タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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1-3-3 「自分のエゴでチームを抜けておきながら、よくもまあぬけぬけと喋れますね」

 準決勝で当たるであろうチームの試合を見届けたころには、すでに時計の針は12時を指していた。ここから一時間の昼休憩を挟む。俺らはシードで当たる<DuOuD>との対策会議もかねて、いったんラウンドワンを出て、近くの喫茶店に入った。

 

「試合開始十分前には、オーダー票を出さないといけない。ペアは変える気ないからいいんだけど、問題は順番なんだよね・・・」

 

 部長はパスタをフォークで巻き取って、口に運びつつ、俺らにそう告げた。

 

「相手をよく知る宮永がそう言うってことは、私たちと相性の悪い対戦相手がいるってことだな?」

 

 ハムは食後のコーヒーを飲みながら部長に視線をちらりとやった。てか、相変わらず食うの早いな。注文したカレーが水のごとく吸い込まれていったし。ハムッ!!って擬音がまじで聞こえてきそうな勢いだった。

 

「そうなの。国広と栞ちゃんのペアがちょっちキツくなるかも。トラップ解除が得意な人と、ハムと同じ速攻タイプの人がいるんだよね。」

「柄谷の狙撃で勝つという仕組みは、あくまでも相手が俺のトラップで足止めできているからって前提のもとに成り立っている。だから、その前提が成り立たない相手には――――」

「遠距離型は近距離型に勝てない。もし相手に懐に入られたら終わりでしょうね・・・。」

 

 オムライスをつつきながら、柄谷がつぶやく。確かに相性は最悪だ。じゃあどうすればいいのかというと・・・

 

「相手のトラップ解除を上回る速度で、トラップを撒くしかないか・・・。」

「そういうこと。国広が頑張るしかない。まあといっても、その人らがペアを組まない可能性も十分あるから、わからないんだけどね。」

「そうなんですか?」

「確かに去年はその人たち同士で組んでたよ?私はもう一人の子と組んでた。でも私が抜けたことで、一人補充をしなくちゃいけなくなってってなると―――――もう読めないかな。追加戦士のタイプによってチームの組み方変わるし。」

 

 まあもっともである。そいつらと当たらないことを祈るばかりだが・・・。まあ当たっても勝てばいいんだ勝てば。そう自分に言い聞かせ、俺はパスタをかきこんだ。

 

「――――――――ちょっと席を外す。」

 

 ハムはそういって席を立った。おそらくトイレだろう。そこから、ハムが来るまでひとまず飯を平らげようとし、皆フォークやスプーンを進めた。そうして飯をしっかり食べ終えたのち、

 

「まあなんだ、柄谷、俺にドーンと任せておくといいよ。」

 

 俺は柄谷に向けてサムズアップを決めたのだった。

 

「先輩!」

「部長、ただ、順番は2組目で頼みます。その追加戦士が強いか弱いかはさておき、やりなれたペアが初戦を飾るとなれば、きっとそいつらは初っ端に出てくると思うので。」

「先輩・・・」

 

 柄谷は目をキラキラさせたり曇らせたり、せわしなく表情が変わっていた。いや、俺の推理は間違ってなくね?部長かなり強いし、部長抜けた穴は簡単にふさがらんでしょ?

 

「やっぱそうなるよね~~。私もそう思う。そんじゃ、初戦は私とハム、次戦は栞ちゃんと国広のペアで――――って、ハム遅くない?ちょっと国広、ハムを呼んできてくれる?」

「・・・了解です。」

 

 確かにハムにしては遅い。やつは大便も早いんだ。この長さは大便の時間じゃない。何かトラブルになってたら・・・やつならありえなくもない・・・。そんな嫌な予感がしたから、トイレの方向に向かったのだが、割とすぐにハムは見つかった。嫌な予感は半分当たっていた。だって、そこにはニッコニコのハムと―――

 

「遼君ちょうどいいところに!この男を持ち帰ってくれません?」

「あら遼、数時間ぶりじゃない。この暑苦しい男何とかしてくれない?」

「うげ、街中でも会っちゃった。ぼくも怜に同意~。」

 

 朝別れたばかりの刹那と怜、静乃が、そこにいて、一同みなうんざりとした顔を俺に向けたのだった。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

 全員飯を食い終わっていたこともあり、ひとまず会計を済ませて店を出た。半ば部長がごねたことで、刹那たち3人も一緒に連れ出すことに成功した。彼女らの手には買い物袋が握られており、大通―すすきの間でショッピングを楽しんでいる途中ということがよく分かった。

 

「今日は部活動―――――そういや、遼が今日大会だなんだって言ってた気がしますね。もしかしてそれですか?」

 

 口火を切ったのは怜だ。単刀直入に切り込むのはいかにも怜らしい。

 

「そそ、e-sports部の晴れ舞台なのさ。これがインハイだよ、インハイ。」

「いや、宮永先輩、あなたがたの部活の名前はe-sports部じゃないですから・・・まだまだ道半ばですから・・・」

「少年!任せておけ!今日の勝利をもってして、宮永の野望も果たして見せよう。」

「や、別にそんなことお願いしてないですけど・・・」

「言わずともわかる。」

「あなたに私の何がわかるんですか!」

「おっと、話していいのなら、話させていただくが、いいのか?少年の望まない話も混ざっているかもしれないぞ?」

「え?まさか本当に・・・」

 

 やいのやいのとハムと刹那が漫才を始めたあたりから、部長と怜は置いてけぼりとなった。

 

「じゃ、遼も頑張って。ぼくたちは買い物の続きに移るんで。」

「うむ、静乃たちも頑張るのだぞ。」

 

 そうして、静乃と怜はハムとじゃれあいを続ける刹那を引き連れて戻ろうとしたが、その時―――

 

「あれ?刹那と―――――ゲーム研究部の皆さんじゃないですか。」

 

 声の聞こえたほうに振り向くと、そこには喫茶店から出たばかりの蘇芳会長がいた。蘇芳会長の後ろには、同年代と思しき人たちが3人いた。その光景はまさに、俺らゲーム研究部と重なって――――

 

「ま、会場から近くておしゃれな店で軽食をってんなら、ここしかないよね。結衣。()()()()()()()()()()()()()()()()()()、私が抜けても権利はしっかり使うあたり、面の皮が厚いこと厚いこと。」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()、よくもまあぬけぬけと喋れますね、龍華。」

 

 部長と会長は、お互い笑顔を向けながら、バチバチと火花を散らせていた。てか、部長が昔いたチームって会長のチームだったのか。会長ってゲームとかやる人だったんだ。しかも上手だなんて・・・。俺はあっけにとられ、柄谷は鳩が豆鉄砲を食ったように驚いていた。周りはといえば、キョトンとする怜、クスクス笑う静乃に――――

 

「かかか、会長!?休日にお会いできるだなんて・・・感激です!」

「蘇芳結衣・・・少年の心を誑かす魔女め・・・」

 

 目を輝かせる刹那に、目を血走らせるハムがいた。事態はめまぐるしく変化していく。そしてこのとき、これは大きなイベント発生点なんだなと、俺は確信を持ったのだった。

 

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