タマゴのカラを割らないでっ! ―彼女づくりのサポートはしてくれるのにできなかったら皆殺しってマジ?―   作:すうどんたくろう

34 / 81
2-2-4 「――――いいでしょう。3人まとめて捻り潰せばいいのでしょう?」

 ~静乃視点~

 

 ぼくたち5人も後を追ってみたところ、ちょうどハムがラリアットを決めていた。そうして件の男二人組を追い返し、刹那にそっと手を差し伸べて立ち上がらせた後、颯爽と去っていった。いつもの刹那と違い、どこか放心していた彼女を見ていたぼくたち5人はと言えば・・・

 

「ま、まさか刹那さん・・・」

「落ちた、のでしょうか・・・?」

「ハハハ、あそこまでハムに敵意丸出しの刹那ちゃんが落ちるわけ・・・いやまって?ハムって見た目もファッションセンスも悪くない―――――いや今日見た感じあれはいい方だ。問題のウザさも、ストレートに愛情表現してくれるとポジティブに捉えれば―――――いや、でもなあ・・・・・・」

 

 後輩二人とがドギマギきゃあきゃあしていた。一方、あのゲーム大会のときから刹那の恋路を見守っていたぼくは、思ってたより早かったなあと別の驚きをしていたのであった。そして、どちらにも染まらずじっと状況を見ていた怜からは、底知れなさを感じた。

 

「・・・この状況をどう思う?」

 

 ぼくは思わず、怜にそう尋ねてしまった。怜は左手でサイドポニーの先端をくるくるといじりながら、

 

「――――上手くいってほしいと思っているわよ。」

 

 と、月並みな返事しか返ってこなかったのだった。この人はこの世界の人間じゃない・・・らしい。名目上は遼の恋人作りのサポートをするために来ている・・・らしい。勿論、本人から説明を受けたわけではない。ただ、それを問いただすのも気が引けるから、あまり考えないことにしている。――――とはいえ、今回のようなケースだと、後輩たちの反応が通常の女子がするものだと思う。なのに、まったく動じていないあたり、そういう感性に乏しいのか、もしくは、ほかに考えていることがあるか・・・。普段の怜をみていると、正直普通の女子にしか見えないから、ぼくは後者を想定していた。だから、この反応は想定内。()()()()()()()()、ということがわかれば十分だ。それだけで、やはり怜はこの世界の住人ではないのだという確信に一歩近づくのだから。

 

「とりあえずまあ・・・ナンパの男も消えてったし、合流しない?」

「・・・ええ、そうね。遠巻きに見ているのもおかしな話よね。行きましょう。」

 

 ほら、みんないきましょう、と怜が3人に声掛けして、引っ張っていったのだった。ぼくはその後ろから、てくてくと歩いていく。刹那の顔が近付くにつれ、顔が思っていたよりも赤くなっていることがわかり、ちょっとむず痒くなったのであった。

 

 

 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

  

「ここが結衣の家だよ!二階建ての一軒家!」

「なんで龍華が紹介してるんですか・・・」

 

 連れてきてしまった。刹那の一件もあったから、てっきり話が流れたものだとおもいきや、そんなことはなかった。別に厭というわけではないけれど、人数が多いと目が届かなくなってくるので、困りごとが出てくる。あまり見られたくないものもあるから。()()の正体がばれるのもよくないですし・・・あの部屋は特に・・・。とりあえず、私は家の鍵をあけ、玄関の扉を開いた。

 

「まああがってください。親は仕事で()()()帰ってきませんから遠慮なくくつろいでください。」

「「お邪魔しまーす。」」

「さあ!リビングはこっちだよー。んで、荷物はここに置くといいよ。ああ、飲み物はコーヒー紅茶は常備してるから、好きにお湯沸かして飲んじゃっていいからねー。さて、写真撮影会を始めるよ!刹那ちゃんは着替えてくるのだ!!」

 

 龍華は入ってリビングに荷物を置いた後、流れるように言いだした。確かに遠慮なく、とは言ったけれど、自分の家と勘違いしているレベルの遠慮のなさで驚く。いやまあ、それが龍華なんですけどね・・・。

 

