エロゲー乙女たちの欲望全開ダンジョンバトル!!   作:はめるん用

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暑さによる頭痛とイライラのせいで、ついカッ! っとなって書いた。

反省はしてない。


練習用。

 ファンタジー要素がマシマシの日本でも、舞台設定が令和の文明レベルと変わらないのは本気でありがたいと思う。

 やはり衛生的な部分や食事関係、交通手段のストレスを無視できるっていうのは大きい。チート能力やらゲームデータの引き継ぎやらでスタートから恵まれているなら別かもしれないがな。

 

 まぁ、どうせ転生するならエロゲーじゃなくて普通のファンタジー作品のほうが嬉しかったんだが。やはり昔は男の子をしていた身分としては、自分で武器や魔法を使ってモンスターと戦うってシチュエーションには憧れというものがある。

 しかし残念ながらこの世界で男の役目は武器やアクセサリーを作るだけ。モンスターと戦うのは、というより戦う力を持っているのは女だけ。それは主人公でさえも例外ではない。

 

 

 主人公はアイテム作りのスペシャリスト、戦うのは美少女たち、そしてエロゲー。つまりは()()()()()()()ということだ。

 

 

 もちろん俺は主人公ではない。別に残念ではないし、むしろ主人公じゃなくて良かったとさえ思っている。無責任で自由奔放な学生時代なら主人公の立場を羨んだかもしれないが、社会人として現実と向き合う日々が続くと価値観も考え方も変わるというものだ。

 美少女ハーレムの中心に自分がいるとか、想像するだけで胃に穴が空きそうになる。しかも当然の権利のように権力、財力、暴力に優れたS級の美少女たちが常に側にいるとか、精神的ストレスが最早罰ゲームとなにも変わらないぞ? 

 

 派手な活躍なんて必要ない。俺は俺で堅実に、コツコツとアイテム作りのスキルを磨いて裏方として生きるほうが似合っている。

 

 幸いにして前世のゲーム知識は通用するらしく、それなりの武器は作れるようになった。その気になればもっと強力な装備も作れるかもしれないが、下手にやり過ぎると悪目立ちするのは確定だ。

 そもそも武器だけ強力でも使い手である女の子たちのレベルが足りてないと性能を引き出せないだろうし。ゲームと違って具体的な数値を確認することは出来ないが、仕入れた情報から推察するにマスクデータみたいな扱いでレベルの概念が存在する可能性は高いだろう。

 

 

 ともかく。俺はコツコツ装備を作り、それを女の子に売り渡すだけ。コネも無ければ頭脳明晰でもない俺は誠実さと気安さで勝負するしかないのでエロ系イベントは狙わないほうが無難だろう。

 一応エロゲー世界だし、モブの俺でも据え膳食わぬは男の恥とか──なんて、もしも宝くじで1等が当たったら~ぐらいの期待はしてもバチは当たらないはず。期待するだけならタダだし誰にも迷惑かけないしな。

 

 さて、現実を見つめ直す作業も終わったことだし仕事しようか仕事! 今日の取り引き相手はクラスのギャル、メイクもアクセも控え目だが制服の着こなしがエロくて目の保養になる素敵なお客様だ。

 ちょくちょく余り物の素材をタダでくれるから、俺としても装備の作成やメンテナンスも色を付けたりしているのだが……どうせ余り物なら換金すればいいのにな? 

