「さてさて、此処は何処だ?」
万華鏡を覗いているかの如く、気持ち悪くなりそうな世界に俺は居た。
記憶にあるのは昨日の晩にナポリタンを3杯喰って満腹で布団の中に入った記憶しかないのだが…もしや!?
「ご名答!君は死にました」
声の主はいきなり前方から忍者の如く現れたピエロの仮面を被り、ローブを羽織った小さな子供だった。
って言うか想像していたのと違った!?
俺は夢かと思ったんですけど!?
「僕の名前はロキ。悪神ロキ、聞いた事があるよね?ま さ か 知らないなんてないよね~?」
全く知りません。
「僕の名前を知らないなんて古今東西、未来永劫、どんな文明や文化を持つ、それこそ異世界や宇宙人以上の馬鹿だよ君。アハハハハハハ」
何と言う傍若無人!
此奴シバいたろうか!?
こみ上げる怒りで握った拳を抑えつつ頭をクールダウン、クールダウン。
「んで、その小便臭い乳離れ出来て無い餓鬼がお兄さんに一体何の用かな~ボク~?」
餓鬼の頭を鷲掴みにしてニコヤカナ笑顔で尋ねる。
前言撤回。怒りを抑え込みきれませんでした。
餓鬼を鷲掴みした親指と小指はロキとか言う餓鬼のこめかみへと食い込む。
「アハハハハ。そんなに粋がるなんてお兄さん可愛いな~「くたばれ!」ごふっ!」
背筋がぞっとしたので、アイアンクローをしている餓鬼を勢い任せて地面に叩き落とし、仰向けに成った状態のロキの腹を踏みつける。
俺の中の第六感が此奴は色々やばいと警告している。
此奴一人を滅ぼして16年間続いた俺の貞操が守れるならば安い取引だ!
つまり、俺は童貞だ……
「そんな痛くされると興奮しちゃうじゃないか」
恍惚とした表情で俺に腹を踏まれながら口を開く餓鬼……否、ロキ
此奴は色々と終っていたようだ。
★☆★
「ほうほう、君が面白そうだから俺を命を強制的にこのノートに書いて終わらして魂を此処に拉致ってきたと……」
俺の右手にはデスノートと全く一緒のノートが握られており、中には真白なページが幾重にもあり、ノートの最初のページに俺の名前、南祐希の文字が記されていた。
そして、目の前には両手両足を縛られて芋虫の如く転がっている悪神様の無様な姿がある。
あれからロキを気絶させあの空間を探索すると丁度良いロープを見つけたので貞操を守るためにロキを縛っておいた。
「うん、そうだよ。君が気に入ったから魂を此処に連れてきちゃった☆」
…なんでだろう?此奴が言うと身の危険を感じずにいられないのだが……
「あ、因みに僕は両刀使いだからね☆男も女OKだよ」
「知りたくない情報でした!」
ロキの知りたくもない性癖を暴露され苛立ちと不安を覚える俺はその場からバックステップの要領で5m離れる。
「そんな君に僕からのプレゼントだ!」
ロキがそう言うと俺のすぐ前方に大きさからして20㎤位の立方体の箱が現れた。
箱に手を伸ばすと箱は自分の意志でも持っているかのように俺の掌にのると開かれた。
箱の中に入っていたのは……指輪だった。
「僕の愛を受け止めてくれ」
「いるかぁ!?」
ロキの言葉を聞いてすぐさま箱ごとロキの頭へと投げつける。
此奴…殺す!