「本当にやらなきゃダメですか・・・?」

 

 龍華の言葉を受けた刹那の瞳の色は、静乃さんほどではないけれど、失いかけていた。

 

「もちのろんろん。だけどまあ、その前に…」

 

 龍華がそう言うと、彼女と有希さんと栞さんが勢いよく立ち上がり、

 

「ドキッ!女だらけのゲーム大会をやるぞフゥゥゥゥゥ!!!!」

「いえすいえす!!」

「ぱちぱちぱち~」

 

 龍華と後輩二人が超ハイテンションになっていた。

 

「あー・・・なんかやたら歩いてる最中スマホいじってるなあと思ったら打ち合わせしてたのね。」

「ふふふ、萩原先輩のおっしゃる通りです。」

 

 栞さんは得意げに笑っていた。この娘、本当に身内相手だとよくしゃべりますね・・・。

 

「ルールは簡単っ!四人、三人で勝負して、各チーム下位は、下位同士再度勝負!それでビリだったら水着を強制撮影っ!逆にリーグ上位は上位同士で対決し、勝てば誰を撮影させるかを指名できるっ!もしくは撮影を免れる!!つまりっ!最高三人が水着撮影の餌食となるのだっ!」

「――――つまり、トップを私がとれば、撮影を回避できるんですね?その話に乗りましょう。」

 

 刹那の眼はめらめらと燃えていた。だけど、そのルールだと・・・

 

「なかなか面白そうね。けれど、ゲーム初心者にはかなり不利じゃない?」

 

 怜さんの心配はもっともだ。だけど、龍華はどうやらそんなことわかりきっていたようで・・・ 

 

「ふっふっふ、心配御無用!経験者はハンデつけるし、初心者にも操作が楽なものを用意しているんだぜ!!」

 

 そういって、龍華は初心者でも楽しめるパーティーゲームを用意したのだった。それで、チーム分けして対戦して――――という流れになったわけなのだが・・・

 

 Aグループ

 怜、刹那、静乃、CPU

 Bグループ

 龍華、結衣、栞、有希

 

「なにやら作為的なものを感じるのは私だけでしょうか?言い出しっぺ3人が固まっているのですが?」

「く、くじ引きアプリで公平に決めた結果じゃないかあ!」

「宮永先輩、そのアプリ、確率操作できますよね?」

「し、静乃ちゃんそれは言わない約束だよ~~~~」

 

 どうやら、三人で私を叩き潰すつもりなのだろう。

 

「――――いいでしょう。3人まとめて捻り潰せばいいのでしょう?」

「会長さん、発言が物騒ですよ~~~(´;ω;`)」

「ゆ、有希ちゃんは初心者だからハンデつけなきゃダメですよ!」

 

 栞さんが必死に有希さんをカバーしていますが、

 

「おおかた国広君と一緒にやってたから普通にできるんでしょう?」

 

 その問いかけに、有希さんは目をぱちくりさせて泳がせていた。

 

「うわぁ・・・分かりやすいなぁ・・・」

 

 静乃さんはクスクス笑っていた。

 

「――――じゃあ、ノーハンデでやりましょうね。」

 

 精一杯の笑顔を三人に振りまいた。けれど、三人とも、顔は引きつっていたのだった。

 

 

 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎

 

 

 蘇芳会長と宮永先輩らのプロレスを遠巻きに見て他人事と思いあははと笑っていたぼくだったが、数十分後に冷や汗をかくこととなる。ゲーム自体、ぼくはやらないわけではない。少なくとも、刹那と怜よりはできる方だと思っている。だが・・・

 

 総合成績

 1位刹那 2位怜 3位静乃

 

「これで撮影回避に大分近づきました!」

「あらら、静乃は残念だったわね~ww」

 

 プークスクスと言わんばかりの煽り顔を怜がしてきた。思わず下唇をかんでいたことに気づき、思っている以上に悔しかったのだと、わかった。

 

「途中からぼく狙いが露骨になったよね?」

「晒し者にはなりたくないもの。ねぇ、刹那?」

「ええ。」

 

 なんでこの人ら結託してるのさ。そんな暇なかったよね?

