズさんはギルドホームに戻って、現状の確認をしに戻らせ、俺とエースちゃん、そしてウィンはその探偵のもとに行くのだった。
参上しやがりましたコードW
そして増えてしまったゼットの罪状
彼は一体どれ程の罪を重ねていくのでしょうか……
現状観測可能な罪:暴行、器物損害、殺人、セクハラ、未成年飲酒、無免許運転、etc……
そんな彼、ゼットのイラストがコチラ
【挿絵表示】
可愛い顔して悪だぜぇ……