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

「よう、お待たせ。ってか毎度のことだけど待ち合わせに来るの早いな? まだ20分前だぞ?」

 

「そりゃそうでしょ。だってアタシのほうから武器のメンテ頼んでんだよ? それでアンタを待たせるとかマジあり得ないっしょ。それに、ほら。アレよ。その、し、し、親しきぃ仲にもぉ~礼儀ありって言うじゃんッ!」

 

「お、おぅ。そんな力強く言わなくても……。とにかく、約束通り仕上がったから。ほら」

 

 放課後の屋上にて、一部の生徒──主に迷宮探索者の適性を持つ女子の中でも、さらに限られた者たちの間で評判の学生鍛冶職人『水澄リンドウ』が、刻まれた銀色の術式が美しく輝く漆黒の布に包まれた棒状の武器を手元に喚び出す。

 その様子をクラスメイトである『雑賀ナルミ』はソワソワしながら見守っていた。探索者としてはようやく丙種の資格を得たばかりであり、そんな彼女の稼ぎで依頼できる武器のグレードなど大したことはないのだが、それでもこうして分かりやすく“特別扱い”で手渡されると嬉しさも変わってくる。

 

 包まれていた武器はナルミが最も得意とする『槍』であった。ふぅ、と息を吐いて1度全身から力を抜き、流れるような動きで槍を振り回す。

 

 風を切り裂く音が心地好い。それに、よく手に馴染む。そのまま振り返るとリンドウがイタズラっぽく笑い、コインを1枚指で弾き飛ばすのが見えた。

 その意図を正確に読み取ったナルミは、槍に魔力を流し込み──十円玉ほどしかないサイズのコインを、ものの見事に十字に斬って4分割にしてみせた。

 

「フッ……。我ながら、出来栄えは良好だな。もっとも、使い手の腕がいいからこそってのもあるけどな」

 

「まぁ~? それほどでも~? ……なんてね! いうてアタシなんてまだまだ下っぱもいいとこだし。それに、いま挑戦してるダンジョンのボスが強くてさ~、敗け続けでマジでテンション下がるわ~」

 

「俺から言わせてもらえば、何度も挑戦できる時点で尊敬するけどな。いくら迷宮の中でやられても吐き出されるだけだからって、痛いモンは痛いだろうに」

 

「そこはまぁ、慣れってヤツっしょ。モンスターにブン殴られたぐらいでピーピー騒ぐようじゃ()()()()()()ってね。まぁこれでも? 一応“大和撫子”ってヤツだしぃ?」

 

 

 ウソである。

 

 

 まさにリンドウに指摘された通り、迷宮の中で致命傷を受けても命を落とすことはないが痛いものは痛いのだ。それこそ痛恨の一撃とも言えるような強烈な攻撃が直撃しようものなら、全身に残る痛みの感覚に数日は悩まされることになるぐらいには。

 だが悲しいかな、女という生き物は男たちの前では無駄に見栄を張ってしまう宿命を背負って生きている。特に思春期真っ盛りの女子校生など、廊下で男子に声なんてかけられた日には顔がニヤけるのを必死になって我慢しなければならないだろう。

 

 

「まぁ、お前が大丈夫っていうなら大丈夫なんだろうけど。ムリだけはするなよ? そうでなくてもお前の場合、ご立派な山脈抱えてるせいで戦いにくいだろうし」

 

「ッ! ちょ、ちょっとちょっとぉ~? 急に逆セクハラとかリンちゃんってば真面目クンなふりしてそーゆーの大好き系だったりするワケぇ~? なぁんて──」

 

「控え目に言って超好き」

 

「──ッ!?!? へ、へぇ~? そ、そ、そうなんだぁ~。そっかそっか、リンちゃんって結構アレなんだね、オープンって言うかなんというか……」

(ッしゃぁッ!! ワンチャン狙い目キタコレッ!! 大きさ自慢はバカのやることとかほざいてたファッションリア充どもに自慢してぇ~ッ!!)