「Are you OK?」
「はは、何がかな?」
「懺悔と神への祈り、お葬式の準備、最後にこの世の未練等々だ」
「僕は神だよ?僕が僕に祈りを捧げるなんて面白いね☆」
「……」
俺はただ拳を鳴らしながら無言でロキへと近づく。
この怒り、目の前の神を屠れば幾分か晴れる事だと信じて。
「ハハ、如何したの?そんなに怖い顔して?思わず襲いたくなっちゃうよ」
後ずさりしながら言う神の発言など戯言に等しい事を俺は知っている。
コンディション絶好調。怒りのボルテージマックスな俺。
負ける要因が一つもない。
「くたばれ!糞神!」
圧倒的な拳の連打。
顔、腹、背中、脚、相手の体の至る所に拳を叩きこむ。
相手が神ならば力加減は必要あるまい。
全ては俺の貞操と未来の為に。
俺の童貞が男の幼児に奪われたなんて事実は作りたくない。
―――――
「ほほう、それで小便臭い餓鬼の姿をした頭の痛そうな神であるあんたは、俺を手元に置いておきたいから自分の管轄の中に入れておこうと思ったわけね」
あれからリンt……じゃなくて、せっかn…でもなく、肉体的な拳を使った一方的なOHANASHIを目の前にいるロキの頭に思いをぶつけお釈迦様宜しくなヘアースタイルにしたわけなのだが、まあ聞く限り事情を聴いたわけなのだが、気に入ったから拉致ったってどうなのよ?!
「んで、俺はあんたと一つ屋根の下で暮らせと言うのか?」
一応聞いてみる。
YESの場合、此奴は確実に仕留める。
例え刺し違えてでも仕留める!
「いいや~、君を僕の管轄の中に置いておきたくてね~。だから、君を僕の管轄の中に入ってもらえされすればOKなんだけれども……あ、勿論僕と一緒に24時間365日永遠に居てくれても構わないよ。その場合永遠の寿命を与えるし、首輪付きで衣食住全てに困らない様にしてあげよう。何ならおやつをあげても良いよ!」
「クタバレ!」
唾をピエロのお面をつけたロキの顔に吐き、腹を思いっきり蹴り飛ばす。
断じて虐めではない!正当防衛だ!
俺の貞操が今失われようとしているのだから正当防衛も成立するだろう。否、成立しなければならない!成立しなければ正当防衛の意味も価値も無い!
「分かったよ」
「ほう、解ってくれたか」
「うん、君の気持ちは十分に分かったよ」
「んで、俺は如何すればいいんだ?」
「そうだね~、君はインフィニット・ストラトス。通称ISの世界に行って貰おう」
「アイエス~なんだそりゃあ?」
「そう言う物語の世界さ。僕の管轄だから好き勝手にしてくれても構わないよ。原作崩壊しようが原作通りに進ませようが君の自由だ」
「ふ~ん、俺はISとか言う所に飛ばされるのか~。原作知らねえからぶち壊しとかできないんだけれども……」
「まあ、ざっくりいうとSFの世界だよ。ISって言うパワードスーツを着て戦うバトルものさ。さあ、プレゼントを受け取って貰えなかったから君に特典をあげよう」
「特典?なんだそりゃあ?」
「ほら、新品のゲームを買った時にあるじゃない!」
「あ~、付録か」
「さあ、好きなものを言ってみたまえ!何でもかなえよう!ただし、三つまでだ」
三つか~。
俺、童貞だったし彼女が欲しいな~
奇麗な彼女。しかも、絶世の美女。
うん、決めた。
「それじゃあ、絶世の美女を!」
「うん、良いよ。他には?」
うほ!マジか!?気前良いな神様!
これで俺も彼女持ち!
し か も 絶世の美女だぜ。美女!
童貞臭プンプンする?知った事か!これでリア充の仲間入り!
「他は……物語の知識とそれの補助道具」
「成程。原作知識とISだね。OK、逝ってらっしゃい」
あれ、何かニュアンスが違ったような気が……
そこで俺は意識を手放した。
○ ○ ○
気が付くと何処か知らないベッドの上に俺は寝かされていた。
成程、此処から物語はスタートなのか。
そ れ で 俺の彼女は!?
絶世の美女!
絶世の美女である彼女は何処へ!?
あ、あれか!?幼馴染的な展開か!?
等と思ってた時期がありました。
5秒前まで
あれから部屋を捜索していると鏡と遭遇しました。
はい、普通にどこの家にもありますよね?鏡
神様は約束を果たしてくれました。
はい、全て俺が悪かったです。
だけど、一つ言いたい
【何で俺が絶世の美女に成ってんだ!ごらああああああああああ!!】
ご近所迷惑上等で叫ばさせて頂きました。
鏡に映った俺自身の姿、それは絶世の美女以外の何物の姿でもなかった。