1話
目が覚めたら、古い廃墟にいた。
手を動かし、持ってくると薄茶色の質素な見た目のポーチがあった。
ポーチが膨らんでいるので取り出してみると種がでてきた。
何コレ?叩いたり、投げても種は割ることはできなかった。ある程度時間をおいてからチャレンジしようと思う。
ふと空を見ると光の柱と夜空に浮かぶ輪が浮かんでいた。まさかと思い、近くに落ちていた鏡の破片に映る自分の顔を見て頭上にヘイローが浮かんでいた。
どうやら自分はブルーアーカイブの世界に転生したらしい。。
確かにプレイした記憶もあるし、欲しいキャラのためにクレジットカードを使い翌月の請求額を見て顔をしかめたこともある。
だが、治安が悪く街を歩けば女子高生が銃を携え街を歩き、銃に打たれても痛いだけですむ世界にいきなり投げ出すのはあんまりではないだろうか。
「これからどうしようか…」
そもそもなぜ自分はこの世界に転生したのか。
それ以前に自分の名前が分からない。この体の''前''の持ち主がどうなったか。魂がこの体に取り憑いたか?死んで蘇ったのか?正解はわからないし、身分を証明するものもない。それに裸だから夜風が冷たくこのままだと風邪をひくだろう。
あのハナコですら水着で外を徘徊するのに自分は裸で外にいる。
...これだと私はハナコ以下の痴女ということになるのでは...
とりあえず床に落ちてたカーテンに身を包むことにする。まあ不審者っぽいことに変わりはないがこれしか身に着けるものがないのだから勘弁願いたい。
その時外から足音が部屋の外から聴こえてきた。
「あぁ? なんだお前? ここは私らの縄張りなんだ! どこの生徒だぁ?」
声のした方向に顔を向けるとヘルメットをかぶり銃をこちらに向けたスケバンの女子が恫喝していた。
「お前なんで、布一枚しか着てねぇんだ?」
「それは私も知りたいぐらいなんだが...」
「なぁ私、服とお金持ってないんだけど...服と金くれよ」
「私らの縄張りに入った挙句服と金せびってきたぞこいつ!?」
ダメもとでお願いしてみたのだが反応は良くない。どうしようかと思い悩んでいるとスケバンの一人がバッグの中を探り服と金をこちらに投げてくれた。さらに銃もくれるおまけつき。
寒かったので急いで服を着てポーチに現金を押し込み、銃を受け取る。女子高生に衣服と金をもらうのは気が引けたがもらえるものはもらっていこうと思う。
「ありがとう、じゃあね。」
衣服と金だけでなく銃も手に入り予想外の収穫だった。キヴォトスで銃の価値がどのくらいなのか分からないが、お金が無くなったらこの銃を売って生活の足しにすればいいだろう。
スケバンが急に態度を優しくしてくれたのはなぜなのだろうかと思いながら歩いていた。
「安いコロッケだよ~」
「.......」
二足歩行の犬が立って商売していることがあまりにも非現実的な光景だったため一瞬立ち止まってしまった。
今すぐ食いたいというほど腹は空いてないが、この世界のコロッケが現実とどのくらい違うか気になったので購入してみる。
「すいません、コロッケ1つください。」
「はいよ~、どうぞ」
動物の店主がコロッケを1つ渡してくれた。
「ありがとう。」
礼を言って、行く当てもないままぶらぶら歩く。もしかしたら服と金をくれたスケバンみたいにコロッケをたくさんくれるかと思ったがそんな都合の良いことはなかった。
この世界ではや'神秘’や'恐怖’、'崇高’といったよくわからない概念があるが自分もそういうのがあるのだろうかと考えてしまう。そうであった場合ゲマトリアと関わることになるのは面倒くさい。そうならないことを祈るばかりだ。
それよりこのポーチの中に入ってる種は何の種なのだろうか?地面に植えてちゃんと育てれば名前の知らない花が咲いたり、いつか大輪の花を咲かす植物になるのかもしれない。こんな良く分からない種のことは未来の自分がなんとかするだろう。
そういえば今はゲームでどの時期なのだろう?対策委員会編?パヴァーヌ編?もしくはエデン条約編なのだろうか?エデン条約編は1歩間違えれば先生が死にバッドエンド一直線なのであまり介入したくない。だが多少のサポートなら問題ないだろう。あの妖怪アシナメタロウなら何とかするでしょ。知らんけど。
そもそもここはどこなのだろう?すくなくとも百鬼夜行やレッドウィンターではなさそうだが...
誰かに聞こうかと悩んでいた時、ゲヘナらしき女の子が学生証を落とした。
「すみません、学生証落としましたよ」
「...?」
「あ...すみません」
学生証を拾うと同時に此処がどこかを聞く。
「ここはゲヘナですか?」
「...?ここはブラックマーケットよ」
「...そうですか」
よりにもよって、キヴォトスにおいて1,2を争うぐらい治安の悪い場所からのスタートらしい。