 

 女ナルミ、心の中で拳を突き上げ勝利の雄叫び大熱唱である。全く隠せていない気がするが、なにを隠そう雑賀ナルミという少女は水澄リンドウという少年の気を引きたくて仕方ないのだ。

 自分に優しくしてくれる、そして下ネタ含めてノリの良い男子に惚れずしてなにが思春期女子か。迷宮でモンスターがドロップした素材を換金して遊ぶためのお小遣いにしたい、そんな誘惑を振り切ってリンドウに素っ気なく押し付けてしまうなんて涙ぐましい努力というか見栄っ張りを続けるのも健全な女子の姿だろう。

 

 そんな意中の男子から、自分の胸を超が付くほど好みだと言われたナルミの心境は……お察しの通りである。

 

「ともかく、だ。ボスに挑むにしても、ほどほどに息抜きとか挟みながら挑戦しとけよ? 頑張りすぎて、それでも勝てなくて落ち込んで、1週間も学校を休んだヤツとかもいるし」

 

「ひゃいッ!? あぁ、うん、息抜きね! 息抜き! ……そこはまぁ、アタシもテキトーにゲーセン行ったり仲間とご飯食べに行ったりとかして──あ」

 

「あ?」

 

「あー、その、あのさ? その息抜きの話なんだけどさ……? もし良かったら! あくまで都合が良かったらでいいんだけどさ! 今度その、ふ、ふ、ふたりでさぁッ! すぅ、水族館とかぁ~興味あったりなかったりしないかなぁッ!?」

 

「だから、そんな力強く言わなくても……。しかし水族館ねぇ。そういや最近なんかCMとか、タブレット端末にも広告とか来てたな」

 

「へぇーそうなんだー偶然だねーアタシ知らなかったなー。で、ど、どうかな……?」

 

「俺は別にいいけど、それでナルミは息抜きになる──」

 

「メッチャなるからッ!! 次の日にはボスなんかボッコボコにしてやっからッ!! マジ任せてくれていいからッ!!」

 

「なんで今日のお前そんなボリュームコントロール壊れてんの? まぁいいや。それじゃあ、今度の土日とか、どっか都合のいい日があったら一緒に水族館な。俺は基本ヒマだからさ、そっちの用事に合わせてくれていいよ」

 

「大丈夫。なにが起きてもヒマにすっから」

 

「お、おぅ? ……そんなに水族館に行きたかったのか。っと、俺そろそろ行くわ。じゃ、日にち決まったら連絡よろしくな~」

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 屋上にひとり残された雑賀ナルミは──槍をインベントリに収納することも忘れ、天を仰ぎ一筋の涙を流していた。

 それはまるで三國時代や戦国時代に活躍した武将たちのように堂々として清々しく、歴史に残るような大戦を生き延びて朝日に感涙する様が如くであった。

 

 涙を拭うことすら忘れ、ナルミはタブレット端末を取り出して母親へコールする。

 

『はいもしもし~? どうしたのナルミ、アンタいま学校にいるんじゃないの? リンドウくんに武器をメンテナンスしてもらうとかって』

 

「ママ……うん、さっき、槍、受け取ったよ……」

 

『ナルミ? ちょっとナルミ、アンタ泣いてんの? どうしたの、まさかケンカでもしたのッ!?』

 

「違うの、違うのママ……アタシ、ついにやったよ……」

 

『え? ついにやったって、アンタまさか──ッ!?』

 

 

 

 

「アタシ……今度のお休みの日、リンドウと水族館に行ってくるよ……もちろん、ふたりきりで……」

 

 

 

 

『なん、ですって……ッ!? そう、ついにアンタにも男の子とふたりでお出かけする日がやってきたのね……。フフ、困ったわ。嬉しいのに、悲しくないのに涙が出てきちゃった』

 

「アハッ。ママってば大げさ過ぎっしょ。それで、なんだけどさ……来月には絶対に返すから、お金貸して欲しいの。念のため、本当に別に深い意味はないんだけど念のために新しい下着とか買わないとダメかなと思ってさ」

 

『いやアンタ、それはさすがに──まさか、勝算があるっていうの?』

 

「勝算、っていうか……リンちゃんがね、アタシのおっぱいのこと超好きって言ってた」

 

『は? 誰が?』

 

