エロゲー乙女たちの欲望全開ダンジョンバトル!!   作:はめるん用

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続・練習用。

(週末は水族館デートか。雑賀ナルミなんて名前のキャラは原作には登場してないし、見た目ギャルだし、服装エロいし、もしかしたら誘えばモブキャラ転生の俺でもチャンス1発あったりして──ないな、うん)

 

 転生者、水澄リンドウ。前世の記憶を引き継いだことによる思考ブレーキこそが最大の障害だと、敵は自分自身の冷静さであることに気が付かないという致命的ミステイク……ッ!! 

 

 リンドウは女の子とエロいことがしたい。

 

 ナルミはリンドウとヤりたい。

 

 ある意味理想的な相思相愛のふたりである。しかし残念ながらリンドウは、鍛冶スキルを鍛えるために地道な努力を重ねる日々を過ごすうちに『戦闘技能を持つ女性は餓えているパターンがとても多い』という設定を完璧に忘れていた。

 それさえ覚えていれば、屋上で挙動不審になっていたナルミの異変を察知することが出来たかもしれない。なんならあのまま家にでも誘ってしまえばふたつ返事でホイホイ付いてきたことだろう。

 

 まさに“逃がした魚は大きい”というモノだ。もちろんその逃がした魚が釣り人を性的な意味で美味しくいただかんと画策していることなど知る由もない。

 

 

「さて、遊びに行くとなれば軍資金の確認しとかないとな。ナルミのことだから奢るって言いそうだけど、さすがにそこまで甘えるのはダメだろ」

 

 そんなことはない。女たちにとって、男性に貸しを作れて頼れるアピールが出来るチャンスは貴重なのだ。

 

 立場を逆にして考えればたどり着けそうな答えなのだが、そんなことはお構い無しにリンドウはステータス画面を開く。

 戦闘技能を持つ女たちと鍛冶技能を持つ男はともにアイテムを収納する能力に目覚めるのだが、やはりクラフト系である男のほうがインベントリの容量が大きい。

 

 並んだ素材を確認して換金できそうなものをピックアップする。これがまた前世の知識があるが故に難しい作業であったりする。

 ほかの鍛冶職人の間では価値が低いとされている素材にも有効な使い道があることをリンドウは知っているからだ。

 

 ダンジョンでは最底辺のザコモンスターを1匹仕留めるだけでもボス戦並みに苦労するリンドウにとって、一番安い素材でも貴重品も同然。タップリ頭を悩ませながらインベントリを整理していると──。

 

 

 

 

「あら、水澄さん。こんなところでウンウン唸ったりして、なにかトラブルでもありましたか?」

 

 

 

 

「ん? あぁ、アヤカか。いや、ちょっと素材でも換金しようかなと思って。たまには俺も外に出て遊びに出掛けようかなって」

 

「まぁ、そうでしたか。……その、水澄さん。もしよろしければ、ですが。私がもて余している素材をお譲りしましょうか? いえ、その、決して深い意味など無くてですね、大量にドロップした低ランクの素材をどう処分したものかと困っていたところなんです。えぇ、本当に偶然にも」

 

 不要な素材などさっさと売却して現金にすればいいだけの話である。インベントリ容量の限界が低い女たちが素材を大量に抱えておく理由などひとつもないのだ。

 そんな余裕があるのなら、予備の武器や回復アイテムなどを優先的に持ち歩くべきだろう。その程度の理屈は練習用のダンジョンで訓練中の中等部だって知っている。

 

 つまり、彼女が──物陰で深呼吸を繰り返し身嗜みを何度も確認しブレスケア用のガムを超高速で咀嚼しては飲み込んで意を決してリンドウに話しかけた『与板アヤカ』が低ランクの素材を大量に抱えているのは偶然などではない。

 

 誰がどう見ても下心が見え見えの微笑ましいウソである。しかし。

 

 

(そういやゲームでも使わない素材とかメッチャ貯まってたりすんだよな。倉庫に預けとくの忘れて、自動回収されるのがドロップしたまんまになってるの見てから気付くとかよくあったなぁ~)

 

 

 本来ならば容易く看破される虚栄……ッ!!

 

 が、通る……ッ!! この『ウソ』は通るのだ……ッ!! 与板アヤカにとって、まさに理外の幸運……ッ!! 

 

 前世の知識があるが故に、リンドウは気付かない。いや、気付けない。この世界の住人にとっては不自然な言い訳だとしても、かつてゲームで体験した状況と照らし合わせることでリンドウの中では理屈として成立してしまうのだ……ッ!! 

 

「そっか。そういうことなら、ありがたく貰うことにするよ。なるべくさ、低ランクの素材集めとか、出来ることは自分でやろうとは思ってるんだけど……まぁモンスターの強いこと強いこと。ザコ1匹狩るのも一苦労でさぁ」

 

「それは仕方ないことでしょう。戦うのは私たち女の役目ですから。それに、水澄さんはアイテム作りで素晴らしい才能をお持ちじゃないですか。私の大剣も、同じ値段で購買部で販売しているものよりずっと上質ですよ?」

 

「そりゃどうも。お世辞でも嬉しいよ」

 

「お世辞なんかじゃなくて、ちゃんと本心からそう思ってますよ。それはもう、その、今後もですね? 是非とも装備のお世話をお願いしたいとか、そういう……いえッ! やはり優秀な鍛冶技能を持つ男の人は私たち探索者にとって生命線ですのでッ! 利用価値があるモノを評価するのは当然のことですからッ!」

 

 思春期乙女の悲しきサガである。ここで素直に褒めたまま装備作りを依頼すればよいものを、照れ隠しで余計な言い訳をしてしまった彼女をいったい誰が責められるものだろうか? 

