タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?― 作:すうどんたくろう
「早速Shido選手とSui選手がかちあって怒涛の戦いを繰り広げておりますっ・・・!」
「Shido選手は被弾もいとわない果敢な攻めが特徴です。対するSui選手も、見る限りプレイスタイルはShido選手とほとんど同じ。一回のプレミが命取りになりかねないため、相当な集中力が求められますね。」
「ええ、そしてShido選手の相棒であるFATE選手は、この戦いに加わらず、ぐるっと迂回して、Sui選手の相棒、平和選手に向かっていきます・・・!」
「あれだけ啖呵切った以上、2対1でどちらかを集中攻撃する、といった戦法を最初からとるのは難しいですからね。とはいえ、2回戦目のステージは市街地です。建物も多いので、1対1で戦っていると思ったら、気が付いたら敵の片割れに狙撃されている、なんてことも起こり得ります。―――さあ、シード権を有するチームはどのように戦うのか、MAFUYUを楽しませてくださいね!」
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私はハムと結衣がかち合っているところをぐるっと迂回して、裏に控えている結衣の相棒を狙いに行くことにした。こいつを5分で落とさないと、絶対に勝てない。ハムが落ちたらこの試合は負けるんだ。とはいえ、まずは片割れの位置を把握しないことには始まらない。私はビルの上に上り、周囲を確認した。私は気をつけながらビルの屋上を移動すると――――発見した。周囲を警戒しながら進んではいるけれど、
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「部長ってスナイパーできたの?」
「いえ、私は知りませんでした・・・。」
部長は普段柄谷がするようなプレイングをするもんだから、かなり驚いている。でもこの動き方・・・
「私は、先輩が敵にマーキングしてから初めて狙撃に回ります。スナイパーはただでさえ狭い視野を注視しなければならないですから、そうしないと効率が最悪になります。スコープを除いてじっくり探している間に、敵にやられるなんてことが起こり得ますからね。」
「そうそう。だから、交戦前から狙撃体制に入るのはかなり危険なんじゃないかって思ってたんだが・・・。」
そう、普通に考えたらそうなる。俺もスナイパーやったことあるけど、狙いをじっくり定めようとし過ぎてその間にやられることが多々あったから、結局今の戦い方に落ち着いている。だけど、部長はあれでも全国大会出場経験がある。きっと俺らの知らない何か特技が――――
と思った矢先、部長が発砲を始めた。そしてそれは、相手の体に見事に命中。瞬間、部長はいまいるビルから即座に別のビルに乗り移り、またもや狙撃を繰り返す。
「え?もう見つけてたの?すごくね?」
「―――相手も隠れながら進んでいたのはマップアイコンで分かっていました。明らかにちょっと進んでは止まってってのを繰り返していましたから。けれど、部長さんは、ハムさんがやりあう地点から離れた後、一回立ち止まったのち、敵に向かって直進しています。敵の居場所がわかっていないとできない動きです。」
「・・・どうやって把握したんだ?市街地戦だとビルに阻まれてわからなくね?」
「おそらく走行音でしょう。かすかな異音から、敵の居場所を察知したとしか思えません。――――感知スキルを限界まで上げないと、ああはできないですよ。だから、武器威力は控えめになっているはずです。ともあれ、敵に見つからないまま一方的に狙い撃てているんです。多少は時間かかっても―――――」
と、柄谷が言葉を詰まらせたのを横目に見て、不審に思いモニターを見ると、敵のアイコンが一つ消えていた。部長は、会敵してから1分で相手を仕留めていたのだった。
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「な、なんということでしょう・・・!平和選手が、いともあっさりとFATE選手に敗れてしまいましたっ・・・!MAFUYUさん、いったいこれは何が起こったのでしょうか・・・?」
「FATE選手のパラメータの振り分けが異質で、おそらく視界拡張と武器威力にかなり振り分けていますね。だから、一発一発が重い。相手に見つかっていない状態で、重い一撃を食らい続ければ、そりゃすぐやられてしまいますよね。スナイパーの理想的な戦い方ではありますが、それをやるには相応のスキルと機会が求められます。今回はすべてがかみ合った結果でしょう。」
「なるほど・・・!では、なぜこんなにも早く相手を会敵できたのでしょうか・・・?」
「おそらくですが、走行音を聞いて先回りしたのでしょう。ただ、FATE選手の異質なところは、感知スキルにおそらくパラメータを振っていないことでしょう。ビル間の移動もかなり早かった。これは移動スキルに振っている証拠です。あとは感知スキルと武器威力にどんな案分でパラメータを振るかですが、武器威力が高すぎることから、おそらく感知スキルにはたいして振っていないでしょう。彼女は、恐ろしく耳がいいんです。だから、感知スキルに振ることなく、存分に武器威力をあげられる。そして、1戦目とは打って変わったバトルスタイルにスキル振り分け・・・2戦目がこのような展開になると知っていないとできないことから、おそらく彼女はこの展開を読んでいたのでしょう。―――彼女が全国大会に出場できたのもうなづけます。1回戦目で見抜けなかったMAFUYUもまだまだですね・・・。」