悲想感 とある男の超不幸物語   作:zeke

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第2話

一叫びして落ち着いた俺。

今の状況を整理する。

俺はISの世界についた。女尊男卑の糞世界。

まあ、ISとかいうパワードスーツが女性にしか扱えないのがいけないと言うのが原作知識で望めば解ってしまう。

成程、状況整理からすると俺は、良くも悪くも女(絶世の美女バージョン)に成ったのが不幸中の幸いだと言うのか。

うむ、理解はできる。

理解は出来るが………

 

 

 

「納得出来ねえええええ!!!!」

 

 

頭では理解してるんだよ!

でも、でも、納得出来ねえよ!!

折角、美女が手に入ったんだぜ!?

目の前に居るよ!鏡の中だけれども!中身自分だけれども!!

でも、Hはおろか手を繋ぐ事も出来ねえってどうよ!?

原作知識でISが女性にしか反応しないってわかるよ!

知ってるよ!

でも、そこを何とかするのが神様の力量じゃないの!?力じゃないの!?

 

 

 

「クッ!」

 

 

せめて主人公に成りたかったよ~。

え~、何主人公?ハーレム、美少女囲みやがって!

調子こいてんの?死ぬの?死にたいの?自殺願望者なの?!

童貞歴16年、絶世の美女を前にしてHはおろか手を繋ぐ事さえも出来ないなんて……蛇の生殺し以上じゃねえか!?

一種の拷問だよ!拷問以外の何物でもないよ!

女に成った俺とハーレム囲った主人公との雲泥の差。

俺、何も悪い事をしてないよね!?

普通に学校通ってた男子高校生だよ!

Hな本を買う勇気もなかったチェリーボーイだよ!

女の子と手を繋ぐ事はおろか、校舎裏で呼び出されて告白される事も無かった普通の男子高校生だよ!

それなのに何!?

普通に生活してたらある日突然小便臭い乳離れしてない餓鬼が現れて君、気に入ったから殺しちゃった☆とかほざくんだよ!

さっきは拉致だと思ったけど、俺殺されてんだよ!神様に!

 

 

 

いや、そりゃあ善人じゃないから俺に悪事だってあるさ。

いきなりチンピラがぶつかってきて「手前、何ぶつかって来てんだよ!ああん!?」とか調子こいて掴みかかって「金だせや!」ってタカってきたから股間を思いっきり踏みつけて前かがみに成ってもだえ苦しんでいる所に丁度膝が相手の顔に入っちゃった事故があったよ。

んでもって、相手の財布が上着のポケットから出て落ちた所をどら猫では無く、腹を空かせた野良犬が相手の皮財布を食料だと思ったのか咥えて持って行っちゃった事があったよ。

 

 

 

流石に可愛そうになって5時間位財布を探した事もあったけれども、あれ、俺の過失じゃないよね!?

結局財布は見つかんなかったし、その所為で学校遅れて生徒指導室の先生が激怒したけれども俺の過失じゃないじゃん!?

 

 

 

相手を怪我させちゃったって言う悪事が俺にもあるよ。

でもさ、俺以上に酷い事をしてる奴なんていっぱいいるじゃん!

何でそいつじゃないの?

俺って不幸の星の許に生まれてきた少年なわけ?

でも、不幸はチンピラが一回タカってきた時だけで、それ以外何もなかったよ。

それなのに、なの?

 

 

しかも、付録というかおまけで貰ったISがさ~、デスティニーガンダムって言う機体なんだけれども……核使ってんだけれども!

馬鹿なの!?

ねえ、神様、あなた馬鹿なの!?

撃墜されたら爆発落ちしか想像できないじゃん!

しかも、核爆発だよ!?俺、死ぬじゃん!

 

 

しかも、さあ、シールドエネルギーが無くても動きますって寝ていたベッドの横にあった説明書に書いてんだけれども、現代のISに喧嘩吹っかけてるよね?

シールドエネルギーが∞な機体って、ふざけてるよね!?

どうやって、勝負つけるんだよ!

 

 

しかも、ご丁寧に機体の待機時は指輪だし!

……まあ、指輪は指輪でもネックレスに出来るように成ってたから良いけれども、薬指にはめて取れなかったら俺、自殺してたよ!

冷たい海にダイブして死んでたよ!

 

 

俺のIS デスティニーガンダムは非固定武装ではなく、固定武装だけれども火力がどれだけ強いか解んないけれども、ここは火力が弱いと信じておこう!

うん、それが良い。と言うか、世界各国血眼に成ってISの親、篠ノ之 束博士を探してるのもISのコアが欲しいからだよねえ!?