 

「・・・まあいいよ。多分次のグループは有希ちゃんあたりが負けそうだし。有希ちゃん相手ならまだぼくにもワンチャンありそうだからさ。」

「なっ・・・ま、まだわかりませんよ!我々の計画では落ちるのは会長なので!」

 

 と、息巻いていた有希ちゃんだったが、結果は予想をはるかに超え――――

 

 総合成績

 1位結衣 同率2位竜華、栞、有希

 

「これ笑うとこ?」

「笑うところじゃないですよ!!!」

「クソワロタwwwwww」

「いや龍華、貴女負けてますからね?笑っている場合じゃないでしょう???」

 

 腹抱えて笑う宮永先輩をみて、ぼくもつられて笑ってしまった。そして刹那と怜は、憐みのまなざしを向けていた。そりゃあそうだろう。なにせ、あれだけ息巻いて煽り散らかしていたのに、結果は3人まとめて仲良くKOされているわけだから。

 

「・・・とりま、上位はトランプ、下位は麻雀にしようか。」

 

 宮永先輩はすっと切り替えて立ち上がると、そう呟いて奥の部屋に向かっていった。

 

「ちょっと待って、なんで下位は麻雀?」

「ゲーム研究部の対象ゲームは、何もビデオゲームに限った話ではないので、普通にボドゲもやりますよ。なので私も麻雀はできますね。」

「できるできないじゃなくてさ、なんで麻雀?上位と同じようにトランプじゃダメなの?」

「賭け事があるなら麻雀でしょ?静乃さんは違うんですか?」

「国広家はどんな教育してるの???」

「国広家の麻雀は敗者がアイス奢りのルールですね。いつも兄さんが買いに行っています。」

「遼は弱いのか・・・」

「さ、麻雀牌もってきたからやるよ!時間内から東風戦ねー。点数計算はまかせてよ。」

 

 そういって宮永先輩はテーブルにマットを敷いて、牌を広げるのであった。

 

「―――――私たち3人はどうしましょ?」

「まあ、龍華たちの麻雀を見学するでもいいですけど、ルールわからなかったら楽しくないですし、とりあえずお茶淹れ直しますね。」

「会長直々に淹れるお茶・・・・・・楽しみです!」

 

 勝者三人は、椅子に座って談笑にふけり始めた。――――――なお、麻雀はぼくもできる。中学のころ遼が激押ししていたから、それにつられてちょっとやってみたところ、普通に面白かったので、今もぼちぼち続けている。

 

「さ、静乃さんやりますよ!速攻で片づけます!」

「ドラの恐ろしさを萩原先輩にお見せしますよ!」

「ふふふ、静乃ちゃんに鉄壁の守りを崩せるかな?」

 

 既に卓について準備万端な三人。――――――――よし、ぼくも頑張るか。

 

 

 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

 

「て な わ け で、私たちの大勝利いやっふぅぅぅぅ!!!!」

「いぇいいぇぇぇい!!」

「萩原先輩の水着姿、期待していますよ~!」

 

 結果は惨敗。3人の実力を完全に舐めていた。まず栞ちゃんは、リーチタンヤオ平和にドラを1~2個絡めて、常に満貫前後の点数をかすめ取っていく。そして宮永先輩は、とにかく振り込まない。相手の捨て牌や表情から待ちを読み、こっちがテンパイしてもとにかく逃げられる。そして、相手はしっかり上がってくる。有希ちゃんは、鳴きのセンスがいい。イケる!と思ったらガンガン鳴いて、鳴き後は数順で上がっていた。ゲーム研究部と名乗ってるだけあって、実力はかなりのものだった。そして、その部員である遼も弱いわけもなく、その遼に勝っているって時点で有希ちゃんはかなりの実力者だってこと、理解するべきだったのに・・・。

 

「ははは、静乃、ドンマイですよ!私は次の勝負で会長と怜に勝って、羞恥プレイを回避してみます!」

 

 刹那、いい笑顔してるな、、、人の気も知らないで・・・。

 恨めしく刹那をじっと見ていたが、どうにもならないので止めた。せめて、怜が勝って会長も道連れになれ―――――――と、腹の中でどす黒く、相手の不幸を願ったのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。