タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

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2-2-1 「もしかして、『去年の水着が入らなくなっちゃっテェ・・・』ってコト?」

7/14(火)

 

「みなさん、ここについ先週できたアミューズメントパークのタダ券があります。」

 

俺たちはいつものように部室に向かい、蘇芳先輩から受けた指摘事項の修正をすべく、FLDにいそしんでいた。柄谷とオンライン戦で10連勝ほどしたころ、部長が「ああ、そういやあ」ときりだして、唐突にそんなことを言ったのだった。

 

「はあ。急にどうしたんですか?」

「日陰者にはあまり縁のない場所ですけど・・・」

「どうせそういうと思ったので、これを用意したのだ。」

 

 部長はまったく乗り気でない俺たちに、その施設のパンフレットを手渡してきた。それをよく見ると、なにやら巨大複合施設であり、ゲーセンも完備している。そのゲーセンの写真には、なんとFLDの筐体も見えていた。

 

「え?これ結構よくないですか?」

「だよな?ここに行ってみるのもありかも。」 

「うんそうだよ!ここって人気すぎてチケットが抽選なんだよそもそも。だからぶっちゃけめちゃくちゃチャンスなのさ。皆行こうぜ行こうぜ~」

 

俺と柄谷二人は乗り気になったものの、ハムは渋い顔をしていた。まあそんなちゃらついたところに行きたがる性質ではないから、よくわかる。

 

「ハムはどうやら乗り気じゃないみたいだね?」

「そこじゃなくてもトレーニングはできるだろう?」

 

 部長はニマリと笑ってスマホをいじりだした。いったい何が始まるのです?

 

「ほら、これみてみ。」

 

 そういって俺にスマホを差し出すと、そこにはとある人とのラインのやりとりがあった。

 

(昨日)

Ryuka Miyanaga

[兄が新しくできるあのアミューズメントパークのチケットくれたさ。] 21:04

 

蘇芳結衣

[持つべきものはベンチャー企業の社長だね。流石です。] 21:15

 

Ryuka Miyanaga

[結構な枚数くれたから結衣にもあげるよ。]

[生徒会のみんなも誘って一緒に行かない?] 21:22

 

蘇芳結衣

[たまの気分転換にはいいかもしれないね。]

[みんなも誘ってみる。新しい水着買わなきゃ~><] 21:30

 

「会長の水着!?!?!?!?!?」

 

ふおおおおおおおおおおみなぎってきたあああああああああ!!!!

あれかね?ロングパレオとかですかね?先輩はきっと黒が好きだから黒い水着じゃないすかね?しかも出るとこ出てるんだよね?レオタードなんてものは着ないですよね?いや、それはそれでエロいけど!とにかく!たまらん!妄想がはかどる!てかよく考えろ、部長と柄谷の水着も見れるんだよな?みんな普通に可愛いし、とんでもなく目の保養になるのでは???

俺は隣にいたハムにスマホを渡すと、

 

「少年の水着!?!?!?!?!?」

 

ハムも俺と全く同じ反応をしていた。この文面のどこにも刹那が来ることは書いていないのだが・・・。ハムは隣にいた柄谷にスマホを渡した。柄谷はそのラインと俺らを交互に見て、だんだんとごみを見る目つきへとかわっていった。

 

「美しいものを見たいと思うのは自然な欲求だと思うんだ。」

「無論だ。」

「トレーニング目的じゃなかったでしたっけ・・・まあいいですけど・・・先輩方は変わりませんねえ。」

「ま、はなっから国広は連れて行くつもりだったからね。国広にはほかの面子も頼みたかったし。」

「と言いますと?」

「静乃ちゃんと怜ちゃんと・・・それに有希ちゃん誘ってきてよ。国広の分を含めてチケット5枚渡すからさ。あと一枚は誰でもいいよ。好きな人連れていきなよ。ほらあれ、伊藤とかいたじゃん。」

 

伊藤か・・・いや、あいつをここに呼ぶのは場違い感が強すぎる。あいつとは二人でオタ活したいんだ。こんなリア充イベに巻き込むわけにはいかない。

 

「まあいいですけど、でも、部長が直接誘ったほうがいいんじゃないすかね?ほらその、男から誘うよりも女から誘ったほうが来やすいとかあるんじゃないすか?」

 

 俺が訝しげにそう言うと、部長は「まあ―――うん―――そうなんだけど――――」とかいう煮え切らない態度をとっていた。

 

「ともかく、頼んだよ!」

 

 強引に話を切り上げ、俺の肩をポンポンと叩いた。そのあと、FLDのコントローラーを握り、ヘッドホンをつけた。話はそこで終わってしまった。手にした五枚のチケット。一枚余るのをどうしたものかと思案したとき、ふと会話に全く入らず黙々と作業をしていた梓先生が目に入った。

 

「梓先生、いっしょに行きますか?」

「教師が生徒と遊びになんて行っちゃだめでしょ。」

「ですよねー」

 

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

7/14(水)

 

「は?アミューズメントパークに行こうって?」

 

翌日俺は昼食中、目の前の女、萩原静乃にさっそく打ち明けた。

 

「面倒くさいからぼくはパス。」

「ちょwおまww話だけでも聞いてくれwww」

 

 静乃は小学校からの幼馴染だから、彼女の性格もよくわかっている。こいつは基本面倒くさがりで、しかも俺をおちょくることに楽しみを見出しているから、俺の提案にはまず二つ返事で乗ることはない。

 

「最近この辺にかなりでかいアミューズメント施設ができただろ?プール以外にも、ボウリング、ゲーセン、スポーツコート、飲食店とかたくさん。要するにそこに行こうぜって話。」

「・・・いやわかるよ?でも人気すぎてしばらくは抽選でなきゃ入れないんじゃなかったっけ?」

「それがなんと宮永部長が独自のルートで一日フリーパスを手に入れたらしい。かなりの枚数あるから、たくさん誘えって言う命を受けたんだよ。勿論金なんて要らない。タダですよタダ!」

「でも・・・」

 

 そう、行くことのハードルがなくなったから、誘うのを断る理由がなくなっていく。でもまだ一押し足りないか・・・。俺は怜と刹那に目配せをした。なお、伊藤は体調不良で保健室にこもっている。

 

「私は会長が行くので行きますよ。生徒会メンバーは、一年生の林君を除いて全員きます。一緒に行きましょうよー静乃ー」

「どうせ暇なんでしょう?私も昨日遼から誘われたわ。せっかくだから行こうと思う。一緒に行こうよー静乃ー」

 

 刹那と怜が駄々をこねはじめる。俺はこの展開になるように、しっかり根回しをしておいた。刹那と怜は昨日の晩のうちに参加を確約させた。静乃を引っ張り出すためには、同年代の友達がそこにいることが重要だろうと踏んでいたのである。

 

「うう・・・わかったわかった。」

「じゃあ行くってことでいいの?」

「だからそういってるじゃん。―――――ちなみに、みんなプールも行くわけ?」

「そうなりますね。会長の水着・・・はあ、待ちきれません!」

 

静乃は大きくため息をついた。もしかしてプール嫌い?

 

「じゃあ水着買わないといけないか・・・」

「もしかして、『去年の水着が入らなくなっちゃっテェ・・・』ってコト?」

 

俺がふざけてそういうと、机越しに足元を蹴られた。

 

「それ普通にセクハラだから。――――遊びでプールなんて小学生以来だから、普通に持ってないってだけだよ。死ね。」

 

腐った魚の眼をギラつかせ、俺をにらんできた。怖いお・・・

何はともあれ、チケットを一枚だけ残すことになったが、目標のメンツはすべてかき集められたのであった。

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