 

 

って事は、俺が持ってる事を知られたら……俺、拉致られるじゃん!

下手をすれば殺されるじゃん!

逃亡すれば指名手配犯扱いされるじゃん!!!

 

 

あ~、もう、これはあれだな。

うん、IS持ってる事をばれない様にすりゃあ良い。

って事で、まず不貞寝だ。不貞寝。神の思し召しだ不貞寝しろっていう。

うん、寝ればこんがらがる頭も少しばかりマシな働きに成ってくれるだろう。うん

 

 

 

 

 

不貞寝して頭もすっきりした俺だが、汗でべた付く服が不愉快極まりないので風呂に入ろうと思ったのだが……今現在地の居場所がまず解んない。

鏡を発見した瞬間に自分の姿に絶望したから周囲を探索出来て無いから解んないけれども……ここ、何処よ?

何か、メカメカしい残骸がベッドの周囲に転がっているんだけれども、ここは何処なの?

 

 

 

「あ、起きたんだ!面白そうだから拾っちゃった♪」

 

 

声のする方向に視線を向けるとそこには、頭に兎耳をつけ不思議の国のアリスを思わせる格好をした篠ノ之 束博士がいた。

 

 

「あ、あの!貴女は、篠ノ之 束博士で俺、いいえ僕を拾ってくれたんでしょうか?」

 

まさかの篠ノ之 束博士に遭遇するとは!

 

 

「うん、そうだよ~」

 

 

マジか!?普通の人なら景色同然の如く扱われるのに、篠ノ之 束博士に助けられるとは思ってもみなかった。

 

 

「助けて頂いてあ、ありがとうございます!」

 

やべえ、感動で涙が流れる!

 

 

「うんうん、まあそんな事よりも君……IS持ってるよね?」

 

 

「!?」

 

 

何で知ってるの!?

いや、何でわかるの?!

誰にも話してないぞ、俺!

 

 

「ふふ、何で知ってるの?って驚いた顔をしてるね~」

 

 

「……」

 

 

「脈拍数も上がって無言。これは肯定と受け取っても良いかな~」

 

 

面白そうにそう言う篠ノ之 束博士。

だが、俺にとってこの状況はピンチでならない。

原作知識を知る俺にとって彼女の戦闘能力はIS装着状態の俺も無力化できるだろう。

ならば、ここは選択肢は一つしかない。

 

 

指輪で待機状態と成っているIS デスティニーガンダムを篠ノ之 束博士に向けて渡す。

 

 

「…これがISです」

 

 

俺の選択肢、それは強力な相手との戦闘を避ける事。

目の前の篠ノ之 束博士なんかがそうだ。

心身ともにハイスペックな彼女を敵に回すハイリスクな選択肢は避けるべきだろう。

勝てぬ戦はせぬ事だ。

何よりも恩人に刃を向けるのは俺の良心が痛む。

 

 

面白そうなおもちゃを見つけた表情で篠ノ之 束博士はISを受け取るとしげしげと眺め、何やら道具を取り出してIS デスティニーガンダムをいじり始める。

 

 

「ふ~ん、私が作った事のないコアだけれども……如何したの?」

 

 

尋ねられてはいるが今現在の俺の立ち位置は目の前の篠ノ之 束博士に命を握られていると思って構わないだろう。

この人に嘘は通じない。

何よりも今の俺ではこの人と勝負に成らない。

次元が違いすぎるのにISを奪われた俺では最早勝負以前の問題だろう。

 

 

 

「……俺、いいえ僕は転生者です。その時の付録でそのISを貰いました」

 

 

戯言だと思われるだろうか?それとも、気に入られるだろうか?

これは賭けだった。5:5の賭けだった。

気に入られれば俺の話を聞いて貰え、下手をすれば何かしら手を貸してくれるかもしれないという希望的観測も視野に入れた賭けだ。

気に入られなければ追い出されるかもしれないし、ISを引っぺがされて終わりかもしれない。

 

 

 

「……ふ~ん。転生者ねえ」

 

 

博士は笑みを浮かべて俺を見る。

ついに結果がわかる。

ゴクリと生唾を飲み込み博士を見る。

 

 

「道理で君が私の研究所に居たのか説明がついたよ」

 

 

「……ハ?」

 

 

博士は今、何と仰いました?

私の研究所?

俺の耳が可笑しくなければそう仰った。

 

 

「うん、君は私の研究所に倒れていたんだよ」

 

 

成程。今一つだけ解った事がある。

俺の不幸はどうやらかなり酷かったらしい。

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