エロゲー乙女たちの欲望全開ダンジョンバトル!! 作:はめるん用
いや、本当に。指摘されてから「そんなところ間違えてたんかッ!?」ってなってます。なんでだぁ……。
「アハッ♪ 試作品の実験は成功だね♪ これでまた1歩、夢に近付いたワケだ。……とはいえ、まだまだサンプルは足りないかな? クスリの効果で暴走したのか、それともあのメスどもが最初から頭の中で盛ってたのか、どちらも可能性としてあるからね」
リンドウが凡人らしく、これからどうしたものかと進むべき道に迷っている間。
カナメは自分の野望を叶えるために、せっせとセンシティブな道具を開発していた。
今回この鬼畜ショタが用意したクスリとは『性欲の強化』と『判断力の低下』というギリギリどころか余裕でアウトな効果を持つ代物である。
それを適当な女子に──態度の悪さから男子生徒だけでなく、一般の女子生徒からもヘイトを買っている生徒会の下っぱ役員グループに使用したのだ。
どうやって飲ませようかと考えていたときに、飲み物を買ってこいと命令されたのは幸運だった。
まだまだ未熟とはいえ、錬成を使えるカナメにとってペットボトルでも紙パックでも未開封に偽装することなど容易いことだ。
一応、肉体的な意味では取り返しのつかないところまでは及んでいない。
だが被害者である男子生徒は今回のことで女に対する恐怖が植え付けられたことだろう。
もしかしたら2度と学園に来れないかもしれないが、それならそれで好都合。
相手は態度の悪いお坊ちゃん。真面目に錬成の技術を磨いている男子の邪魔をして嘲笑っていたクソ野郎が破滅したところで、カナメはなにも困らない。
「もっと色んな相手に使ってみたいなぁ。どうしようかな、クッキーでも焼いてプレゼントするとか? 熱による変質があるのか確認するのも大事だし。……でも仲のいいクラスの子とかが襲われるのも困るんだよね」
女たちを道具として利用することに躊躇いの無い鬼畜ショタだが、同性の友人には思うところがあるらしい。
ゲームではもっと遠慮のない性格をしているが、それは言ってしまえばプレイヤーの操作によるモノである。
こうして独立した世界で、ひとりの人間として生きるカナメの行動力は意外と控え目であった。
(それに、個人の力じゃ成り上がるのにも限界がある。どこかで必ず組織的運用が必要になってくるワケだし、それを全部こうしたクスリや開発中のオモチャだけで支配するのなんてムリだ。もっと別の──例えば、アイドルに群がるオタクみたいにメスどもが自発的に僕に従いたくなる、そんな環境を用意できれば……でもなぁ、僕の美貌が通用しない相手だっているだろうしなぁ)
カナメは自分の顔が良いことを知っている。
だからこそ女たちに好まれるような外見や体型を維持するための努力は惜しまない。
そして、それを最大限に活かすための仕草や喋り方の研究も怠ったことはない。
しかし、だからこそ知っているのだ。
この世には様々な『癖』があることを。
テレビや雑誌、SNSなどで話題となる「女ってこういう男の子が好きなんでしょ?」というテンプレートをカナメは鵜呑みにしていない。
所詮それは男側が勝手に想像したモノでしかなく、それに当てはまらない女などいくらでもいるだろう。
逆もまた然り。
男の子はみんな可愛いお菓子やオシャレなランチが大好き! みたいな特集が組まれるたびにカナメは思うのだ。
僕はお煎餅や豆大福みたいな地味なお菓子のほうが好きだし、オシャレなランチより牛丼にキムチでも乗せてガツガツ食べるほうが絶対美味しいのに……と。
(どれだけ魅力を磨いたところで僕ひとりの力じゃあ支配できるメスには限りがある。お山の大将で満足するならそれでもいいけど、僕は男として産まれた自分がどこまで駆け上がることが出来るのか試したいんだ……。たかが性癖問題のひとつやふたつ、この程度で躓いてなんかいられない……ッ!!)
男が上を目指してなにが悪いッ!!
野心に燃える男、信貴山カナメッ!!