「リンちゃん。アタシの武器とかの世話してくれる水澄リンドウってクラスメイトの男の子」

 

『なにを?』

 

「アタシのおっぱい」

 

『なんて?』

 

「控え目に言って超好きって」

 

『え? それはもういつでも準備オッケーオーライしっぽりカモンッ!! って言ってるようなものでしょ? リンドウくんってそんなイケイケな男の子だったの? いえ、そんなことはこの際どうでもいいわ。ナルミ、理解ってるわね。据え膳食わぬは──』

 

「女の恥、でしょ。それぐらいアタシだって知ってるし」

 

『そう、それならいいわ。ただでさえ私たちみたいな戦闘技能持ちは怖がられることが多いのに、堪え性の無いバカな女たちの()()()()のせいで男の子たちは身持ちがガッチガチに固くなってるご時世なのよ。リンドウくんみたいなオープンスケベ──ん"ん"ッ!! エロいことに積極的な男の子なんて同人誌かAVかエロゲーにしかいないんだからねッ!』

 

「いやママ例えが露骨過ぎだよッ!? なんにも誤魔化せてないよッ!?」

 

 

 聞かされている娘の立場としてはともかく、ナルミの母親が本人以上に興奮するのも無理はない話であった。迷宮探索は国力の象徴でもあり、モンスターと戦う力を持つ女たちを政府は積極的に支援しているものの……それと世の中の男性たちの感情は別物なのである。

 

 かつては当たり前だった女尊男卑の扱いも、世界中で男性の権利を主張する声が高まると、時代の流れに合わせて古い価値観として忌避されるようになった。しかし植え付けられた過剰な先入観などそう簡単には消えるものではない。

 そこに戦闘技能を持つ女たちを各国政府が優遇しているという事実が加われば──世の男性たちが女に対して向ける視線は推して知るべし、である。

 

 女男比率は女のほうが多いがそれも誤差レベル。しかし現実には1度も男性とふたりきりで食事すらしたことがないという女たちが大勢いるのが現状。

 そんなご時世にあって、娘が気にしている男の子がエロ大歓迎で水族館デートを了承してくれて新品の下着を買うためのお金が欲しいと相談された母親が早まって暴走するのも仕方ない。それを聞かされている娘の気持ちは別として。

 

 

『ふぅ……ゴメンなさい。羨ましくてつい興奮しちゃったわ。母親としては当日は帰ってこなくてもいいって快く送り出してあげたいぐらいなんだけど』

 

「いや、それはさすがにダメでしょッ!? そりゃアタシだって万に一つでも部屋に来ないかとかって誘われたらママが地割れに飲み込まれてマグマに沈んでったって言われても無視してソッチ行くけどッ!!」

 

『えー、それはそれでママ悲しいなぁ~。ともかく、1発ヤれるかどうかは別として、初めてのデートなんだから準備はしっかりしないとダメよね。アンタ、下着もいいけど食事とか、そもそも水族館のチケット買うお金あるの?』

 

「…………忘れてたぁぁぁぁッ!?!?」

 

 

 圧倒的……ッ!! 痛恨のミス……ッ!! 

 

 リンドウの気を引くために、ドロップ素材を売却することなく無料で提供していたツケがナルミを襲う……ッ!! 

 だがしかし、その日々の積み重ねがなければ水族館デートのフラグが立っていなかった可能性があるのも事実である……ッ!! 

 

 

「ママ、今日からアタシ帰るの遅くなる」

 

『わかったわ。ガンガン戦ってバリバリ稼ぎなさい。晩ごはんはナルミの好きなものたくさん用意してまってるから』

 

「うん、ありがとうママ。ちょうどリンちゃんがメンテしてくれた槍もあるし、デートを成功させるためにもモンスター片っ端からブチ殺してくるねッ!」

 

 

 こうして日本にまたひとり、愛(欲)のために闘う戦士が誕生するのであった──。

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