 もしも相手がこの世界の男たちであったなら、アヤカの発言により機嫌を損なうのは確実。だが安心してほしい、水澄リンドウはそうではない。彼の精神は前世から引き継がれたモノであり、社会人経験者としての余裕がある。

 

「価値がある、か。ハッ、そいつはいいな! まだまだ学生だけど、金を受け取って仕事を納める職人としてはストレートでやる気の出る言葉だ。なら、せいぜいアヤカに見限られないような強い武器を作れるようにならないとな」

 

「そ、そうですね。私も上を目指してより難易度の高い迷宮へ挑むつもりですから、水澄さんにはそれに見合うだけの武器を用意してもらわなければ困りますよ」

(って、アホか私はァァァァッ!? 水澄さんがイイ感じに受け取ってくれたのに余計なこと言ってどうするんですかボケナスぅぅぅぅッ!! )

 

 思春期の照れ隠しはッ!!

 

 隙を生じぬ二段構えッ!!

 

 もちろんリンドウには通用しないし、むしろ任せてくれと軽い調子で笑っているのだが当然アヤカの内心は穏やかではない。

 戦闘技能持ちの女子と普通に接してくれる貴重な男子に嫌われるなど、寒い日に凍えた足の小指を柱の角に強打するよりも辛いことなのだから。

 

 もっとも。

 

(あくまでビジネスライクな信頼関係、いや信頼どころか信用できるか試されている段階と考えるべきか。それでいい、モブキャラの分際で簡単にグフフでヌフフな展開にありつけると思うなよ俺。可能性はゼロでなければ充分、まずは丁寧な仕事を心がけるんだ)

 

 この通り自制心で下心をコントロールしているというだけで、リンドウ側も女の子とエロい行為に勤しむことを安定収入に並ぶ最終的な目的のひとつとしている。

 故に、接点を確保しやすい戦闘技能持ちの女の子との交流は望むところ。余程のことがあっても嫌うことなどあり得ないだろう。

 

 仲良く(意味深)したい男女がふたり、ものの見事にすれ違いつつも内心を覗き込んでみれば普通に結果オーライという不思議な距離感が構築されていた。

 

 

 ◇◆◇◆

 

 

 少しでも稼げる女をアピールするためにも、今日はギリギリまでダンジョンに潜ってモンスターどもから素材をベキバキに剥ぎ取ってやる。

 そんな決意を胸に今日のところはこれでと表面上だけ冷静に立ち去るアヤカを見送って、リンドウは鍛冶技能を磨くために『ここから先、職員含む女性の立ち入りを禁ずる』と書かれた案内の先にある錬成部屋へと向かっていた。

 

 男性専用車両どころではない、まさかの男性専用校舎である。職員さえも通り抜けることすら出来ないという徹底ぶりは、前世の価値観を持つリンドウから見ればやり過ぎにしか見えない。

 

 

(ま、それだけの事件とか……痛ましい出来事があったってことなんだろうけど。エロ系ハプニングは望むところ、なんて気軽に考えすぎてると痛い目を見ることになりそうだよなぁ)

 

 ダンジョン攻略などのゲーム部分はしっかり真面目に、しかしシナリオや世界観などの設定はプレイヤーのストレスにならないよう丁寧に悪ふざけを。

 原作となるゲームはそんな開発スタッフのこだわりで作られており、血生臭いグロ要素などは存在しない。が、こうして異世界として転生すれば話は変わる。この世界の人間たちはプログラムで制御されたNPCなどでは無いのだから。

 

 なにより、この作品の主人公こそが──。

 

 

 

 

「──先輩ッ! これから錬成部屋ですか? もしよかったら、僕も一緒に訓練したいんですけど……ダメ、ですか……?」

 

「あー……。いや、そんなことはないぞ。あーだこーだ意見交換しながらのクラフトも勉強になるし、うん」

 

「本当ですかッ!? やったぁッ! 先輩の錬成、丁寧だし速いし、それに武器やアイテムの品質も高いしで……とっても勉強になるんですよッ!」

 

 ひと言で表すなら“小動物的美少年”だろうか。嬉しそうにニコニコと微笑みながら小走りで駆け寄ってきたこの後輩男子こそが、この世界の主人公『信貴山カナメ』なのだが……。

 

「いや……カナメも充分スゴいって。全然もう購買部に並べても普通に売れるレベルだよ。ホント、お世辞抜きで。むしろ、一緒に訓練する俺のほうが足を引っ張ってんじゃないかな~って」

 

「そんなッ!? 僕の作る武器なんて、先輩に比べたらナマクラもいいところですよッ! あ、でも先輩が僕の作った武器やアイテムを認めてくれるのは嬉しいなぁ~。えへへッ♪」

 

「そりゃあ……よかった、うん」

(前世の記憶というか、ゲームの知識が無けりゃ素直に可愛い後輩なんだけどなぁ)

 

 転生者であるリンドウは知っている。

 

 誰がどう見ても人懐っこい善人にしか見えないカナメだが、彼が愛くるしい見た目とは裏腹に大きな野望を抱えていることを。

 この世界の原作となるゲームのタイトルが『隷属ハーレムマイスター』といい、主人公である信貴山カナメが能力者の女の子たちを様々な手段で支配して成り上がる物語であることを。




感想でいただいた意見が実に「なるほど!」だったので、せっかくのご意見をありがたく参考にして色々考えた結果。

原作主人公は鬼畜ショタ(仮)になりました。

さて、ここからどう展開していこうかな……。
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