その手段として人間の自由意思や尊厳を無視するようなアイテムの開発に勤しみ、それを使用することを躊躇わないクズであることに目を瞑れば、その意志力は上に立つ者としての素質は充分であるッ!! ……かもしれない。
◇◆◇◆
「と、言ったものの。素材の扱いに関しては自分でも天才だと思うけど、いまの僕はそれだけだもの。まずは出来ることからコツコツと、丁寧に錬成技能のレベルを上げるところから始めないとね! リンドウ先輩、今日も時間あるかな~?」
技術の向上はもちろん、信頼を稼ぎたいという意味でもすでにカナメの中では錬成を習うならリンドウ一択である。
リンドウ側は自身の立ち回りについてカナメとの関係をどうするか悩んでいたが、良くも悪くもしっかり手遅れであったッ!!
「……ッ! おっと」
前方から女子のグループが歩いてきたことを確認したカナメは、咄嗟に物陰に身を隠した。
別にやましいことなどいくらでもあるが、そうではなく彼女たちの日常会話から使えそうな情報を得るためである。
本当にそれが後で役に立つかは分からないが、だからこそ集められるだけ集めておくのだ。
10回やって成果がひとつあれば儲け物。それぐらいの心構えで焦らず息を潜めるカナメ。
なんてことのない会話ばかりが続き、今回は空振りかと立ち去ろうとしたが──話題が男の好みの話になり、リンドウの名前が出たことで足を止めた。
「水澄ってさぁ、身長高いし筋肉多そうだけどさぁ……こう、悪くないよね。なんていうかさ、女は男を守って当たり前でしょ~みたいな雰囲気を感じないっていうか」
「あ~、わかるわ~。探索者やってるあたしらへの敬意っつーか、女が頑張ってるから生活が成り立ってるんだってコトをちゃんとわかってるよな」
「フェミ団体の影響受けまくってるクラスの男子とかマジでウザいよね。水澄はそういうトコ全然ないから安心できるっていうか。でもさすがにさ~、男で迷宮に入るのはさすがに頑張り過ぎだよ」
「それな。そりゃ現場を見ないと分からないことがある、ってのも分かるけど……こう、さすがに男の子がモンスターに殴られるかもしれないのを黙ってみてるのは……」
「女らしくない?」
「ほかの男子に言われるとイラッとするけど、水澄相手だとアリなのウケる」
「っていうか、こういうこと言うと引かれるかもしれないけど……私、正直に言うわ。男の子の前でモンスターと戦って勝ってチヤホヤされてエロいとこまでいくシチュ、ぶっちゃけ何度も想像したことある」
「お前……安心しろ、あたしもだ」
「わたしも~」
「じゃあついでにアタシもぶっちゃけちゃおうかな~。コレさ、一緒に迷宮行って頼れるとこ見せたらさ、その、水澄ならマジでチャンスあるんじゃね? …………1回ぐらい、ヤらせてくれる的な意味で 」
「それは……」
「さすがに……」
「ねぇ……」
「あ、やっぱ? あは、あはは~……」
「「「「…………」」」」
◇◆◇◆
(ほぅほぅ。リンドウ先輩がそういう“癖”のメスから人気なのは知ってたけど、一緒に迷宮に……かぁ。僕だったら四六時中メス相手に媚びて愛想を振り撒くとか疲れるから絶対にイヤだけどね。そもそも危ないし)
自分の容姿であれば王子様ポジションで迷宮に同行するのも手段として使えるだろう。
それぐらいのことはカナメも自覚しているが、常に女たちに囲まれるのは面倒でしかない。
もちろんカナメにも性欲はあるし、その対象はちゃんと女性である。
だが彼は相手を支配して屈服させることに興奮するタイプの変態なのだ。
もしも信貴山カナメが迷宮に入るとしたら、それはどんな命令にも絶対服従の手駒が手に入ってからである。
(素材を貢がせるって意味では使えるんだけどな~。現地で厳選も出来るし、そもそも僕たち錬成が使える男のインベントリなら相当な量の素材を持ち帰れるし。でもな~、迷宮の中で本性がバレたら「男のクセに生意気なッ!!」って感じで《自主規制》されるのは確実だよね~。だって僕、下手なアイドルより可愛いし)
有効な手段だと理解できる。
だが自分では活用できない。
この案をただ棄てるのはもったいない、どうにか計画に組み込むことは出来ないものかと悩むカナメに──悪魔が囁いた。
どうもこうもない。最適な人材ならば、つい先ほど女たちが話題に出していたじゃないか……と。